今月の事例解説(R2.2)

更新日:令和2年8月4日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 正社員から、解雇についての相談

 正社員として約1年間働いてきましたが、社長から「経営が厳しいので今年度末で辞めてもらう」と言われました。具体的な理由を聞いても「経営が厳しいから」としか答えてくれず、社員では自分だけが言われたようで、納得できません。
 会社を辞めなければならないのでしょうか。
  

 解雇について、法律では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められています【労働契約法第16条】。
 解雇の種類の一つとして、不況による業務の縮小、事業所の廃止、経営の合理化等により人員整理を目的として行われる「整理解雇」があります。

 整理解雇が解雇権の濫用にあたるかどうかの基準としては、次の四つの要件(又は要素)を原則として満たすことが必要とされています。
 ア 経営上の必要性(整理解雇をしなければならないほどの経営上の必要性が客観的に認められること。)
 イ 解雇回避の努力(整理解雇を行うまでに、希望退職者の募集、配置転換、出向など、解雇を回避するための努力が十分に尽くされていること。)
 ウ 人選の合理性(解雇される労働者を選定する基準が合理的なものであり、かつその運用もまた合理的であること。)
 エ 労使間での協議(整理解雇の必要性、時期、方法、規模、人選の基準についての十分な説明など、使用者が労働者から納得を得るための真剣な努力を行っていること。) 

 また、使用者は労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をしなければならず、30日前に予告をしないときは、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わねばなりません【労働基準法第20条第1項】。但し、予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合は、その日数を短縮することができるとされています【労働基準法第20条第2項】。 

 本件については、まず解雇せざるを得ないだけの客観的に合理的な理由があるかどうか、整理解雇であるならば、上記四つの要件に照らし合わせて会社がどのような対応を行ったのか、人選の合理性を含めた説明を会社に求め、納得できない場合には、解雇は受け入れられない旨の意思を明確に伝え、話合いを求めてはどうでしょうか。 

 仮に、解雇を受け入れる場合は、解雇予告の手続や離職の条件等を確認されてはどうでしょうか。 

 使用者が話合いに応じないなど解決できない場合には、当所や大阪労働局の個別労使紛争処理制度の活用、労働審判の申立、民事訴訟の提起、社内の労働組合や個人で加入できる労働組合を通じて団体交渉を申し入れる、などの方法が考えられます。

Q2 正社員から、雇用保険についての相談

 会社から退職勧奨を受け退職を考えていますが、友人から「自己都合退職ではないので雇用保険の受給は3か月待たずにできる」と聞きましたが、そのとおりなのでしょうか。
 「自己都合による退職」と「退職勧奨による退職」では、どのように異なるのでしょうか。

 雇用保険とは、ア 働く方が失業した場合、イ 働く方について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合、ウ 働く方が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合、に必要な給付(失業等給付)を行うことにより働く方の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等、その就職を促進することと、併せて雇用保険二事業として、労働者を雇い入れている事業主に対し、エ 失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大(雇用安定事業)、オ 働く方の職業能力の開発及び向上の促進(能力開発事業)を図ることを目的とする制度です。 

 雇用保険制度における失業等給付には、ア 雇用継続給付、イ 教育訓練給付、ウ 求職者給付、エ 就職促進給付の4種類があります。

 求職者給付とは、被保険者の方が離職し「就職しようとする意思といつでも就職できる能力があって積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、職業に就くことができない状態」にある場合で、受給資格を満たしているときに給付が受けられます。 

 受給資格は、65歳未満で離職された方(一般受給資格者)については、原則として離職の日以前2年間に11日以上働いた完全な月が12か月以上あることが必要ですが、倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた方(特定受給資格者)や特定受給資格者以外で、期間の定めのある労働契約が更新されなかった場合や正当な理由のある自己都合により離職した方(特定理由離職者)に該当する場合は、離職の日以前1年間に11日以上働いた完全な月が6か月以上あれば受給資格を満たします。 

 給付日額の目安は、一般受給資格者については、離職前の賃金一日分のおおよそ50から80%程度です。特定受給資格者及び特定理由離職者の場合、所定給付日数が手厚くなる場合があります。 

 本件で触れられた退職理由による「給付制限期間」についてですが、「正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合」には、ハローワークに離職票を提出し、求職申込みをしてから7日間の失業している日(待期)の経過後、3か月の給付制限があります(実際に最初の給付金が振り込まれるのは離職票提出から約4か月後)が、「直接若しくは間接に退職することを勧められたことにより、又は希望退職者の募集に応じて退職した場合」は、退職するについて正当な理由ありとし、待期経過後の給付制限を受けないとされています(実際に最初の給付金が振り込まれるのは離職票提出から約1か月後)。 

 受給資格の決定はハローワークが行います。 

 上記を踏まえて、退職勧奨の手続等について会社に確認するとともに、雇用保険に関する詳しい制度や申請手続等についてはハローワークにも確認しながら対応されてはどうでしょうか。 

以下のホームページもご参照ください。 

○「雇用保険制度」(厚生労働省ホームページ)(外部サイト)

○「離職された皆さまへ『雇用保険の基本手当を受けるために』」(厚生労働省大阪労働局ホームページ)(外部サイト)
 

Q3 使用者から、ハラスメントの相談窓口設置についての相談

 当社にはセクハラやマタハラ、パワハラといった、職場のハラスメントの相談窓口がありません。
 ハラスメントが起こった場合に迅速に対応できるよう、今後、相談しやすい体制を整備していきたいと考えています。相談窓口の設置部署や相談担当者について教えてください。

 労働契約法では、使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をするものとされています【労働契約法5条】。この「生命、身体等の安全」には、心身の健康も含まれています。
 また、労働安全衛生法では、事業主は快適な職場環境を形成するよう努めなければならないとされています【労働安全衛生法71条の2】。

 これらの考え方は職場のハラスメント全般にいえるものです。

 セクハラは男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)、マタハラは男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)、パワハラは労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)に、ハラスメント防止のため事業主に対し、雇用管理上必要な措置を講ずることが義務づけられています【男女雇用機会均等法第11条、第11条の2、育児・介護休業法第25条、労働施策総合推進法第30条の2(※)】。

※労働施策総合推進法第30条の2は令和2年6月1日に施行されます(中小企業については、同法公布日(令和元年6月5日)から3年を超えない範囲内において政令で定める日(令和4年3月31日)までの間は努力義務)。 

 ハラスメントを予防するためには、組織のトップが、職場のパワーハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示すことや就業規則に関係規定を設けること、従業員アンケート等により実態を把握すること、研修を実施すること、社内のルールについて周知することなどが求められています。

 また、ハラスメントの問題が発生した場合への解決のためには、労働者からの相談に適切かつ柔軟に対応するため相談や解決の場を設置することなどの体制の整備や再発防止のための研修の実施等が求められています。

 相談窓口は社内(人事労務担当部署や法務部門など)に設ける場合と、外部の専門家(弁護士や社会保険労務士等)に委託する等の方法が考えられますが、相談しやすくするために、相談者の秘密が守られることや相談することで不利益な取扱いを受けないことを明確にしておくことが求められます。

 相談担当者にはハラスメントや人権問題に対する十分な理解が必要ですが、対応スキルを持てるよう、対応の流れや対応の心構えなどについての研修を実施することも重要です。

 また、職場のハラスメントは複合的に生じることも想定されるため、一元的に応じることのできる体制を整備することが望ましいでしょう。

 いきいきと働くことのできる快適な職場環境の確保、良好な労使関係の構築のため、積極的な取組みをお願いします。 

 以下のホームページ(パンフレット)もご参照ください。

  〇「職場でのハラスメントでお悩みの方へ」(厚生労働省ホームページ)(外部サイト)

  〇明るい職場応援団(厚生労働省ホームページ)(外部サイト)

  〇「パワーハラスメント対策導入マニュアル」(厚生労働省ホームページ)(外部サイト)

     〇「職場のハラスメント防止・対応ハンドブック」(平成30年3月発行 大阪府総合労働事務所)

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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