今月の事例解説(Q&A)(R1.8)

更新日:令和元年9月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 労働組合役員から三六協定締結時の過半数代表者についての相談

 労働組合の役員をしています。今年から「働き方改革関連法」が施行されており、労働組合でも時間外労働の規制に取り組もうと考えています。
 しかし、労働組合は結成からまだ日も浅く、組合員もまだ少数です。
 これまで会社では、三六協定締結に際して、会社の指定した者が過半数代表者となり、その代表が会社と三六協定を締結しています。
 このような過半数代表者の選出は問題がないのでしょうか。また、労働組合としてどのように取り組んでいけばよいのか、教えてください。
  

 使用者は、労働者を時間外または休日に労働させる場合には、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」といいます)と書面による労使協定を締結し、事前に所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません【労働基準法第36条第1項】。この協定を三六(さぶろく)協定といいます。 

 過半数代表者については、(1)労働基準法第41条第2項に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと、(2)法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと(※)の要件を満たす必要があるとされています。【労働基準法施行規則第6条の2第1項】。

※「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」は平成31年4月に追加されました。 

 同規定における「挙手等」の「等」には、労働者の話合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きが該当するとされています【平成11年3月31日基発169号】。 

 なお、(1)使用者は、労働者が過半数代表者であること、過半数代表者になろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない、(2)使用者は、過半数代表者が法に規定する協定等に関する事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない、とされています【労働基準法施行規則第6条の2第3項及び4項】。 

 本件では、過半数代表者の選出は、投票、挙手、労働者の話合い、持ち回り決議等いずれの手続きもとられず、会社の指定した者が過半数代表者になっているようですので、労働基準法施行規則第6条の規定に反する不適切なものと考えられます。 

 労働組合として時間外労働の規制に取り組まれるということですので、同時に過半数代表者選出の適正化について申し入れられてはどうでしょうか。 

 なお、「働き方改革関連法」が順次施行されており、時間外労働の上限が罰則付きで労働基準法に規定(※)されるなど、労働時間法制が大きく見直されています。 

 ※中小企業における残業時間の上限規制の適用は令和2年(2020年)4月1日です。また、適用を猶予・除外する事業・業務もあります。

  労働時間に関する制度の見直しを含む働き方改革関連法の概要については、厚生労働省ホームページ「『働き方改革』の実現にむけて」をご参照ください。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

Q2 労働組合役員から不当労働行為についての相談

 組合員の労働条件について会社と団体交渉を継続していますが、交渉の途中で双方が感情的なやり取りを行う場面がありました。その後、社長は、社員が集まった会合の場で「会社の方針に従わない労働組合に入っていると昇進に支障がある。やめた方が身のため」と発言しました。これは、不当労働行為ではないでしょうか。

  労働組合法第7条が禁止する不当労働行為については、同条第1号で「組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱い」が、同条第2号で「正当な理由のない団体交渉の拒否」が、同条第3号で「労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助」が、同条第4号で「労働者委員会への申立て等を理由とする不利益取扱い」が、それぞれ規定されています。 

 同法第7条第3号が示す支配介入については、会社の代表者が社員を集めた会合で労働組合を批判する発言を行うこと、管理職が部下に労働組合を脱退するよう勧めること、別組合の結成を援助すること等が事例として考えられます。 

 今回のケースでは、社長が「労働組合に加入していると昇進が難しい、やめた方が身のため」と発言することで、組合員の組合からの脱退をそそのかし、未加入者の加入を妨害することとなり、組合の弱体化につながる支配介入行為として労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為に該当する可能性があります。 

 なお、使用者の行為が不当労働行為に該当するかについては、労働委員会における不当労働行為救済制度による審査により、個別の案件ごとに判断されます。労働組合として、労働委員会への救済申立てを行うかどうか検討されてはどうでしょうか。。

Q3 使用者から合同労組からの団体交渉申し入れへの対応についての相談

 会社の労務担当をしています。先日、当社の社長が営業部の社員と仕事の進め方や新入社員に対する指導方法等について話合いをしていたところ、意見の食い違いがあり、社員が意見をしたことに社長が激高し、その社員に対して解雇通告をしました。
 その後、社員が社外の合同労組に加入し、当社あて団体交渉の申し入れがありましたが、社長は「社外の合同労組との交渉に応じる必要はない」と言っています。
 本当に交渉に応じなくても問題はないでしょうか。

 合同労組とは、一定の地域で企業の枠を超え、中小企業の労働者を主に組織し、個人加盟ができる組合のことをいいます。「地域ユニオン」、「一般労組」等と呼ばれる場合もあります。  

 合同労組も企業別組合と同様、労働組合法上の労働組合であることに変わりはなく、判例においても、「労組法第2条本文は、労働組合の組合員たる労働者について、その範囲を特定していないし、労働組合を組織する組合員の数についても、特定企業の全員ないし過半数を要件としないのであるから、ある企業の従業員が、その人数の多少にかかわらず、その企業の範囲を超えて、特定の産業、業種について、いわば横断的に組織する労働組合であっても、労組法第2条の要件を満たす限り、労組法上適法な労働組合である」とされています【千代田工業事件 大阪地裁 昭和61年10月17日】。 

 労働組合法第7条第2号は、「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なく拒むこと」を不当労働行為として禁止していますが、ここでいう「雇用する労働者の代表」とは、企業別の労働組合であるか合同労組であるかは問われておらず、使用者は、合同労組から団体交渉を求められた場合も、これを正当な理由なく拒否することはできません。 

 当該社員についての解雇問題を円満に解決する観点からも上記の内容を社長に説明し、あらためて団体交渉に応じ、誠実に対応するよう進言してはいかがでしょうか。 

 労働組合と使用者との集団的労使関係については、次の当所啓発冊子「あすへの対話」をご参照ください。
   http://www.pref.osaka.lg.jp/sogorodo/keihatusahi-refureto/asuhenotaiwa.html
  

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

ここまで本文です。