今月の事例解説(H27年7月分)

更新日:平成27年8月1日

今月の労働相談事例解説

Q1 正社員からパワハラに関する相談

 介護施設に勤務しています。施設長から大声で怒鳴られる等、毎日きつい叱責を受けており、ストレスで体調を崩しました。この職場では、パワハラが常態化しており、ベテラン従業員も指導するときに大声で怒鳴るので、これまでも数人が体調を崩して辞めています。

 先日、法人の責任者に対し、「施設長らからパワハラを受けてつらい」と申し出たところ、「施設長や従業員全員から事情聴取し事実関係を調査します」と回答がありました。明日、私も含め全員に対して事情聴取が行われます。体調面に関しては、明日出勤することは可能ですが、この事情聴取によって、職場に居づらくなったりするのではと心配しています。明日、出勤しない方がよいでしょうか。 


 職場のパワハラについて、厚生労働省ワーキング・グループは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、又は職場環境を悪化させる行為」と定義し、脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言等については、原則として業務の適正な範囲を超えるものと考え、パワハラに該当し得る行為であるとしています。あなたが受けた「大声で怒鳴られる」や「きつい叱責」も、これに含まれる可能性があります。

 これまでに受けたパワハラと感じる言動について、「いつ、どこで、誰から、どのような言動を受け、どのように対応したのか」等を記録した上で、明日の事情聴取において、言動の改善を求めると共に、使用者側の安全配慮義務や職場環境保持義務【労働契約法第5条、労働安全衛生法第71条の2】について説明し、職場環境の改善を求めてはどうでしょうか。

 パワハラが常態化しているとされる環境を改善するためにも、使用者側が、事実を正確に認識することが必要です。体調不良でなければ、できるだけ出勤し、事情聴取を受けられてはどうでしょうか。

 また、同じ意向を持つ同僚と協調しながら、今後、使用者側に主張することも効果的かと思われます。

Q2 労働組合役員からビラ配布に関する相談

 これまで、労働組合として、事業場内で昼休みにビラ配布を行って来ましたが、使用者からは何も言われませんでした。ところが、先日、新規組合員の勧誘のため、昼休みにビラを配布していたところ、使用者側から、回収するようにと指示されました。今後、労働組合としてどのように対応するか検討していく予定ですが、どのように考えたらよいでしょうか。


 憲法第28条は、労働者の団結権、団体交渉権及び団体行動権を保障しており、労働組合のビラ配布も団体行動の1つと言えますが、会社の施設管理権との関係が問題になります。

 事業場内でのビラ配布の許可制を定める就業規則は有効であるが、事業場の「秩序風紀を乱すおそれのない特別の事情」がある場合は許可制の規定の違反とはならない旨判示された判例があります【電電公社目黒電報電話局事件 最三小判 昭52.12.13】。

 また、私立学校の職員室におけるビラ配布に対する懲戒処分につき、職場規律を乱すおそれのない特別の事情があり、就業規則の懲戒事由に当たらず、学校の組合嫌悪の姿勢等からすれば不当労働行為【労働組合法第7条第1号、3号】に該当すると判断された判例があります【倉田学園事件 最三小判 平6.12.20】。

 本件の場合、事業場内での昼休みにおけるビラ配布が、職場の秩序風紀を乱すおそれのあるものか、業務に支障があるか、労使慣行はどうであったか等について検討する必要があります。 

 まずは使用者に対し、今回の配布について回収指示をした理由の説明を求めてはどうでしょうか。その上で、労働組合としては、ビラ配布は正当な組合活動として保護されており「特別の事情」は広く認められるべきであるとの観点から話合いを行い、不当労働行為に当たると考えられる場合には労働委員会への申立てを含め、今後の対応を検討されてはどうでしょうか。

 *  労働組合と使用者との集団的労使関係については、次の当所発行啓発冊子をご参照ください。

 「あすへの対話―労働組合の結成と運営―」

 →http://www.pref.osaka.lg.jp/sogorodo/keihatusahi-refureto/asuhenotaiwa.html

Q3 使用者からパートタイム労働者の労働保険・社会保険の加入に関する相談

 会社を経営しています。この度、新たに、飲食店を経営することになりました。従業員は10名未満で半数は期間の定めのないパートタイマーとするつもりですが、パートタイマーを雇用するのは、初めてです。パートタイマーについても、労働保険や社会保険に加入しなければならないのでしょうか。


 「労働保険」には、「労災保険」と「雇用保険」があります。

 「労災保険」については、一人でも労働者を雇っている全ての事業所に適用され、パートタイム労働者も全て対象となります。

 「雇用保険」については、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上引き続き雇用されることが見込まれるパートタイム労働者は、被保険者となります。

 また、「社会保険」には、「健康保険」と「厚生年金保険」があります。

 「健康保険」と「厚生年金保険」はともに、法人は全て強制適用事業所であり、パートタイム労働者であっても、常用的使用関係にあれば、被保険者になります。具体的には、1日又は1週の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が、通常の労働者の概ね4分の3以上であれば、原則として被保険者となります。

 なお、「雇用保険」及び「社会保険」については、保険料の自己負担が法律に基づき発生します。

 詳しくは、「労災保険」については労働基準監督署、「雇用保険」についてはハローワーク、「社会保険」については、年金事務所に、おたずねください。

 【労働者災害補償保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法参考】 

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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