昭和63年度の日本経済は、個人消費と民間設備投資に牽引される自律的経済成長を続け、生産・投資・消費いずれにおいても全産業・全世帯に及ぶ裾野の広い成長を示した。
63年度の国民総生産は名目371兆3699億円、前年度比5.7%増、実質(昭和55暦年基準)333兆9361億円、前年度比5.7%増と62年度に引き続く高成長となった。これを需要面(実質)でみると、外需は旺盛な内需に刺激された輸入の拡大が続いているため、3年連続で減少し、成長に対する寄与度はマイナス1.7となったのに対し、国内需要、民間需要は前年度を上回る伸びを示し、成長に対する寄与度は内需が6.9と内需主導型経済成長が定着した。
国内需要のうち、民間最終消費支出は雇用者所得の増加と物価の安定に支えられて4.7%増と堅調に推移した。民間住宅投資は62年度25.6%増の後を受け、7.0%増と高水準を持続した。民間設備投資は前年比17.9%増と44年度以来の高い伸びとなった。非製造業が堅調な増加を続けているのに加え、製造業が63年以降、全規模で旺盛な設備投資を行っている。
昭和63年度の府内総生産(=府内総支出)は名目31兆3646億円、前年度比6.1%増、実質(昭和55暦年基準)28兆5195億円、前年度比5.7%増と、62年度を上回る高い経済成長率を達成した。
これを需要面(実質)でみると、民間最終消費支出、民間住宅投資、民間企業設備が好調であった。なかでも民間企業設備は、前年度は非製造業においては好調、製造業は抑制の動きがみられたが、63年度は製造業においても活発な設備投資が行われた結果、実質経済成長率に対する寄与度が2.8となり、景気拡大の主軸となった。また、これら民需と公需を合わせた内需の寄与度は6.4、外需はマイナス0.7となり、内需主導型経済成長という図式が鮮明になった。
製造業のうち、加工型業種では設備投資の拡大等により一般機械が好調であり、電気機械も個人消費の盛り上がりから堅調に推移している。素材型業種でも、建設関連の需要が好調なことから鉄鋼、非鉄金属が好調に推移している。このようなことから、製造業は6.1%増と62年度の伸びを上回り、成長率に対する寄与度を伸ばした。
卸・小売業は設備投資、建設資材関連の機械器具や建築材料、また消費者の高級化・高品質志向にあわせた家具や食料品、自動車等の販売が堅調である。
建設業は新設住宅着工戸数が頭打ちながらも高水準で推移し、関西国際空港関連等の大型プロジェクトが寄与して2桁の伸びになった。
府民分配所得は24兆7898億円、前年度比6.2%増と前年度(6.1%増)に引き続き高い伸びとなった。
これは7割弱を占める雇用者所得が6.2%増、企業所得が7.7%増と高い伸びを示したためである。
また、一人当りの府民所得は282.9万円、前年度比6.0%増となった。
民間最終消費支出は前年度比4.5%増(以下、実質ベース)となり、堅調な推移をみせた。民間住宅投資は16.2%増で60年度以降10%台の高成長を持続している。民間企業設備投資は17.0%増で、62年度の伸び(9.1%増)を大きく上回った。61、62年度と2年連続で設備投資を抑制した製造業も景気の盛り上がりに応じて設備増強を図った。
大阪府所得統計は、府内における各経済主体の活動を生産・分配・支出の3面からマクロ的、総合的にとらえ、大阪の経済力を計量的に把握するものです。 国民所得統計が「国民経済計算体系(新SNA)」に移行したことに伴い、府民所得統計おいても国に準じて新しい「県民経済計算標準方式」により所得統計を精緻化し、より一層多くのデータを提供できるよう努力しています。しかし、現在なお移行の過渡期にあり、過去の公表値と数値に若干変動がありますが、ご理解の上、ご活用いただければ、幸いです。 なお、ここに掲載する昭和63年度値は、生産・分配・支出の各項目を関連の深い経済変数にあてはめて回帰式により集計した「速報値」であり、今後公表される確報値とは若干の誤差を生じる場合がありますので、ご留意ください。 |
このページの作成所属
総務部 統計課 分析・利活用促進グループ
ここまで本文です。