今月の事例解説(H31.2)

更新日:平成31年3月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 労働者から労働組合の結成・加入についての相談

 職場環境について悩むことがあり、同じ悩みを持つ同僚と、労働組合というものに加入したいと思いましたが、職場にはありませんでした。自分たちで、職場の中で作るしかないのでしょうか。
  

 労働組合は、労働組合法第2条に、「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。」と規定されています。

 ここでいう「自主性」とは、対使用者との関係で真に対等でなければならないということで、会社の役員などの「使用者の利益代表者」を組合に入れたり、使用者から経費の援助(労働組合法第2条但書第2号が許容する範囲を越えるもの)を受けたりする組合はその自主性を疑われることとなります。政治運動や社会運動、福利事業のみを主たる目的とする団体は労働組合とは認められません。

 また、使用者の団体交渉拒否など不当労働行為にかかる労働委員会での労働組合法上の救済を受けようとするときや法人登記をするとき等は、労働委員会の資格審査が必要となります【労働組合法第5条第1項】。この資格を得るためには、労働組合法第5条が定めるとおり、労働組合の規約が、「大会は少なくとも年一回開催する」などの労働組合の民主的な運営に必要な内容を備えていることが必要です【労働組合法第5条第2項】。

 このような「自主性」と「民主性」は労働組合の両輪のようなものですので、結成・運営に際しては、これらの要件を具備することが望まれます。

 以上の要件をふまえ、労働者が2名以上集まり、組合規約、活動方針等を定めれば自由に労働組合を結成することができます。官公庁への届出や使用者の承認は不要です。
  また、一般的な組合結成までの流れは以下のとおりです。
 ア 準備段階(組合規約・活動方針案の作成、要求の取りまとめ、結成大会の準備等)
 イ 結成(結成大会・組合規約・活動方針・要求書・役員について決定)
 ウ 活動(使用者への結成通知、要求書の提出、団体交渉)
一方、職場内において労働組合を結成することが困難な場合は、合同労組に加入するという方法
もあります。合同労組は、ユニオン、地域労組などとも呼ばれていて、一人でも加入することができる労働組合です。
 以上のことを参考にされ、同僚の方と職場の中で新たに労働組合を結成するか、合同労組に加入するか、検討されてはどうでしょうか。

  以下の当所発行の啓発冊子もご参照ください。
 〇「あすへの対話」 −労働組合の結成と運営―
 http://www.pref.osaka.lg.jp/sogorodo/keihatusahi-refureto/asuhenotaiwa.html

Q2 労働組合員から、労働組合への経費援助についての相談

 社内で労働組合を結成し、はじめて団体交渉を申し入れました。使用者は、「団体交渉には応じる」とのことですが、その時間の賃金に関して、「勤務時間中については、無給とするのが当然だ。」と述べました。そうなのでしょうか。法律で決まっていたりするのでしょうか。

 労働組合法では、労働組合の要件として「団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けないこと」が挙げられていますが、「労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではない」と規定されています【労働組合法第2条但書第2号】。すなわち、労働組合の自主性を損なわず、使用者の経費援助に該当しない便宜供与として、「労働時間中の団体交渉・労使協議の有給保障」が挙げられているということです。

 また、「使用者と協議し、又は交渉すること」とは、団体交渉、労使協議機関における協議、苦情処理のための協議等をいいます。 

  なお、このような事項は、労働協約ではっきり規定しておくことが望ましいと考えられています。

 本件については、会社に対し、上記労働組合法の規定を説明し、労働時間中の団体交渉の有給保障について、再度話し合われてはどうでしょうか。

Q3 使用者から、就業規則及び所定労働時間の改正についての相談

 10年以上前に就業規則を作成し、そのまま使用してきました。この度、必要があれば内容を見直そうかと考えています。就業規則では、どのようなことを記載しないといけないのかが判る一定の様式のようなものはあるのでしょうか。

 また、現在1日の所定労働時間は8時間となっていますが、忙しい時期には残業が続くので、9時間に変更してはどうかという声も出ています。就業規則でそのように定めることは可能なのでしょうか。
 

  労働基準法では、正社員、パートタイム労働者、アルバイト等を含めたすべての労働者の数が常時10人以上である事業場の使用者に就業規則の作成と労働者からの意見書を添えて管轄の労働基準監督署長へ届け出ることを義務づけており、変更の場合も同様とされています【労働基準法第89条、90条】。

 また、就業規則の内容には、必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項と、使用者が定める場合に記載しなければならない相対的必要記載事項があります【労働基準法第89条】。

 絶対的必要記載事項としては、「ア 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項、イ 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項、ウ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)」が定められています。

 相対的必要記載事項としては、「ア 退職手当に関する事項、イ 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額に関する事項、ウ 食費、作業用品その他の労働者の負担に関する事項、エ 安全及び衛生に関する事項、オ 職業訓練に関する事項、カ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項、 キ 表彰及び制裁の種類、程度に関する事項、ク その他事業場のすべての労働者に適用される定めに関する事項」が定められています。


 なお、厚生労働省からは、具体的な就業規則の内容として「モデル就業規則」が提示されています。

 一方、使用者が労働者を労働させることができる時間については、法定労働時間として法律で決められています。原則として、休憩時間を除き1日8時間・1週40時間を超えてはなりません【労働基準法第32条】。事業所の就業規則や労働者と使用者との労働契約で定められた労働時間を所定労働時間といい、法定労働時間を超えることはできません。

 ただし、法定労働時間の例外として、常時10人未満の労働者を使用する映画演劇業(映画の製作の事業を除く。)、保健衛生業、接客娯楽業等を営む事業所は、特例事業場として法定労働時間は1日8時間・1週44時間まで認められます【労働基準法施行規則第25条の2】。

 また、時期によって業務の繁閑があるのであれば、1か月を超え1年以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に応じ労働時間を配分することを認める制度として「1年単位の変形労働時間制」【労働基準法第32条の4】を採用することも考えられます。
 
 なお、2018年6月に成立した「働き方改革を推進するための関連法律の整備に関する法律」により労働基準法が一部改正されます。
 
 以上のことから、まずは就業規則に絶対的記載事項及び相対的記載事項が記載されているかを確認され、「モデル就業規則」を参考にされ、働き方改革の実現について留意しながら、見直しを検討されてはどうでしょうか。
 労働時間については、法定労働時間の例外に当たるかどうかを確認された後、1年単位の変形労働時間制の導入について等、労使で検討されてはどうでしょうか。
 就業規則の変更を行う場合は、労働基準法第90条で定められた手続きを採ってください。
 
 以下の厚生労働省のホームページもご参照ください。
 
 〇「モデル就業規則」については厚生労働省ホームページをご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html
 
 〇 1年単位の変形労働時間制については、厚生労働省ホームページを参照ください。
  http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-6a.pdf
  
 〇「働き方改革の実現に向けて」
   https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
    

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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