今月の事例解説(H30年4月分)

更新日:平成30年5月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 期間の定めのあるパート社員から産前産後・育児休業についての相談

 期間の定めのあるパート社員として勤務しています。現在、妊娠4か月目なのですが、使用者に「出産前後には産休を、その後は育休を取得させてもらいたいのですが」と申し出ると、「パート社員がそのような休みを取った例はない。休みをとるなら辞めてもらう」と言われました。どうしたらよいのでしょうか。

 産前産後休業について、使用者は、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはなりません。また、産後8週間を経過しない女性を就業させることはできません。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えありません【労働基準法第65条】。なお、産前産後休業の取得は、正社員だけに限られるものではありません。

 育児休業については、一定の要件を満たす男女労働者が、1歳に満たない子を養育するために、事業主に申し出ることにより、雇用の関係を継続したまま、休業することができます。また、子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合には、子が1歳6か月に達するまで延長することができます。なお、1歳6か月以降も、一定の場合には最長2歳に達するまで再延長することができます【育児・介護休業法第2条、第5条】。
 ただし、期間の定めのある労働者の場合は、次の両方の要件を満たす場合に取得できます。
(1) 今の使用者に引き続き1年以上雇用されていること
(2) 子が1歳6か月に達する日(1歳6か月から2歳までの育児休業の申出の場合は、2歳に達する日)までに労働契約が満了し更新されないことが明らかでないこと 【育児・介護休業法第5条第1項】

 また、産前産後休業については、男女雇用機会均等法において、事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、産前休業を請求したり産後休業を行ったこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない旨、定められています【男女雇用機会均等法第9条第3項】。

 なお、産前産後休業中及びその後30日間の解雇は、労働基準法で禁止されています【労働基準法第19条】。
 育児休業については、育児・介護休業法において、「事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と定められています【育児・介護休業法第10条】。

 以上のことから、使用者に対し、再度、産前産後休業及び育児休業の取得については、法で定められている旨を説明しながら、産前産後休業の取得を求め、加えて、ご自身が育児休業を取得することのできる期間の定めのある労働者の要件をみたすのであれば、育児休業の取得も求めてはどうでしょうか。

 それでも、使用者が、「辞めてもらう」と述べるのであれば、当所の個別労使紛争処理「調整」「あっせん」制度の活用や、大阪労働局雇用環境・均等部指導課への相談を、ご検討されてはどうでしょうか。

※ 育児・介護休業法:「育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
※ 男女雇用機会均等法:「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」
   以下のホームページもご参照ください。
  ○「女性のための働くルールブック」(大阪府総合労働事務所ホームページ)
     http://www.pref.osaka.lg.jp/sogorodo/keihatusahi-refureto/joseirulebook.html
  ○厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」(平成29年10月1日施行対応)
     http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/34.html
 

Q2 アルバイトの方から賃金未払いについての相談

 アルバイトとして働き、3か月になります。労働契約書等の書面をもらったことがありません。勤務時間についても、はっきりと言われたわけではありませんが、働いて来ました。時給は求人票に記載のあった金額だと思っています。8時30分から17時30分まで働き、タイムカードにもその旨記載していますが、休憩時間の1時間を差し引いても、実際に働いた時間数の賃金を支払われていません。請求することは可能なのでしょうか。なお、従業員はアルバイトを含めて8名の会社で、就業規則はありません。
 

 賃金は、「通貨で」「全額を」「毎月1回以上」「一定期日に」「直接労働者に」支払わなければなりません【労働基準法第24条】。

 まずは、毎月の給与明細を確認する、口頭で説明された労働契約内容を整理する、求人票の内容を確認するなどして、使用者に支払われていない賃金額を算出し、特定してください。

 その上で、使用者に支払われていない賃金の支払いを、期日を指定して請求します。請求は口頭でも構いませんが、事後の対応を考え、できれば内容証明郵便などを利用し、文書で請求されるのが望ましいといえます。

 また、請求しても使用者が賃金を支払わない場合には、労働基準監督署に申告し、行政指導を求める、労働組合を通じて団体交渉を行う、大阪府総合労働事務所に「調整」「あっせん」を申請する、法的手段をとる等の対応が考えられます。

 なお、賃金の消滅時効は2年間、退職金は5年間です【労働基準法第115条】。

Q3 使用者からみなし労働時間制についての相談

 当社では、業務の性格上、会社以外の場所で働いてもらう場合が頻繁にあります。「みなし労働時間制」というのがあると聞いたのですが、どういうものでしょうか。

 「みなし労働時間制」とは、実際の労働時間数にかかわらず、ある一定時間労働したとみなすことです。事業場外労働の場合と裁量労働制の場合の2種類があります。

(1) 事業場外労働のみなし労働時間制
 本来、労働基準法で労働時間と言っているのは実際に仕事をしている時間(実労働時間)のことです。しかし、外交セールスや記事の取材などの事業場外労働は、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、使用者による実際の労働時間の把握や算定が困難な場合があります。そのような場合には、所定労働時間働いたものとみなすことが認められています。
 ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したとみなされます。
 その場合に、労使協定を締結したときは、その協定で定める時間が当該業務の遂行に通常必要とされる時間となり、協定で定める時間が法定労働時間を超えるときは、労使協定を労働基準監督署長へ届け出ることが必要です。【労働基準法第38条の2】

(2) 裁量労働制
 業務の性質上、仕事の仕方や時間配分などのその遂行の方法を、使用者が具体的に指示するものではなく、大幅に労働者の裁量に委ねるものを裁量労働といい、労使で定めた「業務の遂行に必要とされる時間」労働したものとみなします。
 研究開発の業務など19種の業務を対象とし、労使協定を締結することにより導入することができる「専門業務型裁量労働制」と、事業の運営に関する事項についての企画、立案などの業務を対象とし、労使委員会での決議を行うことにより導入することができる「企画業務型裁量労働制」があります。【労働基準法第38条の3、4】

 以上のことを参考にされながら、事業場外での労働が多く、実際の労働時間の把握が困難な場合は、「事業場外労働のみなし労働時間制」を導入するかどうか、検討されてはどうでしょうか。詳しくは、労働基準監督署でおたずねください。

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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