今月の事例解説(H30.9)

更新日:令和2年4月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 正社員からパワハラについての相談

 数か月前から部長に嫌われ始め、今まで親しくしてきた同僚らからも距離を置かれるようになりました。仕事でミスをすると、部長から「給料もらってる意味がない」などと罵声を浴びせられるようになりました。私だけ、会議にも出なくて良いと言われています。こういうことはパワハラではないかと思うのですが。精神的につらくなり、夜も眠れず、会社に行けなくなりそうです。アドバイスはないでしょうか。
 

 職場のパワハラとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」のことです。また、パワハラの行為類型には、侮辱やひどい暴言等の精神的な攻撃や、隔離・仲間外し等の人間関係からの切り離し、仕事を与えないこと等の過小な要求が含まれています【厚生労働省:職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告(平成24年1月30日)】。

 また、使用者には、労働者がその生命、身体の安全(心身の健康を含む)を確保しつつ労働できるように必要な配慮を行うことや、快適な職場環境を形成するように努めることが義務付けられています【労働契約法第5条、労働安全衛生法第71条の2】。

 本件については、まずは、あなたがパワハラと感じる行為を受けた時、その言動や行為等について、日時、場所、内容や周囲の状況などを記録し、整理することをおすすめします。その記録を元に、可能であれば部長本人に、難しければ、より使用者に近い役職者らに伝え、部長に対しあなたへの対応を改めるよう指導するなど、会社としての安全配慮義務に基づく対応を求めてはどうでしょうか。会社にハラスメント窓口があれば、その窓口に相談することもおすすめします。

 それでも会社が対応を行わない場合は、当所の個別労使紛争解決支援制度「調整」「あっせん」の活用等も検討されてはどうでしょうか。

 また、精神的につらく夜も眠れないということであれば、一度、心療内科等で受診されても良いかも知れません。当所でも、心の健康に関する「メンタルヘルス専門相談」(無料、45分間、1回限り)を実施していますので、よろしければご活用ください。
 
 以下の当所のホームページもご参照ください。
  ○ 「職場のハラスメント防止・対応ハンドブック」

  ○ 個別労使紛争解決支援制度
 
  ○ メンタルヘルス専門相談
 

Q2 契約社員から無期転換についての相談

 半年間の有期労働契約の更新が繰り返され8年になります。労働契約の無期転換を申し込むことができると聞いていますが、無期転換を申し込むことで、労働者には、どのようなメリットがあるのでしょう。教えてください。
 

 無期転換ルールとは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことで、平成25年4月1日以降に開始された有期労働契約が対象となります【労働契約法第18条】。

 有期労働契約から無期労働契約に転換することのメリットですが、労働者にとっては、雇用の安定性に欠ける有期労働契約から無期労働契約へ転換することで、安定的かつ意欲的に働くことができるとともに、長期的なキャリア形成を図ることができると考えられます。

 一方、使用者にとっては、会社の実務や事情等に精通する無期労働契約の社員を比較的容易に確保することができ、意欲と能力のある労働力を安定的に確保しやすくなります。また、社員が有期労働契約から無期労働契約に転換することで、長期的な視点に立って社員育成を実施し、長期的な人材活用戦略を立てやすくなるというメリットがあります。

 また、無期転換後の労働条件は、雇用期間以外は、基本的には直前の有期労働契約と同一となると考えられますが、会社に無期転換後の労働条件や処遇を確認する必要があります。

 以上のことを踏まえ、不安な点は会社に確認された上で、無期転換の申込みを行われてはどうでしょうか。
  
   以下のホームページもご参照ください。
  ○厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト(外部サイト)

Q3 使用者から外国人の社会保険の適用についての相談

 このたび、我が社で初めて外国人を採用することとなりました。社会保険の適用は、日本人の場合と同じであると考えてよいでしょうか。
 

  社会保険(健康保険及び厚生年金保険)については、適用事業所に常時使用される方(健康保険は75歳未満の方、厚生年金保険は70歳未満の方)は、国籍にかかわらず、原則として被保険者となります。

 パートタイマーやアルバイト等の短時間労働者の場合であっても、一定の条件を充たし、事業所と常用的使用関係にある場合は、被保険者となります。

 労働者や事業主の意思で、社会保険に加入するかどうかを決めたり、やめたりすることはできません。

 したがって、社会保険に関して、適法に就労する外国人に対しては、短時間就労者も含めて日本人と同様の取扱いをすることになります【平成4年3月31日保険発38号】。

 また、厚生年金保険の加入期間が6か月以上である外国籍の方が帰国した場合は、加入期間等に応じた脱退一時金を請求することができます。これは、本人負担分の保険料相当額を還付するための制度です。日本に住所を有しなくなった日から2年以内に、必要書類を日本年金機構に送付することになります。ただし、既に年金の受給権を取得していたり、障害手当金を受け取ったことのある場合等、請求できない場合もありますので、年金事務所にご確認ください。

 なお、日本と社会保障協定を締結している国からの外国人労働者が5年以内で日本に滞在する場合であれば、協定相手国の制度を選択することができるという制度がありますが、これは、社会保険の二重加入を防止するための制度であり、協定相手国の事業所からの派遣の場合に限られ、日本での現地採用であれば、日本の社会保険制度が適用されます。

 以上のように、日本で採用した適法に就労する外国籍の労働者であれば、社会保険の適用は、国籍にかかわらず行われますので、必要な手続きを取ってください。具体的なことは、年金事務所にお問い合わせください。

 以下のホームページもご参照ください。
  ○日本年金機構「適用事業所と被保険者(外部サイト)
 
  ○日本年金機構「短期在留外国人の脱退一時金(外部サイト)
 
  ○厚生労働省「外国人雇用 : 雇用する上でのルール(外部サイト)

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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