今月の事例解説(H29年12月分)

更新日:令和2年4月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 パート社員から有給休暇についての相談

 パートで働いています。先月、有給休暇を1日取得しましたが、給料明細を見ると、その日の賃金が半分程度にカットされていました。
 会社に確認すると「その日の午後は、業務が無かったため、パート従業員全員を帰宅させた」との理由で、午後の賃金を支払わないこととしたとの回答がありました。
 賃金がカットされるのはおかしいのではないでしょうか。

 年次有給休暇は労働基準法で定められたものであり、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、最低10日の有給休暇を与えなければなりません。週所定労働日数が5日以上または週所定労働時間が30時間以上であれば、最低10日の有給休暇の請求権が発生し、所定労働日数が少ない労働者(週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者)には、週所定労働日数に応じて有給休暇が比例付与されます【労働基準法第39条、労働基準法施行規則第24条の3】。

 取得の時季については労働者に時季指定権がありますが、当該労働者が当該日の業務運営に不可欠であり、かつ代替要員の確保が困難であるなど事業の正常な運営を妨げるような場合には、使用者には時季を変更する権利(時季変更権)が認められます【労働基準法第39条第5項】。

 次に、労働基準法第26条(休業手当)では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中の当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」と定められています。

 また、使用者の責に帰すべき事由により休業させる期間が1日の所定労働時間の一部のみの場合にも、その日について平均賃金の100分の60に相当する金額を支払わなければならないため、現実の就労した時間に対して支払われる賃金が100分の60に満たない場合には、その差額を支払わなければなりません【昭27.8.7基収3445号】。

 なお、使用者の責に帰すべき事由による休業期間について、当日が休業になることを予知しないときに、年次有給休暇を請求し、これに対して適法な時季変更権の行使がなかった場合には、年次有給休暇は有効に成立すると解されます。

 本件の場合、「午後の業務がなかったため」との理由であるため、「使用者の責に帰すべき事由」による休業であるといえます。また、休業日であれば、当日の年次有給休暇については、「事業の正常な運営を妨げる」ことにはなりませんので、時季変更権は認められず、使用者は、予定どおり年次有給休暇を認める必要があります。

 したがって、使用者に、予定どおりの年次有給休暇取得及びそれに伴う当日の賃金の100%の支払いを求めてはどうでしょうか。また、他のパート従業員についても、当日の休業手当の支払いを求められてはどうでしょうか。

Q2 正社員から退職勧奨についての相談

 3か月前に、正社員として就職しました。業務量が多く、仕事にも慣れていないためか、入社後、体調を崩し、しばらく休んだりもしました。現在は、体調も戻り、仕事にも少しずつ慣れて来ました。
 しかし、現在、会社を休んだこと等を理由とし、上司から、しばしば退職勧奨を受けています。
 今後、どのように対応すればいいのでしょうか。
 

 退職勧奨とは、使用者が労働者に退職を勧めることをいいます。退職勧奨は、あくまで使用者が労働者に退職を勧めるものであり、応じるかどうかは労働者の判断となります。労働者側に退職する意思がなければ応じる必要はありません。

 また、上司の発言が、退職勧奨なのか解雇なのか不明な場合、まず、「発言の趣旨は退職勧奨なのか解雇通告なのか」「それが真に会社の責任ある立場にある者からの通告かどうか」を確認することが必要です。

 退職勧奨を受けた労働者が、何も意思表示をしないままにすると、使用者は「労働者が退職勧奨に合意して退職した(黙示による合意解約)」と取り扱うことがあります。また、労働者が退職勧奨を受けたときに「考えさせて欲しい」などとあいまいな返答をすると、それをもって使用者が「承諾した」と受け止めてしまうかも知れません。

 労働者が退職勧奨に応じる意思がなければ、そのことを使用者に書面などで確実に意思表示するという方法もあります。

 また、退職勧奨の手段・方法において、それが勧奨を受ける労働者の自由な意思決定を妨げ、社会通念上の相当性を欠く場合(たとえば、労働者が退職を拒否しているにもかかわらず、数人で取り囲んで繰り返し勧奨するなど)は、違法な退職勧奨(退職強要)となり、行為そのものが不法行為として損害賠償請求の対象となることがあります。

 以上のことを参考にされ、ご自身の意思を、はっきりと説明されるなど、毅然とした対応をされてはどうでしょうか。

Q3 使用者から従業員のメンタルヘルスについての相談

 新たに採用した従業員が、入社3日目にめまいがすると言い、1日休みました。さらに、2か月後に、再び、めまいがすると言い、休みました。その後、従業員から「うつ状態」との診断で1か月の自宅療養が必要との診断書の提出がありました。
 会社には、就業規則はあるものの、病気休職に関する規定はありませんので、現在は欠勤ということになっています。また、当該従業員が「うつ状態」に至った理由については特に報告を受けていませんが、職場の人間関係に悩んでいたのではないかと言う同僚もいます。
 会社としては、今後どのように対応すればよいでしょうか。

 私傷病による病気休職は、業務外の傷病による長期欠勤が一定期間に及んだときに行われるもので、休職期間中に傷病から回復し就労可能となれば休職は終了し、復職となります。使用者は、就業規則に基づき対応することになります。

 一方、使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとされており(安全配慮義務)、メンタルヘルスもこの対象となります【労働契約法第5条】。

 また、休業が、業務上の傷病(業務災害)である場合には、休業期間中とその後30日間は、解雇することはできません【労働基準法第19条】。
 以上のことを参考にされ、今後の対応については、当該従業員とよく話し合われ、主治医や産業医にも相談しながら、検討されてはどうでしょうか。
 なお、独立行政法人労働者健康安全機構 大阪産業保健総合支援センターの相談や当所の「職場におけるメンタルヘルス専門相談」(要予約)の利用も、検討されてはどうでしょうか。
    ○厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針(外部サイト)

  ○厚生労働省「改訂心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(外部サイト)

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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