今月の事例解説(H27年12月分)

更新日:令和2年4月1日

今月の労働相談事例解説

Q1 正社員から労働条件変更に関する相談

 企業に勤めて16年なります。社長から、「業績が悪く、人件費を削減するため」として、「正社員からアルバイトに変わるか、そうでなければ退職してもらうか、どちらかにしてもらえないか」と打診されました。

 アルバイトへの変更は、賃金が大幅に減少するため、応じることは困難であると考えています。このため、退職して転職することを考えていますが、退職にあたり退職金等の上積みを要求することができるでしょうか。 


 アルバイトへの変更は、労働契約の変更となり、賃金の減少となるのであれば、労働条件の不利益変更に当たります。法律では、使用者が労働者と合意することなく、労働条件を変更することはできません【労働契約法第8条】。

 したがって、労働条件の不利益変更に応じるつもりがないのであれば、その意思表示をすることになります。

 次に、社長からの退職の打診は退職勧奨であり、労働者に応じる義務はなく、応じるかどうかは労働者が判断することになります。退職に応じる場合は、勧奨による退職であり、会社都合による退職であることを確認する必要があります。

 雇用保険制度において、会社都合による退職の場合は、特定受給資格者として扱われ、失業等給付の給付制限期間(3か月)がかからず、給付日数についても自己都合退職より手厚くなる場合があります。雇用保険の取扱いについては、ハローワークに確認してください。

 なお、退職金については、就業規則(退職金規程)に基づきますが、退職勧奨による退職であることから退職金の上積みを任意に要求され、社長と話し合ってはどうでしょうか。

Q2 労働組合からの就業規則に関する相談

 会社は懲戒処分に関する規定を見直し、就業規則を改訂する作業を進めています。会社の案では、懲罰委員会の設置までは考えていないようです。これに対して労働組合としては、組合員(従業員)を懲戒処分する場合には、懲罰委員会による公平・公正な判断が必要であると考えています。会社に対して懲罰委員会の設置を求めることに問題はないでしょうか。


 懲罰委員会については、労働基準法その他労働関係法令に定めはありません。したがって、設置の有無、位置付け、審議の対象範囲、及び委員の構成等は、各企業で決定することになります。懲罰委員会について新たに就業規則に定める場合、就業規則の変更を労働基準監督署へ届け出る等の手続きも必要です【労働基準法第89条及び90条】。

 労働組合としては、懲罰委員会の設置は使用者による独断を防止し、懲戒手続きの慎重を期すためのものであり、事実確認と調査、第三者の意見聴取、当事者への弁明の機会を与える場となることなどを理由として設置を要求することに、何ら問題はありません。

 さらに、懲罰委員会の運用に当たっては、後日、懲戒処分の有効性が争われた際の証拠となりますので、懲罰委員会の内容を議事録にまとめておくことも必要です。懲戒処分の公平性、妥当性を担保するためにも、会社と設置に向けて話し合いを進めてはどうでしょうか。

Q3 派遣先からの労働者派遣契約の解約に関する相談

 コンビニエンスストアを経営しています。店を運営するため、派遣会社から派遣労働者1名を受け入れました。この派遣労働者は、7日間勤務しましたが、労働時間内であるにもかかわらず、勝手に帰宅することを繰り返したため、派遣会社との労働者派遣契約を解約することにしました。

 その後、同派遣労働者は、当店との直接雇用関係を主張し、解雇予告手当の支払い及び7日間の賃金支払いを要求してきました。

 当店はこの派遣労働者と雇用関係にないため、派遣会社に対応を求めていますが、今後どのように対応すればよいでしょうか。一定要求に応じ、数日間の賃金相当額を支払うことも検討しています。


 
労働者派遣法にいう「派遣労働」とは、派遣元に雇用される労働者が、派遣元と「労働者派遣契約」を結ぶ派遣先に派遣され、派遣先の指揮命令を受けて働くことをいいます。【労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)第26条等参考】

 ご相談のコンビニエンスストアは派遣先であり、派遣労働者との雇用関係は派遣元である派遣会社にあります。このため、賃金の支払い義務は派遣会社にありますので、派遣元との労働者派遣契約の存在及び解約の経緯を明確にし、派遣会社に対応を求める必要があります。

 なお、相談者が派遣労働者の求めに応じて、賃金相当額を支払うと、直接雇用関係を認めたとして、解雇予告手当の支払い義務が生じる可能性もありますので、対応には注意が必要です。

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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