今月の事例解説(H26年4月)

更新日:平成26年5月1日

今月の事例解説

 Q1 新卒正社員の方からの職場のハラスメントに関する相談

  新卒で働き始めて数ヵ月が経ちましたが、部長から、勤務中にしばしば容姿や性格のことについて指摘を受けたり、からかわれたり、また、接待の席上での話題にそれらが取り上げられたりしています。最近、精神的な苦痛が増し、朝になるのが怖くて眠れなくなり、仕事を続けることに不安を感じています。どうすればいいでしょうか。

A                                                                                                           職場のパワーハラスメントは、「同じ職場で働く者に対し、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為」です。その類型として、“脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言”は、原則として業務の適正な範囲を超えるもの、“私的なことに過度に立ち入ること”は、行為の行われた状況や継続的かどうかによって業務の適正な範囲を超えるものになり得るものとされています【厚生労働省“職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキンググループ報告”】。

   人の容姿や性格は私的なことであり、本人の意思に反してそれらを過度にあげつらうことなどは、場合によっては名誉棄損や侮辱につながります。また、上司からの業務の適正な範囲を超えた言動により部下が精神的な苦痛を受け、体調に影響が出ているなら、使用者は、安全配慮義務や職場環境調整義務などの法理に基づき、職場の問題として速やかに防止を図る必要があります。

   体調に留意しつつ、会社に防止の取組みを求めることが基本的な対応になりますが、一人で悩まず、信頼できる同僚・先輩や公的機関にご相談されることも有効ではないでしょうか。

 * 当所では、「職場のハラスメント防止・対応ハンドブック」を作成しています。誰もが働きやすい職場づくりのためにお役立てください。

    → http://www.pref.osaka.lg.jp/sogorodo/hara-sassi/index.html

  Q2 採用内定者の方からの身元保証に関する相談

 ある会社から内定通知を受け、勤務開始日も決まりました。その後、会社から入社にあたり身元保証書の提出を求める書類が送付されてきましたが、面接では説明がありませんでした。身元保証書とはどのようなものですか。提出しなければ入社が取り消されるのでしょうか。

A                                                                                                                    身元保証書は、労働者が使用者に損害を与えた場合に、第三者である身元保証人が労働者本人と連帯してその損害を賠償することを主な内容とするもので、入社にあたり、多くの企業でその提出が求められています。

  身元保証書の提出を求めることに法的な制限はありませんが、法律で身元保証人に求める賠償の範囲・期間等について制限が設けられて  います【身元保証ニ関スル法律】。

 他方、採用内定の取消しは、労働者と使用者との始期付解約権留保付労働契約を使用者が一方的に解除する解雇に準じたものであり、それは、「客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認できる」場合に限られるなどとされています【大日本印刷事件/最二小判/昭54.7.20】。

   入社時の必要書類を提出しないことを理由とする採用取消においては、それらが業務遂行などに必要不可欠でかつその内容が合理的なものであれば、内定取消も「相当」とされる余地が高く、逆に業務上の必要性が低い場合には、「相当」とされる余地は低いものと考えられます。

 なお、本府では、企業のみなさんに、採用時における提出書類について、特に必要がないにもかかわらず従前からの慣習のみで求めないようにすることや、提出を求める場合でも不必要な書類の添付や身元保証人の人数など必要以上にプレッシャーを与えないようにするなどの配慮をお願いしています。

 * 身元保証については、次の当所労働相談Q&Aをご参照ください。

→ http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6026/00000000/011.pdf

 * 大阪府の公正採用の取組みについては、次のHPをご参照ください。

→ http://www.pref.osaka.lg.jp/rosei/koseisaiyo/index.html

 Q3 使用者の方からの賃金の計算方法に関する相談

   当社では、週5日勤務で午前10時から午後2時までを労働時間とする時間給のアルバイト社員がいます。先日、その社員から「先月支払われた賃金が自分の計算した金額と合わない」という問い合わせを受けました。労働時間は、タイムカードで管理しています。その社員は、しばしば必要な残務処理で実際の終業が午後2時を超えることがありますが、当社では15分単位で給料計算を行っているため、終業が午後2時15分を超えなければ追加の賃金は発生しません。問題ないでしょうか。

A                                                                                                                                                                                                                                                                    賃金は、労働者にその“全額”を支払わなければなりません【労働基準法第24条】。そのため、例えば、賃金を15分単位で計算し、実際に労働していたにもかかわらず、15分未満の労働時間を切り捨てるなどの処理を行うことは、法の原則に反し適切な計算方法ではありません。

    一方、1ヵ月における法定時間外労働の合計時間数に1時間未満の端数が生じた場合、30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げるという処理は認められています【昭和63.3.14/基発150号】。ただし、これは法定時間外労働に対する割増賃金に限られており、ご相談の場合は、法定労働時間(一日8時間・一週40時間)以内のものであるため、当該通達は適用されず、追加の賃金を支払う必要が生じます。

 *賃金に関しては、次の当所労働相談Q&Aをご参照ください。

     賃金の体系と決定について

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6026/00000000/016.pdf

      時間外割増賃金について

 → http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6026/00000000/017.pdf

      賃金の支払いについて

 → http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6026/00000000/018.pdf

      賃金の減額について

 → http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6026/00000000/019.pdf

 

このページの作成所属
商工労働部 総合労働事務所 相談課

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