今月の事例解説(H27年11月分)

更新日:令和2年4月1日

今月の労働相談事例解説

Q1 息子の長時間労働に伴う健康不安に関する母親からの相談

 息子は大阪から関東へ転勤し、正社員として働き2年が過ぎました。

 平日は、最終電車で帰宅する日が多く、法定時間外労働が月に100時間を超える月もあり、非常に疲れているとの連絡がありました。日曜日にようやく休めるかどうかの状況だとのことです。

 息子が自ら関東方面への転勤を希望したことなどから、会社に対し、時間外労働の縮減について要望することも難しい状況のようです。  

 まだ、年齢的にも若いので、最初のころは、さほど気にしていませんでしたが、直近の連絡の状況からすると、過労により明らかに疲労が蓄積しており大変心配しています。対処方法はないでしょうか。 


 長時間労働などの過重労働は健康障害を引き起こす可能性が高く、事業主には事業場における健康管理体制の整備が求められています。そのうち、長時間労働と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いとする医学的見地から、事業主は、長時間にわたる労働により疲労の蓄積した労働者に対し、医師による面接指導等を行わなければならないとされています。【労働安全衛生法第66条の8及び平成18.3.17基発第0317008号等参考】

 特に、月100時間を超える時間外・休日労働を行い、疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合には、その実施が義務付けられています【労働安全衛生規則第52条の3第1項及び第2項】。

 速やかに事業主に医師の面接指導の実施を求めましょう。

Q2 正社員から、残業代未払い、有給休暇及び長時間労働に関する相談

 物品販売の営業社員として勤務しています。所定労働時間は午前9時から午後6時で、休憩1時間実働8時間となっていますが、実際の労働時間は1日8時間を大幅に超過しています。残業代として一定の資格手当の支給はありますが、残業時間に見合う割増賃金の金額にはなっておりません。残業代の未払い分を請求するにはどうしたらよいでしょうか。

 また、長時間労働により疲労の蓄積があることから、疲労回復のため、人事担当者に有給休暇の取得を申し出ましたが、「当社では、勤務3年を経過しないと有給休暇の制度はない」と言われました。

 私は、勤務2年を経過したところですが、有給休暇はないのでしょうか。


 労働基準法では、使用者は、原則として、1日8時間・1週間40時間の法定労働時間を超えて時間外労働をさせた場合には2割5分以上の割増賃金(残業代)を支払う必要があります【労働基準法第37条】。

 まず、ご自身で使用者に対し、支払期限を明示した未払残業賃金請求書面を作成し、請求されてはどうでしょうか。

 それでも支払がない場合には、未払い残業賃金請求書面の写し、給与明細書、残業時間勤務実績表、労働契約書などの関係資料を持参のうえ、事業所を管轄する労働基準監督署に未払残業賃金の「申告」【労働基準法第104条第1項】をしてはどうでしょうか。

 なお、使用者は、「申告」をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならないとされています【労働基準法第104条第2項】。

 有給休暇とは、賃金の支給を受けながら休日以外に休みを取得することができる制度であり、労働条件の最低基準を定めた労働基準法において、労働者の心身の疲労を回復させることなどを目的とする年次有給休暇が規定されています。

 具体的には、雇入れの日から6か月継続して働き、所定労働日数の8割以上出勤した労働者に対し、事業所の業種や規模、正社員・パートタイム労働者などの雇用形態にかかわらず。法定日数の年次有給休暇が付与され、原則として、労働者が請求することにより、希望する日に取得することができます【労働基準法第39条】。

 使用者に対し、労基法の規定を示し、有給休暇取得を求められてはどうでしょうか。

Q3 息子(管理職)の長時間労働による「過労死」不安に関する父親からの相談

 息子は、エンジニアとして勤務し20年になります。現在は、管理職です。話を聞くと、とにかく著しい長時間労働の連続で、平日の月曜日から金曜日まで、午前9時から午後10時を過ぎるまで仕事をしています。ただし、10時以降の勤務についても特に手当は支払われていないようです。

 最近、「過労死」のことをよく聞くようになったので、息子の身体のことを心配しています。

 会社へ指導していただけませんか。


 
長時間労働、残業手当未払など労働基準法違反に対しては、労働基準監督署が指導権限を持っています。指導を求める場合は、長時間労働の実績を示す資料、残業代未払いを裏付けるような資料など関係資料を持参のうえ、労働者本人が労働基準監督署へ申告することができます【労働基準法第104条第1項】。

 また、労働基準法において、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)は、労働時間、休憩及び休日の保護対象から除外されていますが、深夜業の規定(午後10時から午前5時までに関する割増賃金)は適用されます【労働基準法第41条第2号】。

 本件につきましても、午後10時以降の深夜業に対する2割5分の割増賃金を請求されることを検討されてはどうでしょうか。

 また、息子さんの身体のことですが、法定労働時間の適用が除外される管理監督者についても、当該労働者自らが、「時間外・休日労働が月100時間を超え、かつ、疲労の蓄積がある」と判断して事業主に申し出た場合は、事業主は医師による面接指導を実施することとされています【平成18.2.24基発0224003号】。

 面接指導を求めるようお伝えください。

 以下のホームページもご参照ください。

 ○「労働契約・解雇・雇止め・退職勧奨・未払賃金トラブル防止Q&A」(大阪府総合労働事務所ホームページ)

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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