今月の事例解説(Q&A)(R2.1)

更新日:令和2年2月3日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 労働者から、36協定についての相談

 飲食店で働き始めましたが、上司の指示で残業があり、約束されていた終業時間が守られていません。働いている時間は1日8時間を超えることが多くありますが、残業時間の長さがどれ程になるのかの見通しも示されません。知人から36(さぶろく)協定が必要ではないかと聞きましたが、36協定とはどのようなものでしょうか。この協定がないと、残業手当がもらえないことがあるのでしょうか。
  

 使用者が、労働者を法定労働時間を超え、または法定休日に労働させる場合には、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者と労使協定(いわゆる36(さぶろく)協定)を締結し、事前に所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません【労働基準法第36条】。

 36協定で定める時間外労働については、働き方改革関連法による労働基準法改正により、上限(限度時間)が罰則付きで規定され、平成31年4月から原則として月45時間・年360時間(中小企業への適用は令和2年4月1日から)となり、臨時的な特別な事情がなければこれを超えることができなくなりました。

 36協定の様式は厚生労働省から示されていますが、そこでは以下の項目を定めることが求められています。

 ア 時間外または休日の労働をさせる必要のある具体的な事由
 イ 労働者の範囲(対象労働者の業務、人数)
 ウ 対象期間(1年間に限る)
 エ 1日、1か月、1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日
  数
 オ 有効期間
 カ 1年の起算日
 キ 1か月について時間外労働及び休日労働を合算した時間数が100時間未満かつ2か月から6か月までを平均して80時間を超えないこと

 臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わねばならない特別の事情が予想される場合には「特別条項」を結ぶことにより、限度時間を超えて労働させることができる時間を定めることができますが、特に例外的なものとして必要最小限にとどめられるべきものです。

 36協定がない状態で法定労働時間を超える労働や法定休日に労働させた場合は、違法なものとなります。

 ただし、36協定がない状態であっても、使用者には割増賃金を支払う義務がありますので、協定がないからといって残業手当がもらえないということにはなりません。

 本件では、会社に対して、36協定がない状態は違法であることを指摘し、36協定の締結により法定労働時間を超えることができる労働時間数を明確にすること等を求めるとともに、残業手当の未払があれば、支払いを求められてはどうでしょうか。

以下の厚生労働省ホームページもご参照ください。

○「36(サブロク)協定とは」
 https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/saburoku/

○「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」
 https://www.mhlw.go.jp/content/000350731.pdf

○「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html

 ○「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
 https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf 

Q2 パートタイム労働者から、残業手当についての相談

 1日8時間勤務のパートで働いていますが、残業のある日があります。残業手当は支払われていますが、残業時間の短い日はカウントされていないのではないかと疑問に感じています。残業手当を計算する場合の時間数はどのように考えるのでしょうか。

 残業手当すなわち時間外労働の割増賃金とは、法定労働時間(原則として1日8時間、1週40時間)を超えた労働、法定休日の労働に対して支払われなければならない賃金です。

 賃金の割増率は、以下のとおりです。

ア 1か月60時間以内の場合 :25%以上
イ 1か月60時間を超える場合:50%以上
  (中小企業は令和5年(2023年)3月31日まで適用猶予)
  (労使協定により25%を超える割増賃金の支払いに代えて有給の代替休暇が可能)
ウ 深夜労働(午後10時以降、午前5時まで)は25%以上
エ 法定休日労働は35%以上

 なお、アとウが重なった場合は50%以上、イとウが重なった場合は75%以上、ウとエが重なった場合は60%以上となります。 

 割増賃金を計算する場合の時間数については、1分であっても割増賃金の支払を要します。毎日分単位で積上げ1月分を合計してなお1時間未満の端数が出た時、その端数のみ30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げることが許されます。額についても「1時間単位の賃金額及び割増額」と「1月分の時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額」について1円未満の端数が出たとき「50銭未満切捨て50銭以上切上げ」が認められているのみで、この処理は労働基準法違反として取り扱われません【昭63.3.14 基発150号】。

 本件では、残業手当の額について疑問がある場合はご自身のタイムカード等、勤務実績が分かるものにより試算し、会社の計算方法を確認するとともに未払がある場合は、使用者に請求を行い、使用者が残業代を支払わない等、労働基準法に違反する対応であれば、労働基準監督署に申告して行政指導を求めることも検討されてはどうでしょうか。
 

Q3 使用者から、特別条項付の36協定についての相談

 会社で労務管理を担当しています。「働き方改革関連法」により時間外労働の上限が決められましたが、臨時的な事情があれば、限度時間(月45時間・年360時間)を超える特別条項の付いた36協定を結ぶことができると聞きました。どのようなものでしょうか。

 「働き方改革関連法」による労働基準法の改正により、平成31年4月から時間外労働の上限が罰則付きで法律に規定され、原則として月45時間・年360時間(限度時間)(中小企業への適用は令和2年4月1日から)となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができなくなりました。

 この臨時的な特別の事情がある場合には労使の合意により特別条項付きの36協定を結ぶことにより、限度時間を超えて労働させる時間を定めることができますが、この場合でも、以下を守らなければなりません。

ア 時間外労働が年720時間以内であること。
イ 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満であること。
ウ 時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1か月当たり80時間以内であること。
エ 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度であること。 

 また、特別条項の有無に関わらず、1年を通して常に、時間外労働と休日労働の合計は、月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内にしなければなりません。

 特別条項を設けた36協定では以下の事項も定めることとされています。
 a 臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合(具体的な事由)
 b 1か月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(1か月の時間外労働と休日労働の合計
  時間数が100時間未満)
 c 1年について労働時間を延長して労働させることができる時間(1年の時間外労働時間が720時間以内)
 d 1か月の限度時間を超えることができる回数(1年について6回以内)
 e 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置
 f 限度時間を超えた労働に係る割増賃金率
 g 限度時間を超えて労働させる場合における手続

 限度時間(月45時間・年360時間)を超える時間外労働を行わせることができるのは、通常予見することができない業務量の大幅な増加など、臨時的な特別の事情がある場合に限ります。臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合の事由については、できる限り具体的に定めなければなりません。「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」など、恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものは認められません

 また、「働き方改革関連法」による法改正と併せて「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」が定められました。
 この指針でも時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめること等が定められています。

 本件では、上記の考え方を踏まえ、やむを得ず特別条項付の36協定の締結を求める場合でも、時間外労働は、限度時間にできる限り近づけるように努めましょう。

 以下の厚生労働省ホームページもご参照ください。
 ○「36(サブロク)協定に関する法改正について」
  https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/36_pact.html

 ○「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」
  https://www.mhlw.go.jp/content/000350731.pdf

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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