今月の事例解説(R2.6)

更新日:令和2年7月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 労働者から、新型コロナウイルス感染症に関連した有給休暇についての相談

 パートタイム労働者として週2回、医療業で働いて1年6か月が経過しています。今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止の観点から、有給休暇を取得して対応したいと思い、就職後1度も有給休暇を取得しておらず、今回初めて、使用者に有給休暇について確認しました。
 ところが、使用者はパートタイマーには有給休暇はないと言われました。有給休暇を取得できないでしょうか。

  

  パートタイム・有期雇用労働法では、パートタイム労働者(短時間労働者)について、「1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比し短い労働者」と規定されています【パートタイム・有期雇用労働法第2条】。なお、「パートタイマー」、「アルバイト」、「嘱託員」、「契約社員」、「臨時社員」、「準社員」などの呼称であっても、上記に該当する場合はパートタイム労働者として同法の保護の対象です。

 さて、年次有給休暇についてですが、雇い入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全所定労働日の8割以上出勤した労働者に対して、使用者は事業所の規模にかかわらず付与しなければなりません。また、付与日数は勤続年数に応じて加算され、パートタイム労働者のような非正規労働者であっても、週所定労働日数等に応じて有給休暇が付与されます【労働基準法第39条第1項、同第2項、同第3項】。

 年次有給休暇は、労働者が希望する日に休みを取ることができる制度ですが、休暇を取得することによって事業の正常な運営が妨げられると認められるときには、使用者は、時季変更権を行使して、労働者の休暇を取得する時季を変更することができます【労働基準法第39条第5項】。
 また、付与日数は、年次有給休暇が付与される基準日における所定労働日数に応じて決まり、基準日に達した時点で付与されます【昭和63.3.14基発150号】。なお、付与された年次有給休暇の時効は2年間です【労働基準法第115条】。
  
 ご相談の場合では、週所定労働日数が2日であり、勤務開始後1年6か月が経過しているため、7(3+4)日分の有給休暇が付与されていることになります。なお、有給休暇について、法律で定められている最低基準についての詳細は労働基準監督署に、加えて職場において最低基準以上の取扱いがある場合には、就業規則を確認されるか使用者に尋ねられてはどうでしょうか。

(参考)

(1) 週所定労働日数が5日以上または週所定労働時間が30時間以上の労働者

勤続勤務年数

0.5

1.5

2.5

3.5

4.5

5.5

6.5以上

付与日数

10

11

12

14

16

18

20

(2)  週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者

週 所 定

労働日数

1年間の所定

労働日数※

勤 続 年 数 と 付 与 日 数

 

0.5

1.5

2.5

3.5

4.5

5.5

6.5以上

4日

169から216日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日

121から168日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日

73から120日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日

48から72日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

   ※週以外の期間によって労働日数が定められている場合
                       【労働基準法第39条第2項、労働基準法施行規則第24の3】
 

Q2 労働者から、新型コロナウイルス感染症に関係した休業手当の支払いについての相談

 飲食店に勤めています。使用者は、政府の「緊急事態宣言」を受けて、4月20日から5月1日まで、休業しました。このため使用者と話し合い、休業期間中は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」として休業手当を労働基準法どおり、平均賃金の100分の60の支払いで同意しました。
 ところが、給料日になっても、休業手当が支払われません。どのように対応すればよいのでしょうか。

 休業手当とは、労働基準法第26条において、使用者の責に帰する事由により労働者を休業させる場合には、当該休業期間中、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければならないと規定されています。ただし、不可抗力による休業の場合は「使用者の責に帰する事由」には該当せず、休業手当の支払義務はありません。ここでいう「不可抗力」とは、その原因が事業の外部により発生した事故であること、および事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2つの要件を満たす必要があると解されており、新型コロナウイルス感染症に関連する休業について、厚生労働省は、例えば自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合においてこれを十分検討するなど、最善の努力を尽くしていないと認められる場合には、「使用者の責に帰すべき事由」に該当し、休業手当を支払うべき場合があるとしています。

 今回のご相談ですが、まず、支払われていない手当(賃金)の額を算出し、特定します。また、遅延損害金を加えることもできます【賃金の支払いの確保等に関する法律第6条、同法施行令第1条】【商法第514条】【民法第404条】。
   ※民法が改正され民事法定利率(3年ごとに見直される変動制)は年3%となりました(令和2年4月施行)。
 つぎに、使用者に支払われていない手当(賃金)の支払を期日を指定して請求します。請求は、口頭でも文書でもできますが、事後の対応を考えると、できれば内容証明郵便等を利用し、文書による請求が望ましいでしょう。
 使用者が、未払賃金があることを認めてはいるものの、資金繰りなどですぐに支払えないということであれば、使用者との間で賃金債権の存在を確認し、「未払賃金確認書」などとして文書化することが必要です。
 さらに、請求しても使用者が賃金を支払わない場合には、労働基準監督署に申告して行政指導を求める、労働組合を通じて団体交渉を行う、大阪府の「調整」「あっせん(労働委員会)」を申請する、法的手段をとるなどの方策が考えられます。
 なお、法的手段をとる場合、簡易裁判所での少額訴訟や支払督促の手続を利用する方法、地方裁判所へ労働審判の申し立てや、裁判外紛争解決制度(ADR)の活用も考えられます。
   ※賃金の消滅時効は3年(当分の間)、退職金は5年です。なお、時効の起算日は支払われるべき日の翌日となります。

 

Q3 使用者から、団体交渉についての相談

 正社員で雇用している従業員Aは、勤務態度が悪く再三指導しても、態度が改まらないため、給与の切り下げを提案しました。この提案に対して従業員Aは態度を明確にしていませんでしたが、突如、地域の合同ユニオンから従業員Aはこのユニオンに加入したとして、雇用条件に関する団体交渉の開催申入れがありました。
 会社には労働組合はなく、従業員Aとの話し合いは考えているものの、このユニオンの団体交渉に応じるつもりはありません。
 合同ユニオンの団体交渉の開催申し入れに対して、どの様に対応すればいいでしょうか。
 

  合同ユニオンとは、どこの会社に勤めているかは関係なく、一定地域に存在する中小零細企業の労働者などが、個人加入する労働組合のことです。合同ユニオンは、企業の枠を超え、様々な業種・職種の労働者が個人で加入することができるので、会社内に労働組合がない場合や会社内に労働組合があってもその労働組合には加入したくない場合でも、加入することができます。また、正社員だけでなく、契約社員・パートタイマー・派遣労働者、さらに管理職まで加入できるものがあります。しかし、合同ユニオンも、企業別組合と同じように、労働組合法上の労働組合であることにはなんら違いはありません。
 
 この合同ユニオンからの団体交渉の開催申し入れですが、労働組合法第7条第2号において、「使用者は雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なく拒むこと」を不当労働行為として禁止しています。なお、雇用する労働者の代表とは、企業別労働組合であるか、合同労組であるかは問われておらず、使用者は、合同労組から団体交渉を求められた場合においても、これを拒否できません。
 会社側が団交拒否の理由として挙げるものに、労働組合が組合員名簿を提出しない、別組合との間に唯一交渉団体条項がある、訴訟中である、争議中である、要求が過大すぎるなどがありますが、多くの場合、正当な理由とはいえません。
 
 なお、団体交渉の開催にあたっては、労使双方とも、相手方の申し入れた条件に拘束されるものではなく、相手方の申し入れた期日、時間、場所に従って交渉をしないというだけでは団交を拒否したことにはなりません(昭24年7月8日 労収第5423号)。団体交渉の議題を検討するために一定の期間が必要であるなどの理由を説明して期日の延期を申し入れることや、開催時間、開催場所等について、別の方法を提案することも可能です。
 団交を円滑に進めるためには、あらかじめ労使間で団交ルールを確立しておくことが望ましいといえます(ただし団交ルールが確立されていないことを理由に、使用者は団交を拒否することはできません)。
 
以下のホームページをご参照ください。
 あすへの対話−労働組合の結成と運営− 
   http://www.pref.osaka.lg.jp/sogorodo/keihatusahi-refureto/asuhenotaiwa.html
  

  
 夜間相談の日程と場所(令和2年6月から8月)

* 夜間相談日は、下記日程の午後8時までご相談を受け付けています。
* 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、当面の間、面談を休止し、電話での相談のみとなります。また、予定が変更になる場合があります。ご了承ください。

□ 大阪府労働環境課(労働相談センター)/大阪市中央区石町2−5−3エル・おおさか南館3階


                       相談専用Tel : 06-6946-2600
                       職場のセクハラ相談・女性相談専用Tel : 06-6946-2601


       ※「セクハラ相談・女性相談」については、ご希望により女性相談員の対応も可能です。

【夜間相談日程】     

 令和2年        6月4日(木曜日)
          6月11日(木曜日)
          6月18日(木曜日)
          6月25日(木曜日)
          7月2日(木曜日)
          7月9日(木曜日)
          7月16日(木曜日)
          7月30日(木曜日)
          8月6日(木曜日)
          8月13日(木曜日)
          8月20日(木曜日)
          8月27日(木曜日)

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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