今月の事例解説(H28年11月分)

更新日:平成29年6月22日

今月の労働相談事例解説

Q1 正社員から恒常的な残業と休日出勤についての相談

 現在、正社員として、シフト制で勤務しているのですが、辞めた社員の補充がされないため、休憩も取れず、恒常的な残業と休日出勤が続いています。会社は実態を把握しているはずですが、「何とか勤務シフトを回してくれ」と言うだけです。
 最近は、精神的にもつらくなってきました。どうすればいいのでしょうか。。

 労働基準法は、法定労働時間について、原則として休憩時間を除き1日8時間、1週40時間と定めています【労働基準法第32条】。また、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を与えねばなりません【労働基準法第34条】。

 法定労働時間を超えて残業させる場合は労働基準法第36条に基づく労使協定(いわゆる「さぶろく協定」)を締結し、事前に所轄の労働基準監督署に届け出ることが必要です。

 時間外労働については、厚生労働省は「時間外労働の限度等に関する基準」【平成10年12月28日 労働省告示第154号】を定め、これに適合したものにすることを求めています。

 また、労働安全衛生法及び同規則では、事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1か月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者である労働者の申出により、医師による面接指導を行わなければならないと定められています【労働安全衛生法第66条の8、同規則第52条の2及び3】。

 なお、厚生労働省によって策定された「過重労働による健康障害防止のための総合対策」【一部改正平成28年4月1日基発0401第72号】では、労働安全衛生法第66条の8及び第66の9の規定に基づき、労働者の時間外・休日労働時間に応じた面接指導等について、次のように定められています。
(1) 時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超える労働者であって、申出を行ったものについては、医師による面接指導を確実に実施するものとする。
(2) 時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超える労働者であって、申出を行ったもの((1)に該当する労働者を除く。)については、面接指導等を実施するよう努めるものとする。
(3) 時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超える労働者((1)に該当する労働者を除く。)又は時間外・休日労働時間が2ないし6月の平均で1月当たり80時間を超える労働者については、医師による面接指導を実施するよう努めるものとする。
(4) 時間外・休日労働時間が1月当たり45時間を超える労働者で、健康への配慮が必要と認めた者については、面接指導等の措置を講ずることが望ましいものとする。

 また、休日については原則として毎週1回以上与えられる必要があり、1回の休日とは暦日による午前0時からの24時間を指します【労働基準法第35条】。

 以上のことから、まずはご自身の勤務実態の把握に努めるとともに、上司や事業主に対して労働条件の改善を求めていかれてはどうでしょうか。さらに、時間外・休日労働時間数によっては面接指導等の申出を行うことも検討されてはどうでしょうか。

 また、労働時間や休日の労働基準法に違反している場合は、労働基準監督署への申告等を行うことも可能です。
 
 厚生労働省「時間外労働の限度等に関する基準」(平成10年12月28日 労働省告示第154号)
 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/040324-4.html
 
 厚生労働省「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(一部改正 平成28年4月1日基発0401第72号)
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/111208-3.pdf

Q2 労働者からストレスチェックについての相談

 今般、会社内でストレスチェックが実施されることを聞きました。仕事中、精神面で不安を感じるときもありますが、病院の受診が必要とは思っていません。
 一方、上司との折り合いが良くないので、ストレスチェックの結果を知られたくありません。どう考えたらいいのでしょうか。

 労働安全衛生法の改正により平成27年12月からストレスチェックの実施が一定規模以上の事業者の義務となりました(労働者数50人未満の事業場は当分の間努力義務)。

 ストレスチェックの検査結果は、検査を実施した医師、保健師等から直接本人に通知され、本人の同意なく事業者に提供することは禁止されています。

 検査の結果、一定の要件に該当する労働者から申出があった場合、医師による面接指導を実施することが事業者の義務とされており、また、申出を理由とする不利益な取扱いは禁止されています【労働安全衛生法第66条の10】。

 ストレスチェック制度は、労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気付きを促すとともに、職場改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防止することを主な目的としています。

 これらのことを踏まえて、ストレスチェックを自らの健康状態の把握の一助とするとともに、実施の際に不安な点については、事業者に確認するなどして臨んでいけばどうでしょうか。

厚生労働省「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150422-1.pdf

Q3 使用者から有給休暇についての相談

 従業員が10名に満たない会社を経営していますが、従業員に有給休暇を与えると会社の経営が成り立ちません。最近、従業員から有給休暇の取得を求められ、認めなかったところ、「労働基準法違反ではないか」と抗議されました。小規模な会社でも有給休暇を与える必要があるのでしょうか。

 年次有給休暇は労働基準法で定められたものであり、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、最低10日の有給休暇を与えなければなりません【労働基準法第39条第1項】。

 週所定労働日数が5日以上または週所定労働時間が30時間以上であれば、最低10日の有給休暇の請求権が発生し、所定労働日数が少ない労働者(週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者)には、週所定労働日数に応じて有給休暇が比例付与されます【労働基準法第39条、労働基準法施行規則第24条の3】。

 また、請求権は2年間で時効により消滅します【労働基準法第115条】。

 有給休暇に関して、会社や事業所の規模、従業員数によって扱いに差はありませんので、従業員数が少ないからといって「当社には有給休暇はない」等と法定の有給休暇の取得請求を拒否すると労働基準法違反となります。

 取得の時季については労働者に時季指定権がありますが、当該労働者が当該日の業務運営に不可欠であり、かつ代替要員の確保が困難であるなど事業の正常な運営を妨げるような場合に限って時季を変更する権利(時季変更権)が認められます。

 また、有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額や精皆勤手当及び賞与の算定等に際して、欠勤と取り扱うなど不利益な取扱いはしないようにしなければなりません。

 なお、労使協定を締結することによって、年次有給休暇のうち5日を超える部分については計画的に与えることができます【労働基準法第39条】。

 労働基準法の遵守はもとより、年次有給休暇を取得しやすい職場環境づくり、計画付与制度の導入や休暇取得計画の設定等により、年次有給休暇の取得促進を図りましょう。

☆11月は「過労死等防止啓発月間」です。

 過労死等防止対策推進法では、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、これに対する国民の関心と理解を深めるため、毎年11月を「過労死等防止啓発月間」と定めています。
 過労死等は、本人はもとより、その御遺族又は御家族にとって計り知れない苦痛であるとともに社会にとっても大きな損失です。事業主はもちろん、労働者やその周囲の人など、国民一人ひとりが過労死等に対する理解を深めて「過労死ゼロ」の社会を実現しましょう。

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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