今月の事例解説(H27年8月分)

更新日:平成27年9月1日

今月の労働相談事例解説

Q1 正社員からの育児のための短時間勤務に関する相談

 正社員として勤務している女性労働者ですが、現在育児休業中です。夫は仕事が忙しく、実家も家業があるため育児の応援を求めることが難しい状況にあります。

 会社の人事担当者の話によると、短時間勤務制度はあるものの、これまで制度を利用した人はいないと言われ、利用しづらい雰囲気です。育児休業終了後も働き続けるため、短時間勤務制度を利用したいのですが、どうしたらよいのでしょうか。 


 いわゆる「育児・介護休業法」(※1)による育児のための短時間勤務制度とは、3歳に満たない子を養育する労働者について、労働者の申出により所定労働時間を短縮することで、その労働者が就業しながら子を養育することを容易にするための措置のことです。

 この制度は1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとされ、労働者から制度利用の申出があれば事業主は必要な措置をする義務があり、事業主が利用を認めない等の対応をした場合には違法となります。

 制度の利用は、労働者の申出によることが必要ですので、社内でこれまで制度を利用した人がいなくとも、制度の主旨を会社に確認するなどして申出されてはどうでしょうか。

 なお、短時間勤務制度の対象となる労働者は、次のすべてに該当する労働者です。
 (1)1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
 (2)日々雇用される者でないこと
 (3)短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと
 (4)労使協定により適用除外とされた以下の労働者でないこと
    ア その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
    イ 1週間の所定労働時間が2日以下の労働者
    ウ 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
 【育児・介護休業法第23条、育児・介護休業法施行規則第33条、指針(※2)】

(※1)育児・介護休業法:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

(※2)指針:子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針

 以下のホームページもご参照ください。

 ○「仕事と育児・介護との両立支援について」(厚生労働省大阪労働局ホームページ)

  →http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/koyou_kintou/hourei_seido/ryoritu.html

 ○「女性のための働くルールBOOK」(大阪府総合労働事務所ホームページ)

  →http://www.pref.osaka.lg.jp/sogorodo/keihatusahi-refureto/joseirulebook.html

Q2 正社員からの賃金未払等に関する相談

 正社員として勤務してきました。賃金は毎月25日に支払われてきましたが、2か月ほど前に顧客からクレームがあったことを理由に退職勧奨を受け、それを拒んだところ、先月から賃金が支払われなくなりました。

 顧客からのクレームについては自分にも責任があると思うのですが、賃金が支払われないことは納得できません。


 賃金の支払いには、一定の例外を除いて(1)通貨払いの原則、(2)全額払いの原則、(3)毎月払いの原則、(4)一定期日払いの原則、(5)直接払いの原則があります【労働基準法第24条】。

 ご相談の場合では、まずは前月分の賃金について欠勤等がないならば全額を請求することができます。労働契約や賃金規定等により未払賃金額を確認したうえで、口頭の請求や「未払賃金請求書」を提出することによって支払いを求めることが考えられます。その際、遅延利息(使用者が株式会社など「商人」の場合は商事法定利率として年6%【商法第514条】、それ以外は民事法定利率として年5%【民法第404条】、労働者が退職している場合は年14.6%【賃金の支払いの確保等に関する法律第6条】)を併せて請求することができます。

 自主交渉を行っても会社が支払に応じない場合は、労働基準監督署への申告【労働基準法第104条】等を検討されてはどうでしょうか。

 なお、顧客からのクレームが仕事上の重大なミスによるものであるとして賃金を減額する場合は減給処分にあたり、就業規則に根拠があることとともに、法では(1)1回の減給額が平均賃金の1日分の半額を超えることや、(2)減給の総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えることを禁止しています【労働基準法第91条】。

Q3 使用者からの就業規則の変更に関する相談

 30名の従業員を雇用する会社を経営していますが、近々就業規則の変更を考えています。

 一方、最近になり、社内で労働組合が結成されたとの通知を受けました。

 就業規則を変更するためには労働組合や従業員代表の意見を聴く必要があると聞きましたが、この場合、意見を聴く相手をどう考えたらよいのでしょうか。


 
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、事業場単位で就業規則を作成し、又は変更した場合には所轄労働基準監督署に届け出なければなりません【労働基準法第89条】。

 就業規則の作成又は変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴くこととなります【労働基準法第90条】。

 従業員の過半数代表者については、労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者ではなく、また、その選出については、使用者から意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施する投票、挙手等の手続によることが必要です【労働基準法施行規則第6条の2】。

 また、就業規則の変更が、労働条件の不利益変更に当たる場合には、原則、労働者の合意が必要ですが、変更が合理的であり、かつ労働者に周知している場合に限り、例外的に、労働条件は変更後の就業規則に定めるところによるものとなります【労働契約法第9条、第10条】。

 以上をふまえ、就業規則の変更内容を慎重に検討し、今回結成通知のあった労働組合が従業員の過半数で組織する労働組合かどうかを確認したうえで、労働組合又は過半数代表者の意見を十分に聴いて手続を進めてはどうでしょうか。

 ※「就業規則の作成及び変更の手続」については、厚生労働省のホームページ「モデル就業規則」もご参照ください。

  →http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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