今月の事例解説(H28年5月分)

更新日:令和2年4月1日

今月の労働相談事例解説

Q1 正社員から病気休職の取り扱いについての相談

 2か月前に上司が抑うつ状態となり休職したため、私の業務の負担が過重になりました。最近、私自身も抑うつ状態となったため、診断書を提出して病気休職を願い出たのですが、社長から「会社には病気休職はない」と言われました。
 どのように対応すれば良いのでしょうか。

  私傷病による病気休職とは、労働者が、私的な事由により傷病にかかり、その療養のため相当期間にわたり就労ができず会社を休む場合に、使用者が労働者について一定期間の就労を免除し、復職可能か否かを見極めることを目的とする制度です。

  私傷病による病気休職の制度は法律で定められたものではありません。

 したがって、会社によっても取り扱いが異なりますが、制度がある場合には、就業規則に明記したり労働契約において明示することが必要です【労働基準法第15条第1項、同法第89条第1項第10号】。

 本件の場合、まずは、労働契約や就業規則を確認され、もしも規程がない場合には、実際に上司の方が休職されているということなので、会社に対し、その取扱いの根拠や同じ取扱いをするよう交渉していくことも考えられます。

 また、ご病気が、業務遂行性(労働者が労働契約に基づき使用者の支配下にあること)を満たした上で、業務起因性(業務と傷病等との間に一定の因果関係が存すること)を満たし、業務災害と考えられるのであれば、労働災害として労災保険の手続きを行うこととなります。

  なお、労働災害による休職の場合は、休業期間中及びその後30日間は解雇することはできず【労働基準法第19条】、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治らない場合、使用者は平均賃金の1,200日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい(解雇制限は解除される)と定められています【労働基準法第81条】。
 

Q2 契約社員から時間外勤務手当が支払われないことについての相談

 アルバイトとして入社し、現在は契約社員として勤務しています。
 アルバイト時代から深夜手当以外に時間外勤務手当に相当する賃金の支払いは一度もありませんでした。
 一度、会社に時間外勤務手当の支給が無いのはおかしいのではないかと申し入れを行いましたが、正社員でも時間外勤務手当は全額出していないと言われました。
 どうすれば、支払ってもらえるのでしょうか。


 まず、ご自身が時間外勤務を行った時間数を具体的に把握することが肝要です。その上で会社に請求してください。同様の状況におかれているアルバイトの方や契約社員の方々がおられれば、協力して会社に対して支払いを求めることも効果的かと思われます。

  請求方法ですが、支払期限を明示した未払賃金請求書面を作成のうえ、内容証明郵便などで、使用者に送付され、請求してはどうでしょうか。

  それでも支払ってもらえない場合は、未払賃金請求書の写し、給与明細書、勤務実績表、雇用契約書などの資料を持参して、事業所を管轄する労働基準監督署に未払賃金の「申告」【労働基準法第104条】をされてはどうでしょうか。

  また、未払残業賃金請求額が60万円以下の場合、法的手段として一人でも手続きを行うことができる簡易裁判所における少額訴訟を行うこともできます。

以下のホームページもご参照ください。
少額訴訟手続きについて(外部サイト)」(法務省)

Q3 使用者から労働時間の管理についての相談

 当社は、労働時間をタイムカードで管理しており、残業代についても従業員の申請に基づいてきっちりと支払っています。
  ただ、一人だけ仕事もせずに残っている従業員がおり、タイムカードによる残業時間は月に数十時間に及んでいます。
  残業なら残業と申請するように指導をしていますが、自分の勉強のために残っているようで、残業代の申請は行っていません。
  このままの状況で問題はないのでしょうか。


 使用者には労働時間を適正に把握するなど、労働時間を適切に管理する義務があります【平13.4.6基発339号 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準】。

 また、労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、労働者の行為が指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まります【三菱重工業長崎造船所事件 最一小 平12.3.9判決】。

  したがって、使用者が労働者を所定労働時間を超えて残業させるためには、業務命令が必要ですが、具体的な指示がなくても、黙示の指示による場合として時間外労働であると認められたケースがあります【昭25.9.14基収2983号】。

  ご相談の場合、個人的な理由で職場に残っている時間について、現在のところ、従業員、使用者ともに残業時間であるとの認識はないとのことですが、仮に、その従業員がタイムカードをもとに、黙示の指示より残業したとし、残業代を請求した場合には、使用者に、職務命令に基づく労働時間ではないことを説明する必要が生じます。

  したがって、使用者としては、私的な用事を職場で行うことの是非を明確にし、正確な労働時間を把握し、適切に管理する必要があるのではないでしょうか。

以下のホームページもご参照ください。
労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(外部サイト)」(厚生労働省)

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

ここまで本文です。