今月の事例解説(H30.11)

更新日:平成30年12月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 就職先の決まった学生から時間外労働についての相談

 大学4年生の学生です。内定をもらった会社から、「繁忙期のみ60時間の時間外労働がある」と言われたのですが、まだ働いたことがないので不安です。時間外労働について法的な考え方を教えてください。
  

 使用者が労働者を労働させることができる時間は法律で定められています(法定労働時間)。原則として、休憩時間を除き1日8時間、週40時間を超えてはいけません【労働基準法第32条】。事業所の就業規則や労働者と使用者の労働契約で定められた労働時間を所定労働時間といい、法定労働時間を超えることはできません。所定労働時間を超えて働くことを「時間外労働」といい、労働義務のない休日に出勤して労働を行うことを「休日労働」、午後10時から午前5時までの間に行う労働を「深夜労働」といいます。

 また、使用者は法定労働時間を超えて労働させることはできませんが、法定労働時間を超えて労働させる場合には、労使間で労働基準法第36条に基づく時間外労働・休日労働に関する協定(通称「36(サブロク)協定」)を結び、労働基準監督署長に届出なければなりません。

 36協定により延長できる労働時間は、原則として週15時間以内、月45時間以内と「労働基準法第36条第1項の協定で定める時間の延長の限度等に関する基準」で決められています。この基準を超えて働かせることは、臨時的に特別な事情がある場合に限られており、かつ、労使で「特別条項付き36協定」を結ばなければなりません。

 なお、法定労働時間を超えた労働(時間外労働)をさせた場合、使用者は割増賃金を支払わなければなりません。割増率は、(ア)1か月45時間までは25%以上、(イ)1か月45時間を超え60時間までは25%を超える率とするように労使で努力、(ウ)1か月60時間を超える場合は50%以上(引上げ分(25%)の割増賃金の支払いに代えて有給休暇の付与ができます。)とされています。ただし、中小企業は(ウ)の割増率の引上げは猶予されています【労働基準法第37条、第138条】。
   
 平成30年6月に成立した「働き方改革を推進するための関連法律の整備に関する法律」による労働基準法の一部改正で、残業時間の上限規制と割増賃金率の引上げが定められました(平成31年4月1日施行)。

 改正労働基準法によると、残業時間の上限について月45時間・年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定しなければなりません。上限規制には適用を猶予・除外する事業・業務があります。中小企業には2020年4月1日から適用されます。

 また、月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率50%以上(上記(ウ))については、2023年4月1日から、中小企業への猶予措置が廃止されます。

 なお、季節等により業務の繁閑の差がある事業等については、「1年単位の変形労働時間制」【労働基準法第32条の4】等が採られている場合があります。これは、1か月を超え1年以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に応じた労働時間を配分することを認める制度です。

 以上のことを参考にされながら、不安な点は会社に確認されてはどうでしょうか。
 
 以下のホームページもご参照ください。
  ○厚生労働省HP「働き方改革」の実現に向けて
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
 
  ○厚生労働省HP「変形労働時間制の概要」
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/henkei.html

Q2 パートタイム労働者から有給休暇についての相談

 今年の5月はじめからパートとして働いています。当初は勤務日数が週2日でしたが、9月からは週3日になりました。11月からは有給休暇が取得できるようなのですが、何日取得できるのでしょうか。
 

 年次有給休暇は雇い入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全所定労働日の8割以上出勤した労働者に対して、使用者は事業所の規模にかかわらず付与しなければなりません。付与日数は勤続年数に応じて加算され、パートタイム労働者のような非正規労働者であっても、週所定労働日数等に応じて有給休暇が付与されます【労働基準法第39条第1項、同第2項、同第3項】。

 年次有給休暇は、労働者が希望する日に休みを取ることができる制度ですが、休暇を取得することによって事業の正常な運営が妨げられると認められるときには、使用者は、時季変更権を行使し、労働者の休暇を取得する時季を変更することができます【労働基準法第39条第5項】。

 また、付与日数は、年次有給休暇が付与される基準日における所定労働日数に応じて決まり、基準日に達した時点で付与されます【昭和63.3.14基発150号】。

 なお、付与された年次有給休暇の時効は2年間です【労働基準法第115条】。
  
 ご相談の場合では、勤務開始後、所定労働日が変更になったものの、勤務開始後6か月が経過した時点では、週所定労働日数が3日であるため、3日に対応する5日間の有給休暇が付与されることになります。

 有給休暇について、法律で定められている最低基準についての詳細は労働基準監督署に、会社において最低基準以上の取扱いがある場合には、就業規則を確認されるか会社に尋ねられてはどうでしょうか。

(参考)
(1) 週所定労働日数が5日以上または週所定労働時間が30時間以上の労働者

勤続勤務年数

0.5

1.5

2.5

3.5

4.5

5.5

6.5以上

付与日数

10

11

12

14

16

18

20


(2)  週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者

 

週 所 定

労働日数

1年間の所定

労働日数 ※

勤 続 年 数 と 付 与 日 数

 

0.5

1.5

2.5

3.5

4.5

5.5

6.5以上

4日

169から216日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日

121から168日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日

73から120日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日

48から72日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

   ※週以外の期間によって労働日数が定められている場合
                       【労働基準法第39条第2項、労働基準法施行規則第24の3】

Q3 使用者から育児休業から復帰する労働者についての相談

 事業規模10人以下の会社を経営しています。会社で初めて育児休業を取得していた労働者が、このたび育児休業から復帰する予定なのですが、今後も労働者に無理なく働き続けてもらうために、いろいろな法律や制度について知っておきたいと思います。教えてください。
 

  育児休業復帰後の労働者への支援制度としては、
(1)生後1歳まで
 ア.育児時間
 女性労働者が請求した場合、その生児の育児のための時間として休憩時間とは別に1日2回、少なくとも30分取得できるものです【労働基準法第67条】。
 育児時間は1日分をまとめて1回で取る、午前・午後に分けて取る等の取得方法は労働者が決めることが出来ます。また、子には養子も含まれます。

(2)子の年齢が3歳まで
ア.所定外労働の免除
 子を養育する男女労働者が請求した場合、所定労働時間を超える労働が免除されます【育児・介護休業法第16条の8】。
 ただし、事業の正常な運営を妨げる場合を除きます。
イ.所定労働時間の短縮措置(短時間勤務)
 使用者は子を養育する男女労働者が希望すれば利用できる、労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするために、1日の所定労働時間を原則6時間とする短時間勤務制度を設けなければなりません【育児・介護休業法第23条】。

(3)子が小学校就学の始期に達するまで
ア.時間外労働の制限
 子を養育する男女労働者が請求した場合、時間外労働が1か月について24時間、1年150時間に制限されます。労働者はこの請求を何回でもすることができます。
 ただし、事業の正常な運営を妨げる場合を除きます【育児・介護休業法第17条】。
イ.深夜業の制限
 子を養育する男女労働者が請求した場合、午後10時から午前5時までの深夜労働が免除されます。労働者はこの請求を何回でもすることができます。
 ただし、事業の正常な運営を妨げる場合を除きます【育児・介護休業法第19条】。
ウ.子の看護休暇
 子を養育する男女労働者が申し出た場合、病気・ケガをした子の看護のために、または子の健康診断や予防接種を受けさせるために、1年に5日まで(2人以上の場合は10日まで)、半日単位で休暇を取得できます。使用者はこれを拒むことはできません。【育児・介護休業法第16条2、3】
   
 以上のことを参考にされながら、労働者の方がどのような働き方を希望するか等、話し合われてはどうでしょうか。
 育児・介護休業法について、詳しくは、大阪労働局雇用環境・均等部指導課におたずねください。
 
 ☆大阪府では、大阪労働局等と連携し、今年度から新たに11月を「ノー残業デー、ワーク・ライフ・バランス推進月間」に設定し、「ノー残業デー」の実施などの時間外労働の削減や、年次有給休暇の取得促進などを呼びかけ、ワーク・ライフ・バランス実現に向けて気運の醸成を図っています。
  
 ○大阪府HP「11月はノー残業デー、ワーク・ライフ・バランス推進月間です!」
 http://www.pref.osaka.lg.jp/annai/osirase/detail.php?recid=21135    

 

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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