平成元年度大阪府統計年鑑 第13章 金融(解説)

更新日:2013年2月12日

平成元年度大阪府統計年鑑

 昭和63年の金融は、史上最低金利を背景として、緩和基調で推移した。
 公定歩合は、昭和61年1月から62年2月にかけての5次にわたる引き下げにより、年2.5%となっており、金利が62年に引き続き低水準で推移したことで、マネーサプライ〔M2(現金、要求払いで預金、定期性預金)+CD(譲渡性預金)〕は大きく増加し、月平均残高の対前年同月比伸び率は年間を通じ2桁の伸びを示した。また、このように大幅に増加した資金需要は、民間企業の設備投資にまわる一方で株式、土地にも投資され、株式市場は前年に引き続き活況を呈し、地価は異常な高騰となった。
 金融の自由化については、61年7月の「市場アクセス改善のためのアクションプログラムの骨格」において、大口定期預金金利規制の緩和及び撤廃、MMC、CDに関する規制の緩和について具体的なスケジュールが打ち出され、それに沿って自由化が進められてきた。さらに62年6月の「金融・資本市場の自由化、国際に関する当面の展望」により、大口預金の一層の自由化が進められ、CDについては63年4月に最低発行単位が5000万円に引き下げられ、大口定期預金の最低預入単位は63年4月に5000万円、11月には3000万円に引き下げられた。
 また、大阪証券取引所では、62年6月よりわが国初の株式先物取引(株先50)が始まったところであるが、63年9月からは株価指数先物取引として、日経225先物がスタートした。

預金

 金融緩和の浸透や金利自由化の進展に伴い、法人を中心として大口定期預金等の利用が増加し、前年に引き続き高い伸びとなった。

貸出

 内需を中心とした景気拡大と史上最低金利を背景に、民間企業が設備投資に資金を投入したこと、株式市場の活況や地価高騰で不動産取引が大型化し、活発化したため資金需要が増大し、貸出金は増加した。

株式市場

 年初は大幅安で始まったものの、当局による株式市場の安定措置をうけて反騰に転じ、以後、上げ調子が続いた。後半になって、インフレ懸念から調整局面を迎えたが、11月以降、円高進展に伴う金利先安感の強まりもあって、先高期待から上伸する展開となった。
 この結果、年末の株価指標は、前年末に比べて大幅な上昇となり、年間の総売買高は316億9086万株と過去最多だった去年は下回ったものの2番目の多売買となり、一日平均売買高は1億1608万株となった。
 株先50は、1月から4月にかけ現物相場高を受けて反騰に転じたが、その後は、金利、為替への不透明感の強まりから軟弱に推移したが、9月以降、同月開始の株価指数先物取引(日経225)の影響で売買高は急減した。
 9月よりスタートした日経225は、11月上旬までは、株式市場の調整局面を受けて一進一退を繰り返したが、その後、金利先安感の強まりから堅調に推移した。

企業倒産

 内需主導の景気拡大と円高対策の進展、また低金利と地価高騰による担保力の上昇から資金調達が容易になったことにより、企業の倒産件数は1467件、前年度比11.0%減と、62年度に引き続き減少した。
 しかし、負債額は、カネあまりを背景とした、仕手・不動産がらみの大型倒産が相次ぎ、これが全体をカサ上げした形となって、4257億円、前年度比267.4%増と大幅な増加となった。

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総務部 統計課 分析・利活用促進グループ

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