今月の事例解説(H27年6月分)

更新日:令和2年4月1日

今月の労働相談事例解説

Q1 正社員から病気休職に係る退職に関する相談

 勤続5年を経過したところですが、今年の4月1日から病気休職しています。会社の就業規則では、勤続5年を経過すれば、病気休職期間は6か月間となっています。主治医からは、病気の回復に3か月の治療を要するとの診断書がでているので、治療を要する日の終了日である6月末日をもって退職したいと考えています。しかし、会社からは後任者の補充採用などの関係で、5月末日に退職してほしいと言われています。

 会社の主張どおり5月末日で退職しないといけないのでしょうか。


 就業規則において、勤続5年を経過している従業員の病気休職期間が6か月と規定されているので、その期間内であれば、主治医の診断に基づいて治療に必要な期間を病気休職することができます。

 5月末日に退職してほしいという会社の発言は、いわゆる退職勧奨と理解することができますが、病気休職中の従業員に対して、その者の意向に反して退職を強要することはできません。退職勧奨に応じるかどうかは従業員本人が任意に決めることができます。

 会社側に、主治医の診断書に基づき、治療が終了する病気休職期間内である6月末日をもって退職する意向であること伝え、退職手続きを進めることを求められてはどうでしょうか。

Q2 労働組合役員からパートタイム労働者の組合加入に関する相談

 私が役員をしている労働組合は、いわゆる正社員のみを組合員の対象としています。

 この度、会社のパートタイム労働者が労働組合へ加入したいと申し入れてきました。私の所属組合では、組合規約を定めておらず、歴代組合執行部の判断で、正社員のみを組合員の範囲としてきました。今回のパートタイム労働者からの申入れを契機として組合員の範囲の規定を含め、組合規約を作成したいと判断しています。

 パートタイム労働者の加入についてのアドバイスをいただけないでしょうか。


 労働組合が利害関係の違いを基準として加入資格を制限することは組合の自治に委ねられることであり、一般的には労働組合規約で加入対象者の範囲が定められています。

 わが国の労働組合は、長年、正社員のみを対象とする企業別組合を基本形態としてきました。

 これらの労働組合は、組合員の範囲について、組合規約に「正社員をもって組織する」と規定したり、労使協定でも正社員以外を排除する旨を定めている場合が少なくありません。

 しかしながら、近年、パートタイム労働者、派遣労働者、有期雇用の契約社員などいわゆる非正社員(非正規雇用労働者)が増加する傾向にあることなどから、最近では、パートタイム労働者等を積極的に労働組合に組織化しようとする動きも見られるようになりました。

 こうした社会情勢や会社の状況、これまでの労使関係の経緯なども考慮しながら、組合規約の作成に取り組まれてはどうかでしょうか。

 ※国の調査によると、パートタイム、アルバイト、派遣社員、契約社員などの非正社員は1,962万人で、全雇用者(役員を除く)の37.4%を占め、また、派遣労働者は119万人となっています。【総務省「労働力調査」平成26年平均(速報)結果】

Q3 使用者から退職した従業員よりの残業代未払い分の請求に関する相談

 先月、退職した従業員から残業代の未払いがあるとして、20時間分の請求書が届きました。

 会社としては、会社の所定労働時間(法定労働時間と同時間)内に業務を終えて退社するよう指示をしていましたので、当該従業員は自分自身の判断で、所定労働時間を超えて残業をしていたと、会社は考えています。

 当該従業員は、自分が残業した時間を記録した資料を請求時間の根拠としていますが、このような記録は根拠資料になるのでしょうか。また、会社はこの請求に応じなければならないのでしょうか。


 従業員の残業は、使用者の業務命令に基づくことが原則です。しかし、明示的に業務命令は発していないが、従業員が残業をしていることを黙認している場合は黙示の業務命令があったとみなされる場合があります。

 今回の場合、従業員からの請求の根拠となる残業時間数が事実であるかどうかの調査・確認を行い、会社として認められる範囲内で支払をすることになるのではないでしょうか。 

 会社として認められない残業時間数は、その根拠を示して従業員に対し説明を行い、当該従業員と合意にいたるよう話合いを行われるのが現実的な対応方法ではないでしょうか。

 このことを機会に、従業員の勤務時間の管理などを改善されることを検討されてはどうでしょうか。

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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