今月の事例解説(6月分)

更新日:平成30年7月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 正社員から会社都合による休業についての相談

 正社員で現場での業務を担当しています。これまでは、現場業務がない日でも内勤業務を手伝うため出勤していました。先日、社長から突然、「今月は現場工事がないので出勤は不要。」と告げられ、現在自宅待機中です。会社の都合で働くことができない状態ですが、今月分の給料はどうなるのでしょうか。

 「休業」とは、労働者が労働契約に従って労働の用意をなし、しかも労働の意思があるにも関わらず、その給付の実現が拒否され、又は不可能となった場合をいいます。事業の全部又は一部が停止される場合だけでなく、特定の労働者に対する就業拒否も含まれ、1日の休業のみならず1日の所定労働時間の一部の休業も含まれます。

 民法では、使用者の責による休業の場合、「債務者(労働者)は反対給付(賃金全額)を受ける権利を失わない。」【民法第536条第2項】として、使用者の責に帰すべき事由によって、労働者が労務の提供をすることができなくなった場合は、労働者は、反対給付である賃金を受ける権利、全額を請求する権利があるとされています。

 しかし、実際に全額を支払わせるには、最終的に民事訴訟によらなければならないため、労働基準法では、「使用者の責に帰すべき事由による場合」には企業の経営者として天災地変などの不可抗力を主張し得ないすべての場合を含む広い解釈を行い、労働者の生活の最低保障を図ることとし、休業手当として平均賃金の100分の60以上の支払いを事業主に義務づけています。【労働基準法第26条】。

 不可抗力とは、ア その原因が事業の外部より発生した事故であること、イ 事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしても、なお避けることのできない事故であることの2つの要件を満たさなければならないとされていますので、使用者側に起因する経営上の理由による休業は、使用者の責に帰すべき事由に当たると考えられます。

 また、休業手当は、賃金同様、所定の賃金支払日に支払わなければなりません。【昭25.4.6基収207号、昭63.3.14 基発150号】。
 
 以上のことを参考に、本件については、社長に「会社都合による休業」であることを確認し、賃金相当額又は休業手当の支払いを求められてはどうでしょうか。

Q2 パート社員から整理解雇についての相談

 期間の定めのないパート社員として店員をしています。先日、店長から「会社の業績が悪くなり、事業を縮小することになった。この店舗も閉鎖することになったので、来月には辞めてもらうことになる。」と言われました。お店が閉鎖になれば、辞めるしかないのでしょうか。近くに他の店舗もあり、契約書は社長と結んでいます。
 

 法律では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています【労働契約法第16条】。

 解雇の分類には、不況による業務の縮小、事業所の廃止、経営の合理化等により人員整理を目的として行われる「整理解雇」があります。

 整理解雇が解雇権の濫用にあたるかどうかの基準としては、次の四つの要件(又は要素)を原則として満たすことが必要とされています。
ア 経営上の必要性(整理解雇をしなければならないほどの経営上の必要性が客観的に認められること。)
イ 解雇回避の努力(整理解雇を行うまでに、希望退職者の募集、配置転換、出向など、解雇を回避するための努力が十分に尽くされている   こと。)
ウ 人選の合理性(解雇される労働者を選定する基準が合理的なものであり、かつその運用もまた合理的であること。)
エ 労使間での協議(整理解雇の必要性、時期、方法、規模、人選の基準についての十分な説明など、使用者が労働者から納得を得るための真剣な努力を行っていること。)

 また、使用者は労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をしなければならず、30日前に予告をしないときは、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わねばなりません【労働基準法第20条第1項】。但し、予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合は、その日数を短縮することができるとされています【労働基準法第20条第2項】。

 以上のこと参考にしながら、まずは会社に対し、整理解雇の四要件に関し、どのような対応を行ったのか説明を求め、話し合い、本件整理解雇の妥当性を検討するとともに、あなたが他の店舗への配置転換を希望するのであれば、その旨を主張されてはどうでしょうか。その結果、解雇を受け入れることとなった場合には、解雇予告の手続きについて確認されてはどうでしょうか。

Q3 使用者から継続雇用の高年齢者に対する無期転換ルールの特例についての相談

 当社の定年は65歳で、定年後再雇用制度があり、1年ごとの有期契約で雇用しています。そろそろ再雇用後の勤続5年を超える社員が出てくるのですが、この場合でも、無期転換ルールが適用されるのでしょうか。

 無期転換ルールとは、平成24年8月に成立した「改正労働契約法」(平成25年4月1日施行)により、対応が必要になった雇用に関する新たなルールです。

 有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換でき、 通算5年のカウントは、平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約が対象です【労働契約法第18条】。
 
 このルールの適用により、通常は、定年後引き続き雇用される有期雇用労働者についても無期転換申込権が発生しますが、有期雇用特別措置法(専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法)により、適切な雇用管理に関する計画(第二種計画)を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主の下で、定年に達した後、引き続いて雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高年齢者)については、無期転換申込権が発生しないとする特例が設けられています。
 
 特例の適用を受ける場合は、事業主は本社・本店を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に認定申請を行う必要があります。
 
 以上のことを参考にしながら、今後の対応を検討されてはどうでしょうか。
 
 以下の厚生労働省のホームページもご参照ください。
 
 ○有期契約労働者の無期転換ポータルサイト
   http://muki.mhlw.go.jp/news/20171017.html
 

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

ここまで本文です。