今月の事例解説(H30.10)

更新日:平成30年11月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 正社員から最低賃金についての相談

 現在の大阪府の最低賃金について、教えてください。また、試用期間中は、最低賃金以上でなくてもよいという話を聞きましたが、そうなのですか。
  

 最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。たとえ労働者・使用者双方の合意の上で最低賃金より低い賃金を定めたとしても、その部分は無効となります。無効となった場合は、最低賃金額と同額の定めをしたことになります。【労働基準法第28条、最低賃金法第4条】
 平成30年10月1日から、地域別最低賃金として「大阪府最低賃金」が、「時間額936円」に改定されました。また、最低賃金には、地域別最低賃金のほか、特定の産業について設定される「特定最低賃金」がありますので、以下の記載のホームページ「大阪労働局『大阪府の最低賃金のお知らせ』」をご覧ください。
 試用期間における賃金についてですが、使用者が労働局長の許可を得たときは、試用期間中の労働者については、最低賃金額から最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省で定める率を乗じて得た額を減額した額が適用されます【最低賃金法第7条】。
 また、受け取っている賃金が、最低賃金以上となっているかどうかを確認するには、その賃金を時間額に計算し、最低賃金額と比較することになります。最低賃金との比較に当たっては、次の賃金は参入しません。
  (1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  (2)1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  (3)所定労働時間を超える時間の労働者に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  (4)所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  (5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃    金など)
  (6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当          【最低賃金法第3条及び第4条第3項】
 
 以上のことから、もし、あなたが試用期間中であり、最低賃金より低い賃金が支払われた場合には、事業主に対し、その理由や、労働局長の許可を受けているのか等を確認し、その対応によっては、労働基準監督署へ相談や申告をされてはどうでしょうか。
 
   以下のホームページもご参照ください。
 ○厚生労働省「最低賃金制度の概要」
   https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-09.htm
 ○大阪労働局「大阪府の最低賃金のお知らせ」
   https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/jirei_toukei/saitei_chingin/saitei.html
 ○厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」
   https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-13.htm
 ○労働基準監督署管轄地域と所在地一覧
   https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/list.html
 

Q2 正社員から兼業についての相談

 現在、正社員として勤務しています。休日に他の会社で兼業を行おうかと思っていますが、問題ないでしょうか。また、年次有給休暇を取得して、兼業をしても良いでしょうか。
 

 兼業自体への法的な規制はありませんが、会社の就業規則によっては、兼業を禁止している場合がありますので、労働者は、そのルールに基づき対応する必要があります。
 裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、(1)労務提供上の支障となる場合、(2)企業秘密が漏洩する可能性がある場合、(3)企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、(4)競業により企業の利益を害する場合と考えられています【マンナ運輸事件 京都地裁 平24.7.13等。厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」参照】。
 また、年次有給休暇を取得し、兼業を行うことについてですが、まず、有給休暇は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持・培養を図ることを目的として、賃金の減収を伴うことなく、所定労働日に付与されるものです。年次有給休暇の利用目的は、労働基準法の関知しないところで、休暇の利用目的が休養のためでないという理由で使用者が拒否することは、法律上認められません【労働基準法第39条】。したがって、年次有給休暇を取得し兼業を行うことが労働基準法に反するということにはなりませんが、会社の就業規則で兼業が禁じられている場合は服務規律違反に問われる可能性もあります。
 なお、厚生労働省の「モデル就業規則」(平成30年1月)では、「労働者は勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と示されていますが、労務提供上の支障や長時間労働を招くものとなっていないか等を確認するため、「事前に会社に所定の届け出を行うものとする」ということも示されています。

 以上のことから、まずは勤務先における就業規則や労働契約等を確認し、そのルールに照らして、兼業が可能かどうかを確認し、可能である場合でも業務内容や就業時間等が適切な副業・兼業を選択する必要があります。就業規則等に規定がない場合であっても、上記(1)から(4)に該当するような場合には、その副業・兼業を制限される可能性があります。副業・兼業を行うにあたっては、労働者と会社の双方が納得感を持って行えるよう、会社と十分にコミュニケーションを取ることが重要です。会社と話し合う際には、以下のホームページに掲載されている厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を参考にしてはどうでしょうか。
 
  ○厚生労働省「副業・兼業」
  https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html

Q3 使用者から有給休暇の給与額の計算方法についての相談

 新規開業して約半年が経とうとしてます。従業員から有給休暇の申請がありました。休暇日数は法定どおりで考えていますが、有給休暇取得日の賃金計算について、何か規定があるのでしょうか。
 

  年次有給休暇中の賃金について、使用者は、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、(1)平均賃金、(2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、(3)健康保険法第40条第1項で定める標準報酬月額の30分の1に相当する金額のいずれかを支払わなければなりません【労働基準法第39条第7項、労働基準法規則第25条】。
 これらの内、いずれのものを支払うかについては、労働者各人についてその都度、使用者の恣意的選択を認めるものではなく、就業規則等であらかじめ定めておかなければならず、定めた場合はそれに従って支払わなければなりません【昭27・9・20基発675号】。
 また、上記(1)及び(2)の賃金を原則とし、労働者の過半数組合又は過半数代表との労使協定を締結した場合は、例外的に(3)の賃金支払いが認められています。
 なお、上記(1)の「平均賃金」は労働基準法第12条で定める平均賃金のことであり、(2)の「通常の賃金」については、労働基準法施行規則第25条に具体的な算定方法が定められています。
 
 以上のことから、まずは会社の中でルールを検討し、就業規則等で定め、その規定どおりの方法で有給休暇中の賃金を算定し、支給するようにしてください。実際に計算したものの、不明な点等があれば、労働基準監督署にお問い合わせください。
 
  ○労働基準監督署管轄地域と所在地一覧
 https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/list.html    

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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