今月の事例解説(H31.1)

更新日:令和2年4月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 母親から、娘の有給休暇、休日出勤及び残業についての相談

 今朝、娘が勤務先に「風邪で体調不良なので、有給休暇を取って休みたい。」と連絡したところ、上司から「休まれると困る。風邪ぐらいで休むな。」と言われ、結局出勤しました。このように有給休暇をなかなか取らせてもらえません。休日出勤も多いようです。また、毎日2時間程度残業をしていますが、残業代が支払われていません。娘の身体も心も限界に来ていますが、どうしたらいいでしょうか。
  

 有給休暇の付与については、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、また、今日、ゆとりある生活の実現にも資するという位置づけから、休日のほかに毎年一定日数の有給休暇を与えることが労働基準法に規定されています【労働基準法第39条】。休暇の取得時季については労働者に選択権を与え、原則として労働者の請求する時季に与えるべきこととされています。使用者には時季変更権があり、労働者の指定した時季が事業の正常な運営を妨げる場合、取得日を他の時季に変更することができます【労働基準法第39条第5項】。この「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、当該労働者の有給休暇取得日の労働がその者の担当業務を含む相当な単位の業務(課、係の業務など)の運営にとって不可欠であり、かつ代替要員の確保が困難であることが必要であるとされています。

 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をすることとされており【労働契約法第5条】、快適な職場環境をつくるとともに、労働条件を改善して労働者の健康と安全を確保しなければなりません【労働安全衛生法第3条】。

 また、休日についていえば、使用者は、毎週少なくとも1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません【労働基準法第35条】。

 残業については、労働基準法は、法定労働時間について、原則として休憩時間を除き1日8時間、1週40時間を超えてはならないと定めています【労働基準法第32条】。使用者は、法定労働時間を超えて時間外労働をさせた場合及び深夜(原則として午後10時から午前5時まで)に労働させた場合にはそれぞれ2割5分以上、法定休日に労働させた場合には3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません【労働基準法第37条】。また、労使間で労働基準法第36条に基づく時間外労働・休日労働に関する協定(36(サブロク)協定)を結ぶことも必要です【労働基準法第36条】。

 なお、2018年6月に成立した「働き方改革を推進するための関連法律の整備に関する法律」による労働基準法の一部改正で、使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えることが義務付けられました【改正労働基準法第39条】(2019年4月1日施行)。

 以上のことを参考にされながら、使用者に対し、改めて、有給休暇の取得や具体的な未払残業代の支払いを求めてはどうでしょうか。

 また、請求しても、使用者が有給休暇の取得を認めない場合や残業代を支払わない場合等、労働基準法に違反する対応であれば、労働基準監督署に申告して行政指導を求めてはどうでしょうか。

 本人が使用者に申し入れても話合いが行われない場合や、聞き入れてもらえない場合などは、労働組合を通じて団体交渉を行う、大阪府総合労働事務所等で行っている個別労使紛争解決支援制度を活用するなどの方策も考えてはどうでしょうか。
 
 以下のホームページもご参照ください。
  ○厚生労働省「働き方改革の実現に向けて(外部サイト)

Q2 正社員から、36協定に関する残業時間の上限についての相談

 勤務している会社では、恒常的に残業があります。36協定は締結されています。このたび法律が改正され、残業に上限ができ、それを超えると罰則があると聞きましたが、そうなのですか。

 使用者は、法定労働時間(1日8時間、原則週40時間)を超えて労働させることはできませんが、法定労働時間を超えて労働させる場合には、労使間で労働基準法第36条に基づく時間外労働・休日労働に関する協定(36(サブロク)協定)を結び、労働基準監督署長に届け出なければなりません【労働基準法第36条】。36協定により延長できる時間は、原則として週15時間以内、月45時間以内と「労働基準法第36条第1項の協定で定める時間の延長の限度等に関する基準」で定められています。この基準を超えて働かせることは、臨時的に特別な事情がある場合に限られており、かつ、労使で「特別条項付き36協定」を結ばなければなりません。

 2018年6月の「働き方改革関連法」の成立に伴う労働基準法の改正により、36協定で定める時間外労働に罰則付きの上限が設けられることになりました(2019年4月1日施行。ただし中小企業への適用は2020年4月)。

 時間外労働の上限は、月45時間、年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。また、月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。

 以上のことを踏まえ、今後、会社における36協定の内容や残業の実態について把握され、疑問があれば、使用者と話し合われては、どうでしょうか。
 
 以下のホームページもご参照ください。
 ○厚生労働省「36(サブロク)協定に関する法改正について(外部サイト)


Q3 使用者から、36協定の締結における労働者の過半数代表者についての相談

 中小企業の事業主です。これまでは、従業員に法定労働時間内で勤務してもらうことで、仕事がまわってきました。しかし、最近受注が多くなり、残業する必要性がでてきたので、三六協定を締結しないといけないと思っています。当社には労働組合がありません。このような場合、労働者の過半数代表者と労使協定を締結することとなりますが、過半数代表者はどのように選出すればいいのでしょうか。
 

  36協定の締結について、使用者は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者と書面による協定を行うこととなります【労働基準法第36条第1項】。

 過半数代表者は、(1)労働基準法第41条第2項に定める管理監督者でないこと、及び(2)法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であることの両方に該当する者でなければなりません【労働基準法施行規則第6条の2第1項】。

 また、同規定における「挙手等」の「等」には、労働者の話合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きが該当するとされています【平成11年3月31日基発169号】。

 なお、使用者は、労働者が過半数代表者であること、過半数代表者になろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないと定められています【労働基準法施行規則第6条の2第3項】。

 以上を踏まえ、過半数代表者の選出方法について、検討してはいかがでしょうか。
  
 2019年4月1日から三六協定の届出様式も改正となりますので、以下のホームページでご確認ください。
 
○厚生労働省「スタートアップ労働条件 作成支援ツール(36協定届、1年単位の変形労働時間制に関する書面)について(外部サイト)
   

 

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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