今月の事例解説(H26年8月分)

更新日:令和2年4月1日

今月の労働相談事例解説

Q1 正社員の方からの労働条件の明示に関する相談

 インターンシップを経て、4月から正社員として採用されました。就業規則も契約書もなく、労働条件についてたずねても、人事部の担当者は、多忙を理由に説明してくれません。給料支給明細書を見ると、賃金は時給850円のようだということだけ判りました。どうすればいいでしょうか。


  労働契約を締結する際、使用者は労働者に、労働条件を明示しなければなりません。また、特に重要な労働条件である、労働契約の期間、仕事をする場所と内容、始業及び終業の時刻、賃金、退職に関する事項などについては、書面を交付して明示しなければなりません【労働基準法第15条、同法施行規則第5条】。また、労働契約法には、使用者は、労働条件及び労働契約の内容について労働者が理解を深めるようにし、書面により確認するものとする、と定められています【労働契約法第4条】。

  したがって、使用者に、労働契約書などの書面の交付を求め、早急に、労働条件を労使双方で確認することが必要です。

  *  労働条件の明示については、次の当所労働相談Q&Aをご参照ください。
 →「労働条件の明示」 

Q2 正社員の方からの解雇に関する相談

 正社員として勤務して8か月目です。昨日、社長から、口頭で、昨日付けの解雇が言い渡されました。突然のことに驚きました。解雇の理由は、「コミュニケーション能力がないから」と言われましたが、具体的に思い当たることがありません。このため、解雇されることに納得できません。

 どうすればよいでしょうか。


 使用者が労働者を解雇する場合、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇権を濫用したものとして、解雇は無効となります【労働契約法第16条】。また、労働者が解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なく、これを交付しなければなりません【労働基準法第22条】。なお、使用者は少なくとも30日前に予告をしなければならないこと、30日前に予告をしないときは、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払わなければならないことが、手続き要件として定められています【労働基準法第20条】。

 したがって、まずは使用者に対し、解雇理由証明書の交付を求め、必要があれば説明を求め、それでも納得できない場合、使用者に、解雇は受け入れられないことの意思表示を明確に伝えた上で、話合いを行ってはどうでしょうか。その際、(1)解雇撤回・職場復帰を求めるのか、(2)解雇そのものは受入れ、退職の条件等について話し合うのか等、解決の方向性を決めることが必要です。

 

 *  解雇については、次の当所労働相談Q&Aをご参照ください。
   → 「解雇、雇止めと退職勧奨

 *  労働契約については、次の当所発行啓発冊子をご参照ください。
   → 「労働契約・解雇・雇止め・退職勧奨・未払賃金トラブル防止Q&A

Q3 使用者の方からの労働協約の拡張適用に関する相談

 当社には、従業員の4分の3以上を組織する労働組合と、4分の1以下の従業員が加入する労働組合が存在します。このたび、会社からの労働条件の変更の提案に対し、多数組合は賛成したため労働協約を締結することになりましたが、もう一つの労働組合は反対しています。多数組合と締結した労働協約は、もう一つの組合の組合員にも、自動的に及ぶと考えてよいでしょうか。

 
 
労働協約は、労働組合と使用者との間で締結され、本来、その労働組合に加入している従業員にのみ効力が生じますが、労働組合法は、例外として、「一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の四分の三以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。」という一般的拘束力について定めています【労働組合法第17条】。

 したがって、労働協約を締結した労働組合の組合員ではない4分の1以下の従業員に対しても、拡張適用されると考えられるのですが、本件のように、少数者が自ら労働組合を結成している場合の適用については、学説も裁判例も、肯定・否定両説があります。ただし、いずれの説の場合も、少数組合がより有利な協約を求めて団体交渉を行うこと自体は否定されていません。使用者は、少数組合との団体交渉に誠実に対応する義務があります【労働組合法第7条第2号】。使用者としては、団交を通して、必要であれば、少数組合との同一協約の締結をめざして話し合われてはどうでしょうか。

 *  労働組合と使用者との集団的労使関係については、次の当所発行啓発冊子をご参照ください。
 → 「あすへの対話―労働組合の結成と運営―

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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