今月の事例解説(H27年3月分)

更新日:令和2年4月1日

今月の労働相談事例解説

Q1 正社員の方からの感染症に罹患した際の休業手当に関する相談

 インフルエンザに罹患し、3日間休んでいました。熱が下がったので出勤しようとしたのですが、会社から出勤停止を命じられました。インフルエンザなどの感染症の場合は、法律で出勤が禁止されているのでしょうか。また、このような場合、休業手当は貰えるのでしょうか。


  労働安全衛生法では、事業者は、厚生労働省令で定める伝染性の疾病その他の疾病にり患した労働者については、その就業を禁止しなければならないと定め【労働安全衛生法第68条】、労働安全衛生規則第61条で、その該当者を示していますが、インフルエンザはその対象となっていません。また、感染症法においても、第18条で就業制限の対象を定めていますが、現段階で季節性インフルエンザ、新型インフルエンザともにその対象とはなっていません

 休業手当については、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならないとされています【労働基準法第26条】。

 産業医その他専門の医師の指導により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当は発生しません。しかし、産業医が出勤可能であると判断したにもかかわらず、会社が休業を命じた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたり、休業手当が発生する可能性が出てきます。

 医師の診断を受けた上で、会社の就業規則等での取り扱いを確認してはいかがでしょうか。

Q2 使用者の方からの研修費用の返還に関する相談

 採用前に要した研修費用について、会社で負担しています。しかし、採用後1年未満で退職すれば、研修費用を返還する旨の誓約書を、採用時に労働者から取っており、実際にそのようなケースが発生すれば徴収しています。このような条件を附すことに問題はないでしょうか。


 労働基準法では、労働契約の不履行について違約金を定めることや、損害賠償額を予定する契約をすることを禁じています【労働基準法第16条】。

 しかし、禁止されているのはあくまで「金額の予定」であり、賠償請求そのものが禁止されているわけではありません。

 こうした労働契約の適法性については、1)業務性があるかどうか、2)返還免除の基準の合理性(免除される勤続年数が合理的か)、3)返還額の相当性(労働者の賃金と比較して合理的か等)等、労働者の退職の自由を不当に拘束するものかどうか総合的に勘案して判断されることとなります。【長谷工コーポレーション事件 東京地裁平成9.5.26  参考】

 これらを踏まえて、再度検討されてはいかがでしょうか。

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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