今月の事例解説(H26年11月分)

更新日:令和2年4月1日

今月の労働相談事例解説

Q1 正社員の方からの競業避止に関する相談

 30年以上、営業の仕事をしていましたが、早期退職をしようと考えています。しばらくは働くつもりはありませんが、生活の問題もあり、必要に迫られればこれまでの経験を活かした仕事をしなければいけないと考えています。しかし、会社の就業規則には「退職後、5年間は同業他社で働いてはならない」と定められています。このような制限は有効なのでしょうか。


  憲法により、労働者には職業選択の自由が認められており、基本的には転職は自由に行えます【憲法第22条】。しかし、企業秘密の漏洩防止や競争力保持の観点から、一定の合理的な範囲において、競業避止義務(使用者と競業関係に立つ企業に就職したり、競業関係に立つ事業を開業したりしない義務のこと)契約は有効と考えられています。

 合理的な範囲であるかは、守るべき企業の利益があることを前提として、従業員の地位が競業避止義務を課す必要性が認められる立場にあるか、地域的な制限があるか、義務の存続期間や禁止行為の範囲に必要な制限がかけられているか、代償措置が講じられているか等が総合的に勘案して判断されます【三晃社事件 最二小判昭和52.8.9判決、フォセコ・ジャパン・リミティッド事件 奈良地裁昭和45.10.23判決 等参考】。

 また、一般的には、5年もの長期に渡る競業避止義務には相当の合理性が必要と考えられ、そのような特約は、公序良俗に反し無効と判断される可能性もありますので、上記を踏まえ、使用者に話し合いを求めてはいかがでしょうか。

 *  競業避止について、もっと詳しくお知りになりたい方は、次の当所労働相談Q&Aをご参照ください。 
 → 「退職・転職にかかる制約・義務(秘密保持、競業避止等)

Q2 パート社員の方からの最低賃金に関する相談

 2年前からスーパーで時給780円で勤務しています。

最低賃金が改正されたと聞きましたが、最低賃金以下の場合、どのように対応したらいいのでしょうか。


 使用者は、定められた最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません【最低賃金法第4条第1項】。労働契約で、最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効となり、無効となった部分は最低賃金と同様の契約をしたこととみなされます【同法第4条第2項】。

 最低賃金には、地域別最低賃金と産業別最低賃金があり、大阪府の地域別最低賃金は、平成26年10月5日に819円から838円に改正されました。産業別最低賃金も順次改正されています。

 したがって、最低賃金を下回っている分については、計算の上、事業主に請求し、その対応によっては労働基準監督署への申告等も検討されてはいかがでしょうか。

 なお、退職手当以外の賃金の消滅時効期間は2年間、退職手当は5年間です【労働基準法第115条】。

 *  最低賃金については、下記をご参照ください。
 → 「大阪府最低賃金改定のお知らせ

Q3 使用者の方からの団交場所に関する相談

 退職した従業員が合同労組に加入し、団体交渉を求められています。会社内では十分なスペースを確保できないため、社外で会議室を借りて、第1回団体交渉を行いました。

 労使対等の立場から、合同労組にも会議室代の半分の支払いを求めましたが、拒否されました。一方的に負担を求められるだけなら、団体交渉自体を拒否したいのですが、このような場合でも不当労働行為になるのでしょうか。

 
 
労働組合法では、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒むことは、不当労働行為であるとして、禁止されています【労働組合法第7条2号】。
 

 使用者が交渉の日時・場所・時間についての条件を出し、それに固執している場合には、不当労働行為救済手続では、その条件の合理性を中心として使用者の対応の妥当性が判定されます。

 団体交渉の場所について労使間に意見の一致を見ないことがあったとしても、このことをもって直ちに不当労働行為にはならないとされていますが、使用者が、団体交渉の場所を社外に指定し、これに固執した場合には、そのことが格別の不利益を及ぼし、事実上開催が不可能、または開催がはなはだ困難である場合には、正当な理由のない団交拒否であると判断される可能性があります。

 団体交渉の場所等、団交ルールについては法律で特別な定めはなく、労使双方があらかじめ協議して定めることが原則となっています。労使間で充分な協議を行う必要があるのではないでしょうか。

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

ここまで本文です。