今月の事例解説(R1.6)

更新日:令和2年4月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 飲食店の従業員から、社会保険(健康保険、厚生年金保険)についての相談

 個人経営の飲食店の求人に応募し、面接を受けました。面接担当者から「うちは会社じゃないので社会保険はない」と言われました。従業員は10名程度です。
 本当に社会保険に加入できないのでしょうか。
  

 労働者の社会保険(健康保険、厚生年金保険)の加入資格は、健康保険法、厚生年金保険法等の法律で定められています。法人である事業所と、法定された16業種の個人事業所で常時5人以上の労働者を使用する事業所は強制適用事業所となり、保険加入が義務付けられています【健康保険法第3条第3項、厚生年金保険法第6条】。
 
 本件の場合は、従業員が10名程度いるということですが、個人事業所である飲食店については、法律で定められた16業種に該当しませんから、強制適用事業所にはなりません。

 ただし、強制適用事業所以外の事業所でも、その事業所に使用される者(適用除外者を除く)の2分の1以上の同意を得て、事業主が申請し、厚生労働大臣の認可を受けることで任意適用事業所となります。任意適用事業所となれば、当該事業所で働く労働者(正社員及び一定の条件を満たす短時間労働者等)は全員加入することになります。

 なお、社会保険の適用事業所で働く労働者であっても、次の場合は除外されます(主な場合)。

 ア 日々雇い入れられる者(ただし、1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合は、その日から一般の被保険者となります。)

 イ 2か月以内の期間を定めて使用される者(ただし、所定期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は、その日から一般の被保険者となります。)

 ウ 季節的業務に使用される者(ただし、当初から継続して4か月を超えて使用される場合は、当初から一般の被保険者となります。)

 エ 臨時的事業の事業所に使用される者(ただし、当初から継続して6か月を超えて使用される場合は、当初から被保険者となります。)

 オ 事業所の所在地が一定しない事業に使用される者。

 [※]原則として、適用事業所に使用される日々雇用の労働者は、全国健康保険協会(協会けんぽ)管掌の日雇特例被保険者になります。


 ○日本年金機構ホームページ「適用事業所と被保険者(外部サイト)」もご参照ください。

Q2 正社員から、退職金についての相談

 会社で人間関係についてトラブルがあり、直属の上司から「辞めてはどうか」と退職勧奨を受け、退職する方向で考えています。今後、退職に向けた話し合いをしますが、退職する際に退職金はもらえるのでしょうか。。

 退職勧奨とは、一般に、使用者が労働者に退職を勧めることです。退職勧奨は、あくまでも退職を勧めるものであり、それに応じるかどうかは、労働者の自由です。たとえ「辞めてほしい」と言われても、退職勧奨である限り、退職する意思がなければ応じる必要はありません。ただし、本件のように労働者が退職勧奨に応じた場合は合意解約(合意退職)となります。

 退職金については、法律上支給が義務付けられているものではありません。もっとも、労働協約、就業規則、労働契約等に退職金を支払う旨の定めがあれば、その定めに従った支給を請求できることになります。

 また、労働基準法は、就業規則における記載事項の一つとして「退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払方法、支払時期」を定めています【労働基準法第89条第1項第3号の2】。

 なお、事業所における退職金支払い基準や支給規定や支払うことについての個別的な合意がなかったとしても、過去に退職した従業員に対し、退職金が支払われていた労使慣行が認められるならば、退職金を請求できる場合もあると考えられます。

 まずは、退職金についての社内規定の有無やこれまでに支払われていた慣行がなかったかについて確認されてはどうでしょうか。


Q3 使用者から、年少者の労働時間についての相談

 コンビニエンスストアの店長をしています。高校生のアルバイト従業員を日曜日の朝6時から働かせるのは可能でしょうか。また、学生アルバイトを雇用するうえで他にも気を付けるべき点があれば教えてください。

 労働基準法では原則として「使用者は児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない」と定めています【労働基準法第56条第1項】。

 また、同法は満18歳に満たない者を年少者とし、以下の保護規定を設けています。


ア 年齢証明書の備付け

  使用者は、満18歳に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければなりません【労働基準法第57条】。
   なお、労働基準法第57条に定める年齢を証明する戸籍証明書については、住民票記載事項の証明書で足りるとされています【昭50.2.17 基発83号 婦発40号、昭63.3.14 基発150号、平11.3.31 基発168号】。

イ 労働時間・休日の制限

    年少者については、一定の場合(※)を除き、変形労働時間制により労働させることはできず、時間外及び休日労働を行わせることはできません【労働基準法第60条】

※(ア)1週40時間を超えない範囲で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合において、他の日の労働時間を10時間まで延長する場合
   (イ)1週48時間、1日8時間を超えない範囲内において、1か月又は1年単位の変形労働時間制を適用する場合

ウ 深夜業の制限

   使用者は満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはなりません。
   ただし、交替制によって勤務する満16歳以上の男性についてはこの限りではありません【労働基準法第61条】。

エ 危険有害業務の就業制限、坑内労働の禁止

  足場の組み立て等の業務、酒席に侍する業務、坑内における労働等は禁止されています【労働基準法第62条、第63条】【年少者労働基準規則第8条 昭29.6.19 労13号】

オ 帰郷旅費の負担

  満18歳に満たない者が解雇の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は原則として必要な旅費を負担しなければなりません【労働基準法第64条】。

 さらに、上記に加えて、未成年者の労働契約は本人が結ばなければならず、親権者又は後見人が代わって結ぶことができないという未成年者の労働契約締結の保護【労働基準法第58条】及び未成年者は独立して賃金を請求でき、親権者又は後見人は未成年者の賃金を代わって受け取ってはならないという賃金請求権の保護【労働基準法第59条】の規定が適用されます。 

 本件では、高校生ということですから、満15歳に達した日以後の最初の3月31日を過ぎていると考えられ、朝6時から働くこと自体は法的に制限されるものではありませんが、労働基準法による保護規定の趣旨を十分ご理解いただき、年少者の健康及び福祉の確保、学業との両立ができるよう、特段の配慮をお願いします。

 以下の厚生労働省のホームページもご参照ください。

○「アルバイトを雇う際、始める前に知っておきたいポイント(外部サイト)
 ○「高校生等を使用する事業主の皆さんへ(外部サイト)

 

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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