大阪薬物乱用「ダメ。ゼッタイ。」第四次戦略

更新日:平成26年4月1日

 大阪薬物乱用「ダメ。ゼッタイ。」第四次戦略

平成26年3月25日策定

1.趣旨

 大阪府では、平成10年警察庁が「第三次覚せい剤乱用期」へ突入したという非常事態宣言に対応するため、平成10年7月「大阪薬物乱用『ダメ。ゼッタイ。』5ヵ年戦略 3つの戦略と26の戦術」を策定した。その後、社会情勢の変化等を勘案し、平成16年7月「大阪薬物乱用『ダメ。ゼッタイ。』新戦略」、続いて、平成21年3月「大阪薬物乱用『ダメ。ゼッタイ。』第三次戦略」を策定し、積極的な啓発活動の推進による薬物乱用の未然防止、薬物の再乱用の防止、取締りの徹底の取組を推進し、残された課題の解決を図ってきた。
 平成23年頃からは、大阪府内の違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)(以下、「違法ドラッグ」という。)の販売店が増加傾向にあり、それらの使用と疑われる健康被害や第三者に対する危害が発生するなどの状況をも踏まえ、平成24年12月「大阪府薬物の濫用の防止に関する条例」を制定し規制強化を図るとともに、大阪薬物乱用「ダメ。ゼッタイ。」第三次戦略の一部改正を行ない薬物乱用防止に取組んできた。
 これまでの取組みの実施により、一定の効果が出ているものの、依然として厳しい状況にあること、また、国においても平成25年8月「第四次薬物乱用防止五か年戦略」が策定されたことを踏まえ、現在の府内の情勢に対応した総合的な対策を講ずることにより、薬物乱用の根絶を図る。

2.現状と課題及び今後の対応

(1)現状

・薬物事犯検挙者数は、過去5年を見ても約1,800人前後と高値で推移しており、特に覚醒剤事犯は近年9割を占める状況である。また、覚醒剤事犯の再犯率は、平成24年61.8%、平成25年64.5%と過去5年で最も高い状況である。(表1、表6)
・大麻事犯検挙者は、平成21年246人から平成25年121人と半減し、30歳未満の割合が平成21年69.3%から平成25年46.3%に減少しているが、違法ドラッグによる健康被害(救急搬送)数の20歳代の割合が高いことから、大麻から違法ドラッグへの移行が推測される。(表1、表5、表9)
・シンナー乱用少年の検挙・補導数は、近年大幅に減少しており平成25年には、1人となっている。(表2)
・違法ドラッグの販売店は、急増していた平成24年3月末73件から平成25年5月末28件まで減少していたが、平成25年8月から再び増加に転じ、平成25年12月末38件である。また、違法ドラッグによる健康被害(救急搬送)事例は、平成25年12月末10件報告されている。(表8、表9)
・最近の薬物に関連する法令等の状況としては、薬事法改正により、平成25年10月から麻薬取締官等に指定薬物の立入権限等が付与され、平成25年12月には、指定薬物の使用、所持に対する罰則付きの禁止規定が公布(平成26年4月1日施行)され、規制強化の体制整備がなされた。また、薬物の再乱用防止を図るため、平成25年6月薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予制度が制定され3年以内に施行される。

(2)課題及び今後の対応

啓発対策部会関係

 青少年の薬物乱用防止については、学校等における薬物乱用の有害性・危険性に関する指導の充実、広報啓発や街頭補導活動の強化をはじめとした青少年に薬物乱用をさせない環境整備などの取組みにより、大阪府における、覚醒剤ならびに大麻、シンナーの乱用による少年補導・検挙人員が減少傾向にある。一方、違法ドラッグについては、販売店やインターネット等を通じて販売されており、青少年が安易に購入し乱用することが懸念される。このような状況を踏まえ、今後も引き続き関係機関が連携して、青少年による薬物乱用の未然防止に向けた取組みの一層の充実に努める必要がある。また、学校における児童・生徒に対する薬物乱用防止教育だけではなく、有職・無職少年に対する啓発強化、青少年に薬物乱用をさせない環境整備を図るため家庭や地域での啓発のほか、大学生などの青少年に対する啓発にも努める。また、地域での相談に素早く対応できるよう相談体制の周知等にも努める。

乱用依存症者対策部会関係

 大阪府における覚醒剤事犯検挙者の再犯者率は、近年、増加傾向にあり、再乱用防止対策が重要課題となっている。薬物を乱用してしまった場合には、早期発見・早期対応が重要であり、薬物依存の有無、精神症状(特に幻覚・妄想等)の有無など乱用者の状態及び状況に応じた対応が必要である。そのため、医療体制を整備、充実することにより薬物乱用者に対する治療の充実を図るとともに、相談・治療のネットワークを強化することにより、薬物乱用者の社会復帰支援を図っていくことが重要である。また、薬物依存症からの早期の回復のためには、家族の適切な関わりが大切なことから、関係機関が連携して、家族からの相談体制の充実及び支援策を講じていく。
 また、違法ドラッグによると疑われる健康被害事例が多数発生している状況を踏まえ、医療機関等の協力を得ながら健康被害の実態把握、相談体制の充実を図る。さらに、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予制度が新たに導入されることを踏まえ、再乱用防止対策を進めていく必要がある。

取締対策部会関係

 薬物乱用を防止するためには、需要の削減を図るとともに、その供給を遮断することが必要である。そのためには、薬物の供給源となる薬物密売組織を壊滅し、密輸入阻止のための水際対策の徹底が求められる。大阪府における覚醒剤事犯の検挙者は、全薬物事犯の中で高い割合を占めており、高い水準で推移し、依然として暴力団や外国人薬物密売組織が薬物密売に深く関与して、その犯罪収益が組織の大きな資金源となっている状況にある。そこで、暴力団等による密輸・密売組織の壊滅による供給の遮断と、末端乱用者の徹底取締りによる需要の根絶を図る。
 また、違法ドラッグ販売店は、依然、多く存在することから、立入調査、販売自粛要請など実施するとともに、薬事法や大阪府薬物の濫用の防止に関する条例を活用し取締強化を図る。

3.基本目標

目標1 青少年、家庭及び地域社会に対する啓発強化と規範意識向上による薬物乱用未然防止の推進
目標2 薬物乱用者に対する治療・社会復帰の支援及びその家族への支援の充実強化による再乱用防止の徹底
目標3 薬物密売組織の壊滅、末端乱用者に対する取締りの徹底並びに水際対策の徹底、国際的な連携・協力の推進

4.戦略

1.積極的な啓発活動を推進し、青少年の薬物乱用を未然に防止する。
2.医療対策等を充実し、薬物の再乱用を防止する。
3.薬物密売組織の壊滅及び末端乱用者に対する取締りを徹底及び多様化する乱用薬物に関する監視指導等の強化。

5.戦術

戦略1.積極的な啓発活動を推進し、青少年の薬物乱用を未然に防止する

A.民間ボランティア等と協働した啓発活動の推進
 薬物乱用防止指導員の養成を行うとともに、民間ボランティア組織と協働した薬物乱用防止啓発を実施する。
(主な関係機関:全機関(事務局:薬務課))

B.学校等における薬物乱用防止のための指導・教育の充実強化
 小学校、中学校及び高等学校における児童生徒に対する指導・教育を徹底するとともに、引き続き、児童生徒等の薬物の根絶に向けた規範意識の向上を図るため、薬物乱用防止教室の開催や、その指導のための資材の充実を図る。
(主な関係機関:近畿厚生局麻薬取締部、府警少年課、教育委員会、私学・大学課、家庭支援課、薬務課、保健所)

C.有職・無職少年を対象とした啓発の実施
 少年の覚醒剤事犯の検挙人員のうち、大きな割合を占めている有職・無職少年を対象に、薬物乱用防止啓発を実施する。
(主な関係機関:近畿厚生局麻薬取締部、大阪運輸支局、府警少年課、青少年課、労政課、家庭支援課、薬務課、保健所)

D.大学・専門学校生等を対象とした啓発の実施
 大学・専門学校等の学生を対象に、薬物乱用防止啓発を実施する。
(主な関係機関:近畿厚生局麻薬取締部、府警少年課、私学・大学課、青少年課、薬務課、保健所)

E.保護者等への啓発の充実
 薬物乱用を許さない社会環境づくりのためには、家庭や地域の役割が重要である。そのため、保護者や地域団体等を対象に、薬物乱用防止啓発を実施する。
(主な関係機関:近畿厚生局麻薬取締部、府警少年課、教育委員会、青少年課、家庭支援課、薬務課、保健所)

F.効果的な啓発活動の推進
 社会情勢に応じた効果的な啓発活動を推進する。
(主な関係機関:全機関(事務局:薬務課))

G.相談体制の充実及び周知
 地域住民からの相談を的確かつ素早くできるよう指導・助言の体制を充実するとともに相談窓口の周知を図る。
(主な関係機関:全機関(事務局:薬務課))

戦略2.相談・医療対策等を充実し、薬物の再乱用を防止する

H.保健所等における相談体制の充実
 保健所等における医師、精神保健福祉相談員などの相談担当者のための研修を実施し、本人及び家族に対する相談体制を充実するとともに、関係機関との連携を図る。
(主な関係機関:保健所等)

I.こころの健康総合センター等での相談・診療体制の充実
 薬物関連問題担当者のための研修を実施し、薬物に関する相談・診療体制を充実する。
(主な関係機関:大阪府こころの健康総合センター、大阪市こころの健康センター、堺市こころの健康センター、府立精神医療センター)

J.中毒者の受け入れ体制及び医療機関のネットワークの整備
 専門病棟の整備検討、救急医療体制の強化による受け入れ体制の整備に努める。
 また、急性中毒者に対して迅速な入院治療等のネットワークの充実を図り、医療機関の連携を図る。
(主な関係機関:地域保健感染症課)

K.更生期間中における再乱用防止のための指導・教育の徹底及び社会復帰の支援充実
 矯正施設等において、再乱用防止のための指導・教育を徹底する。
 また、関係機関が連携して社会復帰のための支援を充実する。
(主な関係機関:大阪刑務所、大阪拘置所、大阪少年鑑別所、大阪保護観察所、地域保健感染症課、近畿厚生局麻薬取締部)

L.薬物依存自助グループとの連携
 薬物依存からの回復においては、自助グループ等の民間団体が重要な役割を担うことから、薬物乱用者の社会復帰等を行っている民間団体、NPO等と連携を図る。
(主な関係機関:大阪刑務所、大阪保護観察所、地域保健感染症課、薬務課、相談機関)

M.麻薬中毒者相談員等による相談業務の充実
 再乱用防止のための講習会等を通じ、薬物全般についての相談業務の充実を図る。
(主な関係機関:近畿厚生局麻薬取締部、薬務課)

N.薬物依存症の治療法等に関する情報収集
 薬物依存についての完全な治療法は確立していないため、治療法等の研究に関する情報収集を行う。
(主な関係機関:地域保健感染症課)

O.違法ドラッグの健康被害等に関する情報収集・提供
 医療機関等の協力を得ながら健康被害等の情報収集し、関係機関に情報提供し、違法ドラッグに関する相談等への支援を行う。
(主な関係機関:薬務課)

戦略3.薬物密売組織の壊滅及び末端乱用者に対する取締りを徹底及び多様化する薬物乱用に関する監視指導等の強化

P.密売組織の徹底取締
 薬物の密売は、暴力団や外国人密売組織等により組織的に行われ、その方法も巧妙化している。このため、薬物犯罪を壊滅するためには、コントロールド・デリバリー等の捜査手法、不法収益のはく奪等の活用により、巧妙化する密売ルートの解明を図り、組織の徹底取締を行う。
(主な関係機関:近畿厚生局麻薬取締部、大阪海上保安監部、大阪税関、大阪入国管理局、大阪地方検察庁、府警薬物対策課)

Q.密輸入の徹底取締
 
国内で密売されている薬物のほとんどは、海外から密輸入されたものであり、その方法はますます悪質巧妙化している。このため、密輸関連情報の収集、関係取締機関等の連携により、密輸ルートの解明を図るなど徹底取締を行う。
(主な関係機関:近畿厚生局麻薬取締部、大阪海上保安監部、大阪税関、大阪入国管理局、大阪地方検察庁、府警薬物対策課)

R.外国関係機関との監視取締の連携
 外国人による薬物の密輸入が近年増加しており、薬物乱用拡大の要因ともなっており、巧妙化する密輸・密売ルートの情報交換、マネー・ローンダリング対策などのために外国関係機関と連携する。
(主な関係機関:近畿厚生局麻薬取締部、大阪海上保安監部、大阪税関、大阪入国管理局、大阪地方検察庁、府警薬物対策課)

S.少年を含む薬物事犯の徹底検挙・補導
 薬物乱用の拡大防止のためにも少年を含む末端乱用者等を徹底検挙・補導する。
(主な関係機関:近畿厚生局麻薬取締部、大阪海上保安監部、大阪地方検察庁、府警薬物対策課、府警少年課)

T.免許許可業者の監督の徹底
 医療関係者、研究者等の免許許可業者に対し、薬物の一層の適正使用を要請するとともに、盗難、不正流通のないよう麻薬等の適正な管理に努めるよう指導を徹底する。
(主な関係機関:近畿厚生局麻薬取締部、薬務課、保健所)

U.違法ドラッグの販売店への取締強化
 
府民、関係機関、関係団体等から広く違法ドラッグ販売店の情報を把握し、販売店に対する立入調査、販売自粛要請を行うとともに、製品の買上調査等を実施するなど指導の強化を図る。また「大阪府薬物の濫用の防止に関する条例」も活用し取締強化を図る。
(主な関係機関:近畿厚生局麻薬取締部、薬務課、府警薬物対策課)

<参考資料>大阪府における薬物乱用の現状

表1 大阪府における薬物事犯検挙者数推 [Excelファイル/29KB] [PDFファイル/50KB]
表2 大阪府におけるシンナー乱用少年の検挙・補導状況推移 [Excelファイル/27KB] [PDFファイル/42KB]
表3 大阪府における乱用薬物押収量 [Excelファイル/29KB] [PDFファイル/46KB]
表4 大阪府における覚醒剤事犯の年齢別検挙者数推移 [Excelファイル/28KB] [PDFファイル/46KB]
表5 大阪府における大麻事犯の年齢別検挙者数推移 [Excelファイル/28KB] [PDFファイル/45KB]
表6 大阪府における覚醒剤事犯検挙者における再犯者率(特例法を含む) [Excelファイル/27KB] [PDFファイル/42KB]
表7 全国における覚醒剤事犯検挙者における再犯者率 [Excelファイル/27KB] [PDFファイル/40KB]
表8 大阪府における違法ドラック販売店舗数推移 [Excelファイル/28KB] [PDFファイル/40KB]
表9 大阪府における違法ドラックによる健康被害(救急搬送)数 [Excelファイル/28KB] [PDFファイル/42KB]

このページの作成所属
健康医療部 薬務課 麻薬毒劇物グループ

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