平成6年度大阪府統計年鑑 第13章 金融(解説)

更新日:2013年2月12日

平成6年度大阪府統計年鑑

概況

 平成5年度の日本経済は、平成3年春に始まった景気後退が引き続く中で、金融緩和政策が継続され、日本銀行は9月に公定歩合を史上最低の1.75%に引き下げた。
 金利の大幅な低下は、住宅投資の増加など景気の下支えを果たしたものの、マネーサプライ【M2(現金、要求払い預金と定期性預金の和)+CD(譲渡性預金)】は、昭和4 2年以来初めて前年割れを記録した昨年をやや上回ったに過ぎず、引き続き低い伸び(1.5 %増)にとどまった。
 平成3年のバブル経済の崩壊による、不動産を中心とした資産価格の下落の結果、資産を取得した企業、家計、融資した金融機関のバランスシートが悪化し、企業等のリスク負担能力が低下したことが、経済全体の支出活動を抑制する方向に作用したものとみられる。
 一方、金融システム面では金融自由化の流れの中で、業態別子会社方式による業務の相互参入を柱とする金融制度改革法が昨年度成立したが、本年4月には国債取引に係る証券と資金の同時決裁システムが稼働を始めた。
 証券取引では、大阪証券取引所で昭和63年9月から、先物取引(日経225先物)、平成元年6月からはオプション取引(日経225オプション)がスタートした。

預金

 平成5年度末の大阪府の預金残高は、59兆3099億円(前年度比0. 5 %増)と3年ぶりに増加した。また、全国の預金残高も、678兆7756億円(同2.4 %増)と2年ぶりに増加した。

貸出

 金融市場は全般的に金利の低下基調を辿る中で、貸出金利もかなりの低下を示した(全国銀行の新規貸出約定平均金利(平成5年3月)3.484% 既往最低水準)。
 しかし、個人・企業向けの貸出が低迷したことや、民間金融機関が不良債券問題に積極的に対応したことから貸出金償却が前年度を大きく上回ったことなどにより、大幅な金利低下にもかかわらず貸出金の伸びは鈍かった。
 平成5年度末の大阪府の貸出残高は、73兆665億円(前年度比0. 2 %増)、全国は606兆2959億円(同1.1%増)と、いずれも3年度から伸び率が低下してきている、
 また、全国銀行の主要業種別貸出残高をみると、大阪では「卸・小売業・飲食店」、「製造業」、「個人」、「不動産業」の順で多くなっており、全国に比べると総じて産業活動のシェアが高く、逆に地方公共団体や個人のシェアが低くなっている。

株式市場

 大阪証券取引所の株式市場は、景気の長期低迷の中での円高の進行と政局の激変に影響され、株価は前半の上昇分が後半の下落によってほぼ解消される結果となった。
 年末の250種修正株価平均は、19,221.72円と前年末の数値を僅かに539.05円上回り、株価低迷のまま取引を終了した。
 平成2年から始まった株式取引の減少傾向は、東京証券取引所で回復の兆しをみせたものの、大阪では本年も減少を続け、年間の総売買高は104億3984万株(前年比13.5%減)、売買額14兆6349億円(同6. 0 %減)となった。
 また、市場開設6年目を迎えた「日経225先物」や開設5年目にあたる「日経225オプション」も、現物指数の軟調な動きを受けて、低調な取引となった。
 それぞれの年間実績は、「日経225先物」で総取引高846万単位(前年比29. 1%減)、取引金額162兆円(同26.2%減)。「日経225オプション」で、609万単位(同34.2%減)、取引金額2兆6億円(同51.2%減)となった。

企業倒産

 平成5年の企業の倒産件数は、府内で1774件(前年比7.3%減)と前年より減少したものの、負債金額は2兆363億円(同46.3%増)と増加した。

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総務部 統計課 分析・利活用促進グループ

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