13 就業規則(平成21年3月作成)


1 就業規則の作成・届出について

  使用者は多数の労働者を雇用し、労働者は使用者の管理(労務管理)のもとで働くが、使用者が労働者の労働条件を画一、公平に処理し、企業秩序を維持するためには何らかのルールを決め、それに基づいて労務管理を行う必要が生じる。このような目的で作成される、労働者が職場で守るべき規律や労働条件について定めたルールが「就業規則」である。労働基準法では、正社員、パートタイム労働者、アルバイト等を含めたすべての労働者の数が常時10人以上である事業場の使用者(派遣労働者の場合は派遣元事業主)に就業規則の作成と所轄の労働基準監督署への届出を義務づけており、その内容には、必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項と、使用者が定める場合に記載しなければならない相対的必要記載事項がある【労働基準法第89条】

□ 絶対的必要記載事項(必ず記載しなければならない項目)

(1) 始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇(年次有給休暇など)、交替制勤務の交替要領に関すること。
(2) 賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り日・支払いの時期、昇給(臨時の賃金などを除く)に関すること。
(3) 退職に関すること(解雇・定年制など)。なお、退職に関することとして、「解雇の事由」を必ず記載しなければならない

□ 相対的必要記載事項(使用者が定める場合に記載しなければならない項目)

(1) 退職手当の適用される労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払いの方法、支払いの時期に関すること。
(2) 臨時の賃金(賞与など、退職手当を除く)等及び最低賃金額に関すること。
(3) 食費、作業用品その他の労働者の負担に関すること。
(4) 安全及び衛生に関すること。
(5) 職業訓練に関すること。
(6) 災害補償及び業務外の傷病扶助に関すること。
(7) 表彰及び制裁の種類、程度に関すること。
(8) その他事業場のすべての労働者に適用される定めに関すること。

◇ パートタイム労働者と就業規則について
 改正パートタイム労働法では、パートタイム労働者に対する労働条件の明示を義務づけており、正社員とパートタイム労働者等の就業規則は別個に作成することが望ましい。
 正社員の就業規則がパートタイム労働者等に適用されるかについては、「同一事業場内の一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成した場合は、就業規則の本則において当該別個の就業規則の適用の対象となる労働者に係る適用除外規定または委任規定を設けることが望ましい【昭63.3.14 基発150号】」とされている。
 したがって、パートタイム労働者等に適用する就業規則が存在しなければ、就業規則作成義務違反となり、適用する就業規則がない場合には、正社員の就業規則が適用されるという解釈も生じる。このため、賞与、退職金といった事項について、パートタイム労働者等には適用しない旨を労働契約等で特約をしても、就業規則中にパートタイム労働者等を除外する旨の規定がなければ、その特約は無効となることが考えられる。

2 就業規則の作成・変更時の意見聴取について

 就業規則は現実に労働者を強く拘束する。このため、労働基準法では、就業規則の作成・変更にあたり、使用者に従業員(労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合[※1]、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者[※2])からの意見聴取を義務づけており【労働基準法第90条第1項】、これに違反すれば、当該使用者は罰則の適用を受ける【労働基準法第120条第1項】。ただし、使用者は労働者側から意見を聴けば良いとされているため、その意見のすべてを必ず取り入れる必要はない。

[※1]事業所に労働者の過半数で組織する労働組合があれば、その労働組合から意見聴取を行えばよいが、同一事業所に2つの労働組合が並存し、両者の組合員を合算すれば全労働者の過半数を占めるような場合には、2つの労働組合から意見を聴取する必要がある。

[※2]「労働者の過半数を代表する者」とは、次のいずれにも該当する者【労働基準法施行規則第6条の2第1項】でなければならない。
(1) 監督・管理の地位にある者でないこと。
(2) 労使協定の締結等を行う者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。

 また、使用者は、労働者が過半数代表者であること、過半数代表者となろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない【労働基準法施行規則第6条の2第3項】

3 就業規則の周知義務と方法について

 労働基準法では、労働者に対する就業規則の周知を義務づけており【労働基準法第106条第1項】、これに違反した使用者は罰則の適用を受ける【労働基準法第120条第1号】
 周知については、次のいずれかの方法によって行うこととし【労働基準法施行規則第52条の2】、労働者が就業規則の開示を求めた場合、使用者はこれを拒否することはできない。

(1) 常時各作業所の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること。
(2) 書面を労働者に交付すること。
(3) 磁気テープ、磁気ディスク等に記録し、かつ、各作業所に労働者がその記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

 また、労働者と使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に「周知させていた」場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとすると規定されている【労働契約法第7条】。「周知させていた」とは、上記(1)から(3)等の方法により労働者が知ろうと思えばいつでも就業規則の存在や内容を知りうるようにしておくこととされ、このような場合には、労働者が実際に就業規則の存在や内容を知っているか否かにかかわらず労働契約法第7条に該当するとされている。

4 法の要件を満たしていない就業規則の効力について

 就業規則の法の要件として、従業員からの意見聴取義務【労働基準法第90条第1項】や労働基準監督署への届出義務【労働基準法第89条】があるが、それらは行政上の取締規定にすぎず、就業規則そのものの効力には関係しないとする考え方が有力である。
 しかし、周知義務【労働基準法第106条第1項】については、最高裁が「就業規則が拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続がとられていることを要する。」と判示し、周知義務を果たしていない就業規則の効力を否定している【フジ興産事件 最二小判 平15.10.10】

5 法等を下回る就業規則の内容の効力について

 就業規則は、法令及び当該事業場に適用される労働協約に反してはならず、いずれかに反する就業規則は、その部分について無効となるとされている【労働基準法第92条第1項、労働契約法第13条】
 また、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約はその部分については無効とし、無効となった部分は就業規則で定める基準による【労働契約法第12条】

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談グループ

ここまで本文です。