(第2回)いまさら聞けない!浜の魅力の伝え方研修(SNSの活用による情報発信入門)

更新日:2020年3月19日

 漁業関係者自らがSNSで積極的に情報発信をすることで、漁業協同組合が運営する朝市・青空市場やイベントにおける集客力の増加が期待できます。今回の研修では、情報発信の基礎知識や他都道府県での成功例等について、大阪府6次産業化プランナーの加藤雅彦先生にお話していただきました。

開催概要

目的   漁業協同組合が運営する朝市・青空市場やイベントにおける集客力の増加に向け、漁業協同組合自身が効果的な情報発信を行うことにつなげる。
     
日時   加藤講師令和2年1月29日(水曜日) 17時から19時まで
場所   大阪府漁業協同組合連合会(岸和田市地蔵浜町11−1)
講師   大阪府6次産業化プランナー/フラットフィールド株式会社代表取締役
        加藤 雅彦 氏
  
内容   ・SNSで情報発信するにあたってのターゲットの絞り方
      ・各漁協の強み(USP)の見つけ方
      ・他府県漁協の情報発信による成功事例
      ・SNSの基礎知識について
  
対象   漁業者・職員等で広報・PR実務に携わる方、関心のある方      
主催   大阪府(水産課・流通対策室)
運営   地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所
※6次産業化に取り組む人材育成研修の一環として実施しました。

参加者  受講者 漁業関係者9名 関係職員10名
       講師   加藤講師
       (合計20名)

(画像:加藤講師)

内容

 研修で意図したことや教えていただいたことの一部を紹介します。

何を伝えればよいのか

  • 浜(漁業関係者)ではごく当たり前のことこそが消費者が知りたいこと。例えば、しらすによくタツノオトシゴの子どもが混じっていることを知らない人がほとんどである。」
  • 「漁業者がすごくよいことをやっていても、消費者の方に知られていないと単なる自己満足に終わってしまう。お客様に話が届きやすいように情報発信していくことが大事。」
  • 「単にその場で売るだけでなく、魅力を伝え、リピーターになってもらうことが重要。
  • 「仲買業者とのやりとりが電話とFAXだけの場合、情報がサイズ・数量・価格のみとなり、価格決定権を失った結果、相場も上がらない。『こう見せたらもっと儲かりますよ』、『大阪湾でこう育っているからおいしい』、『こうしたらおいしい』、『大阪のためにやりませんか』といった相手に対するお得な情報を併せて提供することが付加価値となる。これがないとなかなか売れていかない。」
  • 「SNSによる情報発信は、慣れれば誰でもできること。LINEやTwitterなどツールによりユーザー層や特徴がそれぞれ異なるので、これを踏まえて選んでほしい。他県ではLINEを用いて注文を受け付け宅配便で送るビジネスモデルが成功している。」
  • その他、現場での体験や他都道府県での成功事例など、情報発信について考えるきっかけとなるお話をたくさんいただきました。

自分達の魅力とは

  • USP(ユニークセリングプロポジション)とは、ここだけは他所にない自分たちの強みのこと。USPを見つけることが重要。例えば東京の豊洲市場では仲買業者間で取り合いになるくらいの人気がある大阪府産マイワシについては、大阪湾は大きな河川が多くプランクトンが豊富であるため丸々と脂が乗っていること、『金太郎鰯』や『金時鰯』と呼ばれ東京では一流の寿司店等でこぞって使われていること等がUSPとなる。」
  • 「商品によって重宝される地域が変わりその値打ちも異なる。例えば『だんじり祭り時のワタリガニ』や『天神祭・祇園祭時のハモ』など。これらの情報も発信がなければ相手には永遠に伝わらない。売れない売れないと言っているだけでは売れない。情報発信し、様々な人間関係を構築することで思いもよらない市場が広がることにつながっていく。」
  • 「大阪府内だけに情報発信するのではなく、外部へも積極的に発信していくこと。」
  • 自分たちの強みを探し、様々な人間関係を構築していくことなど、ビジネスに繋げるためには戦略的に情報発信をすることが重要であることを学びました。

ターゲットの絞り込み

  • 自分達にとって理想的なお客様とはどういう人かを言葉にしてみて、そういうお客さんを探していけばよい。例えば、鮮魚という規格が揃わない商品であれば量が少なくても品物の価値を分かってくれる人、朝市やマルシェであればごく近所に住む個人の方々にターゲットを絞る。その次にそこに伝える方法を考えていく。」
  • 「SNS広告は、広告を表示する相手をカテゴリーや地区で絞り込んでいくことができる。はまるカテゴリがあれば効率よく発信できる。LINE@などでは友達登録画面を見せたら記念品を差し上げるといったサービスもできる。」 
  • 「FAXや電話も必要であるが、具体的でリアルな情報は画像や動画の方がより伝わる。この面でSNSは非常に便利で拡散効果が期待できる。」
  • 「検索されやすくするためには、インターネットの特性を知ることが大事。SEO(Search Engine Optimization,検索エンジン最適化)とは、検索回数が多いと検索ページに表示される場所が上位になること。情報発信をしても見つけてもらえなければビジネスにはつながらない。そのために検索ワードを決めて数多く投稿することがSEO対策となる。多人数で検索ワードを決めて発信すると効果的。
  • 講義の様子「検索回数を上げるには、『自分ならどう感じるか?』と考えてほしい。公告ばかりの案内メールやラインでは買わされるという警戒心で見てもくれなくなる。反対に面白そうと思える情報は拡散される。自分たちの当たり前が、実は面白く興味深いことかもしれない。
  • 「「いいね!」の数よりもターゲットに興味を持ってもらう、または問合せや取材依頼が来ることが重要。また、船上でのライフジャケットの未着用や海洋投棄ととられかねない状況、悪口などの発信は悪い意味でバズる可能性があることを踏まえ、気を付けて情報発信をすること。」
  • 「よい情報でバズったときは、次の情報につなげること。興味をそそる情報とは、珍しい現象や魚種、漁師町ならではの食べ方、ユニークな人等。
  • 「情報発信を続けると、多くの問合せが入り自分たちの魚が高く売れるようになる、取材依頼が入り自分たちのよさをアピールできるようになる、直販の注文や店舗で売れるようになり注文が増え取引価格が上がる等、価格決定権が手に入る。
  • 情報発信する相手を絞り込むことで、効率的な発信ができることに加え、SNS広告の仕組みやインターネットの特性を知ることで、すぐにでも使える情報発信法や考えられる効果を学ぶことができました。

    (画像:講義の様子) 

質疑応答

質疑応答の様子Q:SEO対策について、多くの人に見てもらうには何をするのがよいか。
A:相手が面白いと思うことを発信すること。メディアの取材ではよく「船に乗せてください」と言われる。漁師さんは迷惑かもしれないが、中々撮れない映像が撮れ、視聴率が上がる。それだけ船上の映像は皆興味があるということ。底びき網の漁業者が今日こんな魚が揚がったという発信を毎日続けるだけでも面白い。検索ページでの順番を上げるには、一旦ブログとして上げてからSNSで発信するのが効果的である。

Q:SNSでの発信について、様々な主体が発信する情報をつなげていくにはどうすればよいか。
A:共通のキーワードを決め、#(ハッシュタグ)を付けて大人数で発信していくと、そのキーワードに情報が紐づくようになる。

(画像:質疑応答の様子)

参加者の感想

 受講者からは、以下のような意見が寄せられました。

  • 受講者とのやりとりSNSで鮮魚や加工品を紹介していきたい。商品・漁業のPRに取り組んでいきたい。
  • 各地の事例を参考にしていろいろなパターンを考えてみたい。 
  • 今までなんとなく発信していたがターゲットを決めたい。
  • SNS広告など、すぐ取り組めそうな情報を教えていただけた。大変興味深かった。
  • 消費者に届ける商品として「逸品」にするにはどうすれば良いかが課題です。
  • SNSを使ったらいいのが分かったが、どう使うかが分からない。


     (画像:受講者とのやりとり)

関連ホームページ

このページの作成所属
環境農林水産部 水産課 企画・豊かな海づくり推進グループ

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