今月の事例解説(H29年10月分)

更新日:平成29年11月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 派遣社員から契約の打切りについての相談

 派遣社員として勤務しています。派遣先の経営不振により、派遣先から「派遣契約を打ち切るので、もう来なくて良いです。」と言われました。派遣元の会社に何とかしてもらうことはできないでしょうか。

 労働者派遣契約の中途解除によって、派遣労働者の雇用が失われることを防ぐため、派遣先の都合により派遣契約を解除する場合、派遣先は、(1)派遣労働者の新たな就業機会の確保、(2)休業手当などの支払いに要する費用の負担などの措置をとらなければなりません【労働者派遣法第29条の2】。

 また、派遣元は労働者派遣契約の解除に当たって次の措置を講ずべきこととされています。(1)労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該労働者派遣契約に係る派遣先と連携して、派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受けること、(2)派遣元において他の派遣先を確保すること等により、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること、(3)新たな就業機会の確保ができない場合は、まず休業等を行い、雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当の支払い等の労働基準法に基づく責任を果たすこと、等です【派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針最終改正平成29年厚生労働省告示第210号】。

 したがって、まずは雇用契約を結んでいる派遣元に対し、新たな就業先の確保を求め、確保できるまでは休業手当【労働基準法第26条】の支給を求めてはどうでしょうか。

以下の指針等もご参照ください。
 ○厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成29年5月30日以降)」
   第7「派遣元事業主が講ずべき措置等」内「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」
   第8「派遣先の講ずべき措置等」内「派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針」
    http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/

※労働者派遣法:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

Q2 正社員から長時間労働についての相談

 3年ほど前から正社員として勤務していますが、月曜日から土曜日まで仕事があり、毎日残業で遅く、帰宅時間が12時を超えることもしばしばで、毎月100時間以上残業しています。
 給料は、基本給のみの支給で、残業代は支払われていません。
 また、有給休暇も誰も取っておらず、心身ともに疲れ果てていますが、今のこの状況はどうにかならないでしょうか。
 

 労働基準法は、法定労働時間について、原則として休憩時間を除き1日8時間、1週40時間と定めています【労働基準法第32条】。また、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を与えねばなりません【労働基準法第34条】。使用者が法定労働時間を超えて残業をさせるためには、労働基準法第36条に基づく労使協定(いわゆる「サブロク協定」)を、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者と書面により締結し、これを管轄の労働基準監督署に届け出ることが必要です。この法定労働時間を超える時間外労働については、厚生労働省は、「時間外労働の限度等に関する基準」【平成10年12月28日労働省告示第154号】を定め、これに適合したものとすることを求めています。

 また、使用者は、法定労働時間を超えて時間外労働をさせた場合及び深夜(原則として午後10時から午前5時まで)に労働させた場合にはそれぞれ2割5分以上、法定休日に労働させた場合には3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません【労働基準法第37条、割増率令】。

 また、労働安全衛生法及び同規則では、事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1か月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者である労働者の申出により、医師による面接指導を行わなければならないと定められています【労働安全衛生法第66条の8、同規則第52条の2及び3】。厚生労働省によって策定された「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(一部改正平成28年4月1日基発0401第72号)においても、「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」として健康診断の実施や長時間労働者に対する医師による面接指導等が定められています。

 なお、有給休暇は、賃金の支給を受けながら休日以外に休みを取得することができる制度であり、労働基準法において規定されています【労働基準法第39条】。

 以上のことから、まずは、タイムカードや業務日報等をもとに、ご自身の勤務実態を把握し、上司や事業主に対して、残業代の支払い、医師による面接指導を受けること、年次有給休暇の取得等を求めてください。同僚の方も同じ状況であれば協力し、これらのことや、長時間にわたる労働時間の改善を、求めることも有効であると思われます。

 請求しても、使用者が残業代を支払わない場合等、労働基準法に違反する対応であれば、労働基準監督署に申告して行政指導を求めてはどうでしょうか。また、労働組合を通じて団体交渉を行う、大阪府総合労働事務所等で行っている個別労使紛争処理制度を活用するなどの方策も考えられます。

以下のホームページもご参照ください。
 ○厚生労働省「長時間労働削減に向けた取組」
  http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/151106.html

 ○「過重労働による健康障害防止のための総合対策」
  http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000077360.pdf

Q3 使用者から無期転換ルールについての相談

 当社では、来年4月に、いわゆる無期転換ルールの適用を受ける社員がいます。無期転換ルールに対応するにあたり、どのような準備を行えばいいでしょうか。

 無期転換ルールとは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことです【労働契約法第18条】。平成25年4月1日以降に開始された有期労働契約が対象となることから、同30年4月1日で5年が経過し、今後、無期転換の本格的な発生が見込まれるため、就業規則や社内制度の検討・整備等を行う必要があります。また、就業規則を変更する場合には、作成する場合と同様に、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者の意見を添えて、管轄の労働基準監督署に届け出る必要があります【労働基準法第90条】。

 以下のことに注意し、無期転換ルールへの対応の準備をされてはどうでしょうか。
1 社内における有期社員の就労実態を把握すること
 雇用している有期社員の人数、職務内容、労働時間、契約期間、更新回数、勤続年数、今後の働き方に対する考え、無期転換申込権の発生時期などを整理してください。
2 社内の仕事を整理し、社員区分毎に任せる仕事を考えること
 有期社員が無期転換した場合、転換後の雇用区分に応じ、役割や責任を明確にする必要があります。中長期的な視点を持ち、効果的な人事管理を行うために、仕事の内容を分類し、有期社員の転換後の役割を整理することが必要です。
3 無期転換後の労働条件を検討し、就業規則等を整備すること
 雇用形態・労働条件について検討し、その内容に基づき就業規則を作成・改訂してください。
4 事前説明・運用・改善を行うこと。
 無期転換をスムーズに進める上で大切なのは、制度の設計段階から、労使のコミュニケ―ションを密に取ることです。労使双方が納得できる制度を構築するために、丁寧な説明を心がけるとともに、円滑に無期転換制度が運用されているかを把握し、必要に応じて改善を行うことが望まれます。

以下のホームページもご参照ください。
 ○厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」
  http://muki.mhlw.go.jp/ 

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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