水産動物の種苗生産及び放流並びに水産動物の育成に関する基本計画
「第8次大阪府栽培漁業基本計画」
公表日:令和4年4月28日
本府水産業を取り巻く環境は、漁場環境の変化や不漁、漁業者の高齢化、消費者の魚ばなれなど厳しい状況となっている。このような中、本府では、漁場環境の保全や水産資源の回復・増大、漁業経営の安定化、大阪産(もん)魚介類の魅力発信等、様々な施策に取り組んでいる。
栽培漁業は、種苗を生産し、中間育成を行ったのち放流し、海の生産力を利用して成長を図り、その後資源管理等を行うことにより積極的に資源の増加を図る有効な手段であり、本府においては、昭和38年の栽培漁業開始以降、多くの種苗を生産、放流することで、対象水産物の資源の維持や漁獲の安定化、漁業経営の安定に寄与してきた。
また、令和2年5月に一部改定した「新・大阪府豊かな海づくりプラン」では、「大阪湾の水産資源の増大とブランド化をめざした栽培漁業の推進」を主な施策に位置づけ、新たな技術や知見なども活用しながら、栽培漁業による漁獲量の増大と大阪産(もん)魚介類の府民への安定供給を目指すこととしている。
第7次計画の取組実績を踏まえ、今後の栽培漁業をより一層計画的かつ効率的に推進することにより、大阪湾における水産資源の回復・維持と漁業生産の向上を目指し、本計画を策定する。
なお、国の栽培漁業基本方針を踏まえ、令和8年度を目標年度とする。
第1 水産動物の種苗の生産及び放流並びに水産動物の育成に関する指針
栽培漁業の対象種の生産及び放流・育成等については、社会経済的な要請や大阪湾の環境特性、対象種の資源生態、技術開発の進捗状況、種苗生産・育成施設の能力等を勘案し、投入される費用に応じた放流効果の確保を図りながら、次の指針により効率的に推進するものとする。
1.種苗の生産
種苗の生産に当たっては、自然環境への適応能力を有する良質な種苗の大量生産を推進するとともに、疾病等の発生及びまん延防止及び遺伝的多様性への配慮に努める。
また、種苗の大量生産が可能となった魚種については、種苗の質的向上を一層図るとともに、経費の低減に必要な技術の開発に努める。
2.種苗の放流
種苗の放流については、対象種ごとに最適な放流サイズ、時期及び場所等の把握を進めることにより、放流種苗の生残の向上に努める。
放流の際は可能な限り漁業者等の協力を得てその成果を普及するよう努め、さらに遊漁者や府民に対しても積極的に情報提供を行い、放流事業の意味、必要性等について理解を求めるものとする。
また、水産基盤整備事業等により整備した藻場・干潟等の活用や、漁業者や府民が取り組む環境・生態系保全のための活動等との連携を図ることにより、効率的な事業の展開に努める。
3.放流後の資源管理
放流した種苗は、より商品価値の高いサイズに成長させてから漁獲することと併せ、種苗の一部が親となり再生産に寄与していくことが重要であることから、小型魚の再放流や目合い制限、産卵期における禁漁期間の設定等の資源管理を、天然資源を含め一体的に推進する。
4.その他
種苗の放流及び育成にあたっては、漁業の操業、公共事業の計画及びその実施、船舶の航行等について十分尊重し配慮する。
第2 種苗の生産及び放流又はその育成を推進することが適当な水産動物の種類は、次のとおりとする。
ヒラメ、キジハタ、アカガイ、トラフグ
第3 水産動物の種類ごとの放流数量の目標
令和8年度における種類ごとの種苗放流数量及び放流時の大きさの目標は、次のとおりとする。
魚種名 | 放流数量 | 放流時の大きさ |
---|---|---|
ヒラメ | 100 千尾 | 全長 80mm |
キジハタ | 110 千尾 | 全長 80〜100mm |
アカガイ | 50 千個 | 殻長 30mm |
トラフグ | 50 千尾 | 全長 70mm |
なお、令和8年度における種苗生産数量の目標は、次のとおりとする。
魚種名 | 生産数量 | 生産時の大きさ |
---|---|---|
ヒラメ | − | − |
キジハタ | 150 千尾 | 全長 40mm |
アカガイ | − | − |
トラフグ | − | − |
第4 放流効果実証事業に関する事項
放流調査等により増殖効果が明らかになり、かつ種苗の大量生産・放流が可能な水産動物を対象として当該事業を早期に実現できるよう努める。
第5 特定水産動物育成事業に関する事項
前項の放流効果実証事業により放流の経済効果が実証された水産動物を対象として当該事業を早期に実現できるよう努める。
第6 水産動物の種苗の生産及び放流並びに水産動物の育成に係る技術の開発に関する事項
1.種苗生産の技術水準の目標
本府が実施する種苗生産の令和8年度までに達成すべき技術水準の目標は、次のとおりとする。
魚種名 | 単位あたりの生産数量 | 種苗の平均の大きさ | 種苗生産回数 |
---|---|---|---|
キジハタ | 625尾/m3 | 全長 40mm | 1回/年 |
2.種苗の生産及び放流の技術開発
種苗生産及び放流について令和8年度までに基礎的な技術開発が必要な対象種は、次のとおりとする。
トラフグ、メバル
3.技術開発上の問題点
令和8年度までに解決すべき技術開発上の問題点は、次のとおりである。
(1)キジハタ
ア.安定生産技術の確立
イ.疾病防除(ウィルス性疾病等)
ウ.形態異常の防除
エ.適正放流サイズの検討
(2)トラフグ
ア.中間育成技術の確立
イ.放流適地の検証
4.技術開発水準の到達すべき段階
本府が実施する種苗生産の令和8年度までに達成すべき技術水準の目標は、次のとおりとする。
魚種名 | 令和3年度における | 令和8年度における |
---|---|---|
キジハタ | D | E |
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このページの作成所属
環境農林水産部 水産課 企画・豊かな海づくり推進グループ
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