最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(13年3月〜5月期、個別ヒアリング)

              

当研究所では、現場での消費動向を把握するため、スーパー、旅行社、ホテルを対象にヒアリング調査を行った。ヒアリング先スーパーの平成13年3月の売上げは、春物衣料の不振などで前年割れとなった。1人当たり買上げ点数や客数の減少が目立ち始めた。旅行社は、1〜3月期は前年並み、4月は前年を若干下回る動きとなっている。海外も国内も近くて安い旅行に人気がある。ホテルは、客室稼働率が大幅に上昇し好調に推移している。
 統計からみると、3月の大型小売店販売額(大阪府)は、13か月連続の前年割れとなった。減少幅は、前月と比較して縮小した。このうち百貨店は、2月のマイナスから再びプラスに転じた。スーパーは17か月連続で前年割れが続いている。コンビニエンス・ストア販売額(近畿)は、全店ベースでは前年を上回ったものの、既存店ベースでは8か月連続の前年割れとなっている。乗用車新規登録・販売台数は、普通乗用車・軽乗用車が前年割れとなったものの、好調な小型乗用車がけん引し、5か月連続の増加となった。家電販売額(近畿)は、家電リサイクル法施行前の駆け込み需要が大きく、前年を大幅に上回った。一方、パソコンについては前年を下回る動きが続いている。
 以上のように、個人消費は一進一退の動きが続いている。


スーパー
 A社
 13年3月の売上げは、全店ベースで前年同月比2.2%減、既存店で6.5%減となった。売上げ減少の要因として、これまでは買上げ商品1点当たり単価の下落が大きかったが、消費者の節約志向が表れ、このところ1人当たりの買上げ点数の減少や客数の減少傾向が表れた。
 品目別にみると、衣料品は全店で9.4%減、既存店で11.5%減と、引き続き減少幅が大きかった。買上げ商品1点当たり単価は引き続き下落したものの、下落幅は落ち着きを取り戻しつつある。一方、気温の寒暖差が大きかったため客数の減少は大きく、売上げ減の主な要因とみられる。全般に、春物の動きが鈍く、新入学、新入園準備の需要も低調であった。その中で、リクルートやフレッシャー向け衣料、ストール、トラベルバッグ、スポーツブルゾンなどに動きがあった。
 飲食料品は、全店では0.3%増と増加となったものの、既存店では4.6%減となった。買上げ商品1点当たり単価は前年並みであったものの、1人当たりの買上げ点数が減少したとみられる。客数についても、既存店では1.5%の減少となった。品目でみると、伊予柑、イチゴ、白菜、まぐろの刺身、発泡酒、菓子や飲料の新製品、行楽に合わせて企画したおにぎり、すしといった米飯商品が好調であった。海外で広まった牛や豚の病気の影響が心配された精肉についても、国産精肉には動きがあった。ホワイトデーは、まずまずの動きがあった。水産物は全般に低調で、缶詰、冷凍食品などは不振であった。
 住関連は、全店で0.2%減、既存店で4.7%減となった。買上げ商品1点当たり単価、客単価ともに増加となったものの、1人当たり買上げ点数は減少し、客数も減少した。家電は家電リサイクル法施行前の駆け込み需要もあって好調で、CD、携帯電話、携帯用ゲーム機の新製品、ナショナルブランドの化粧品なども好調であった。一方、パソコンの動きは弱まってきており、文具、食器や風呂回りのリビング用品、家具・インテリア、消耗雑貨などは不振であった。
 同社では、食料品はもちろんのこと、衣料品、住関連品でも鮮度を最重要視し、衣料品では今年らしさ、住関連ではメーカーが出す最先端の商品をしっかり揃えていくことで、売場全体の鮮度感を高めようとしている。例えば、食料品では価格は少し高めだが消費者の安全・健康志向に合わせ、品質にこだわった卵や、今までの品種とは異なる甘く粒の大きいイチゴなど、こだわり商品の販売に力を入れている。
 4月も前年を下回る見込みであり、依然厳しい状況が続くとみられる。

旅行社
 B社
 同社の近畿・中国・四国地区での売上げは、13年1〜3月期が前年並みとなった。4月以降は、若干前年を下回る動きとなっている。ゴールデンウィークの予約状況については、海外旅行が好調で、国内旅行は前年並みか前年を若干下回る見込みである。
 海外では、ハワイやアジアに人気があり、ヨーロッパなどは少し落ち込んでいる。近場の旅行は、比較的単価が低い10万円以内の商品などに人気があり、フライト時間が短いことなどから、消費者が比較的手頃な価格で手軽に楽しめる旅行を選んでいると同社はみている。国内でも、北海道や九州方面への旅行が減少し、四国、中国、山陰方面に動きがあり、スキーでも北海道よりも信州といったように、近場の旅行に動きがある。海外旅行と比較した場合、北海道などには割高感があるためと同社ではみている。
 同社の売上げに占める国内旅行の比率は7割で、海外旅行は3割となっている。また、パッケージ商品の比率は海外が8割強、国内が約5割、個人客の比率は6割強で、法人客が3割強となっている。
 最近の話題としては、様々な趣味の活動を行う会員制サークルの旅行に人気があり、会員数は全国で5〜6万人、近畿で1万人程度に上っている。会員は、リタイア後の熟年層が多く、特に1人で参加できる旅行サークルの人気が高い。同社では、サークル旅行を強化していくとともに、現在アメリカで活躍中の日本人野球選手の試合観戦ツアーなど、世相にあった企画を打ち出していく必要を感じている。

ホテル
 C社
 大阪市内に立地し、比較的規模の大きいこのホテルでは、宴会、料飲各部門と比較して宿泊部門が弱かったが、12年度は客室稼働率が9ポイント上昇した。これは、大阪市内に12年春に大規模な国際会議などを行える施設がオープンし、この施設でのイベント関係の宿泊が増加しているためと、同社はみている。また、13年春には映画をテーマにしたアミューズメント施設がオープンし、この施設への観光客の宿泊も加わり、3月、4月と好調に推移している。今後の観光客の増加を見込んで、ツインルームを3〜4人での宿泊が容易なファミリールームに改装した。また、平日はビジネス客が主流で、ツインルームのシングル利用が多いが、今後は平日の観光宿泊も若干増加するとみており、ツインルームの2名利用の増加を期待している。
 宴会部門は、中小企業、大企業ともに法人需要が底打して上向きに転じており、婚礼を除いて好調に推移している。婚礼については、1人当たり単価は横ばいであるものの、招待客数の減少などで規模が縮小する傾向にあり、また、海外挙式が増加していることも影響していると、同社ではみている。
 料飲部門は、単価も客数もほぼ一定で、堅調に推移している。12年春にリニューアルしたチャイニーズレストランが好調である。

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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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