今月の事例解説(Q&A)(R1.11)

更新日:令和元年12月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 管理職である労働者から、年5日の年次有給休暇の取得の義務付けについての相談

 今般の働き方改革により、平成31年4月から年5日の年次有給休暇を取得させることが義務化されたと聞いています。
 私は管理職で、労働時間の規定が適用されませんが、今回の有給休暇の取得の義務付けについては、どうなるのでしょうか。
  

 使用者は、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全所定労働日の8割以上出勤した労働者に対して、事業所の規模にかかわらず年次有給休暇を付与しなければなりません。付与日数は勤続年数に応じて加算され、1週間の所定労働時間が30時間以上または1週間の所定労働日数が5日以上の労働者であれば10日の年次有給休暇が取得可能になり、パートタイム労働者のような非正規労働者であっても、週所定労働日数等に応じて有給休暇が付与されます【労働基準法第39条第1項、同第2項、同第3項】。

年次有給休暇については、平成30年の働き方改革関連法の成立による労働基準法の改正により、平成31年4月から全ての企業において年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました【労働基準法第39条第7項】。

 管理監督者については、労働基準法第41条第2号で「監督若しくは管理の地位にある者」とされ、労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用されませんが、年次有給休暇についての規定は適用され、上記の有給休暇の年5日の時季指定についても対象となります。

 なお、「監督若しくは管理の地位にある者」とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断するものとされています【昭22.9.13 発基17号 昭63.3.14基発150号】。

 したがって、社内で「管理職」と呼ばれていてもこうした実態がない場合は、そもそも「監督若しくは管理の地位にある者」には当たりません。

  本件では仮に労働基準法上の「監督若しくは管理の地位にある者」に該当する場合でも有給休暇の年5日の指定の対象となることから、年5日の年次有給休暇取得が義務付けられています。ご自身の年次有給休暇についても確実に取得しましょう。

 ※年5日の年次有給休暇の取得については以下のリーフレット(ホームページ)もご参照ください。
○「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」(厚生労働省リーフレット)
  https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf 

Q2 労働者から、残業時間の上限についての相談

 正社員として働いていますが、会社の業務体制が変更されたことにより、残業時間が増えてきました。残業時間には制限はないのでしょうか。

 労働基準法は、法定労働時間について、原則として休憩時間を除き1日8時間、1週40時間と定めています【労働基準法第32条】。法定労働時間を超えて残業させる場合は労働基準法第36条に基づく労使協定(いわゆる「さぶろく協定」。以下、「36」協定と記します)を締結し、事前に所轄の労働基準監督署に届け出ることが必要です。

  時間外労働の上限について、以前は厚生労働大臣の告示で基準が定められていましたが、平成30年の働き方改革関連法による労働基準法の改正で残業時間の上限が法律で定められました。 

 残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません【労働基準法第36条第4項】。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間以内、2〜6か月平均80時間以内(休日労働を含む)、1か月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。
 原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月が限度です【労働基準法第36条第5項、第6項】。

 なお、上記の限度時間は法定労働時間を超えて労働した時間であり、法定休日の労働時間は含まれませんが、1か月の上限(月100時間未満)、2〜6か月の上限(平均80時間以内)については時間外労働と休日労働の時間を合計した実際の労働時間とされています【平成31年3月 厚生労働省 改正労働基準法に関するQ&A 2-23】。

 また、36協定を締結せずに時間外労働をさせた場合や36協定で定めた時間を超えて時間外労働をさせた場合、また、36協定で定めた時間数にかかわらず、時間外労働と休日労働の合計時間について月100時間以上となった場合や2〜6か月の平均のいずれかが80時間を超えた場合には罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります【労働基準法第36条、同法第119条】【平成31年3月 厚生労働省 改正労働基準法に関するQ&A 2-26】。

 この上限規制については、建設業、自動車運転、医師等一部の事業・事務を除き平成31年4月1日から適用されていますが、中小企業については令和2年4月1日から適用されます。

 さらに、今回の法改正とあわせて「労働基準法第36条第1項の協定で定める時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」【平成30年9月7日厚生労働省告示第323号】が定められ、時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめることや、36協定の範囲内であっても使用者には労働者に対する安全配慮義務があること等が示されました。

 本件では36協定が適正に締結されているか、勤務先が中小企業に該当するかを確認するとともに、36協定の範囲内であっても時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめ、限度時間を超えることのないよう求められてはどうでしょうか。

 なお、中小企業の範囲については、以下のとおりとされています。

業種

資本金の額または

出資の総額

 

常時使用する労働者数

小売業

5,000万円以下

または

50人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

その他

3億円以下

300人以下

  ※業種は日本標準産業分類に従って判断されます。

   ○「日本標準産業分類ホームページ」(総務省)
     http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/sangyo/index.htm

 ※時間外労働の上限規制については以下のホームページもご参照ください。

   ○「時間外労働の上限規制」ホームページ(厚生労働省)
     https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html 

Q3 使用者から勤務間インターバル制度についての相談

 会社の労務担当者ですが、時間外労働が続いたときに社員から勤務間インターバル制度を導入して欲しいと言われました。
 どういうものでしょうか。

 勤務間インターバル制度は、勤務終了後、一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものです。平成30年の働き方改革関連法の成立による労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の改正により、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することが事業主の努力義務として規定されました(平成31年4月1日施行)。  

 勤務間インターバル制度は、働き方の見直しのための他の取組みとあわせて実施することで一層効果が上がると考えられ、健康やワーク・ライフ・バランスの確保策として今後の動向が注目されています。 

 働く人々の健康確保とワーク・ライフ・バランスの推進のために勤務間インターバル制度の導入をご検討ください。

 
 ※勤務間インターバル制度の導入の具体的な考え方や事例等については、以下のホームページをご参照ください。

  ○「勤務間インターバル制度」ホームページ(厚生労働省) 
   https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/interval/index.html

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

ここまで本文です。