平成元年度大阪府統計年鑑 第15章 賃金及び労働(解説)

更新日:2013年2月12日

平成元年度大阪府統計年鑑

概況

 昭和63年の大阪の経済は、62年後半からの景気回復の勢いを持続し、個人消費、設備投資等の内需の好調をうけて本格的な景気拡大の年となった。
 これを、「毎月勤労統計調査」の結果からみると、賃金面では、企業収益の改善を背景に賞与等の特別給与を含めた現金給与総額が、前年を相当上回る増加となった。特に実質賃金は、消費者物価の安定ともあいまって近年にない高い伸びとなった。
 労働時間は、所定外労働時間が景気の拡大等を背景に増大したが、所定内労働時間は改正労働基準法の効果もあって減少し過去最低の水準となった。

賃金

 大阪府の常用労働者1人平均月間現金給与総額は、37万7764円で、前年に比べ4.6%増となり、57年以来6年ぶりに4%を超える高い伸びを示した。なお、年間合計額では453万3172円となり、全国平均より月間で約3万7000円、年間で約44円上回っている。
 また、実質賃金は消費者物価(持家の帰属家賃を除く総合指数)が前年に比べて上昇したものの総じて安定した動きを示したこともあって3.6%増となり、49年以降で最も高い伸びとなった。

産業別賃金等

 産業別現金給与総額の前年比をみると、「金融・保険業」11.0%増、「建設業」5.9%増、「不動産業」5.2%増、「卸売・小売業、飲食店」4.4%増、「製造業」及び「サービス業」4.0%増と調査対象8産業中6産業で4%以上の伸びを示している。
 男女別では、男子は44万7729円で前年に比べ4.3%増、女子は22万1670円で5.1%増となった。男子を100とした男女間賃金格差は49.5となり、60年以降同水準で推移していた格差は拡大し、年額で271万2710円の差となった。
 なお、この格差は勤続年数、パ―トタイム等雇用形態の違いによることが大きい。

夏季・年末賞与

 夏季・年末賞与の1人平均支給額は、夏季賞与が52万3512円で前年に比べ5.0%増、年末賞与が62万6419円で前年に比べ5.3%増となった。平均支給率は、夏季賞与が1.78ヵ月分で前年を0.03ヵ月分上回り、年末賞与が2.12ヵ月分で前年を0.01ヵ月分上回った。

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労働時間

 63年の1人平均月間総実労働時間は、172.2時間で前年に比べ0.6%減少し、年間合計では2066時間となり、全国平均より月間で3.7時間、年間で45時間短くなっている。
 総実労働時間を所定内労働時間と残業を中心とする所定外労働時間に分けてみると、所定内労働時間は、63年4月の改正労働基準法の施行及び労働時間短縮への社会的潮流などにより、157.5時間となり前年に比べ1.2%減と50年以来13年ぶりに1%台の減少となった。一方、景気の動向に大きく左右される所定外労働時間は、著しい景気回復・拡大基調が年間を通じて継続したことにより、14.7時間と前年に比べ6.9%増と逆に大幅な増加となった。特に、生産活動と密接な関連を持つ「製造業」の所定外労働時間は、60、61年が円高不況の影響により前年比が3.l%減、6.7%減であったが、62年では年央からの景気回復のため3.5%増、63年では14.8%と大幅な増加を示した。
 産業別にみた場合、「運輸・通信業」、「建設業」、「製造業」など、労働集約的で女子比率の低い産業では労働時間が長く、「金融・保険業」、「卸売・小売業、飲食店」など週休二日制の普及率が相対的に高く、女子比率の高い産業では労働時間が短くなっている。

雇用

 雇用の動きを常用雇用指数(昭和60年平均=100)でみると、100.2で前年に比べ0.1%増となった。
 産業別では、「サービス業」が48年の調査開始以来連続して増加を続けており、一方「製造業」が61年から3年連続して減少したことからも、産業構造のソフト化・サービス化が進展していることを裏付けている。

このページの作成所属
総務部 統計課 分析・利活用促進グループ

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