今月の事例解説(H29年3月分)

更新日:平成29年4月1日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 元契約社員から未加入の雇用保険の手続についての相談

 法人と、1年間の有期労働契約(1日8時間、週5日勤務)を結び、1度更新を行い、2年間勤務し、先月退職しました。その間、雇用保険に加入していませんでした。最近、友人から、遡って加入できることを聞いたのですが、どうすればいいのでしょうか。

 雇用保険は、事業主の任意加入ではなく、業種・規模等を問わず、すべての事業(農林水産業の一部を除く)が適用を受ける強制加入の保険です。雇用保険の適用事業所に使用され、週の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上引き続き雇用されることが見込まれる労働者は、被保険者になります。
 
 ただし、4ヶ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される方などは、雇用保険の適用除外となるなど、雇用形態等により被保険者とならない場合もあります。
 
 労働者が被保険者であるにもかかわらず、事業主が加入の手続きをしていない場合は、被保険者資格取得届を提出した日から最大2年遡って加入することができます(2年分の保険料は、それぞれの料率に応じて労働者と事業主双方で負担します)。また、労働者の給与から雇用保険料が天引きされていたことが明らかで、加入の手続きがされていなかった場合には、2年を超えて遡って加入することができます。
  
 被保険者になる資格があるのであれば、改めて事業主に加入を求め、受け入れられない場合には、事業所の所在地を管轄するハローワークにそのことを申し出て、手続きを進めてもらうことになります。

   被保険者資格については、厚生労働省のホームページをご覧ください。
  「雇用保険の加入手続きはきちんとなされていますか」
  http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147331.html
 

Q2 正社員からユニオン・ショップ協定による解雇についての相談

 就職した会社がユニオン・ショップ協定(ユ・シ協定)を結んでいたため、当該労働組合への加入を再三勧められましたが、結果として労働組合には入りませんでした。その後、労働組合未加入を理由に解雇されましたが、ユ・シ協定が締結されていれば、解雇されても仕方がないのでしょうか。

 ユニオン・ショップ協定とは、使用者が自己の雇用する労働者のうち当該労働組合に加入しない者及び組合員ではなくなった者を解雇する義務を負うことを定めた労使間の協定のことで、労働組合法第7条第1号ただし書で認められています。

 ユ・シ協定に基づく解雇は、ユ・シ協定の効用、労働者は当該組合又は他の組合に加入することにより解雇を免れ得ること、使用者は協約上の義務に基づいて解雇するのであり恣意的な解雇とは異なることなどから、解雇権の濫用とはならないとの考え方が、学説・裁判上の大勢となっています。

 また、ユ・シ協定を締結している労働組合を脱退して別組合に加入した者に対して行われたユ・シ協定に基づく解雇が無効であるとされた判例があります【三井倉庫港運事件 最一判平成元.12.14】。

 つまり、使用者がユ・シ協定に基づく解雇義務を負うのは、当該労働組合に加入しない場合、又は脱退等により組合員資格を失った労働者が、他の労働組合に加入せず、新たな労働組合も結成しないときに限られます。

 なお、実際には、ユ・シ協定とはいえ、脱退者等の解雇について具体的な規定を欠くものや、「原則として解雇する」「労使協議して決定する」などと定めている場合も多いようです。まずは、会社のユ・シ協定の具体的な内容を確認されてはどうでしょうか。 
 

Q3 使用者から少人数事業所の就業規則作成についての相談

 従業員4名の事業所経営者ですが、これまで就業規則を作成していませんでした。今後、労働者とのトラブルが起きないよう就業規則を作成したいと考えています。どのようなことに留意すればいいのか、また、一般的なひな形があれば教えてください。

 就業規則は事業所における労働者の賃金、労働時間等の労働条件に関する具体的な項目や、職場の規律、その他労働者に適用される各種の定めを含む規則のことです。

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出る義務があります【労働基準法第89条】。

 10人未満の事業所であれば就業規則を作成する法的な義務はありません。

 しかし、就業規則を作成すれば労働条件や服務規律が明確となり統一的な雇用管理ができるようになるため、10人未満の事業所でも就業規則を作成することは望ましいものです。

 なお、10人未満の事業所の場合、10人以上の事業所に義務づけられる過半数労働組合等への意見聴取や所管労働基準監督署への届出は不要ですが、労働者への周知義務はあります【労働基準法第90条、106条】。

 就業規則のひな型については、厚生労働省ホームページに「モデル就業規則」が掲載されていますので、参考にしながら、就業規則を作成されてはどうでしょうか。
 
 「モデル就業規則について」
 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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