今月の事例解説(H26年2月)

更新日:令和2年4月1日

今月の事例解説

Q1 定年退職後に継続雇用された嘱託社員の方からの労働条件に関する相談

 昨年3月に定年退職しました。会社からの嘱託社員として65歳まで勤務するという提案を受け入れ、継続雇用されることになりました。しかし、月収が定年以前の半分程度に下がり、経済的に困っています。このような賃金の引下げは違法ではないでしょうか。

A
 高年齢者雇用安定法は、事業主に対し、65歳までの間の雇用を確保するため、1.定年年齢の引上げ、2.継続雇用制度の導入、3.定年の定めの廃止、のいずれかの措置を講じなければならないと定めています【高年齢者雇用安定法第9条】
 このうち、継続雇用については、事業主に、定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用が義務付けられているものではなく、労働基準法等の法ルールの範囲内で、賃金、労働時間、待遇、などに関して事業主と労働者の間で決めることができるものとされています。また、労働者と事業主との間で労働条件にかかる合意が得られず、労働者が継続雇用を拒否したとしても、高年齢者雇用安定法に違反するものではありません。
 そのため、法ルールに抵触していなければ、現在の労働条件が違法とは言えませんが、労働条件は労使の合意に基づいて決定するものであるため、賃金の引上げを求めて事業主と話し合ってはいかがでしょうか。
 なお、60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満に低下した場合、雇用保険における高年齢雇用継続給付の対象となる場合がありますので【雇用保険法第61条】、ハローワークに問い合わせてみられてはいかがでしょうか。

 ※改正高年齢者雇用安定法については、次の厚生労働省HPをご参照ください。 
   → 「高年齢者雇用安定法の改正(外部サイト)

 ※高年齢雇用継続給付については、次の厚生労働省HPをご参照ください。
  → 「高年齢者雇用継続給付(外部サイト)

Q2 契約社員の方からの賃金の支払日に関する相談

 半年前に今年3月までの有期労働契約を結んで働いています。これまで、毎月の賃金は、「月末締切りの翌月15日払い」でしたが、先日、「月末締切りの翌月末日払い」に就業規則が変更されました。会社は、賃金の支払日を自由に変更できるのでしょうか。
 また、土曜と日曜が所定休日であるため、支払日が所定休日の場合は、翌月曜に支払われています。これまで働いたことのある会社では、支払日が所定休日の場合はその前日に払われていました。問題ないでしょうか。

A
 賃金は、「通貨で」「全額を」「毎月1回以上」「一定期日に」「直接労働者に」支払われなければなりません【労働基準法第24条】
 賃金の支払日については、「毎月1回以上」支払うという法の原則や労働協約に反しない限り、労働協約または就業規則によって自由に定めたり、変更したりすることができます。就業規則の変更においては、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、そのような労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴き、その意見を記した書面を添付した上で労働基準監督署に届け出なければなりません【労働基準法第90条】
 一方、賃金の支払日が所定休日に当たる場合、支払日を繰り下げる、または繰り上げることは、「一定期日に支払う」という法の原則に反しないとされています。
 そのため、賃金支払日の変更及び支払日の繰下げについては、就業規則の原稿手続に問題がなければ、法的に問題はないと思われます。

  ※賃金の支払いについては、次の当所労働相談Q&Aをご参照ください。
  → 「
賃金の支払い

Q3 使用者の方からの精神疾患が疑われる社員への対応に関する相談

 ある社員について、ここ数週間、簡単な事務作業のミスが続くとともに、しばしば同僚や顧客に対して意味不明な発言が見られるようになりました。会社としては、精神疾患の疑いがあると考えており、このままでは本人の体調と会社の業務遂行に悪影響が予測されるため、なんらかの対策を講じようと思っています。どのようなことから始めたらよいでしょうか。

A
 健康上の問題が認められる従業員に対し、なんらかの措置を考える場合は、専門医の意見を聴きながら進めることが重要です。
 対応としては、まずは任意で専門医の受診を勧奨することが考えられます。しかし、従業員がこれを拒否した場合、就業規則に健康診断の受診命令等が定められている場合は、合理的な理由があれば、受診を命じることが可能であるとされており電電公社帯広電報電話局事件/最一小判/昭61.3.13、また、就業規則に定められていない場合でも、個別具体的な事情において合理的な理由があれば、専門医への受診を命じることが可能であると解されます京セラ事件/東京高裁/昭61.11.13。当面、勤務中の明らかに不自然な言動を整理した上で、当該社員の人格権とプライバシーに配慮しつつ、客観的な状況を説明し、任意の受診勧奨から始めることが合理的であると考えます。
 なお、使用者には労働者の生命・身体等の安全[※]を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負うことが法律で定められています【労働契約法第5条】。日頃から、業務の遂行とともに労働者の心身の健康状態の把握に努めましょう。

 [※]生命・身体等の安全には、心身の健康も含まれます。

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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