今月の事例解説(H26年10月分)

更新日:平成26年11月1日

今月の労働相談事例解説

Q1 正社員の方からのパワハラ(パワーハラスメント)に関する相談

 数年前に正社員として入社し、営業や出荷管理業務を行っています。入社以来、日常的かつ継続的に役員から大声で怒鳴られる等の暴言や嫌味を言われるなどの嫌がらせを受けています。我慢も限界に達したため、ある日、社長も含め役員に対し直接抗議しましたが、取り合ってくれません。現在の業務は気に入っているので、会社を辞めたくありません。どうしたら良いでしょうか。


  職場のパワハラとは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為をいう」とされています。そして、業務の適正な範囲を超えるパワハラの行為類型に該当するものとしては、暴行・傷害のような身体的攻撃はもとより、侮辱やひどい暴言も精神的な攻撃として該当するとされています。【厚生労働省:職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告】。

 また、使用者には、労働者がその生命、身体の安全(心身の健康含む)を確保しつつ労働できるように必要な配慮を行うことや、快適な職場環境を形成するように努めることが義務付けられています【労働契約法第5条、労働安全衛生法第71条の2】。

 なお、上司から暴言・暴行を受けたとして不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償が請求された結果、不法行為の成立と会社の使用者責任が認められ、連帯して慰謝料を支払うよう命じられた判例があります【日本ファンド事件 東京地裁 平成22年7月27日判決】。

 パワハラと感じる行為を受けた時は、大声で怒鳴っている等の言動を記録するなどし、日時、場所、相手方、暴言の内容や周囲の状況(第三者の有無等)を整理しておくことが大切です。

 今後は、整理した記録等をもとに、社長や役員らの言動の不適切さを伝え、会社側に対して安全配慮義務に基づく対応を求めてはいかがでしょうか。

 *  当所では、「職場のハラスメント防止・対応ハンドブック」を作成しています。誰もが働きやすい職場づくりのためにお役立てください。

    → http://www.pref.osaka.lg.jp/sogorodo/hara-sassi/index.html

Q2 正社員の方からの退職勧奨に関する相談

 正社員として7年勤務していますが、同僚らとそりが合わず、良好とは言えない関係が続いています。先日、部長から突然、「配置転換も考えたが、行ってもらう部署もない。会社を辞めて別の会社に行った方がよいのではないか」と、言われました。

 会社側からは、自己都合退職ということならば、退職金を上乗せするとして条件が提示されましたが、納得できる条件ではありませんでした。

 また、これまでに2回呼び出されて退職勧奨を受け、その際に、退職勧奨に応じないと居づらくなるのではないか、というようなことも告げられました。

 このような場合、退職勧奨に応じなければならないでしょうか。


 退職勧奨とは、使用者が労働者に対して退職を勧めるものであり、応じるかどうかは労働者の判断であり、応じる義務はありません。

 退職勧奨については、まず、部長の個人的な発言ではなく、会社側の意思決定なのかについて確認することが大切です。

 また、退職勧奨に応じる意思がなければ、曖昧にせず、文書により会社側に対して退職勧奨に合意するつもりはない旨回答する等、意思表示を明確に行うことが大切です。

 なお、退職の条件次第で退職勧奨に応じる意思がある場合は、退職金等を確認し、年次有給休暇の取得や退職時期等について、会社側と十分な話合いをしてはいかがでしょうか。

 *  退職勧奨については、次の当所労働相談Q&Aをご参照ください。

   → http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6026/00000000/046.pdf 

Q3 使用者の方から年次有給休暇の通算付与に関する相談

 当社では、正社員やパートタイム労働者等様々な就業形態の従業員が働いています。年次有給休暇についてですが、当初パートタイム労働者として6か月間勤務し、その後正社員として継続勤務した場合、また、正社員として勤務していた労働者が、その後パートタイム労働者として継続勤務した場合等、雇用形態が変更された場合、有給休暇は通算付与しなければならないのでしょうか。

 
 
年次有給休暇とは、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持・培養を図ることを目的として、休日以外に賃金をもらいながら自分の希望する日に休みをとることができる制度です。
 

 使用者は、雇入れの日から起算して、6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、法で定められた年次有給休暇を付与しなければなりません。付与日数は、勤続年数に応じて加算されます【労働基準法第39条第1項、同第2項】。

 また、パートタイム労働者等非正規労働者も、週所定労働日数や週所定労働時間に応じて年次有給休暇が付与されます【労働基準法第39条第3項】。

 なお、継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断すべきものであり、パートタイム労働者等を正社員に切り替えた場合や、定年退職後も引き続き嘱託等として再雇用している場合などにおいて、実質的に労働関係が継続している限り、勤務年数は通算されます【昭63.3.14 基発150号】。

 したがって、ご質問のように労働関係が継続している場合には、年次有給休暇を通算付与することとなると考えられます。

 *  年次有給休暇については、次の当所労働相談Q&Aをご参照ください。

    → http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6026/00000000/027.pdf

 

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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