第7次大阪府栽培漁業基本計画(変更)

更新日:2019年7月2日

栽培漁業基本計画とは

  • 栽培漁業基本計画とは、栽培漁業を計画的かつ効率的に推進するための指針として、沿岸漁場整備開発法第7条の2第1項に基づき都道府県が策定する計画です。
  • 種苗の生産や放流、育成に関する指針を定めており、対象とする種の数量や大きさ、技術開発に関する目標や課題等を示しています。
  • 大阪府では、昭和59年に第1次計画が策定され、その後おおむね5年ごとに見直しています。

第7次大阪府栽培漁業基本計画(変更)

水産動物の種苗生産及び放流並びに水産動物の育成に関する基本計画
「第7次大阪府栽培漁業基本計画
(変更)

 公表日:令和元年5月22日

 近年、世界の食糧確保をめぐる環境は厳しさを増しており、我が国周辺の豊かな水産資源を適切に管理し、国民に安定的に水産物を供給していくことの重要性が高まっている。
 国は、平成24年3月に変更された水産基本計画において、水産に関する施策についての基本的な方針のひとつに「資源管理やつくり育てる漁業による水産資源のフル活用」を定め、講ずべき施策として種苗放流による資源造成の推進等を掲げている。
 栽培漁業は、種苗生産、放流、育成管理等により積極的に資源の増加を図る手段であり、栽培漁業の推進は沿岸資源の回復・管理を推進するための重要な施策である。
 本府では、平成27年4月に「新・大阪府豊かな海づくりプラン」を策定し、「大阪湾の水産資源の増大とブランド化をめざした栽培漁業の推進」を重点的に取り組む施策として位置づけ、栽培漁業による漁獲量の増大と大阪湾魚介類の府民への安定供給を併せて目指すこととしている。
 これらを踏まえ、今後大阪湾における水産資源の回復・維持と漁業生産の向上を目指し、沿岸漁場整備開発法に基づき本計画を策定する。
 計画は、概ね5年ごとに定めるものであるが、第7次基本計画の計画期間は、国の定める第7次栽培漁業基本方針と同じく、平成27年度から令和3年度までの7年間とする。

第1 水産動物の生産及び放流並びに水産動物の育成に関する指針

 栽培漁業の対象種の生産及び放流・育成等については、社会経済的な要請や大阪湾の環境特性、対象種の資源生態、技術開発の進捗状況、種苗生産・育成施設の能力等を勘案し、投入される費用に応じた放流効果の確保を図りながら、次の指針により効率的に推進するものとする。
1.種苗の生産
 種苗の生産に当たっては、自然環境への適応能力を有する良質な種苗の大量生産を推進するとともに、疾病等の発生及びまん延防止及び遺伝的多様性への配慮に努める。
 また、種苗の大量生産が可能となった魚種については、種苗の質的向上を一層図るとともに、経費の低減に必要な技術の開発に努める。
2.種苗の放流
 種苗の放流については、対象種ごとに最適な放流サイズ、時期及び場所等の把握を進めることにより、放流種苗の生残の向上に努める。
  放流の際は可能な限り漁業者等の協力を得てその成果を普及するよう努め、さらに遊漁者や府民に対しても積極的に情報提供を行い、放流事業の意味、必要性等について理解を求めるものとする。
 また、水産基盤整備事業等により整備した藻場・干潟等の活用や、漁業者や府民が取り組む環境・生態系保全のための活動等との連携を図ることにより、効率的な事業の展開に努める。
3.放流後の資源管理

 放流した種苗は、より商品価値の高いサイズに成長させてから漁獲することと併せ、種苗の一部が親となり再生産に寄与していくことが重要であることから、小型魚の再放流や目合い制限、産卵期における禁漁期間の設定等の資源管理を、天然資源を含め一体的に推進する。
4.その他

 種苗の放流及び育成にあたっては、漁業の操業、公共事業の計画及びその実施、船舶の航行等について十分尊重し配慮する。

第2 種苗の生産及び放流又はその育成を推進することが適当な水産動物の種類は、次のとおりとする。
 ヒラメ、キジハタ、アカガイ

第3 水産動物の種類ごとの種苗の放流数量の目標
令和3年度における種類ごとの種苗放流数量及び放流時の大きさの目標は、次のとおりとする。

魚種名放流数量放流時の大きさ
ヒラメ100 千尾全長   80mm
キジハタ100 千尾全長  80〜100mm
アカガイ100 千個殻長   30mm

 なお、令和3年度における種苗生産数量の目標は、次のとおりとする。

魚種名生産数量生産時の大きさ
ヒラメ
マコガレイ
キジハタ200 千尾全長   25mm
アカガイ


第4 放流効果実証事業に関する事項
 放流調査等により増殖効果が明らかになり、かつ種苗の大量生産・放流が可能な水産動物を対象として当該事業を早期に実現できるよう努める。

第5 特定水産動物育成事業に関する事項
 前項の放流効果実証事業により放流の経済効果が実証された水産動物を対象として当該事業を早期に実現できるよう努める。

第6 水産動物の種苗の生産及び放流並びに水産動物の育成に関する技術の開発に関する事項
1.種苗生産の技術水準の目標
本府が実施する種苗生産の令和3年度までに達成すべき技術水準の目標は、次のとおりとする。

魚種名単位あたりの生産数量種苗の平均の大きさ種苗生産回数
ヒラメ5,000 尾/m2全長   20mm1回/年
キジハタ1,000 尾/m3全長   25mm1回/年

2.種苗の生産及び放流の技術開発
種苗の生産及び放流について令和3年度までに基礎的な技術開発が必要な対象種は次のとおりとする。
 トラフグ
 
3.技術開発上の問題点
令和3年度までに解決すべき技術開発上の問題点は、次のとおりである。
(1)ヒラメ
  ア.中間育成経費の削減(効率化等)
  イ.疾病防除(細菌性疾病等)
(2)キジハタ
  ア.安定生産技術の確立
  イ.疾病防除(ウィルス性疾病等)
  ウ.形態異常の防除
  エ.適正放流サイズの検討
 
4.技術開発水準の到達すべき段階

魚種名

平成26年度における
平均的技術開発段階

令和3年度における
平均的技術開発段階

ヒラメ
キジハタ

(注)上記の符号は、技術開発の段階を次のとおりの分類で表したものである。
A:種苗生産の基礎技術開発を行う。
B:種苗生産の可能な種について、種苗の量産技術の開発を行う。
C:種苗の量産技術の改良を行うとともに、放流による効果を得る上で、最も適した時期、場所、サイズ、手法の検討を行う。
D:対象種の資源量、加入量を把握し、資源に応じた放流数量を検討するとともに、受益の範囲と程度を把握する。
E:種苗の生産・放流体制を整備した上で、放流による効果を実証し、経費の低減を図るとともに、効果に応じた経費の負担配分を検討する。
F:持続的な栽培漁業が成立する。


第7 水産動物の放流後の育成・分布及び採捕に係る調査に関する事項
 放流後の育成、分布及び採捕並びに漁獲量の状況を把握するために必要な調査については、地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所水産技術センター等栽培漁業に関係する機関と連携して行う。
 調査の実施にあたっては、漁業関係者との共同のモニタリング体制の確立に努めるとともに、農林水産省近畿農政局大阪地域センター、市場及び遊漁者等の協力を必要に応じて求める。
 また、広域回遊する魚種については、関係府県が共同して調査を行う等放流効果等に関するモニタリング体制の確立に努める。

第8 その他水産動物の種苗の生産及び放流、並びに水産動物の育成に関し必要な事項

  1. 栽培漁業の計画的かつ効率的な推進及び関係者間における合意形成等を図るため、学識経験のある者、漁業者を代表する者、市町長、大阪府職員を構成員とする大阪府栽培漁業推進協議会を開催する。
  2. 種苗の生産等栽培漁業の振興に関し、公益財団法人大阪府漁業振興基金と密接な連携を保ちつつ、その効果的な推進に努めるものとする。
  3. 種苗の生産及び放流並びに水産動物の育成にあたっては、国立研究開発法人水産研究・教育機構及び公益社団法人全国豊かな海づくり推進協会等と連携するとともに、関係都道府県との相互協力を推進する。
  4. 本計画を円滑に実施するため、漁業者、遊漁者等に対し、小型魚の再放流等について積極的に啓発を行うものとする。
  5. 期待した効果が得られない魚種については、種苗放流を中断し、当該魚種の種苗の生産及び放流並びに育成に係る計画の再検討を行う。
  6. 効率的・効果的な栽培漁業を展開するために、他の府県との共同放流や市町村、漁業協同組合単位での放流事業に対して積極的に協力するとともに、学校教育や生涯学習等における体験活動を通じ、府民意識の啓発に努める。啓発に当たっては、啓発効果の向上に向け、報道機関等への積極的な情報提供を行う。
  7. 種苗生産施設等の生産能力を確保するため、施設の計画的な補修、更新等に努める。その際、必要に応じて関係都道府県の種苗生産施設間での連携・分業等により、低コスト化と総合的な量産体制の向上が可能となる共同種苗生産体制の構築に努めることとする。 

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このページの作成所属
環境農林水産部 水産課 企画・豊かな海づくり推進グループ

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