今月の事例解説(R1.5)

更新日:令和元年6月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 正社員から、事業譲渡に係る年次有給休暇及び雇用保険の取扱いについての相談

 正社員で勤めています。私の所属する事業部署が今般、別の会社へ事業譲渡されました。労働契約は承継され、労働条件、職務内容はこれまで通りなのですが、「年次有給休暇」に関する継続勤務年数はゼロからの算定になると聞きました。
 また、雇用保険の被保険者期間については、どのように考えればよいでしょうか。
  

 事業譲渡における権利義務の承継は、原則として当事者間の契約によって決定されます。事業譲渡における雇用の承継も同じで、譲渡される事業に従事してきた労働者の労働契約が譲受会社に承継されるか否かは、譲渡会社、譲受会社、労働者の三者の合意によって決まるというのが、通説です。

 労働契約が事業譲渡に伴い承継された場合には、年次有給休暇の継続勤務の判断に当たって、譲渡の前後で継続勤務年数は通算されると解されています。

 また、雇用保険については、事業譲渡で従業員が別法人に移る場合、原則、資格喪失と資格取得の手続きが必要となります。しかし、元の事業主と譲渡先の事業主に同一性が認められれば、その譲渡に伴って移動する従業員に関しては転勤の手続きを行うことになります。この同一性の有無はハローワークで確認することになります。

 本件については、事業譲渡に伴い、労働契約は承継されていますので、基本的には年次有給休暇の継続勤務の判断に当たって、譲渡元会社に勤務していた期間も通算されると考えられます。就業規則等を確認されたうえで、所管の労働基準監督署で相談されてはどうでしょうか。また、雇用保険については、譲渡元の会社と譲渡先の会社について同一性があると考えられるかどうか、詳細について管轄のハローワークで相談されてはどうでしょうか。

 以下の厚生労働省のホームページもご参照ください。

〇労働基準監督署 管轄地域と所在地一覧
 https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/list.html

〇ハローワーク一覧
 https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-hellowork/list.html

〇「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」など 
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084655.html

Q2 アルバイト従業員から、休憩時間についての相談

 飲食店でアルバイトをしています。労働条件は1日8時間勤務(1時間休憩)です。ほぼ毎日4時間程度の残業を行い、その残業代は支払われています。
 しかし、休憩時間は実際には30分しか取れず、10分程度の日もあります。ただし勤務実績表では、「労働基準法で決められているから」と1時間の休憩を取得したことにされ、その分の賃金は支払われていません。
 「このようなやり方はおかしいです。実態に合わせて賃金を支払ってください。」と抗議もしましたが、取り合ってくれません。どうすればよいでしょうか。

 使用者が労働者に労働させることができる時間は労働基準法で定められています(法定労働時間)。原則として、休憩時間を除き、1日8時間、週40時間を超えて労働させてはなりません【労働基準法第32条】。

 また、使用者は、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を与えなくてはなりません【労働基準法第34条】。
 
 なお、使用者は、法定労働時間を超えて時間外労働をさせた場合、深夜(原則として午後10時から午前5時)に労働させた場合には2割5分以上、法定休日に労働させた場合には3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません【労働基準法第37条】。

 また、使用者が労働者を、所定労働時間を超えて労働させる(残業させる)ためには、具体的な指示に基づいた業務命令が必要であり、その命令が適法なものでなければならないとされています。明示された命令だけでなく黙示の指示が認められる場合もあります。 

 以上のことから、休憩時間に既に行った時間外労働が、使用者からの業務命令に基づくものであれば、その労働時間分の割増賃金を請求することになります。また、そもそも本来は、休憩すべき時間であるため、今後確実に休憩が取れるよう、仕事のすすめ方について、使用者と話し合うことが必要です。1人では難しければ、同僚とともに、又は労働組合に加入する等し、話し合われてはどうでしょうか。

 また、労働時間・休憩時間の取得、割増賃金の支払いが、労働基準法に反している場合には、労働基準監督署に申告することも可能です。


Q3 使用者から、就業規則の変更についての相談

 この度、フレックスタイム制を導入するにあたり、就業規則の改訂を検討しています。この場合、労働基準監督署への届出は必要でしょうか。また、労使協定も必要かと思いますが、社内には労働組合がありません。親睦会と労使協定を結ぶことを考えていますが、可能でしょうか。

  フレックスタイム制とは、1か月以内の一定期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で、各日の始業及び終業の時刻を定めて働く制度です【労働基準法第32条の3】。
 フレックスタイム制を導入するためには、就業規則に規定することと、次の事項について労使協定を締結する手続きが必要です。ア 対象となる労働者の範囲、イ 清算期間とその起算日、ウ 清算期間中の総労働時間、エ 標準となる1日の労働時間の長さ、オ コアタイム・フレキシブルタイムを設ける場合は、その開始時刻と終了時刻。
 また、就業規則を変更する場合、使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、そのような労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。そのうえで、その者からの意見書を添え、変更した就業規則を、労働基準監督署長に届け出なければなりません【労働基準法第90条、同法施行規則第49条第2項】。
 労使協定は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そのような労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者と締結します。
 なお、労働者の過半数を代表する者は、本協定を締結するための過半数代表者を選出することを明らかにしたうえで、投票、挙手などにより選出します。
 また、平成30年度の働き方改革関連法の成立により、平成31年4月1日から労働基準法が改正され、フレックスタイム制の「清算期間」の上限が1か月から3か月に延長されました。また、清算期間が1か月を超える場合には、労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出なければならなくなりました。1か月以内の場合は、これまでと同様、労使協定の締結は必要ですが、所轄労働基準監督署長に届け出る必要はありません。 

  以上のことを参考にされ、フレックスタイム制を導入する場合には、就業規則を改訂し労働基準監督署長へ届出を行うとともに、労使協定を締結してください。親睦会の代表者は、本協定を締結するために選出されたわけではありませんので、改めて本協定の締結当事者となることの信任を得る必要があります。また、フレックスタイムの清算期間が1か月を超える場合は、労働基準監督署長への届出が必要となります。

  以下の厚生労働省のホームページもご参照ください。

○「効率的な働き方に向けて フレックスタイム制の導入」

  https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/flextime

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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