今月の事例解説(H30年5月分)

更新日:平成30年6月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 正社員からセクハラについての相談

 入社1か月後から、勤務時間中を含め、上司からメールで「2人で飲みに行こう」と週に1回程度誘われるようになりました。
 最初は理由をつけて断っていたのですが、途中から断りきれずにこれまで10回程度会食しました。
 最近では、会食中に身体を触られることもあります。これはセクハラだと思うのですが、これからどう対応すれば良いのか悩んでいます。

 セクシュアルハラスメント(セクハラ)については、男女雇用機会均等法(※)第11条において、「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」と定められています。

 また、「必要なく身体に触ること」や「食事やデートにしつこく誘うこと」は、「性的な言動」に含まれると考えられます。【「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(平成18年厚生労働省告示第615号)、「人事院規則10-10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)の運用について」】

 本件については、もし可能であれば、行為者に対し、誘いには応じられないことや触られることが不快であることについて意思表示をしましょう。意思表示がなければ、あなたが苦痛に思っていることが伝わっていない場合や、行為が受け入れられたと誤解される場合も考えられます。

 行為者に意思表示を行うことが難しければ、あなたがこれまでに受けたセクハラと感じる言動について、「いつ、どこで、誰から、どのような言動を受け、どのように対応したか」等を記録した上で、上司よりもさらに上位の上司や事業主等、使用者側に対し、男女雇用機会均等法第11条をもとに、行為者の言動の改善や就業環境の改善を求めてはどうでしょうか。

 その上で、使用者側が適切な対応を行わなかった場合には、当所の個別労使紛争処理「調整」「あっせん」制度の活用や、大阪労働局雇用環境・均等部に助言・指導等の援助を求めることも検討されてはどうでしょうか。

  (※)男女雇用機会均等法:「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」

  以下のホームページもご参照ください。

○大阪府総合労働事務所「職場のハラスメント防止・対応ハンドブック」
http://www.pref.osaka.lg.jp/sogorodo/keihatusahi-refureto/index.html
 

Q2 正社員から解雇についての相談

 入社2年目の正社員です。先日、上司から突然、「解雇する。解雇予告手当として30日分の給料相当額を支払う」と言われました。解雇の理由を聞くと、「これまでの人事評価が低く、能力向上に向けた対応が見受けられない。」ということでした。
 このまま、解雇を受け入れなければならないのでしょうか。
 

 法律では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています【労働契約法第16条】。

 また、使用者は、労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をしなければならず、30日前に予告をしないときは、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません【労働基準法第20条第1項】。但し、予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合は、その日数を短縮することができるとされています【労働基準法第20条第2項】。さらに、解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、労働者が解雇の理由について証明書を請求した場合は、使用者は遅滞なくこれを交付しなければなりません【労働基準法第22条第2項】。また、解雇された後でも、退職証明書を請求することができます【労働基準法第22条第1項】。

 本件については、まずは、解雇理由証明書等の交付を求め、労働契約法第16条の考え方を踏まえ、人事評価や能力向上の問題が、解雇に相当するほどの社員としての資質の欠如にあたり、客観的に合理的な理由であったといえるのかどうか説明を求め、納得できない場合には、解雇は受け入れられない旨の意思を明確に伝え、話合いを求めてはどうでしょうか。
 話合いで解決できない場合には、大阪府総合労働事務所や大阪労働局の個別労使紛争処理制度の活用、労働審判の申立、民事訴訟の提起、労働組合から団体交渉を申し入れ、話し合う、などが考えられます。

Q3 使用者から有給休暇の買取り請求についての相談

 このたび、入社3年目の正社員が退職することになりました。退職にあたり、残っている有給休暇を全て買い取ってほしいとの請求がありました。当社では、そのような対応を行ったことはなく、就業規則にも規定はありません。有給休暇を買い取ることは、違法ではないのでしょうか。違法でなければ、この請求に応じなければならないのでしょうか。

 有給休暇制度の趣旨は、労働者が心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため等にあります。
 したがって、労働基準法第39条が定める年次有給休暇権を行使しない者に対して、年次有給休暇日数に対応する賃金相当額を支払う、いわゆる「年次有給休暇の買上げ」については、年次有給休暇制度の主旨からみても、好ましくないと考えられます。
 
 また、行政解釈では、「年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えないことは、法第39条違反である」【昭30.11.30基収第4718号】とされています。

 しかし、退職することが決まっている場合であって、これまで事実上、年次有給休暇権の行使の自由が確保されており、労働者側の事情から年次有給休暇権の行使が行われないまま退職時点に至った場合については、残余の年次有給休暇について、任意に買い上げた(賃金相当額の支払)としても、これをもって労働基準法第39条違反に当たるとする必要はないと考えられています。

 以上のことから、退職時点における残余有給休暇について任意に買い上げることは、違法とはいえません。今後の対応について、労使間で話し合われてはどうでしょうか。
 

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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