平成21年度大阪府地方自治研究会(座談会)

更新日:平成23年3月23日

平成21年度大阪府地方自治研究会(座談会) 会議録

○日時 平成22年3月30日(火曜日) 午後1時から5時

○場所 大阪府市長会(大阪府庁別館6階)会議室3号

○座談会参加者(順不同、敬称略)
 横浜国立大学名誉教授  成田 頼明
 法政大学経済学部教授  黒川 和美
 同志社大学大学院総合政策科学研究科教授  新川 達郎
 関西学院大学法学部教授  山下 淳
 大阪府総務部長  小西 禎一
 大阪府総務部市町村課長  手向 健二
                  (役職は、座談会開催時点のもの)


○事務局 ただ今から大阪府地方自治研究会を開催させていただきます。本日の先生方のご出席でございますけれども、齊藤愼先生と、村上武則先生は、ご欠席でございます。
 それでは、開会にあたりまして、総務部長よりごあいさつを申し上げます。

○小西 総務部長の小西でございます。この地方自治研究会、担当のときと、市町村課長のときと、今度は総務部長のときと、3回やらせていただくことになりました。今日は、年度末の大変お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 大阪府の橋下知事のもとで激動の日々を過ごしておりまして、今日のテーマに関係するような取り組みだけに絞って近況報告をさせていただきたいと思います。
 まず、平成22年度に、財政再建プログラムというのを策定いたしまして、財政規律の確保というのを厳しくやってまいりました。この2月議会では、特定目的基金からの借り入れ、減債基金を含めまして6,600億円くらい借りておりまして、返せませんので、減債基金は返していかないといけない、これは、5千億円強ほどございますが、それ以外の基金については、いったんお返しをして、もう1回取り崩しさせていただいて、実残高と名目残高を合わせて。実残高に名目残高を引き下げるという。借金は返しませんということをやって。だいぶんご非難もありましたけども、そういう取り組みを一つしてまいりました。
 それから、平成21年度は、知事の思いで戦略本部会議というのをつくりまして、ここで大阪府の基本方針を策定すると。そしてその中で、各部局長マニフェストというのを各部局長がつくって、ここでそれぞれの部の目標設定をして、数値目標。私も数値目標を幾つか挙げておりまして達成できていないということがあります。
 1年目は猶予期間ということで、2年目以降はマニフェストを達成できなければ、部局長を更迭するぞというふうに書かれておりまして、大変厳しい状況になっております。
 それと、このマニフェストをつくるための基本方針。小泉内閣がやられていたような骨太方針をつくって、価値観を知事と部局長が共有しながら仕事を進めていく。こういう仕事の仕方を一つ、平成21年度、今年度取り組みました。
 もう一つは今日のテーマと非常に関係があるのですが、公務員のキャリアデザインというのをつくろうということで、取り組みをしてまいりました。知事の問題意識の発端は、再任用制度で、大阪府の場合は、ツーランク下かな。次長級、課長級は課長補佐に位置付けるということをやっておりまして、これは高過ぎるということで、再任用は今後は主査と主事だけで課長補佐の役付きはつくらないという方針になりました。そうしますと、再任用に頼らないセカンドライフというものをつくっていかないといけないとなります。
 もう一つは、大阪府ではどちらかというと幹部職員は、オールラウンドプレーヤーを指向しておったのですが、これからはスペシャリストをもっと養成していこうと。それで、そこで培った能力で退職後、違った道でいろいろな活躍ができるような公務員をつくっていこうということで、公務員キャリアデザインというものをつくりまして。
 これを支援するために、大学院へ、勉強したいというような職員がおれば、2分の1を補助するという支援制度を来年度からやりますので、また先生方のところへ行かせていただくかも分かりません。
 それから、キャリア面談ということで、1年目、6年目、10年目に職員の意向を聞いて、その職員が持っている能力をより引き出せるようなことにつなげていきたいということを今年度おこなってまいりました。
 来年度ですけれども、一つは、これは市町村課で取り決めますが、市町村への大幅な権限移譲ということで、特例市並みの権限移譲を進めるということで、昨日も会議をおこないましたけれども。だいたい101事務ピックアップしまして、多いところで七十数事務を今後3年間で移譲を受けていただくということになりますので、われわれのサポートも、もちろんなんですけど、市町村職員の能力を相当アップしていただかないといけないのかなというふうに思っております。
 それから、来年度はもう一つ、新財プロということで、財政再建プログラムが来年度で終わりますので、新たなプログラム策定の準備を今進めておりますが、今回は前回私がやったときは緊急避難措置で、とにかく切りまくると。1,100億円を埋めなあかんということでやりましたけれども、実は平成23年度以降も、それだけやってもまた同じくらいの財政収入の不足が出てまいりまして、もうこれではちょっと。また1,100億円やれと言っても、職員は動きませんので、今後は構造改革をやろうということを考えていまして、今、財政構造の分析をしています。
 他府県と比較したり、あるいは国の制度でどれだけ持ってるか。例えば社会保障関係は、ここ10年間で1千億円が3千億円に増えていますので、これらをどうするかということを国にもやはりわれわれとしては提案をしたいということを考えています。それと併せて公務員制度改革の取り組み。少し始まる前に雑談を申し上げていたのですが、この後もそれで中座させてもらいますけれども。
 給料のわたりの見直し。それから、特に任用制度では、部局長について、知事としては準特別職の扱いにしたいというようなことで、例えば議員を部長に任命。ヨーロッパなんかは、そういう制度がありますけど。そんなことも含めていろいろ。そこは、法制度の改正が必要なのですが、取りあえず今、部長のところに任用制度を国のほうでもいろいろご議論がありますけども。少し一般職と違った取り扱いができないかというようなことで、いろいろな取り組みをしております。
 それでは今日の議論いただくテーマですね。地方分権時代の自治体に求められる組織職員というのは、私どもがこれから進めていく上で本当に重要な課題でございますので、しっかりと私も議論に参加させていただいて、勉強させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございます。なお、総務部長は、ほかの公務の関係で、2時半に退席させていただきます。

○小西 すみません。退席させていただきます。よろしくお願いします。

○事務局 それでは会議の進行につきまして、成田会長にお願いしたいと思います。それでは、成田先生よろしくお願いします。

○成田 皆さま、今日はお久しぶりございます、お会いできるのは一年ぶりでございますけども。去年の8月からちょっと体調を崩して、三月ほど入院しておりました。今年に入ってから、再び元気になったんですけども、まだその前と同じような状況にはなってはおりません。しかし、こうやって旅行できるようになるまで回復できた。というのは、まったく皆さんのおかげです。感謝している次第でございます。
 今日は年度末で、あと2日しか残っていないわけで、新年度を控えて皆さん何かとご多忙だと思うんですけども、寒い中をわざわざおいでいただきましてありがとうございました。
 今日は、例年だったらぼちぼちサクラが咲いて、1日延ばして見て歩くかなと思ったんですけど、ちょっとこの調子では風邪をひいちゃうんじゃないかと思って、会議が終わったら早々に帰るつもりです。
 今年度は、いろいろテーマについても相談を受けたわけでありますけども、今までどっちかと言いますと制度とか改革とか、割と大きな話をしてきたわけで、全国ベースの話が中心でやったわけですけども、これからは地方分権が進むに従って、やはり最後には人の問題になるんじゃないかと。人の問題点は、いろいろ今部長からご説明がございましたように、新しい問題、非常に厳しい問題等々もございまして、取りあえず、これからが大きな課題になるんじゃないかというふうに思うわけであります。
 これは自治体の組織や、あるいは職員の全体の制度、公務員制度というのも、これの発展していく問題ではないかというふうに思います。
 そうしましたら、まず事務局のほうから、今日の流れにつきまして、ご説明をお願いいたします。

○事務局 それでは事務局のほうから、本日の全体の流れと資料の関係の説明をさせていただきます。
 次第にございますように、今回のテーマは、地方分権時代の地方自治体に求められる組織や職員ということでございまして、進め方としましては次第にございます1、2、3のとおり、これからの自治体職員に求められる資質と能力についてということと、自治体職員の質の確保に向けた取り組みについてということ。あと、地方自治体の組織形態の今後と、大きく三つに分けまして、それぞれの委員の先生方にご報告いただき、ご議論ができたらと思っております。
 なお、成田会長のほうから、報告に関するレジュメがございますので、これについては、お手元に配布しております。
 あと、事務局のほうで、今回のテーマを議論するにあたりまして、参考になりそうな資料を取りまとめ、手元に配布しております。資料1につきましては、全国の地方公務員の数と推移でございまして、総務省の地方公共団体定員管理研究会の資料でありますが、その報告書から、地方公務員の総数でありますとか、部門別の職員数になります。昭和50年から平成20年度までの推移といった、今回のテーマに関連すると思われる資料を抜粋してまとめ上げました。
 資料2につきましては、これは大阪府と大阪府内市町村。政令指定都市を除いておりますが、一部事務組合といった地方公務員の数と推移等につきまして、地方公共団体定員管理調査といった調査資料からちょっと抜粋しておりまして、ここ10年ほどの部門別職員数の推移や、あと年齢別職員数、採用者、退職者の数の状況、人事交流の状況、人材育成の基本などといった資料を、まとめ上げました。全部で13ページございます。
 資料3につきましては、地方自治体の一般的な組織図等ということで、これは総務省の地方行財政検討会議の資料の中から、関係があると思われる資料を抜粋して作成しました。
 資料4につきましては、地方公務員の給料表等に関する専門家会合の資料のほうから、地方公共団体における組織・職制構成の一般的な例、資料などを準備しました。
 資料5につきましては、大阪府のほうで策定しました人的支援マネジメントを取り上げまして、これは大阪府が目指す分権改革などを経て、人事制度改革が目指すものについて取りまとめたものでございます。
 資料6につきましても、同じく大阪府のほうで作成した組織戦略でございまして、関西州・地域主権の実現に向けた組織力の評価の方向性についての資料でございます。
 最後に資料7になりますが、これは少し古い資料なのですが、総務省の分権型社会に対応した地方行政組織運営の刷新に関する研究会が、平成17年3月に新しい公共空間を切り口に今後の地方行政組織運営の刷新についてまとめた、「分権型社会における自治体経営の刷新戦略」という報告書の内容を説明したイメージ図でございます。
 資料の説明のほうは以上でございます。

○成田 はい、どうもありがとうございました。資料は一応そろっていると思いますが、何かご質問がありましたら。

1.これからの自治体職員に求められる資質、能力について

○成田 それでは、まず最初のテーマにつきまして、まず私から報告いたしますけども。私はこの問題について、あまり専門的ではございません。だから、一般常識的な発言しかできないというふうに思っておいてください。
 今まで制度問題とかいろいろやってまいりましたけれども、最近はそういう改革部門の第一線から離れておりますので、情報量の量数が一番減っております。その辺、皆さまから新しい最新の情報を教えていただくとお願いしたいと思います。
 一応レジュメをつくる慣例になっていて差し上げたのですけども、まともにやっていると相当時間がかかるので、重点的にしゃべっていくことにして、だいたい1のほうに重点を置いて。2のほうは簡単にいくと。ここは一応長い時間はかからないで、済ませるというふうにしたいと思います。
 それでは、まず最初に私が考えましたのは、いわゆる分権時代に自治体ではどのような専門職が必要なのかという問題で、これは大阪府のほうからいただきました資料に沿って、その第1番にあがっていたものですから、それを先に持ってきたわけです。
 これは昔に比べると、地方自治体の行政というのは非常に複雑になり、高度化していると。そういう行政をこなすために、非常に多様な専門知識、技術、技能を備えた職員が必要だということになると思うんですね。
 ところが他方では、少子高齢化や、公務員志望者が減っているとか、あるいは財政難で、公務員自体を増やせないと。それどころか、むしろ減らしていくという状況のもとで、職員が減ってきているわけですね。
 そういう、一方では非常に多様な専門職が必要な時代になっているんですけども、逆に人が減ってきてしまっていて、専門家の確保は難しいと。こういうジレンマを抱えているわけで、そうすると、少数精鋭の考えから、われわれはもう少し知恵を出していろいろなやり方を編み出していけるかということになっていくのではないかというふうに思います。
 行政の複雑化というのは、複雑になっているのは申すまでもないわけで、皆さまはご存じですけども、要するに行政にいろいろな科学的な知識と技術が必要になってきているということでありまして、それに伴って行政スタイルも、昔みたいに上の人がはんこを押して、それで書いていればいいという時代じゃなくて、自分で考えて、自分でいろいろ立案をして行動するというスタイルに変わってきていると。しかも、住民からいろいろ見張られるという、そういう厳しい状況が出てるということでございます。
 これは、一般的に言いまして、一つは情報化、IT化による行政資質の変化であり、もう一つは、大衆民主化の進展に伴う説明責任とか、説得技術。こういったものが、対住民、対マスコミ、対議員、対国。いろいろな方面に必要になっているのではないかと。非常に総合的な専門知識というのがある意味では必要になってきているのではないかというふうに思います。
 他方では、一つとして挙げますけれども、例の小泉・竹中構造改革路線では、市場原理とか民間経営ですね。そういう大幅に行政も導入しましょうということで、これはそういうふうな流れになっています。
 今はちょっと足踏みをしてストップしていて、逆に昔に帰るような動きに見られないんではないわけでありますけれども、全体の流れはやはり完全に否定するというところまでいかないですね。いずれまた時代の流れの中で回復する考えはあろうと思うのです。
 それに加えて、このごろあまり議論されていませんけども、例えば行政の国際化。これは別に外交官になるということじゃないんですけれども、最近いろいろな行政で、国際的なスタンダードの順守というようなことが問題になり、あるいは地球温暖化のような、国際的な合意にどう対応していくかというような問題が新しく付け加わっているわけですね。
 沖縄が抱えている問題は、非常に特殊な問題ですけども、あそこまでいかなくても、各自治体がやはりある程度国際化という問題を意識しなければいけないようになってきているわけで。
 これは例えば日本ではいろいろな飛行場をつくっていて、外国からいろいろ。韓国とか東南アジアとか、中国に飛ばしているわけですけども、そこから感染症が入ってきた場合にどう対応するかという問題が、非常に近い国際問題になってきていますし、それから外国人がたくさん住むようになってきていますね。
 外国人参政権なんていう問題までいかなくても、外国人のケアというのをどうしていくかと。外国人に対してというのも、やはり必要になってきているんではないかというふうに思うわけであります。
 そういった意味で、政策立案についても、執行についても、専門性というのはいろいろ要求されるわけですけども、これは公務員個人に要求されるという面と、公務員というのは、もう地方公共団体の組織の中にいる集団です、特定の場合もありそうじゃないものもあるんですけれども、そういう集団にも専門性が要求されるということになるのではないかというふうな気がいたします。
 公務員に要求される専門性というのは、これはもちろん企業、あるいは民間団体等でも当然要求されるわけですけれども、民間の場合には、やはり企業とそういうものに非常に特化した専門性だと思うんですけども、公務員の場合はいろいろな仕事を幅広く担当しますので、広い意味で知識を養成して、広い意味でのジェネラリストでありながら専門家にならなくちゃならないと。こういう矛盾した課題を整備していかなければならないということになると思うんですね。
 行政パーソンに変わってきているんですけど、特に地方公共団体ではご存じのように地方分権の進展に伴いまして、さっきも総務部長さんから話がありましたように、国、都道府県から自治体に権限が移譲されるのです。国から県に移譲される仕事というのは、まだあまりないんですけれども、おそらくこれからの第2期分権改革で、答申全部はもちろん移譲されないんですけども、若干の権限が下りてくるだろうというふうに思います。
 逆に、都道府県からは市町村に、さっきもお話がございましたように、大量の権限が、おそらく移譲されるということになり得るわけですね。
 一方で、国の法令による枠付けとか義務付けの緩和。これはやはり、地方公共団体の自主性を高めるために必要であるということで。これも明らかにこれからの地方分権改革の大きな課題の一つになる可能性もありまして、これからの基本法の何か、あるいは政治一括法になるか分かりませんけど、そういう中心的な課題になるんじゃないかと思うんです。
 市町村ですが、都道府県よりは市町村。特に住民に身近な行政というものを、やらなければならないということになるわけで、そこで住民を意識したなら、住民からいただいた税金というのを無駄にしないで有効に使うべきということが、非常に重要になってまいります。そして、住民の目が非常に厳しくなってきているわけですね。
 昔は日本の納税者というのは非常に寛容であって、どんな無駄使いをしても何も言わなかったわけです。それで、税金を払いなさいと言うと素直に払うと、そういうふうに非常に統一しやすい国民だったんですけども、最近はそうはいかなくなってきておりまして。
 だいたいこれは平成7年ごろからじゃないかと思うんです。市民オンブズマンというようなものが出てきた、ちょうど大衆民主主義が広がってきた。そんな時期からじゃないかと思うんですけども、非常に住民の関心が強化されてきていると。
 それから、当時地方自治体は、地方政府という言葉を使われていますけれども、とにかく国に依存しないで自主的に経営をしていこうと。そして、同時に、住民と協調しながらいろいろなことをやっていこうよというようなことで、最近公私協働というようなことが行なわれているわけですね。
 その中での特別の専門性をもって住民運動とかボランティアをリードしていくというような役割が必要になっていくのではないかというふうに思います。
 前から分権というのは3げんの分権なんだと。その3げんとは何かというと、権限と財源と人間だといわれているわけですよね。
 財源のほうは、まだ十分じゃないですけど、権限のほうはかなり動いてきております。財源のほうも、徐々にではありますけれども、大きな岩が少しずつ動きつつあるわけで、まだ10年くらいかかるだろうと思うんですけれども、まあ動いていると。
 そうすると、問題は人の問題なんです。これは、おそらく、国の公務員を地方に持ってくると。そして国が身軽になって、地方が大きな政府にならなきゃ駄目だというふうなことです。私も実はそうだと思うんですけども、やはり人の問題というのは、意識の問題を含めると一番難しい問題になるわけです。人は、いればいいというわけではなくて、ちゃんと養成をして使えるようにしなきゃいけない。ですから単なる肉体労働じゃないわけですよ。
 今の行政の中で、やはり昔と違って非常に優れた専門職員が多数必要になってくるわけでありますけども。そして、地域で若者が都会に流出をして、地域に残らないと。それで、もう新しい職員が入ってこないと。
 この前テレビでやっていましたけど、大竹村というのですかな。若い人が一人しかいなくなっちゃったと、そしてそれも岡山県かどこかから移ってきたらしいんですけども、役場に入りたいと言っているんです。おそらくもうしばらくしたら、自分だけしか役場に残らないだろうと。
 これは、そうなりますと、本当に崩壊寸前ということになるんですけど、そういうところがあるわけで。人はいないんで、役場に残る人がいないということで、当然ここは人移りで高齢化します。
 専門職が緊急に必要でも人は置かないというジレンマがそこにあるわけで。次の世代が来たらどうなるんだろうなという、非常に大きな心配が感じられるようになってきています。
 次に、必要とされる専門分野でありますけれども、一つは事務吏員と技術吏員の撤廃という制度がございました。これは、地方制度調査会の、確か28次の第1次答申がございまして、これは平成18年の自治法改正で実現したわけであります。
 それまでの自治法の規定では、地方公共団体は補助機関として、知事、副知事とか助役とか、いろいろありましたがそれと並んで、吏員その他の職員を置くというふうになっていたのですね。
 それで、吏員は、事務吏員と技術吏員に分けます。173条というところに書いてあったんですけど。その他職員というのは、これは一定の国家認定資格を持った人とか、あるいは技術的な職の資格を持った人だとか、特別の職務にある人ということです。
 その規定が削除になりまして、その結果事務吏員、技術吏員の区別がなくなって、現在では職員ということで一本化されてまいりました。
 これを一本化した理由は何かといいますと、これは答申を見てみますと、職員制度の柔軟性の確保と柔軟化という項目の中に入っているわけですね。これはおそらく、法律でそういう身分を置くということは、地域性や硬直化した制度になるわけで、それを撤廃して、自主性、自立性を高めると。こういうふうにしたんだろうと思います。
 特に、技術職員と事務職員の区別は、事務吏員しかなれないポストというのは、昔からよくあったのです。地方事務所の所長とか支所長とかいうのは、事務吏員でなければなれなかったんです。そして、代理をするのは事務吏員じゃなければならないとか。そういうことで使っていたということがあると思います。そういうのはやめましょうというのが、第1の理由です。
 第2に、事務吏員と技術吏員という二元的な区別が不可能になってきているわけです。昔は国では事務官と技官と。その昔は技師というのがいて。旧管理制度の時代から二つに分かれてきたわけです。
 どっちかといいますと、技術系の吏員というのは、自然科学系を卒業して、自然科学のほうを専攻した人たちがなるということで、学歴水準が非常に高いわけです。しかし偉くなれないというのがあって。逆にある意味では、平等原則といいますか、そういうものが伝わらなかったとは言えないということがあります。
 最近の行政の中では、ITだとか情報、環境、医療、福祉。そういった諸々の技術吏員でも事務吏員でもないという中間領域というのが、あるいは両方総合した領域というのが、非常に広がってきたんじゃないかと。そうすると、二元的な特別職だけじゃ対応できないし、二元的な特別職は、そういうものの妨げになるということもあって。
 民間では確かに総合職と一般職ですかね、そういう職制の区別をつくっているけど、そう簡単にはいかないだろうという気がしますけども、いろいろな新しいものが広がってきていると思います。
 第3は、地方自治法で事務吏員とか技術吏員という区別をしていますけども、給与とか身分関係とか、勤務条件とかいろいろな問題については、地方公務員法制度上は大変なわけです。むしろ、補助機関としては吏員を置くという、職員を置くという規定は、あまり意味がない。公務員の身分管理というのは人事管理の問題で、それは、給料形態とか勤務形態とかもちろん違いますけど、各自治体はそのときに見ればいいし、地方公務員法の制度上でやればいいということになると思います。
 おそらく最低限度定員を決めると、組織をどうするかという最低限度だけを決めればいいというのが今回の改正実施ではないかというふうに思います。
 ただ、この改正案の、技術の専門性、専門職としての技術職は要らないという意味ではないので、これは、今日いただいた資料を見ましても、各府県でも依然としていろいろな分野の、そういう国家資格を持った職員を含めて、技術系の職員さんがたくさんいる、今の配置をしておかないといけないと考えています。
 次、必要な分野でありますけども、最近よくいわれているのは法務分野というようなものを一つつくるわけでございます。これは、自治体法務とか、あるいは自治体政策法務というようなことで、いろいろな人がそういうふうな問題にかかわっております。
 そして、地方分権推進とともに、そういう関係の学科名が出来つつあるわけですし、民間の出版社が教科書を出して、総務省や学者に支援のもとで、教科書を読んだ後で一定の資格を認定すると。そういったことも始まっております。
 さっき小西部長がおっしゃったように、何か資格を持っていて、後からも申し上げますけども、辞めた後も、別に大阪府にいなくちゃいけないわけじゃないんで、京都府に行ってもいいし、岡山県に来てもいいわけです。だから、公務員のベテランとして、プロフェッショナルとして、第2の人生を送る、そういう資格というのをつくっておく必要があるだろうと、私は思っています。
 やはり、国家資格ということになると、そのために組織をつくって、また天下りという動きでマスコミにいろいろ批判されるということになりますから、民間がやるのが一番いいかなと。その通用力というか信用力をどう高めていくかというのは、これから大きな問題だろうと思います。
 そういうことで、自治体政策法務ということがいろいろ問題になりますが、自治体の政策法務というのは、いろいろ考え方があって、必ずしも一致していません。初めは条例制定権が分権で広がりますと、そこで条例の制定を中心にして、国の法令とぶつからないように、しかも、法を技術的に、非難されないように、そういう条例をつくりましょうという、条例を制定していこうというのは自治体の法務の中心だったわけですね。
 それがどんどん広がってまいりまして、そのために事前評価をすると、どうしてそういうものが必要かというところから始めないといけない。
 それから、その後で方針をつくって、条例の立案をして、議会に掛けて、それが実施できる組織をつくって事業評価までしていくと。そこまでも含めると、非常に範囲の広い問題は自治体政策法務というふうに名付ける人もいるわけです。
 しかし、条例といいますと、各部署ごとに、いろいろな違った条例があり得るわけですね。そして、おそらく作るべき条例というのは非常にたくさんあるので、条例作りをどんどんやっていると、当然対応できないし、緊急には間に合わないと。
 そうしたら、プロジェクトチームをつくるか、あるいは審査機関というのがちゃんとあって、審査を経て深めていくと。そういう方法をやらざるを得ないんじゃないかというふうな気がするわけで、新しいことをやっていくと、結局駄目だったというふうに、それじゃ困るというわけですね。
 私は、実際は非常に法務は大事だと思うんですけれども、私の考えている法務はちょっと違っていて、例えば住民訴訟に対していろいろ提訴をしているわけですね。それを、事前に予防するようなやり方、予防法学的な意味ですね。住民からつつかれないようなやり方を、いろいろアドバイスすることとか、実際に送ってきた場合に、応訴をするにはどうしたらいいかとか。あるいは監査委員会でいろいろ扱うわけですが、監査で扱うときに、いろいろなアドバイスを事実上するとか、そういった応訴の問題。それからさっき申しました条例審査。これは昔からやっていたわけですけど、条例の審査をしたりですね。
 それから、最近大事なのは自治体法務の中で、民間との協力とか、民間委託というような形の中では、民事契約。民事法上の契約という非常に大事な契約だったのです。例の談合とか入札ですね。これは対私法上の契約になるんですけど、そういうものは非常に大事になってきている。そういうものを含めて、民事法というのを考えていかなきゃならないわけです。
 それから、自治体だって、いろいろコンプライアンスの問題が起こってくるわけですけれども、コンプライアンスといったら何なのかと。民間の場合にもコンプライアンスという言葉は先行しますけども、中身は何なのかというところまでよく分からないんですよね。
 法令順守とか、道徳順守というんですけども、法令だといえば、いわゆる通達みたいなものもあれば、法の解釈、まったく違う解釈があり得るからですね。
 そして、昔出た、そういう方針をどう考えていくかというような問題が非常に難しい。
 こんなことを考えていくと、コンプライアンスっていったい何なのかと、分からないのですね。いろいろ議論をして問い詰めていくと分からないんですけれども、要は業界を規制している法律が最終限度、コンプライアンスになるんだということは言えるんですけどね。
 それ以外に企業体として守るべきこと、これは商法なんかが持っていればいいというふうに考えていますけど、意外なところからいろいろ、特別商取引と、規制法だとか、いろいろな特別法が、最近出ていますから、そういうところから逆に得られるというわけです。そういう広い意味でのコンプライアンスというのを取り組むべきであろうというふうに思われるというわけであります。
 それから、自治体法務ということについて、どういうニーズが具体的に自治体に今あるのか。また、どういう程度の人が必要なのかと。弁護士という専門職がいるんですけども、弁護士に委託するのは高過ぎるということになりますけども、弁護士だけでいいのかどうか。それから法科大学院、これは全員が弁護士にならないわけですけども、そういう人たちを有効にもっと採用する方法はないかと。こういうことが、かなり出てくると思うんですね。
 そしてもう一つは、監査がありますが、これは自治体にとって非常に緊急に求められる課題であって、最近地方制度調査会の答申なんかで、いろいろ監査の問題というのが毎回出てまいります。市町村のほうでも、議会のほうでも、議長からいろいろ出すわけですけれども、監査委員の人間が、議会に関与しているとかですね、そういう話ばっかり出てくる。監査の内容をどう高めていくかという肝心な話は、どうもどっぷり抜かれたままになってしまっているわけです。
 やはり、これからの自治体にとって、地方財政の健全化の問題、これはさっき部長からお話がございましたけども、これは非常に大事な問題になるわけで、この過程では当然監査委員、外部監査も含めてやらなければならないという課題が、非常にたくさんあるわけです。そういう面から重々伺ってまいります。
 これまでは、監査委員というのは身内が甘いとか、あるいは存在意義がないんじゃないかというふうな批判がいろいろありました。それから、やはり専門性中立性というようなものが、常に問題にされてきたと。それで、私は前から申し上げているんですけども、小さい市町村が難しい話ですけども、いわゆる一生監査に携わる、そういう監査の専門官がいたっていいじゃないかと。例えば会計検査院の検査官というのは、例外的に執行するかもあるんでしょうけども、だいたい一生監査で過ごすということでやっているわけですね。
 考えてみるといろいろ、仕分けだとか行政評価とかをやりますけども、会計検査院を強化してそこにやらせるのが一番いいんじゃないかというふうに思ってはいるのです。
 やはりそういう意味で、一生監査に携わった監査の結果を、そういう新しい形で。国民につなげる必要は当然ありますけれども、国政に活かしていく道というのを考えるべきなんじゃないかと。
 それからもう一つ、地方自治体の場合に、監査事務局というのは、非常に独立性が低いのですね。それで「おまえ、忙しい仕事やって大変だから、しばらく行ってこいよ」と言われて、「少し休んで、また帰ってこい」と。こういう形で出る。議会事務局もそうなんです。
 そういうところじゃ良くないんじゃないかと。私は、本当はイギリスがやっているように、第2会計検査院みたいなものをつくると。そして、毎年毎年そこに監査をすることを義務付けるというような制度が一番いいんじゃないかと思うのです。もちろん監査の手数料は、各自治体が払う。イギリスはそれで、全部やっているのです。
 日本でそれをやると、また天下りではないかというので、今のところ断念しているのです。それで、一応しようがないから公認会計士にお願いしましょうというので、第3者、包括的な外部監査制度、効率的監査制度といわれる難しい制度をやってきたわけですけども。これは、住民団体に言わせると、結局最後は、こういう紙が1枚しかないと。それで、何百万円か何千万円取られると。それで、一時は夏目漱石が書いた、もともとのオリジナルの原稿よりも字が高いと。そんなばかな話があるかということになるのだそうで。そういった問題も出てくるのだそうです。
 もう時間がないので簡単にいきますが、あとレベル別の問題というのがあるわけで、これは都道府県、そして市町村というふうに分けた場合に、同じ専門性の、都道府県と市町村とでは、かなり度合いが違うんじゃないかというふうに思うのですね。
 それで、公務員制度全般から言っても、大阪府と大阪市と比べた場合に、大阪市は大都市ですけれども、大阪市の場合、市民に直接サービスをする、ごみ処理もすると。これは、地下鉄とか、昔は路面電車だったんですけども、バスとか、そういう交通機関の運転手さんであるとか、そういう労務関係の人がかなりいるわけですね。
 この人たちは、あまり専門性というのは集める段階では必要がないかもしれない。だけど、処理したりする段階ではいろいろ知恵が要るんですけど、集める段階では要らない。
 これに対して府県の場合で、そういう仕事は?まりしない代わりに、大阪府全体を考えて、非常に戦略的、計画的。しかも調整的に、いろいろなことをやらなければ駄目で。という意味で、違った意味の専門性というものは必要になってくるんじゃないかと。
 市の場合、例えば大阪市なんかを例に取りますと、大都市ですから、都市戦略といいますかね。町づくり、その将来像とか、それから市なんかの交通のプランをどうするかとか、そういう都市像というのを中心にした都市政策というのをやっていかなければならないというふうに思います。つまり住宅なんかが入ってくると思います。そういった専門性が、市なんかには必要だというふうになるのではないかと思います。
 近年、都道府県から住民に身近な仕事はなるべく大幅に市町村に移譲しているということになりますけれども、大阪市やそういうところはそれでもいいんでしょうけども、普通の市町村になると、いろいろ問題が起こってくるわけです。そうすると、やはりいろいろな意味で、府県に残っているそういう専門家とか、大阪市にいる専門家というのが、市町村への補完とか代行、あるいは派遣、あるいは広域連合の支援といったことをやらなきゃならないわけです。
 われわれは、かなり求めました。大阪新都構想というようなものは、そういう考え方に立っていて、大阪市が持っている都市計画問題に対するノウハウ、専門性は、全市町村に応用したらどうかと考えたわけですね。
 指定都市(政令指定都市)、中核市、特例市等につきましては、先ほど部長からお話があって、特例市並の権限を有しますと。それはそれでよろしいかと思うのですけれども、これはかなり充実した組織を持っているのです。
 専門職の数も並みの市町村に比べると、かなりそろっているのではないかと。少しオーバーすぎるという批判があるかも知れませんけれども、私はその程度だと思います。
 特に、指定都市が持っています都市問題対策ですが、先ほども申しましたように、都市計画、水道、住宅、インフラ、都市交通、港湾、歴史文化という分野には府、県よりも充実した専門職員がいるのではないかと。
 ただし、農林水産部門は権限がほとんど与えられていないのです。全部、国の出先がやっているという状況がありますので、これも制度を改正して、そういう分野については権限を与えるべきだと思うのですけれども、ローカルな地域に根付いた農業とか林業、水産業を共にやっていくためには、そういう問題も地域に専門家というものがいるはずなのです。そういう人を行政として、ある程度抱え込む必要があるのじゃないかと。
 ただし、今の小さな市町村には、そのような能力がないということで、そこをどうしたらいいのですかね、ということはこれからの問題なのですね。
 市町村のような人口10万人から20万人未満の市、特に、10万人未満の市、合併等によって体制を強化しつつありますけれども、なかなかまだできていない。財政難が同時に襲っているために、定員の抑制或いは縮減ということに忙殺されておりまして、増えた権限を有効に使っていないし、専門家もあまりいない。
 それ以下の市町村になりますと、一般職員すらも十分に揃っていないということで、特に、小規模市町村の場合には問題が残るというふうに思っております。
 そこで、これからは一部事務組合、複合事務組合の活用の他に広域連合、これは今まである広域連合でなくて、もっと違った形の広域連合を採用するとか、職員組織を共同で設置する。これは、今回の地方自治法の改正で入るのですが、職員の共同設置、もう一つは職員の派遣とか、或いは、行政事務の応援による協定の活用、広域的な連携の活用、府県の区域を越えての活用ということでやってはどうかという話です。
 大阪府は、割合いろんなところに派遣をされていますが、他府県に派遣されているといえば、これはゼロなのです。

○小西 いや、他府県も出しております。

○成田 そうですか。

○小西 人事交流的な意味で出しております。

○成田 そうですか。そういうような他の府県との交流というものをもっとやったら良いと思います。
 時間がないので、この専門職員とNPOですけれども、従来の公共的な機能というのは国や行政団体ですけれども、これは行政がぜんぶ独占するということが当然だったわけです。ところがバブル経済の崩壊や国、地方の財政危機というのを契機にしまして、地域の安全、福祉、まちづくり、あるいは国際交流、外国人との共存、環境、有害情報、民間インターネット上の有害情報、消費者法と、或いは生活相談、そういった住民の私生活でない公共的な生活に縁の深い問題について、民間のNPO団体やボランティア団体の活動なりがいろいろ活発化してきております。
 民主党さんは、新しい言葉を使うのが好きらしくて、「新しい公共」と言っていますけれども、これは新しいわけではないので、われわれのもとでは日本の「古い公共」で、次の新しい「新々公共」というものにつけるべきではないかと思うのです。
 一方では、公私協働というものが出てきていると。これは住民が必要とする専門的立場からすれば、問題解決にある程度役立っているのではと思うので、特に、技術関係の人でまちづくりなどをする場合、やはりそれの仲介の労を取る方をおられて、そういう方が間に入ってやられます。例えば大阪でいえば法善寺(法善寺横町)、昔どおりに復元をするということに成功したのです。京都でもそういうことをやったらしいのです。
 こういう問題は、特に、安全安心分野が、これは前に申し上げたので今日はやめますけれども、安全安心分野の典型的な例になっていて、最近では、青いランプをつけたパトカーとか、住民交番とか、いろんなものが出てきております。ただ、一過性では困るので、どうしてそれを持続させていくかとか、その経費はどうするのかという問題があって、私は、赤い羽根とかいろいろな羽根も結構だけれども、あのようなものもやめてしまって、そういう募金でもしてお金を回したほうが良いのじゃないかと。その方が、みんな協力しているよ、ということになるのでないかということで、そういう提言をしてきたわけです。
 まだいろいろありますけれども、一人でやっているわけではないので、若干、時間が超えておりますので、その原稿を書くときに、ぜひ、皆さまの討論にタッチして話を作るため用意されております。どうもたいへん失礼いたしました。
 どうぞ質問がございましたら、私も次がありませんので。専門じゃないので。

○小西 先生のご指摘の、公務員の削減をする一方、その専門性を求められているということはひしひしと感じておりまして、大阪府の場合、団塊の世代が多くて、逆ピラミッド型になっております。今、職員の採用をすごく抑えているものですから、20代、30代のところが非常に手薄い状態になっています。逆に専門性を求められているにもかかわらず、かって持っていた行政の能力さえも十分に継承されていない。
 実は、先週から今週にかけて知事から「法務相談の在り方」について命をうけていろいろ検討するのですが、各部に法規主任というものがおりました。本来的にはその法規主任が、その部局で起きた法律問題については整理をして、法務課を通じて相談すると。このような仕組みなのですが、この法規主任が崩壊状態にありまして、なぜかと言うと職員数を減らしているものですから、彼らはそれの専属の職務でないのです。元々専属ではなかったのですけれども、半分ぐらいはそれに割いていたと。
 ところが今は、そこに割けないものだから、何も整理できてないものが法務課に上がってきています。
 実は法務相談の件数というのは、ものすごく増えております。十分整理できない相談もあります。専門性を求められているのですが、逆に今まで持っていた能力を継承すること自身が大きな課題になっております。

○成田 それは大阪府だけの話でなくて、警察がそうですし、自衛隊がそうですね。消防がそうです。いずれも今まで培ってきた能力が50代ぐらいに集中しているのです。

○小西 そうですね。

○成田 今までの人は全部いなくなりますよ。若い人が入ってこない。どうすればいいのか。いったんそういう人がいなくなったほうが良くなる世界があるのでしょうけれども、逆に良いことであればちゃんと承継してもらわなければ困ると思うのです。
 結局、自衛隊でも若い尉官がいないということなのです。士官クラスで下級士官がいないと。上のほうは佐官から将官と言っていますけれども、下士官がいない。しかも下士官は40、50人の人がおるのですけれども兵隊がいない。どこでもそうなるのじゃないかと。
 民間企業はそうでもないですね。新しい公務員になりたいという人は減っていますか。

○小西 平成20年度の募集は少し減ったかも分かりませんが、さほど問題ないですね。平成20年度は大幅に給与カットしましたので、それで影響が出ていると思うのです。
 今、社会人採用というものをしておりまして、一つは知事の思いで価値観の異なる人を入れることによって組織の活性化をしようということが一つと、30代のところが手薄くなっておりますので、社会人の方で30代以上の人を採用すると。
 今年は、4月に採用するのですが、いきなり社会人の方を主査で採用するということをやりまして、3名合格になって、1名逃げられてしまったのですけれども、この逃げた人はものすごく優秀だったみたいですね。
 そういうことで、社会で一定の経験を積んだ人を入れていくということをして、年齢もすこし薄いところをちょっとだけ厚くして、能力もカバーしてやるということをやっています。民間の人がくれば全部いいということではなくて、ワークしない面もあります。

○成田 最近、若い人でも公務員になりたいという人がいるけど、逆に採用せず、公務員を減らしているでしょう。新規採用しないと、なれないというのですね。

○小西 少ないからなれないですね。

○成田 もう少し門戸を増やしてあげれば、民間から来る人がいると思いますね。

○小西 そうですね。たぶん、広げれば、それだけのことは上がると思いますし、必ずしも採用数を絞ったら、少数精鋭でいい人が来るというわけではないのですね。一定数採らないと、優秀な職員というのはこないと、そのような法則があるかどうか分かりませんけれども、一定の率しか将来の幹部候補生は出てこないです。
 かって大阪府も一桁採用という時期もありましたけれども、やはりこの層がしんどいと。もう少し採りたいのですけれども、お金がないし、難しいです。

○黒川 いい例かどうか分かりませんが、杉並区のいろんな試みにかかわっていて、杉並区では、この10年間に職員の人数が3300人から2,300人と千人減らしています。大体、経常が年間1,500億円かかっているものを1,300億円位に押さえ込んだのです。なぜできたかというと、全事業のうちの65パーセントをコントラクターというか外注しています。ここまではいいのです。外注に必要なことというと何かというと、入札のシステムでちゃんと説明責任が立つことです。
 この中でユニークなことをいくつもやってきたのですけれども、一番多かったことは市場化テストということで、行政のやっていることを民間でできることは手を挙げてくださいということをやっていたのです。3、4年前までには、50個ぐらいの応募があって、35個ぐらいになり、15個ぐらいになり、去年は5個になって、しかも最初のころは区域外の人がおおかた応募している。今はほぼ全部区域内になってきて、新しいことをやろうと。行政のサービス内容を外から見ても分からないのですよね。なかなか難しい。それが難しいということで、今年からテーマ型ということで、こういうことをやってくれませんかということでやったのが、地域通貨といろんな商店街が持っているクーポン券みたいなシステム通貨と、高齢者への支払いと、介護の支払いと、今の子育て支援のお金と。こういう三つのものについて一本化できないかとやってみたら、全国から30ぐらいの応募があったのです。
 結果的にはSuica(スイカ)カード、要するにソニー系のところがNTTデータと競合してというか、全国区同士の会社の戦いになって、スイカが採ったのですが、スイカカードはものすごく困っているわけです。通常の個別のサービスを提供するより、オーバーヘッドコストはすごく高いのです。そうすると、1年目だけを比較すると、これまでのほうが事務費用は安いじゃないかと。でも5年以上やると、圧倒的にカードのほうが安くなっていくわけですよ。
 そのようなオーバーヘッドの高いものについて導入するということは、今の財政状況ですごく厳しい。その間、銀行からお金を借りて経常化してならさなければならないとなるのですけれども、でも、7年経てば完全に利益が大きくなると。15年、30年単位で契約を結んでいた形のタイプのものと同じ問題が起きてきている。
 オーバーヘッドコスト、新しいシステムを入れるというと、そのような問題が起こったのですけれども、とりあえず一個入れると、今は三つのことだけをお願いしたのに、図書館のカードから何からぜんぶ、しかも発行してくるのは、JR東日本が発行してくるという全面展開に進んでいってしまいそうで、しかも、これが全国で広まることが分かりきっているわけだから、杉並区を越えていくのじゃないかという感じがするのです。
 でも、入れるのにものすごくルールが面倒くさかったということと、これまではそれを直接職員がやって、いろんな金銭的な扱いの話をぜんぶ外に移すことができるようなことになっています。
 これを進めていくのが何のルールも、そういうことが起こりうるということも想定していないので、入札のときにものすごく大変というか、役所の中には、その専門家は誰もいない。65パーセントを外注しているので、この仕事をこれぐらいやって、これぐらいの金額ということに関するチェックはできるかも知れないけれども、新しい事態が起きたときにどうにもならないというか対応ができない。
 とりわけ会計士さん的な処理とか税理士さん的な処理とか、そのようなものがすごく難しいのですけれども、単純にオープンにして、何でもいいから行政がやっているサービスを民間がやりませんかと。たぶん、足立区も駄目だし、佐賀市も駄目だし、これまで言われていることは、アイデアが民間サイドから出てこない状態です。
 そうすると行政の中で、こういうことを任せると良いのじゃないかと思うテーマを発展していって委ねていくというやり方で、これまでの個別のサービス、窓ふきいくら、床ふきいくらということに対抗するアイデアが、ほとんど現場から出てこないというのですよ。
 すごく困っていて、面白いアイデアで大きなシステムで物を考えるということになると、かなりこれまで経験の豊富な人たちが、「こういう行政をこういうふうに任せると良いのじゃないか」という議論になる話です。
 成功するかどうか分かりませんけれども動きだしました。府中市はもう少し前から、このようなことも始めておられます。たぶん、これが進むと全国オールカード化になっていくと思うのですけれども、杉並区は住基ネットに大反対で、なかなか大変なことになっています。

○小西 あれ、まだ接続していないのですか。

○黒川 本人がいいという場合、かまわないことにはなっているのですが。

○小西 ああ、本人がね。

○黒川 微妙なところ、何も書かれていない専門的な能力の人が必要だと思います。単純に公認会計士の試験を通ったとか、司法試験に通った人が、この仕事にぽっと付いてできるかということでは、絶対にできないと思うのです。やっぱり、どこかで、事業の経験をしていて、しかもかなり上のほうから見ていた人が、そういうことには可能になりそうです。

○成田 長いこと実務をやっていて良いこと悪いことを全部知っているのです。悪いことについては、こうすれば良いのじゃないかということが分かっていて、やってみましょうという話になってくるのでしょう。

○黒川 相当分かっている人が、こういうのを事業として出してみたらどうかということで、去年、それが成功したものだから、「今年は5、6個、そのようなテーマを出しなさい」と言っているのですけれども、みんな思いつけるかどうか自信がないということです。
 もう一つ面倒くさいのは、今度は逆の話ですけれども、いろんなところで行政サービスに関しては、ICT(情報通信技術)化、オンライン化をしようとしていますが、どこの自治体も自前で、プログラムをどうでもいいところまで自分で作るのです。だからNTTデータのカモになっているのです。
 オリジナルにプログラムを組むので、今、だんだんクラウド型と言われてきて、途中までのOSはもちろんのこと、途中までのワーキングをパッケージしてもかまわないと。最後の自治体に個別の部分だけきちんとプライバシーを守り、そういうことを上手にやっていきながら、最適な規模をうまくネットワークするということが必要だと思うのです。
 全部オリジナルで作っていると、ものすごくお金をかけて、ほとんど進んでいないと。それぞれオリジナルだから、横に繋ぐことをしていないので競争関係もないのです。今までの投資は、ほぼ全て無駄ということで、ICT(情報通信技術)関係の専門家の人たちは、そのように思っています。
 民間企業もほぼ一緒ですね。銀行も全部オリジナルでネットワークを作っていたから、技術開発、プログラム開発をしてしまっていたので、合併したときに大騒ぎになってしまいましたけれども、どれも賢くないプログラムなのですね。すごい問題が起こってきても、賢くないプログラムの戦いになっているのですね。政治力で勝ってしまうので、俺のところに従えというと、最悪のところに従う可能性があったりします。
 世界で共通になっているパッケージの部分は、そのまま入れてくるという自信みたいなものがないので、全部オリジナルに、言われるままに開発してしまうということになっています。
私は、7年間、相模原市が中核市となって政令都市になるまで都市みらい研究所の所長職みたいなことを引き受けていたのですね。
 去年の研修で、研究員に頼んだのは政令指定都市になったら、広域のための会議が何個増えるか計算しろと。静岡市と浜松市に行って聞いてこいと。どんな会議が出てくるのか聞いてきなさいと。これまでの特例市の場合と、会議数がどれだけ増えるのかと。そうじゃなかった場合とでは、広域で考えると270だったのが、特例で580になって、政令市になったら1,400の会議数に増えて、管理職は、ほとんど毎日、政令市対応の会議に出ていないと足りないぐらい相模原市の人材では対応できない。会議をやるために役所があるというような感じになってしまっています。めちゃめちゃ会議数が増えると。これもなぜそんなに横並びにやらなければいけないのか。
 首都圏の場合、八都県市首脳会議とか、さまざまな会議があってそれの準備とか対応で周りも必死な状態です。しかも政令市になれば、都市会議をやるとか、何をやるとか、順番が回ってくるのですか。それもぜんぶ割り振ってやると、今までは580位だった会議が1,480いくつになると。どれを出ないですむかをチェックしたのですけれども、静岡市は、「そんなの出ないわけにいかないよ」と。政令市は会議がたくさん増えることだと。
 すごくばかばかしいですけれども、もう一つ、今まで人口予測とか、地域別の町内の人口予測というものは、ほぼ全部、コンサルタントに外注だったのですけれども、相模原市の中に研究所ができて、大学と協働で町々別の人口予測とか、どんなサービスが必要になるかということを、ArcGIS(地図情報システム:Geographic Information System)というのを使って、分析するということをやるようになって、投入してから3年目で、1年目のときは50ぐらいの部署から協力要請があったのが、昨年は170回ぐらいのほぼ2日に1回ぐらいは新しいGISを使った分析に関して、様々な部署から要請があったようで、それも研究所としては答えを出してあげないと。向こうから職員を連れてきて、彼らが使えるようになるまで帰さないと。そういうやり方をしたのですけれども、結局、みんなができるようになっていくと、どこかでピークになって使えるようになるのだと思いますね。
 今まで人口予測というと、社人研(社会保障・人口問題研究所)でやっていたのですが、相模原市の場合は全然外れているわけで、何のためにやっているのか分からないぐらいです。神奈川県では、社人研を信じていて、相模原市の推測などまったく相手にしてなかったのですけれども。
 静岡県庁も総合計画のときに、研究室と協働でやって、「人口予測は丸投げするな」と。5地域に分かれている静岡県エリアでいうと、全体では県の方が当たるのです。個々の地域別によって、全く当たっていないのです。県庁としたら合計が合っていればいいのですけれども、静岡県の20歳(はたち)代の人と、浜松市の20歳(はたち)代の人とまるで違うのに、県庁としては、全体としてこういう形としてしか見れない。
 そういうものは、自前でデータを分析すると、どのような動きが起こっているかが見えてきますよね。たぶん、静岡県庁は徹底してそのようなことをやってこられて、丸投げしないという持論なのですけれども、丸投げしないとコンスタントに仕事がなくなるから、院生たちの行き場所がなくなるので困るのですけど。
 役所は、やっぱりある程度そのランクのところまで、みんな職員の人たちが分析できるようにしておいてくれるとすごく良いですよ。こういうデータが集まっていて、これで分析していると先ほどおっしゃっていましたが、すごく大事なことだと思います。
 分かっているように見えて、人が作ったデータでやっているので、結構、実体と合っていないということが起こっていると思います。

○成田 データが信頼できないというのは、日本の行政、みんなそこにあるのですよね。
 全く別の話ですけれども、犯罪認知件数というのがあるのですが、発生した事実が「犯罪」として認知されたものが上がってくるのですが、街頭犯罪のように一般の市民が脅威に思うようなことは、犯罪として認知されない限り、数としては、全然上がってこないのです。迷惑条例のようなものもいろいろあったりしているのですけれども、そういうものも入ってこないのですね。だから、犯罪の認知件数が減っているみたいですが、実体の治安が悪くなってくると。結局データなどがおかしいのです。

○黒川 今、話題になっているのに、自殺の数が増えているということがありますね。

○成田 はい。

○黒川 これは、景気のためだと議論していますね。
 だけど、47都道府県の比較のデータを見たら、なぜか知らないけれども、秋田県は13年連続一位で、どうしてですかと。2番が必ず高知県なのは、なぜなのかと。それに近いぐらいのことで、たぶん、去年は違ったかも知れませんが、ものすごく秋田県が多いのです。でも、秋田県は、小学校の子どもたちの成績が一番なのですね。ずうっとテストのランキングが7年連続一位なのです。何か関係があるように思ってしまいますね。
 景気が悪くなったために自殺が増えたということの説明のことでいうと、景気で説明できる自殺要因というのは1割ないのですよ。
 まるで景気のために自殺しているみたいにみんなは説明しているのですけれども、何かもっと違う大きな構造的な問題があるのじゃないかと思っているのですけれども、みんな見つけられない。今、いろんな人が論文を作っていますけれども、どれもみんなあやしくて、正確にいうと分かりませんでしたというのが正しいですね。

○成田 自殺は相当いろんな事情があるだろうと。みんな個人、個人それぞれ抱えているわけだから、平均的な傾向なんかをつかまえるのは難しいですね。

○黒川 大阪なんかは、私の研究室の中では、景気に影響を受けていると。

○小西 自殺ですか。

○黒川 大阪は一番受けているような予感がします。

○成田 東京は大丈夫。

○黒川 神奈川も結構きついですね。東京は全然関係がなかった感じがします。

○成田 東京は関係ない。

○黒川 関係がなかったですね。
 内閣府なんかが、報告書を出しているのですね。すごくウソっぽい報告書で、読んでも何でなのという感じで、知り合いの大阪大学の研究室ですが、こんなこと言うと悪いですけれども、(内閣府から)答えを出せと言われていて、仕方なく出していると。正直なことはいっぱい隅々書いてあって、本当は関係ないけど。本当は関係ないけどと書いてあるのです。
 景気で無いということは言えないけれども、そんなことで違うことで決まっている。

○小西 すみません(退席)

○成田 がんでも前立腺がんというのは、がんじゃないですよ。70過ぎると前立腺肥大というものは、そのうち80パーセントががんなのです。あれはがん細胞だけでなくて、研究するものが薄くて、骨に転移したら放射線治療とかするのです。ところが最近、ある意味大きくなってきたのが、天皇がなられたことが一つですね。
 もう一つはがん対策基本法ができて、がんのデータをある程度の数を積まないと、国から補助金が出ないのです。だから、がんでもないのに全部集めて一定の数を作り上げているという話を聞きます。しっかりしています。本当にがんのデータは増えたと、われわれは思います。
○黒川 責任を負って出さなければいけない社人研(国立社会保障・人口問題研究所)などは、すごく気の毒だと思います。一定のデータを説明で使わなければいけないということに関して、すごく大変だと思うのですね。

○成田 最近では、空港の需要などは認知しているのですね。

○黒川 空港需用の場合、国土交通省の場合はとりわけ別のルールがあって、鉄道との関係とか、ぜんぶ考慮しながら答えを出そうと。
 誰が考えても、静岡空港にお客がいなかったら、絶対増えるに決まっていると思っていますし、だけど、新幹線が下を走っているのに駅を造らないとか、JAL(日本航空)が駄目になったというと、鈴与という会社が、ドリームエアという飛行機を造って、今、3機まで確定で、完全に運行するエリアも決まっていて、赤が最初で、青、その次ピンクと。7色いくらしいです。
 静岡空港は、県庁の中での推測はものすごく高いですけれども、国土交通省はものすごく反対をしますね。

○山下 社会的に打ち出す問題なんかがあるのですね。これは何とかしなければいけないものなのだと言われて、行政的な対応が求められて、県とか市はしなければいけないけれども、にもかかわらずどうにもならないというか、基礎となるデータはどこまでなのか自分たちできちんと分析するなり、専門家の知見を活用するなりということができていないのだけれど、しかし、予算をつけて打ち出すのですね。そのようなことが結構あるような気がします。
 そういう意味では、政策課題なり、その元になっている現実の状況把握がちゃんとあっての政策というよりは、こんなものかということを結構やっているのじゃないかという気がします。

○黒川 人口移動、パーソントリップ、OD(起終点)調査みたいな定点観測というような部分は、大都市圏ではコンスタントにやられているので、どこでどんな問題が起きてくるかということは見えているのですけれども、もう少し丁寧にやらなければいけない福岡県周辺とか、あのようなところの人の動きというものは、もっと丁寧にパーソントリップをやっておいたほうがいいと思うのだけれども、結構分かっていないのですよね。
 夜間人口は分かるのですけれども、センサスで5年に1回しか出てこないわけだから、これはいくら何でもばかばかしいので、みんなGPSをパソコンか何か使って人のチップだけを入れてあげれば、どこをどう移動したか分かってきます。今、これもすごく困っているのです。携帯電話では、SIM(シム)チップというものがロックされているわけで、特定の回線しか使えなくなっているので、SIM(シム)ロックというのは外しましょうというのは、次の政策になると思います。
 そうやってみんなが持ったら、あっという間に、誰がどういうふうに移動しているかが分かってしまうのに、誰もやらないのですよね。考えられないです。これだけ技術水準も発達していたら、全国の携帯電話を持っている人たちがその部分のプラスアルファのプログラムを組んでくれただけで、あっという間に分かります。
 2013年だったと思いますけれども、EUは、今、トラックはそのようになっていますけれども、EUを走る車はすべてGPSでコントロールされて、どこからどこに走ったかが分かって、走った道路をいためた量に応じて課税されるのですよ。それをぜんぶ鉄道に投資するといっているのです。そういう時代になっていて、地球環境レベルでものごとを考えているのだけれども、日本は、そういうところの行政が縦割りなのか。
 誰が手を上げるかということは難しいですよね。今のパーソントリップというのは、計量計画研究所というところが対応しているのですけれども、国土交通省系の外郭団体ですけれども、今のままでいってしまえば、NTTデータが取ってしまいますね。絶対そうです。ぼおっとしていると取られてしまうと思っているのですけれども、予算が付かないし、言い出すと誰かにやられてしまうかも知れないから、そっと待機していると。
 これは1回取ったら、その会社に行きますよね。3年おきに、随契(随意契約)ではもう駄目で、3年おきに入札するのかという話になったら、もっとややこしいですよ。
 こういうものは、誰がどのような責任でやるかということはきちんとしなければと思います。関西広域という話をしたら、そういうデータは完璧に分かっていなければいけないでしょうね。関経連(関西経済連合会)などはやるべきですね。俺たちでGPSをやりますと。関係者だけで全部調べてということで、それを使うことは、たいしてお金がかからないのですけれども、アメリカの衛星を使うからくやしいと思っている人がいます。

○成田 終戦直後に、国土省あたりで総合開発計画を作って、それをやったのです。国が計画を作る前に、地方がそれぞれの総合開発計画を作って始まったのです。そのときデータもないし、民間にもないから、役所の人たち、特に、県庁の人たちは一生懸命になって這いずり回ってデータを集めてくるのです。やっぱり水の使用量とか、電気の使用量をはじき出して、ダムを造ったり道路を造ったりしてきたのです。当時は、今に比べたら高い専門的なレベルではないでしょうけれども、今おっしゃっている話だと、地域で基礎的なデータがないと、何かやろうとしてもやりようがないのです。

○黒川 そういう説明責任を求められているので、いいかげんに案を作ると、八ッ場ダムみたいになると恐ろしいです。
 関東地方圏の範囲だけでダムの数というのは151個あるのです。そのうち水量コントロールをしていて、雨の降った量で開け閉めしているというのは30いくつあるのです。そのために荒川、利根川の氾濫ということは絶対にないでしょう。ものすごく造りすぎですね。東京には水は完全にあまりです。
そのほかに浚渫(しゅんせつ)といって、ずうっと計画があって、浚渫じゃないのですね。泥を取っていたら面倒臭いので、向こう側に戻って掘っているのです。貯まっている水の量と同量確保するというシステムを取っています。問題は、泥を取ったときに砂利が売れる想定で計算しているのですけれども、どこも砂利余りで、誰も買ってくれないと。

○成田 時間がありませんから、今度は新川先生に進んでもらえますか。いろいろあるんだけど・・・絡んできますのでね。

○黒川 一番のこれも大阪府などはどうなっているのですか。建設残土というのがいっぱい出てきますよね。これを別の道路などの下地にするとかというので、回すというシステムはありますか。

○手向 あります。

○黒川 国のTECRIS(テクリス)とかCORINS(コリンズ)ですか。

○手向 ここで言えば、近畿地方整備局も入れた上での大阪府区域で発生する工事の残土をどこが必要としているのかという調整はやっております。

○黒川 そこまではまだいいと思うのですね。たぶん、国のシステムでテクリス、コリンズというシステムなのですけれども、一番の問題は、排気ガスを出しながら遠くのほうへ運んでいたら駄目なのですね。できるだけ発生しているところと近い距離で、CO2のことを考えたら近い距離での移動がいいのですよ。ところが、面倒くさいので早く処理がしたいと思うと、発生しているところとニーズのあるところを近づけるのです。今のテクリスというのは、このつなぎ方をしているからCO2が出し放題で。基本的にごみ処理などをするときというのは、回ってくる収集の距離を最小にするようにプログラムを組むのが普通でしょ。
 国は、どのような発想か分からないですけれども、これを全然作っていないですよね。

○手向 おそらく詳細は知りませんけれども、そこまでは考えたシステムにはなっていないのではないかと思います。

○黒川 それは国がやっていかなければいけないし、自治体が間に入って距離を縮めるべきなのですよ。

○成田 国は、司法の部分は、環境省は、国土交通省ですか。どうなのですか。

○黒川 国土交通省がビルなどを壊したときは義務化しているのですよね。それは義務化していて、情報が入ることになっているのです。

○成田 それでしたら廃棄物は産業廃棄物ということですね。

○黒川 産業廃棄物です。

○手向 公共建築に関して発生する残土で調整システムがあると思うので、道路なんかの大量に土が出た分を、河川の掘削もそうですけれども、その土を違うところに埋めるというやり取りはよくあります。

○成田 関西空港を造る段階では業者が決まっていて、あれは別のところですか。

○手向 関西空港は、短期間でやるということもあったので、場所を決めて山から削ってきました。

○成田 それは建設残土を多く捨てるということをやらなければいけなかったのですか。

○手向 山の土砂だったので、岬町、和歌山の加太とかから土は持ってきます。

○黒川 民間に任していると別の問題が起こって、プラスチィックごみみたいにそのまま中国に行き、古紙も中国に行っているので、だからこれも困るので、本当は日本の中でリサイクルされることを想定されているのに。

○手向 大阪府の港湾施設などで埋め立てをやっているところがあるのですが、そういうところでも購入土は使わないということで、すべてそこに発生する建設残土を捨ててもらっています。そういうシステムを入れています。予算的制約からも急いで、一方ではあったのです。

○黒川 ほんのちょっとの工夫で、ルールとして近いところにおきますとか、一週間以内なら近いところとかのルールを作ってくれるといいのですけれども、たぶん、国土交通省はあせっているのです。今、いろんなことを考えたら、前にやっておけばよかったとか、とにかく発生と利用だけをつなげたいと思ったのですよ。特に、首都圏などは八都県市ですから、ものすごい距離を走るのです。
 こういうのが大阪府の仕事のような感じがするのです。いろんなものの発生と対応が繋がるようなことですね。

○成田 おそらく市町村でなければできないですね。

○黒川 市町村では難しいでしょう。

○成田 やっぱり苦労しているところがかなりあるのですよ。

○手向 おっしゃるとおりです。環境部分に関しては確かに、特に、都市圏の環境問題は、大阪府がそこに関与する余地もある話です。

○黒川 兵庫県と仲が悪いということは困るのですよね。

○成田 いわば感情問題というか歴史の問題があるので、なかなか難しいですね。じゃあ、新川先生お願いします。

2.自治体職員の質の確保に向けた取組(任用・育成)について

○新川 申し訳ございません。最初にレジュメをちゃんと作っていなかったのでお詫びを申し上げます。
 私のテーマは「自治体職員の質の確保に向けた取組(任用・育成)について」ということでお話をさせていただきたいと思います。
 3、4点ポイントを絞ってお話をしたいと思いますが、一つは、やはり先程来お話がありますように、自治体の職員や、その組織を巡る状況の変化というのがあって、これは意外に、従来型の公務員制度が使えない状況というのが、ずいぶんはっきりしてきたのではないかと思っています。
 従来、私たちが公務員制度として考えていたものの、もう限界が来ているのではないか。
具体的に申しますと、一つは、公務員という位置付けそのものが、難しくなってきているのではないか、まずそんなことを問題提起しておきたいと思っております。
 二つ目は、その中で今の自治体職員という言い方になってきているわけですが、そもそも自治体の職員というのが、これから分権改革等々進む中で、どんな仕事をしていくのかということについて、もちろん、いろんな専門分野、いろんな業務、いろんな事務事業がありますから、一概には言いにくいのですが、公務員である自治体職員がやる仕事というのは、むしろ、その範囲というのを一定のものとして一般化できるのではないかと、そんなことを考えております。その点を二つ目で、将来の職員像のようなこととの関連でお話をしたいと思っています。
 そして三つ目に、それに対応した職員の任用の仕組み、それから、多少山下先生のお話と関連するかもしれませんが、昇進、昇格の問題、人事配置の問題をからめて、人事制度をどうするのかということ自体について、どこを再構築していくのかという観点からのお話をしたいと思っています。
 大きな4点目は、そういう職員を、単純に外からすべて連れてくるというわけにはいきませんので、どういう職員の研修、あるいは訓練の仕組みというのを考えていかなければならないのか。また、当面は新しい自治体の体制、地方制度や、それぞれの行政組織の体制に、適合できるような職員づくりというのも、内部でやっていかないといけないので、そういうときの研修システムとして、どういうものを考えていかないといけないのかを4点目にお話をしたいと思っています。
 それでは、早速ですが、現行?公務員制度の限界といったところから、お話をさせていただきたいと思います。
 一つは、成田先生からもお話がありましたけれども、公務員と非公務員の境目というのが、なかなか明確に線も引きにくくなってきたという点です。もちろん旧来の行政の見方として、例えば権力的な行政をやるのが公務員で、それ以外は非公務員であるというような荒っぽい議論は、確かにできなくはないだろうとは思うのですが、現実問題として、公務員と非公務員とをこれで区別をすると、非常に難しくなってくるのです。
 職員という言い方になっていること自体が、それを典型的によく表していて、自治体の仕事自体が、従来公務と言われていたものとは、まったく違う仕事を山ほどやっていて、場合によっては、先ほど黒川先生からもありましたような、民間がやっているのと同じようなことを自治体もやっている。そういう状況があって、逆にその中で、公務員はこうあるべきというような議論は非常に難しくなってきていますし、公務員の能力というふうにして独立して議論をたてるということも非常に難しくなってきている。
 しかし、もう一方ではそうやって仕事の種類、あるいは質というのが、自治体に対する、さまざまな行政ニーズがどんどん変化をしてくる中で、大きく変わってきています。それに対応する能力というのが、要求されますから、専門性であるとか、適合能力であるとか、あるいは自己変革能力であるとか、そういうところは、やたらに要求水準だけは高くなってきているということになります。
 そこで、二つ目。従来型の公務員制度の仕組みの中での、人材の限界のようなものがはっきりしてきていて、先ほど、小西部長さんが少しおっしゃいましたけれど、オールラウンド型というのが、現実にはあり得なくなってきたのではないかということです。
 オールラウンダーで問題に対処するというのは、言ってみれば、行政水準が非常に低い段階で、何でもだいたい対処できますよという時代であれば、オールラウンド型の対応というのはできるはずなのですが、これほど各分野に専門分化をしてしまって、社会の中で要求される水準というのが、非常に高いレベルになってきたときに、どうも先ほどの監査のお話もそうですし、医療のお話もそうですし、あるいはデータ処理一つを取りましても、そうなのです。言ってみれば、公務員にあれもこれも全部について専門家になれというのは、無理だということです。オールラウンド無理型とでもいうのでしょうか。そういう二つ目の無理というのがあるような気がしております。
 そういう無理を、どうやって乗り越えていくのかを考えたときに、実は従来型の公務員の中に、そうした仕事の質の変化への対応ということと、何でもできる高い能力と言っているものを、要求しない公務員制度を考えざるを得ないですし、そういう職員像を考えていかないといけない。それは何を意味しているかというと、新しい変化の方向としては、どうも公務員、あるいは職員と言っているものが、単なるある仕事がよくできる人、あるいは特定の業務について、責任を負える人というよりも、むしろ、そういう専門性や、専門能力というのを持っている人たちを上手に使える。あるいはそういうものを持った組織を上手に使える。そういう人物像に変わっていかざるを得ないんじゃないかということです。
 先ほどの、杉並のアウトソーシングのお話がありましたけれども、まさにそれはそうで、そういう外部委託をする。あるいは外部の専門家を集めてプロジェクトで検討をする。そういったようなことができる職員がいればいい。
 ただし、今のところプロデュースとか、コーディネートできる職員が、非常に少ないということもあって、なかなか難しいんです。けれど、それは外の力を使うときにもそうですし、組織内部で仕事をするときも、それと同じことが言えるのではないかと思っています。
 つまり、従来型のあらかじめ決まった仕事の手順を、きちんとやっているかという、いわば監視型の管理者ではなくて、目標を達成させるために組織を動かしていく管理者が求められている。そういう新しい管理者像のようなものを、内向けにも外向けにも公務員、ないしは新しい自治体職員と呼ばないといけないんじゃないか。そんなふうに今ちょっと考え、そういう状況の変化があるのではないかということを指摘したいのであります。
 その点では、実は従来の人事制度の中で考えてきたような管理方法が適用しなくなってきているのです。工場の生産システムを維持するような場合に、終身雇用型の若年時一括採用で、お年をとるまでずっと同じような仕事を、どんどん積み上げていく仕組みというのが、もう通用しないかもしれない。これは、産業界でも起こっていることですがちょっと余計な話かもしれません。
 まして、そういう新しい仕組みというのは、おそらく都道府県、大阪府のように、もちろん直接執行事務をたくさんおやりですし現場もたくさんお持ちですが、もう一方では調整的、あるいは計画的、監視的、管理的な仕事の多いところになればなるほど、ますますそういう内向けの管理ができることが大切になります。そして、外向けのコーディネートができるようなリーダーシップを持った職員というのが必要になってきているのではないか。そんなふうに考えているところであります。
 仮にそういう職員が必要であるとして、あるいはそういう職員が、主流になるかどうかは分かりませんが、少なくとも一定の割合が必要とされるだろうということを前提にして、考えてみたいと思います。一方で、それ以外の人は典型的な定型業務として、服務規則に従って、能率よく果たしていただければよろしいという業務があるんですが、それ以外の方々で、どちらかと言えば大多数の方を除いて、例えば、ここの事務局に来ておられるような方々に、何をさせるかという問題を少し考えていきたいということでございます。
 新しい人材像として、従来の与えられた任務をルールに従って執行する公務員像ではなくて、新しい職員像というのを考えていきたいということでございます。
 ポイントは、今回の研究会のテーマの中でも、分権時代というのが何度も繰り返し出てきておりますけれども、こういう地方分権型改革が進む時代の職員の能力として、一つはやっぱり企業家型というか、アントレプレナーシップ(entrepreneurship:企業家精神)のようなものというのが、どうしても必要になってくるのかなと思っています。与えられた仕事を、着実にこなしていくタイプではなくて、むしろ自分自身のアイデアというのをくみ上げていき、実際にそれを実行できるプログラムにしていったり、直接自分でできなければ、そういう仕事のプロデュースをしていったりする。そういう能力が必要になってきているのではないかというのが、一つ目の能力のポイントです。取りあえず、アントレプレナーシップ型というふうに呼んでおきたいと思いますし、そういう能力を持った人が組織のリーダーになっていかないと、公務組織もうまく動かないだろうというのが能力の1点目であります。
 二つ目の能力として、パートナーシップ型の職員という点を強調したいと思います。もちろん、公式にも公民協働とかということは、よく言われていますけれども、いろんな場面で、実はパートナーシップ型で動いていったほうが、実際に大きな成果が上がるというのは、外部との関係だけではなくて内部、あるいは組織間の関係で考えてみたときにも言えるのではないか。
 しかし、残念ながらパートナーとして、一緒に動いていくということについて、これほど不得手な組織と職員というのもなかなかいないというのが、実感です。もちろん直接それが賞罰にかかわらないということになりますので、従来型で考えるとなかなかそうはならないのですけれども。しかしながら、これから本当にお金もない、もう一方では「いろんな仕事をやれやれ」と、みんなに言われるという状況を切り抜けていくためには、いろんなパートナーシップを上手に作り上げていく力がないと、実際の仕事は進まないだろうということでもあります。
 そういうパートナーシップを担えるような職員といったら、どんな能力が必要なんだろうか。この辺りは、もうすでに始まっているところがありますが、やはりコミュニケーション能力があるかどうかということが、一つのポイントになってくると思っています。人と話せない公務員というのは、ひょっとすると、これからは公務員じゃなくていいんじゃないかというのがポイントの一つであります。ほかの組織とお話ができるかどうか、住民や民間の方ときちんとお話ができるかどうか、そういうコミュニケーション能力というのが、一つあろうかと思います。
 二つ目は、新しい職員像でリーダーシップ能力ともかかわるのですが、新しい職員がリーダーシップをふるっていくときに、実は、パートナーシップ型ということで考えていったときに、どうも従来のように自分が先頭に立って、自分と同じことをさせるようなリーダーシップではなくて、別のスタイルになると考えています。むしろ組織、あるいは関係者の能力を引き出しながら、仕事の成果を上げていくという仕組み、そういう仕事の仕方をしていかないといけないのだろうということです。そうすると、実はファシリテーティングという、物事を促進させる能力というのが、必要になってくるのだろうと考えています。そういうファシリテーティング能力といったようなものも、どうやって、これから職員の中に作り上げていくのかというのが、必然的に必要になってくるのではないか。
 それから、パートナーシップということを考えるときに、やっぱり1番重要なポイントになってくるのは、いろんな能力を持った人たちというのを、どうやって最適に組み合わせるかということです。それは中間管理職の方々が1番苦労をされるところでもありますが、逆にそれは各部門、あるいはそれぞれの事業所等々での、いわば仕事をどうコーディネートするかという能力にかかってきているかと考えています。そういうコーディネーティング能力のようなものが、これからの新しい公務員と呼ばれるような職員の方々には、必須の能力であり、身につけるべき課題ではないかと考えているところです。
こういうアントレプレナーシップ型、それから、パートナーシップ型の職員というあり方も考えていったときに、次にこういう人たちを実際の職員として採用をしたり、そういう人たちが働く機関が大きな成果をもたらすような人事制度にしていく方法を考えるというのが、次の大きなポイントです。
 職員の任用というような観点では、すでに、さまざまな改革が着手をされています。多様な人材の確保であるとか、あるいはキャリアの多元化、あるいは複線型人事といったようなことが言われるようになってきております。
 しかし、いずれにいたしましてもベースにあるのは、最初にちょっとお話をしました終身雇用ピラミッド型を、一応大前提にした人事制度です。そして、その中での職務の複雑と責任に応じた、必ずしも職階制を取っているわけでも何でもないだろうし、法律もなくなりましたんで、どうでもいいと言えばどうでもいいんですが、とにかく、そういう旧来型の公務の姿というのを念頭に置いた。しかし、現実には、なかなか応用しにくい人事制度を取ってしまっているのです。
 ということのなかで、どうやって本当に働いてもらえる能力のある職員を採用するのかというのが、今大きなポイントになってきているということであります。
 したがって、当面の対策と、将来の対策をどうするかというような、両方を考えていかないといけないと思っています。
 今、国でも議論をされておりますけれども、将来的には、やはり公務人事のオープン化、もっと言えば自治体職員労働市場のようなものを、そろそろ考えていかないといけないんじゃないかということでもあります。
 つまり、必要な人材を、必要なときに、必要なところで活用できるようなマーケットをつくっていくということが、最終的には考えられていかないといけないだろうと思います。
 そのマーケットにどういうふうに参入してもらうのか、あるいはどういうふうに、そこで適切な人材を選んでいくのかということについては、例えばそういう自治体共通の資格認定機関であるとか、あるいは共通の基準を満たした教育機関であるとかといったようなものも、想定をしていかないといけないだろうと思っていますが、ちょっとここはだいぶん議論が拡散をしてしまいますので、これぐらいにしておきたいと思います。
 少なくとも当面のところは、自治体職員労働市場みたいなものを想定しつつ、そこに到達するまでの間、必要な人材というのを、確保できるような任用の仕方というのを考えていく。そうすると、いろんな人材の確保の仕方の中で、すぐできそうなのは、一つは企業でやっておられる、通年採用体制のようなものも考えていったらいいでしょうし、社会人採用等々では、それに近いこともやられています。
 また、最近では、ほんのわずかですが東京都と京都府がやっていると思いますが、大学院の修了者の採用ということもあろうかと思います。
 そこで、重要なポイントは任用時の能力証明の仕方について、もうすでに採りたい人のタイプが変わってきているわけですから、それに応じた試験の仕組みというのも、やっぱり考えていかないといけないという点です。
 もちろん、このところ試験の中身も、面接の仕方もどんどん変わるので、工夫をしてこられているというのは、よく知っているのですが、もう一方では工夫すればするほど、ますます民間の公務員受験予備校の、もうけ仕事が増えていくという構図になってきています。実は対策をするほうも、一生懸命やっていますので、せっかく新しいやり方を考えても、すぐに対策が出てくる。多分そういういたちごっこだろうと思います。
 採用時の面接などをおやりになられた方は、みんな本当に面接慣れをしていて、よく答えるなというふうにお感じの方も、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。またそういうような話を、あちらこちらで聞く機会が多くなっています。
 しかも、質問の中身まで、だいたい想定させた範囲内で済んでしまっているというか、本当に対策を取るほうは必死なので、当然なんですが。そういう状況の中で、じゃあ、本当に人が選べるのかということの問題があります。この辺りは、やはり考えていかないといけない。
 したがって、任用時の能力証明というのを、むしろ有期雇用の制度の拡大等々を通じて、やっぱり本当は試みに任用することが重要です。本来は試用期間があるはずなんですが、なかなかやりにくいので有期、あるいは任期付きの任用というのも、むしろ制度としては、当面活用することも大事ではないか。これは複線型のキャリアの議論の中でも、あるいは委託や非常勤嘱託任用、また補充人事の拡大ということからも、議論されてきているところであろうと思っております。
 その際に問題になってくるのは、やはり臨職とか、嘱託とか、派遣、あるいは委託をした場合とか、いずれにしても、公共的なサービスを担ってもらわないといけないということが、あります。言ってみれば、そういう人たちを公務の仕事に携わるものとして、その仕事を的確にやってもらうという仕組みです。それに応じた能力を含む任用基準であるとかということを、きちんと守ってもらうという仕組みを考えていくというのも、併せて大きな課題にはなるだろうというふうに思っております。この辺りは、このあとの研修の仕組みとの関係で、少しお話をしたいと思っています。
 時間もどんどんたってきておりますので、それでは、どういうふうに職員の方々の研修とか、教育ということを考えていったらいいのかということについて、少しお話をさせていただきたいと思います。
 従来の研修の仕組みというのは、どちらかといえば、終身雇用の仕組みを前提にして、その中で能力、技術、あるいは知識というのを年々高めていくことにしています。そして、それら職員の適性が何だろうと、それぞれの職場に応じた技術、知識というのを、まず身につけてもらうということと同時に、それを積み重ねていくことで、潜在的な能力を高めていって、その中から優れた管理者というのを、選抜していきます。
 そういう仕組みを取ってきていますが、先ほどの定員削減の中で、逆ピラミッドの人事構成というような話もありましたし、実際の事務処理上で対処しなければならない問題の多様さといいますか、いろんな新しい問題が出てきているということ。加えて、やはり過去の組織遺産というのも、実は今、継承できる仕組みになっていないという問題があります。先ほど、少し議論がありましたが、大本から言えば、従来型の高度成長期にあったように、年々仕事が少しずつでも増えていって、組織の人事構成というのもピラミッド型で維持できるのであれば、これまでの仕組みでも通用するところは多少はあるのだろうと思います。
 要するに、人口増加のときのピラミッドのようなものが想定できるときには、さらにそれに改善を加えて、洗練をさせて、実は簡単に先輩たちの知識というのを、次の世代がある程度それを継承をしていくということができるわけです。ですが、今みたいに、年齢構成上、たくさんでこぼこがあるヒョウタンに近くなって、しかも全体としては、逆ピラミッドになっていくという状況の中で、実は継承そのものが、議論としてはほとんど意味をなさなくなってきているということがあるのではないかと思っています。
 そういう点からすると、実はもうポイント、ポイントでそれに応じて、必要な能力とか、知識というのもつけてもらうしかない。あるいは、そうした専門性のある人を採用するということしか、考えにくくなってきていると言っていいんだろうということでございます。
 ところで、従来のような専門研修、一般研修、あるいは階層別の研修であるとかということ自体が、どれぐらい効果があるのかということについては、議論があろうかと思います。本当に、その特定の業務に必要な知識であるとか技術を学ぶ機会になっているのかという問題はありますが、そうした知識や技術はこれはこれとして、勉強してもらわないといけないのです。けれども、前述したようなそうではないものについては、むしろ、どうも組織的に対応しにくい状況がでてきているのではないかと思います。
 もちろん、そうは言いましても、国も含めてですが、研修の仕組みであるとか、あるいは、その中で新しい時代への対応ということで、いろいろ努力をしておられていることは存じ上げております。
 具体的に言いますと、例えば、高い専門性を持った職員の養成という観点から、政策にかかわる能力とか、問題解決能力を高めていきましょうといった研修があります。あるいは対人コミュニケーションについては、それこそお作法の段階から研修をするとか、いろんな工夫がされているんですけれども、それを一斉に、全部の職員でやるような時代ではなくなってきているということだろうと思っています。
 そこで、新しい研修システムというのを、どういうふうに構想するのかということなんですが、だんだん無責任な発言に近くなってきますが、それを自分の仕事として飯を食おうという以上は、当然それに必要な知識、能力は自分でつけるというのは基本かなと、今逆に居直る時代にきてしまったのではないかというふうに思っています。
 そうすると、自分で学習をして、自分で能力を伸ばしていく自己成長というのをしてもらうということを前提にして、しかし、それを放り出して、さあ、一人でやってくださいというわけにはいかないので、やっぱり大事なのは、そういう自己成長というのを前提にしつつ、それをどう支援をするか。応援をする環境をつくるかというところが、ポイントになってきていると思っています。
 これまで従来型の研修が、ある意味では一番批判を受けてきたのは、研修をしても、何も効果がないじゃないか。必ず研修疲れで終わってしまう。あるいは、単に何日かの休暇をもらって、どっかの研修所に行って来た、リフレッシュできたということでは、やっぱりまずいのではないかということでもあります。逆に言うと、本当に学ぶ側が必要だと思い、それを身につけることで、実際に職務に結びついていくような研修が、自分自身の発意でできるような仕組みというのは、やっぱり考えていかないといけないということでもあります。
 ある意味では、自分で何を学ばないといけないのかということを、そもそも、本人が理解していないという問題が、さらにあるんですけれども、そういう自己成長のための、いわば動機付けであるとか、意識の改革であるとか、あるいは自分に足りないものを、これからの業務で本当に必要なものというのを、やっぱり自分で気付きをしてもらうような環境づくりというのが、大事になってきているのではないかと思っています。動機付けや意識改革、あるいは、自己能力チェックのための機会というのをいろいろ提供することで、いわば自己成長の応援をする。その中には、先ほど小西部長がおっしゃいましたが、大学院に行きたいときに応援をするというような仕組みも、ひょっとすると入るかもしれません。
 そういう位置付けであるとか、動機付けであるとか、能力をチェックするとかというときに、個人的に、割と効果があるなというふうに思っておりますのが、協働型の研修です。幾つかの団体でやらせていただいているのですが、民間の人と一緒に勉強してもらうということをやっています。
 企業の方、あるいは公益団体。NPOとか、場合によっては、地域の地縁団体の方とも一緒に研修を受けてもらうことを、京都でも少し実験的にやっています。研修自体は特定のテーマについての議論、政策課題についての議論というのを、仮に定めて、異なる立場にある人たち双方が知恵を出して、問題解決を探っていきましょうよというようなことを、ちょっとやってきていたのです。やっぱりそのプロセスで民間の人たちの考え方と、公務員である職員の方々との違いがわかります。実際その問題にかかわっているNPOの人たちの議論の仕方と自治体職員の方々の目の付けどころというのが、それぞれに違っているということに、まずは双方が気付くというのが、意外に大事です。
 実際に職務として始めてしまうと、そうした民間との違いに気付く前に、まずは公務員として、何をしないといけないかというところから出発することになります。ですが、そうやって研修の機会に違う立場の人たちと、一緒に共通の社会的課題を考えていくと、実は意外な気付きがありまして、いわば、今のやり方が一番いいかどうか分かりませんけれども、自己成長をしていくときに必要なステップの一つとして、自分たちと違ったセクターの人たちの、知識や能力というもの、あるいは考え方、物の見方というのに気付くことになります。それは意外と、自分自身をチェックするということにもつながってくるんですが、そんなことをそれぞれの気づきのための環境づくりとしては、手始めとして必要なのかもしれないと思っています。
 もちろん、もう少し基本的なレベルで、公務全体の能率とか、あるいは成果とかを上げていくという点では、もっと動機付けのような議論を、ちゃんとしないといけないというふうに思っているんですが、今回は少し管理職的なところの人たちの、訓練の仕組みのほうに焦点を当てましたので、そちらのほうはちょっとお預けということにさせていただきます。
 すみません。だいぶん時間がたってしまいましたが、最後に、今後どういうふうな公務員制度改革の方向になるのか。これは本当にどうなるのかなとあれこれ思っていますが、よく分からないところがあります。
 ただ、全体としては、ILO(International Labour Organization:国際労働機関)の問題もありますけれども、やはり基本的には、どんどん、民間企業型の人事の仕組みに近づいていかざるを得ないのだろうということ。そして、いい悪いの議論はありますけれども、今の日本の民間の労働市場というのが、基本的にはアメリカ型の労働市場に近い方向で行こうとしていますので、いずれにしても、公務の世界でも、それに近いような状態というのが出てこざるを得ない。
 逆に、それを少し先取りする職員人事市場のようなことを、もう考えていかないといけないというのが、最初の私の大きなポイントでもありました。これは、もちろん再雇用の制度等々も含めて、考えていかなければならない。そのときに、言ってみれば人を取引するときの、いわば値段付けというのを、どう考えていくのか。これは資格の問題であるとか、あるいは人事評価、人事考課の問題であるとかというのを、どううまくマーケットの中で、機能させるかということにかかってくるのかもしれないと思っております。
 またこれも、組織の議論と重なるかもしれませんが、いずれにいたしましても、これからの職員人事というのを考えていきますと、やはり職務の地位であるとか、あるいは組織のバランスではなくて、仕事の中身に応じた任用とか、人材配置というのを考えていくということにならざるを得ません。
 それから、そのときにもう内部の人がいない時代が、すぐ目の前に来ているという動きもあって、組織内部だけではなくて、公募型の人事というのを考えていかざるを得ない。この言葉が定着するかどうかは分かりませんけれども、職員人事市場にいたるようなものが、ひょっとすると意外に早く、現実問題としては出てくるかもしれないと思っています。
 従いまして、課長さん辺りも、ひょっとすると来年からは大阪府じゃなくて、東京都の人事課長であるとか、市町村課長であるとか、ひょっとすると、そんなこともいつでも起こりうる。それは、例えば市町村課長さんは、こういう能力を持った人なので、それを必要とするようなほかの府県がヘッドハンティングをする。あるいは、次はあそこでこの仕事をやってやろうというので、公募に応募をしていかれるということもありうる。そんな姿というのも少し考えてもいい。そんな時代かなというふうに思っております。
 少し、ざっくばらんにお話をしすぎたかもしれませんが、私の話は以上にさせていただきます。

○成田会長 どうも面白いお話をありがとうございました。どうぞ、今いろんな観点から問題提起がございましたが、ご質問がございましたらどうぞ。

○手向 先生が最後のほうでおっしゃられた、大阪府の市町村の職員と民間の人と一緒に研修を受けるとか。それによって、資質を高めていくという話は、ちょうど府の市町村職員向けの研修所で、財団法人の、大阪府市町村振興協会というところがやっている研修所があるんですが、そこが公益法人改革の中で、これから研修所の機能をどうしていかなあかんのか。そういう検討をしている中で、例えば、今まで職員向けだけにやっていた研修についても、福祉の分野なんかであればNPOの人とか、地域団体の人に入ってもらって、一緒に研修することで職員自身も、より新しい発想が芽生えるやろうということで、ちょうど来年ぐらいから取り組もうかという動きも出ております。
 ちょうど、同じ発想でやっておられる県があるんやなというふうにお聞きさせてもらったところです。

○成田 でも、先生からのちょっと話は違いますけれども、これは組織との関連になるかもしれませんが、管理職のいろんな能力を持った人の能力が必要とおっしゃったんですけれど、そういう場合に、民間の企業がよくやっているようなプロジェクトチーム方式といいますか、縦割りの組織じゃなくて、いろんな人をいろんな場所から集めて、マネジャーがいてやってくれるという仕組みになっていくと思うんです。
 私はそれは課題別に、そういうふうにやっていくことが、適当な分野という感じであると思いますけれども、他方で、そういうプロジェクトが悪いと解散になっちゃうんです。そうすると誰が責任を負うんだとか。このフォローはいったいどうなるのかとかという問題も起こるので、その辺はどういうふうにお考えですか。私は間違っているとは、決して言ってるわけじゃないですけれど。

○新川 いえ、ご指摘、ご心配はその通りで大きな団体としては、やはり経常的にサービスを続けていかないといけない。そういう部門での管理の仕方ということと、今いろんな場面で出てきている、当面の課題を解決をしないといけない。あるいは解決の方法を見いださないといけないような問題というのを、区別をしていかざるを得ないだろうと思います。
大きな二つ目は、どちらかと言えば、柔軟にいろんな能力を集めたチームというのをつくって、課題解決を目指していく。あるいは、能力を引き出していくということをお話したわけですが、そういうものができて、仕事を始めたときに当然その仕事の、いわば終期というのは想定をされるというふうに思っています。
 ですから、解決提案を出すだけのプロジェクトというのも、当然あると思いますし、実際にそれが、社会的に成果を出して、この問題についての組織の存在が必要でなくなるときまで存続をするというようなタイプも、当然あり得るかなと思っております。
 後者のようなものでは、いわば業務の問題を解決する仕組みを考え、それを実行する体制をつくり、それを解消して解決をし終わるまでのプロジェクトのようなイメージを持つ必要がありますし、ある程度長い間隔でプロジェクトを考えていただくといいかもしれません。
 公共事業の一部やなんかで、やっぱり10年、20年というスパンですし、土地区画整理事業なんかは20年以上かかります。担当の方は大変ですけれど、一貫してその業務を担っていく、そんなようなこともあるかもしれないと思っています。ただ、そんな中でも、職員の人たちの動機付けであるとか、能力というのを十二分に発揮させるためには、やっぱりその中心になる管理職の方の、先ほど来、申し上げているようなコーディネートの能力というものが大いに必要になってくるのであるとそんなふうに考えています。

○山下 面白いお話を伺ったんですが、難しいのはやっぱり動機付けだろうと思うんです。
 もう無理やりやる研修よりは、まずもって、自己研鑽のところから出発するというのは、よく分かります。
 最近は、組織としておこなう研修とは別に、自分たちだけで仲間をつくって、何とか勉強会とかと言って、それがさらに、自治体間を越えたような研究会になっているとかというのがありますし、その中から、むちゃくちゃ有名になったりする人も出てきていますから、それはよく分かるんです。
 ただ、一方でそういうところでの自己研鑽が、一般論としてですけど、職員として、公務員としての基礎体力のレベルアップにつながっていることは確かなんだけれども、それが本当に仕事に生かされているのかというところの問題があろうかと思うんです。
 例えば大学院に行って勉強をしてこいと。半分はお金を出してやるからというのはあるんだけれど、そこに行って勉強をして、研究をして、論文も書いて、しかし、そこでやったことが戻ってきて生かせるような職場というかポストにつけるかというと、もちろん、全然保証はないわけですよ。
 だから、社会人大学院の人かなんかとお話をしていて、勉強意欲があるから来ている。だから、ものすごく熱心に勉強される。だけど、そこで勉強したことが、本当に自分の組織に戻って使えるかというところにつながっていかないという。そこが一つです。
 ちょっとずれるかもしれないんですが、今の既存の研修も目いっぱいで、こんなことまで研修するのかというぐらいの、研修の制度があるんですけれども、研修と実際の仕事がうまく連動していないんじゃないかという気がするんです。受けるほうが、これは研修だよねということで割り切っちゃうというか、確かに研修としては、退屈な研修もあれば、面白い研修もあるんだけれど、じゃあと言って、そこで研修を受けたことが職場に戻ったときにすぐ使える、生かせるような形にうまくなっているんだろうかというところは、ちょっと気になるんです。  これもちょっとずれるかもしれないんですが、例えば、政策形成の研修とか政策法務の研修とかを引き受けることがあって、そこでこういう条例をつくってみようとか、こういう判例をちゃんと勉強してみようとか、あるいは、こういうふうな政策づくりをやってみようとかというのを、グループワーク等でやるんですけれども、じゃあ、戻って政策や条例をつくることがあるかというと、それはほとんどない。
 結局、研修がうまく活かされていないという気がするんです。政策づくりとか、条例づくりというのは、特に市町村の場合に、そうたくさん条例をつくらなきゃいけないことがあるわけでもないし、また政策といっても、それこそ今の市町村だと、新しい政策をつくるよりは、既存の政策をどう切っていくかという、仕事を減らしていくほうばっかりやっているような気もする。そういう意味では、政策型の職員がいるんだと言いつつ、政策型の能力なり、研修なりをどこで活かせるんだという、そこを考えなきゃいけないのかなと、最近思うんです。
 だから、結局動機付けというんでしょうか。そこが一番やっぱり大きいかなと。

○成田 おっしゃるとおりで、私は非常にそういう人たちを知っているし、そういうグループが少しできているというのは知っているんですけれど、そこでやっぱり有名になった人は、みんな辞めちゃって大学へ行っちゃうんです。いろいろ面白いです。

○新川 能力をつけていった人たちがその職場に居辛くなって、新しい活躍の場を求める事例が結構あって、面白いですね。

○成田 その中の職場に還元するというのは、まったくないんだろうと思いました。はい。

○山下 多分、そうだろうと思うんです。

○成田 結局大学生では、逆にかなり有名な人になっちゃったりしているんです。

○黒川 今、社会人の大学院のところに僕は所属しているんですけれども。
 以前、経済学部にいたときも、社会人の大学院の人はいっぱいいたんですけれども。公務員のひとは多かったんですよ。今は公務員の人は減っていると思いますね。
 で、どちらかというと、県会議員さんとか、東京都で言うと区会議員さんとか、要するに議員さんのほうがずっと増えているという感じかな。
 たぶんそのまま使える。自分のやったことが、そのまま自分の世界で使えるという意味で、議員さんたちのほうに向いているということなのかも知れないですよね。

○新川 そうですね。まれには大学院で学んだことを活かしている職場にいる職員のいますが、やはり一般的にはそうした配属は難しい。

○黒川 ですから、今大学院と言っても、先生が講義をして単位を取るというのもあるんですけれど、大学院の中で、いろんなとこから研究費が来てプロジェクトを組むようになっていて。さっきおっしゃったように、そうすると、手を挙げて誰がその全体をとか、広報は誰がやるかとか、これは学部の上にある大学院とはもうまったく違って早い。
 それで、年間コンスタントにそれに参加していると、いくらか授業料の割引になるような感じのとか。
 今、たぶん法政大学は大学院数の数が相対的に少ないので、院生は全部もう授業料はタダになっているのと同じだと思うんですけれど。そういう動き方をたぶんしていて、その中で公務員の人が減っているというのが一番大きいですね。
 それからもう一つは、受けてくるときに、ディレクターという方が最初に1時間ぐらい面接をするんですよ。それで、社会人の場合の一番大事なことというのは、そのモチベーションなんですね。あなたは、何をしにここに来るかということに関して、徹底的に聞くことになっていて、成績が優秀でもモチベーションがなかった場合は、うちの学校は採らないということにしているんやと。入ってからもう全然違いますからね。自分で問題意識を初めから持って入ってこられている方は、すごいらくちんなんですね、指導する先生とかは。
 どこに情報があるだとか、どういう人と人間関係を作ればいいかということで、勝手にどんどん進んでいかれるという感じはあるんですけれども。
 学部から上がってきた大学院のケースは、図書館に行ってとか、そういう情報を集めるところから習わなきゃいけないんですけれども。社会人の人はそうはいかないので。グループの中にストンとはまるという。その中にはまって、足手まといにならないようにしてもらうことが一番大きいから、最初にモチベーションを持ってもらうというのは、もう決定的ですよね。

○新川 社会人生だけでいうと、私もそういう夜間にやっている大学にいますので、3割ぐらいが社会人で、公務員の方がその半分ぐらい今いらして。

○黒川 ああ、そうですか。

○新川 確かに、多くの場合は修士課程ですけれど、修了した人の中で、自分のやりたいテーマと、帰ったときの業務というのが合わないケースがほとんどでした。
 でしたという過去形の言い方をしているのは、この1、2年かなり送り出し側が、変化してきているところもあります。出す以上は、そういう使い方をしないといけないとお考えになるケースが増えてきていて、まだわずかですけれども、そこで論文なり課題研究なりをしたテーマの関連部署にお帰りになるケースというのが幾つか見えるようになりました。
 もう7、8年前の修了生ですが、ごくまれにそういう人がいて、交通問題をやって論文を書いた人が、ずっとやっぱり交通問題にかかわった部署で働いてきたとか、都道府県ですが、やりたい職場で仕事ができたというようなそんな話もあります。まあ、それはほんとにまれなケースだったんです。けれども、この1、2年そういうケースが増えてきている。ただし在学期間については要求があって、2年も3年もかけられたのでは使えなくなるので、1年で戻してくれという。そこでそういう1年修了ですね、これを進めています。

○山下 1年で戻して。

○新川 そしてその分野の仕事にもう一度就かせるというような考え方です。

○黒川 絶対無理ですよね、1年じゃ、絶対。

○新川 でも、ご要請に答えて、1年でやれていますけれども。

○黒川 おおお、すごいな。

○山下 だから、景気が悪くなった、財政が厳しくなったというところでやっぱり、そういう派遣制度がもろに減りましたよね。大学院なんかへの派遣というのも結構豊かな時代がかつてあったのですが。

○黒川 うちはまったくもうないです今。完全にゼロだと思います。

○山下 そういう意味で、職場のほうが消極的賛成というよりもむしろ積極的に、今ご指摘になったような形で、行かすんだから使わなきゃところも出てきています。
 もう一つのタイプは、本人が行きたいと言っているから、まあ邪魔はしないよという消極的サポートというところで、そういう場合には、うまく連動しないとこがあります。
 それともう一つ、社会人大学院生が減っているのは、仕事が結構きつくなったことが大きいのではないか。人も減った、仕事が増えた、それでそれなりにできるやつはやっぱり忙しい、大学院なんかに行く余裕がない・・・。

○成田 市町村もそうでしょ。市町村もやっぱりなるべく、小さい市町村になればなるほど研修経費はもうないですよね。それよりもまた行かれると困るんですよ。

○山下 はい、そうなんですね。

○成田 ほかの人はみんなそれはもう仕事にならない。そういう人はいないですよ。

○黒川 そうですね。で、議員さんのほうはたぶん調査費があるんですよね。

○成田 そうそうそう。

○黒川 だから授業料の代わりにそれを使ってらっしゃるんですよね。

○成田 それを言おうと思ったんだけれど、議員さんはたくさん最近は集まっているのね。政務調査費はどう使うかと。あるいは通信費を使っていこうというのもある訳です。

○黒川 そうですね。

○手向 おっしゃられたように、まず財政事情でそもそも派遣事業自身が狭まっている市町村では、もちろん狭まっているというのもありますし。この間集中改革プラン等でかなり人員削減をやっていますので、市町村なんかでしたら、それぞれの組織単位で人が減っているんで、一人当たりの業務量が増えているんですよね。
 で、そういうときに研修で抜けるっていうのがこう気が引ける状態になって、職場がちょっとなかなか許してくれないような雰囲気ちゅうのがあって、それで余計に行けないと。そういうのが実際出てますんですね。

○山下 そうですね。もう5時半だからと言ってもなかなか抜けにくい感覚はおありでしょうからね。

○成田 最近はよく民間のいろいろな会社とかデパートとか店に、公務員を出したりというようなのがあって、今はそれはやっていないんですか。

○手向 研修で。

○成田 ええ。

○手向 期間限定の研修は市町村によってはやっていますですね。

○成田 市町村はやっているの。大阪府はやってらっしゃるの。

○手向 大阪府はまだ。

○成田 大阪府は一部でやっていますね。

○事務局 はい。一部やっています。一部やっていますけれど、かなり減っていますけれども。大阪府の場合は、新規採用2年目の職員はですね、1カ月単位で民間企業に研修にとか出していますね。

○成田 そういうのは、何か役に立つんですかね。なんか思いつきじゃないですかね。

○事務局 思い付きというと困りますけれど。経済界との連携ということで、まあ言ったら、そういう公務員の方にも民間の実態を理解いただくという趣旨で行ったという、まあそのあれですけれどね。

○成田 民間にしては、ある程度そういう人が必要か分かんないでしょ。10年ぐらいだったらねやっぱり。3カ月間て。

○新川 先ほどの山下先生ご指摘の研修の仕組み、あるいは今言っておられる民間での職員研修の仕組みと、それから実際に職員の人たちが必要としているような知識や技術というのが、うまくマッチしていないのではないかと思うのです。確かにそれもあって、研修の仕組み自体もどんどん工夫はしているんです。けれども、僕自身も幾つか調査させていただいたりして、それを見ていても、なかなかじゃどういう授業科目というか、講義でも演習形式でも、あるいはプロジェクトの形式でも何でもいいんですけれど、どういう分野のものを、どういうふうに学習してもらうと成果が上がるのかということ自体が、非常に今分かりにくくなっているというか、捕まえにくくなっている。
 それで、従来のように、例えば特定の業務に必要な知識というのを身に付けてもらいましょうとか。基本的なスキルとして、それこそパソコンの扱い方を学んでもらいましょう。あるいは、一定年齢で、管理職層になってくると、それに必要な教養を身に付けてもらいましょうとかとなる。どうもそういうところの議論がなかなか抜けようと思っているんですが、抜けられないでいるのが現実としてはあると思います。
 翻って、無駄だからそういうのをやめてしまうという決断もできないでいるという、非常に中途半端な状態に今あるんではないかなというふうに見ています。
 そういうところで実際、どういう人が研修を受けにきているかという問題を、もう一回考えていただくと、研修も出しやすいところ、手を挙げやすい人が研修に行っているというそういう実態もあります。やはり本当に学んでいただかないといけない人が学んでいるかというとそうではないということがあって、そういう状況ももう一つの問題としてはあります。
 さっき市町村の話がありましたけれど、本当に忙しい人は、いつもいつも兼職をして仕事をしておられるような場合に、半日だって抜けるのは難しいですよという話をよくしています。じゃ、それに合わせた研修の仕組みを作らないといけないですねというような議論はしていたんですけれど、なかなか現実問題難しいです。

○成田 それについていろんなやり方があるんですよ。一つは、大学それ自体は海上保安大学のようにするんですよね
 それは大学にしたって4年間やるという方針があるわけですよね。

○新川 そうですね。

○成田 そういう方針があるし、警察学校みたいに採用して1年間1年間そこに放り込んで、そこでいろいろと徹底的に基礎的なことをたたき込むというのもあるし。消防学校もそうなんですかね。

○手向 消防学校も期間。

○事務局 2年ないし3年間ほどですね。

○成田 これはやっぱり、公安職という特別な技能を持っているために必要だと思うんですけれどね。それをやると、非常に視野の狭い人間ができる、ということが一つあると思うんですよね。
 でもその中間的な方法として、新しく採用した人を、例えば半年なら半年閉じ込めてね、ほんと収賄をしないために刑法も基礎から教えるとかね。経済のことを基礎を教えるとかですね。そんなことはできないんですかね。余裕はないんですかね。

○山下 まず即座に、どこかの島にでも施設に放り込むとか。収容所。

○黒川 僕は人事院の公務員研修所という入間の研修所で、どっかの街を題材にしながら、各省ばらばらの省の人たちが全部で7、8人がチームになって、10チームぐらいでね、それで御徒町に行って、地域開発プランみたいなのを作って、すると全体のリーダーというのが必ず防衛大学校出身です。計画を立てて人事配置をしたり、命令をしたりするのは圧倒的にうまいです。
 それから、計画っていうかプランを作るってだいたい経済産業省の方ですよね。どうしてそうなるのか分からないですけれど、ほっといたら自動的にこうなんかうまい具合に組み合わさっていく。
 それでまた、どっちもいないチームもあったりする訳ですよ。すると、これはなかなかリーダーが決められないまま右往左往するという、そういうことになっていて。
 やっぱりその途中来ている教育プロセスの中で、ある程度その一般的に色合いが付いていて、そのできる能力って言うんですか。プレゼンテーションがとっても上手な環境省とかですね。すごく不思議な感じがしますね。やっぱり全然違うなっていう感じがします。

○成田 いや、そりゃあるんちゃう。今おっしゃったそれの各省庁のね、いろんなそのあれを見ていると、その性格が反映されますよね。

○黒川 いいことかどうか、ちょっとよく分からないですけれどね。

○成田 それはあんまり若い人は、もうしないでしょう。

○黒川 いや、全然全然。補佐クラスの一番前くらい、あの後くらいの人たち。

○手向 おそらくそれは、自治体の中でも、やっぱりそのマイナーな部局、ちょっと言い方が悪いんですけれども。大阪府で言う農林水産部局とか環境部門と言えば、なかなか予算も付きにくいんで、それでむしろプレゼン能力というところを高めないと。そういうところで見せないと、なかなか獲得できないなっていうのはあります。
 それに対して、昔からやっている土木とか警察とか、そういうところは必然的にそれなりのものが予算として確保できていくというのもあるんで。まあ組織がそういう能力を求めるっていうのがあるのかも分かりませんね。

○山下 それぞれの組織ごとに、仕事の仕方っていうそういう組織文化みたいなものがあるわけですね。

○黒川 もう、あると思います。

○山下 それが、そこでずっと仕事をしているうちに、染み付くんでしょうね。

○成田 それもそれも、大阪府っていうのは、もう兵庫県に比べると全然違うでしょ。

○手向 大阪府と。

○成田 大阪府と兵庫県庁ね。とくに比較やられたことはないと思うんですけれどね。

○手向 なかなかちょっと。

○成田 これはちょっと余談ですけれど。みんなそれぞれの体質があって、都道府県47あれば、47皆違いますよ。

○手向 ああ、そこはそうですよね。

○黒川 だからさっきおっしゃっていた、職員人材市場みたいですね。行けるんですかね、この分野の専門家って言って、よその地域に簡単に、というのがちょっと気になりますね。関西広域ぐらいだったら、行けそうな気もするけれど。

○手向 県同士っていうのは、さすがにそんな事例というのは今の時点ではないと思うんですけれど。
 府と例えば市町村の関係であれば、税務職員なんかであれば、大阪府のその専門のノウハウのある人材をそのまま市町村側がほしいとかですね。福祉の分野でも、ちょっと福祉分野にたけた専門人材をほしい、そういうのは実際ありますね。

○成田 まず市場なんて、そういう人がほしいっていう優れた人がいた場合にね、そういう人は口利きでやっぱり採用したりするってね。

○手向 そこはやっぱり具体化していますね。

○成田 そういう形になってする訳ですね。それは本当は必要なんで。私が言っている監査委員というのはそういう意味で、昔からあったっていいと思うんですけれどね。

○山下 さっきおっしゃられた監査なんかもそうかなと思います。もう一つは、土木とか建築とか農林水産なんかの、要するに技術系の職員で、そのキャリアパスを考えたときに、ずっといるとどこかで技術屋でなくなって、管理職になっちゃうんだけれども、そうじゃなくて、技術的なほうの専門性を高めていきたいという人間を考えたときに、居場所がない訳ですよね。小さな自治体とか、まあ大阪府でもなかなかね。

○手向 仕事がなければという全体で。

○山下 それを生かせる仕事がね。そういうのがむしろ、こういう公務労働市場みたいなものを考えてみると成り立つのかなと思います。さらに言えば、国の出先機関から国の職員を引き取ったりっていうときには、やっぱりそれぐらいの広域の規模で考えたほうがいいかなと。関西広域とかそれくらいで面倒を見ようかとかっていうほうぐらいがいいかなっていう気はしますけれども。
 そういう専門性を生かせるマーケットというのは考えられるかな。しかし、新川先生がおっしゃったようなアントレプレナーシップ型、パートナーシップ型の公務員労働市場ってどうかなと、ちょっと気になります。

○黒川 東京都23区なんかは、採用共通。

○新川 そうですね。23区で1本ですね。

○黒川 そうですね。それで、管理職が足りないところは動かしたりしますよね。

○新川 人事は相互に動かしていますね。

○成田 では、人事課を1本にするということですか。

○新川 そういう方向で発想するということです。

○成田 それは確か江戸川区かなんか一つ抜けているんですよ。これってへそ曲がりの区長が、自分のところは当時自分でやると言ったんですけれどね

○新川 ですからもちろん、本当にそういうふうに動いていくということが向いている職場と、そうではない職場というのがおそらく考えられるだろうとは思うんです。
 しかしもう一方では、実際に今はいいですけれども、将来にわたって人を確保しようと考えたときに、いずれはオープンに人を求めていかざるを得ないという状況というのが、公務の分野でもどんどん増えてくるんだろうということで、そのときにどんな仕事の内容をオープンにするにしても、やっぱり能力評価型でパートナーシップを大事にできるような人でないと、どこの職場でも成功はしないだろう。それぐらいのつもりで新しい能力のフローみたいなものを自治体間でつくり出していくことが必要になっているのだと思うのです。
 逆に、そういう人たちが、ある特定の府県の土木部長でも何でもいいですが、そこへ行ってプロジェクトで成果を上げた、という評価が次の職場につながってくるという、そういう図式をそろそろ自治体間でも、考えることができるようになってきています。先ほどお話があったように、個別の固有名詞差別化が始まっているということがありますと、もうそろそろ次のステップを広域的に考え始めてもいいのではないか。
 それから、国とのあいだでも、当然、ある程度固有名詞でこの人を今度っていうようなのでやっていますけれども。これももうそろそろ不特定で、手挙げ式か何かでお互いにやり合うようなそういう状況も、そろそろ作ってきてもいいのではないかというようなそんな印象があって、公務人材市場化を言い続けています。そのことが、段々そういうやり方が増えていく中で、この公務員市場みたいなものがひょっとすると実現できていくかも知れない、そんなふうにちょっと考えていたところであります。

○成田 ちょっとここで5分ぐらい休ませてもらって。

○手向 ええ、休憩で。

(休憩)

3.地方自治体の組織形態の今後

○成田 じゃ、だんだん時間がたちますので、今度は山下さんにお願いいたしまして。
どうぞ。

○山下 組織形態の今後ということで、私もこういうことは勉強したことがなかったので、どういうお話をしようかと思ったんですが、まあ、少し思うところをお話をするという。たぶんあとで、新川先生が補足をしていただければと思います。
 取りあえず最初に変化と書きましたけれど、要するに、組織である以上、その組織を取り巻く外部環境の変化があって、それに対する対応という形が組織の変化になってくるだろうということで、二つ挙げました。
 一つは、成田先生のお話で最初にあったことで簡単にしますけれども、要するに、市民セクターとのインターフェイスの部分が大きく変わってきている。一つは、それこそ市民ニーズの高度化・多様化といったものへの対応を、組織としてどう受止めるかという話になってきます。
 二つ目は、そういうサービスの受け手との付き合い方をどうするか。要するに、政策過程の透明性、あるいはさまざまな活動についての透明性、情報公開、説明責任というのは常に問われるようになってきていて、それを組織としてどう受止めるかということになるでしょう。
 それから三つ目が、これも出た話ですけれども、市民参加、あるいは市民協働、公私協働っていったものが進む中で、それこそちゃんと聞かなきゃというところから、一緒に考え、一緒にやって、一緒に評価をしましょうというところまでの、協働作業みたいなところのフェーズが出てきている。
 さらにこれと重なり合うように、違うんだけれど重なり合うようなところがあるのが、民間委託その他のアウトソーシングという話だろうと思います。
 自治体行政と市民とのインターフェイスが、そういう大きな側面で変化してきているということを、組織としてどう受止めるかということをやっぱり考えなきゃねというのが一つです。
 それから大きな二つ目としては、そういう自治体行政が組織として持っているリソースと言いますか、資源が減ってきている。一番大きなのが金ですが、金が減る、人が減るというような状況があります。当然行財政改革なり、事務事業の見直しっていったようなものと連動して確実に人は減っているし、従って組織自体がスリム化と言いますか、小さくなってきているのは確かだろうと思います。
 もちろん単純に縮小しているというよりは、スクラップアンドビルドを繰り返しながら、しかし縮小傾向にあることは確かだと。ただ、そういう組織のスリム化、これはもちろん財政的な問題、人的な問題ということなんだろうと思うんですけれども、それと組織が担う仕事の質、量の見直しと言いますか、あるいはそういう仕事を処理する業務の在り方っていうものをきちんと踏まえたうえで、組織のスリム化、スクラップアンドビルドをしているかというと、どうもそうでもなさそうだとも思っています。
 だから、しわが寄せやすいところから寄せている、あるいは目立つところからやっているみたいな気もしています。
 それこそ本来ならば、総棚卸とまではいかなくても、あるべき仕事の範囲と業務量に合わせて、組織というもののありよう、制度設計をしないきゃいけないんだけれども、なかなかそこまではできない。しかし、待ったなしで人間を減らして、組織を小さくしていかざるをえないという状況かなというふうに思っています。
 そういう中で、次の丸ですが、「組織としての対応」と書きましたけれども、大きく二つの傾向があるのではないかと思います。
 一つは、市民セクターとの関係から言うと、これはあとでまた触れたいとは思うのですが、組織としてはむしろ分散型、これは出先機関への権限の移譲とか、あるいは現場解決型とかといった形で、ピラミッドの底辺のほうにどんどん分解をしていく、分散をしていく傾向なり、あるいはそれと連動して地域担当制とか、あるいは出先の街づくり何とか課みたいな形で、いわばもうちょっと柔軟にと言いますか、臨機応変にと言うか、そういう決定権限のシフトがみられる。
 旧来型の組織の意思決定とか、業務処理の体制をもうちょっと弾力的にやろうという傾向を持ってきているのではないかなという気がしています。
 組織全体としていえば、いわゆるフラット化にするとか、グループ制がどうのとかというあたりは、この柔軟型の一つなんだろうという気がしています。要するに、市民に対してのレスポンスを高める。「言われたらすぐやるんです」っていうやつですね。
 他方、組織として持っている資源が乏しくなっているという状況からは、スクラップアンドビルドと縮小しながら、むしろ集中的な管理体制を作っていくという方向に向かっているのではないか。特に総務系とか会計財務っていったようなところは、できる限り集中して行こう。それでさらにうまくいけば、それをアウトソーシングしようみたいな形での効率化という形に向かってきているのではないかという気がします。
 それでそのあとの二つは、補足みたいなものですが、一つは、都道府県の場合は、自治法の改正等で縛りがあって、それは制度的にも取れましたけれど、国・府県・市町村を通じた、従来の縦割り型の組織のつながりというものがバラけてきた。市町村の場合には特に以前から見られたところですけれども、バラけてきている。バラけてどうなってきているかというと、政策と組織を対応させよう、あるいは住民ニーズと組織の構成、名称といったものを対応させようという傾向が出てきている。あるいは府県でも段々そうなってきているのかなと。
 「住民に分かりやすい」と書きましたが、その一番の現われが、組織の名称が少しずつ変わってきている。分かりやすくなったのか、聞いてすぐ分からなくなったのかっていうのは悩ましいところですが、要するにネーミング自体も合わせて変化してきているという傾向があるという気はいたします。
 組織の機動化と柔軟化というのは、先ほどからお話しているところですから省略をいたします。
 三つ目の丸で「政策志向」と書きました。分散型と集中型として見たときに、もう一つの分散の特色というのは、それこそ政策志向と言いますか、企画機能、政策機能というものを、企画部局だけでなくってそれぞれの事業部局の中に置く傾向があるということです。
 典型的に言えば、それぞれのところで頭に何とかを付けて「何とか政策課」とかですね、そういうものがどんどん増えてきている。あるいは、地方の出先機関レベルでも、その出先機関の区画内を対象とした計画作り、政策作りというのをおこなうようになってきたということがあります。そういう意味では、企画機能、政策機能というのが、組織的には分散傾向にある。ただ、ここには触れませんでしたけれど、そうやって分散させておいて、しかし他方で企画部門はそれをもさらに束ねるようなメタ・レベルの企画機能というか調整機能というものの開発に今来ているのかなと感じています。
 これは組織の話とはちょっと離れるのですけれども、いわゆる総合計画なんかのありようが、特に今度の作り直しのところではだいぶ変わりつつあるといったこととも関連してきていると思うんです。
 一方で、企画部局は企画部局で、ちょっと従来とは違う政策作り、企画調整機能というのを開発しつつあるのかなという気はしています。このあたりはあとで新川先生から補足をしていただきます。
 それで、総務的なところというのは逆に集約されるという話です。
 それから、政策志向ということで、政策法務について触れておきたいと思います。
 これは成田先生が最初に問題提起されましたけれども、組織的に見れば、政策法務課という名称は、幾つかの市レベルでも見られるようになりました。大阪府下でも、確か八尾市がそうだったような気がします。政策法務課があったと思います。
 あるいは従来どおりの名称なんだけれども、事務分掌の中に政策法務といったことを明記するというところが増えてきました。政策法務自体は、どちらかというと東京首都圏中心だったところがあって、関西はもうひとつっていうところがあるんですけれども、それでもこういう形で、関西にも市レベルでも出てきたというわけです。
 しかし、担当者としては、そういう名称になったんだけれども、何をすればいいかということについて戸惑いが多いようです。何か条例を作らなきゃみたいなところにこだわっているのですけれども、小さな市役所でそう政策的な条例を作らなきゃという事柄がたくさんあるわけではない。どうしても、路上喫煙がどうとかですね、何とか迷惑の規制とかですね、そんな話になってくる。
 従って、こういうところはまずもってじゃあ研修でもやりましょうかというさっきの話になるわけです。それで研修をやります、条例を作ることをやりましょうという話になるのです。
 じゃあ、どういう条例を作る研修をやりましょうか。自分たちにとって身近な、やっぱりその市役所にとって必要のあることの条例作りの研修をやりましょうかと言ったら、出てこないというのがよくあるのです。
 さらに、先ほど最初に大阪府の話でも出ましたけれども、それぞれのところに法務リーダーを置くというところは幾つか出てきています。
 従って、政策法務課とそれぞれの部局に置かれた法務リーダーなりが、いろいろ議論をしたり研修をしたりということをやっているんだけれども、実際に条例を作るという話はなかなか出てこないという状況があります。
 私自身はむしろ、ちょっと話が横道にそれますが、条例よりは、政策法務課あるいは法務リーダーの、あるいは政策法務の重要性というのは、国の法律といったものを、どう使いこなすかという、解釈法務のところが一番重要ではないかと考えています。
 組織の名称、組織の編成自体は、国・府県・市町村といった縦割り型ではなくなってきてはいるのですが、業務の執行に当たってはどうしてもやっぱり下りてくる、通達とは最近は言わなくて通知と言いますが、しかしそういうものに依存しているとこがものすごく強いわけです。
 どういうふうに仕事をすればいいのか、どの仕事をどこまで変えられるのかというところについて、その自由度というものをきちんと見極められるというのが、政策法務として一番重要なところじゃないのかという印象を私は持っています。
 そういう意味で、なかなか政策法務というのが活用されていないのではないかという気はしています。
 次に、政策志向的な組織編成と書きました。府県も市町村も先ほどお話しをしたように組織の作り方を微妙に変えてきているのですけれども、組織編成をいじるというのがいったい自治体の中でどういうところで話が始まり、誰がイニシアティブをとって、どういうプロセスで決まるのかというのはよく見えません。これは外から見えないところなんだろうと思います。
 そういう中で、知事とか市町村長、首長さんがどこまでのリーダーシップをとれるのかというところも見えません。もちろん、危機管理とか少子化とか、あるいは健康、福祉とか、首長さんとして自分がこういうことに力を入れているんだということを強調したいところを、そういう組織を作りますとか、そういう名称に変えますとかというかたちで示すのはよく見られるのですが、全体としてどういうふうに組織編成をいじっているのかということが、ちょっと私にはよく分からないところではあります。
 身近な自治体を見ていても、本当に毎年みたいにいじるよねという県もあれば、いじらないというところもあってということがございます。
 確かに、目玉的な組織のいじり方というのは、そういう政策について大事に重視していますということを組織内部の職員、あるいは住民に対してアピールするという効果は一番ありますし、組織をいじるということはお金を使わない、コストがかからないですし、首長さんがかなり自由にできるというところがあるのではないかなという気がしています。
 ただ、それが政策志向的かと言われると半分そうだけれども、半分違うよねという気もしています。
 次のアウトソーシングと市民協働という次のページに移ります。市民参加とか協働については本庁組織あるいは出先機関で市町村レベル、都道府県レベルとも、担当組織がきちっとできてきました。
 参加、協働支援促進のための施策の実施はたいてい、組織の他の部局とかかわることがありますので、いわば窓口になって、庁内調整に走るということもあります。
 さらに、市民との関係では、窓口機能を担うというようになってきています。市民活動何とかセンターといった名称を持ったものも増えてきていますし、そういうところをNPO等に運営委託するということも増えてきました。
 しかし、組織の話ではないんだろうと思うのですけれども、そういう組織に配置される人材の問題というのは、やっぱり大きい問題としてあるだろうと思います。
 特にこれは二重の意味であって、一つはやはり、市民参加、協働を担当する組織にいるべき職員の資質と言いますか能力と言いますか、そういうところがありますし、これは先ほど新川先生がおっしゃったようなところとも絡んでくる話です。
 もう一つは、本庁と出先の序列的な関係は、まだ市役所の場合にはあります。「やっぱり区役所に行かされるのは」というところは、完全になくなっているわけではないのです。
 しかし、住民なり地域とのつながりという意味で言えば、それこそ、分散型との関係なり、機動性、迅速性ということを考えると、一番末端のところにどんどん権限と財源と裁量を移譲していかないといけないという状況ができてきています。
 まさに、一緒になって議論して、そこで決めていかないといけない。決められなくて、「それでは持って帰ります。本庁に聞いてみます」ということでは全然動かないし、信頼関係もできない。
 従って、どう組織内部の分権、分散ということをおこなうかということが、市民参加・協働にとっても大きな課題だと思います。
 組織内の連携と書きましたけれども。結局、市民参加・協働という話になれば、最終的には、担当組織が事業とか施策を担っているわけではなくて、それぞれの事業担当部局の話になります。また、例えば道路とかといったような話だけではなく、幾つかのところが連携して施策を打つという話になってきますから、そうなると、組織内の連携と言いますか、さらに言えば、施策の統合化にどう対応するかという話が、一番に出てきているようです。
 だいたい、市民参加・協働担当課が苦労するのは、事業担当課に行っても相手にしてくれないというところだろうと思います。
 市民参加・協働というのは、組織としては窓口はできた。しかし、組織内の対応というのは、まだまだだという話をさせていただきました。さらに、市民参加なり、特に審議会の委員なんかの公募制といったようなものがそうだと思うんですが、市民参加・協働が進むことによって、市役所の組織、あるいは府庁の組織全体として見たときの組織文化なり、職員のいわば感覚と言いますか、それがどう変わってきているのかというのは、まだまだ全然変わっていないかもしれないし、少しずつ変わりつつあるのかもしれないし、よくわかりませんが、そういう組織文化、組織風土みたいなところにどう関係しているのかというところは気になるところです。
 さらに、もう時間があまりないのでちょっととばしますが、市民参加・協働の取り組みと、目的が全然違う簡素化、効率化、コスト削減といった形のアウトソーシングが使う道具というのは、指定管理であり委託であり、同じという場合が結構ある。
 そうすると、この二つというのは、同床異夢と言いますか、関係者の間でお互いにそれぞれ違ったことを考えながら進められているところがある。指定管理とかでも行政側が考えていることと、受けたNPOのほうはちょっと違うことを考えているみたいな状況ができてきている。この辺りをどういうふうに共有化していくかという話もあるだろうと思います。
 それから、民間委託、指定管理、特に簡素化、効率化のためのアウトソーシングの場合には、任せっきりではだめだよね、どうモニタリングしてクオリティーコントロールするかという話が付いて回ります。
 どこでも第三者評価の委員会をつくったりしていますけれども、私自身が一番大事かなと思うのは、そういう大きな話よりは、細かな日常的な業務執行の中での改善の努力とか試みというのをうまく行政側が取り込めていない。あるいは、3年で更新なり、新たに競争をさせるというときに、そういうものをちゃんと踏まえた業務の委託という形にできていないところではないかと感じています。
 そもそも、そういう日常的な業務改善のための委託したほうと委託を受けたほうとの間の議論の場というのがうまくつくられていないのではないのかなという気がします。
 だいたい、指定管理とか施設の管理委託等でよく聞くのは、「現場に来たこともないようなやつに命令、強要なんかされたくない」という話です。私も幾つか評価委員やっていますけど、よく聞くところです。
 次に組織の編成ということで、都道府県でも大阪府もたいていそうですが、市町村でもこういう中間レベルをとばして組織のハイアラーキーをちょっと低くしようという動きがあります。また、それと連動して、プロジェクト制とかプロジェクトチームといったようなものが導入されてきています。
 狙いは住民ニーズへの対応の迅速さとか、意思決定過程、はんこの数を減らしましょうとか、関係者の間の情報共有を促しましょうとか、あるいは、グループ制等は職員を機動的にあっちへ行ったり、こっちへ行ったり、線を引き直してみようなみたいなところがあるわけです。
 気になるのは、職員のほうから見て、そういう組織体制をとるということの政策的な意図がどこまで理解されているのだろうというところです。グループ制をとっているんだけども、よく聞くのは、「従来の課と変わりませんよ」とか、「ほかの課と変わりませんよ」というのは、まさに職員のほうがちょっとねと言うというところがあります。
 住民のほうから見ても、何とかグループとか言われたって、というところがあって、混乱を招いているという話を聞くところがあります。すなわち、こういうふうに組織をいじる側の発想とそれによって動かされている職員のほうの理解と利用者である住民からの見え方いうのが、必ずしもうまく整合していないのではないかというところが気になるところです。
 フラット型の組織にしても、これまたよく聞くのが、課長になったけれども、部下は1人か2人ですと。昔係長がやっていたのが課長がやるようになっただけです。仕事は増えただけですという話になってないかというのがあります。
 トップマネージメントは、これは首長のリーダーシップの話ですが、組織の作り方にどう反映しているのかよく分からないという話にとどめておきます。
 最後に、府県の役割変化と組織と書きましたが、特に府県については、一つは市町村合併の進行に伴って、出先機関との再編といったような話が出てきていますし、さらに市町村への権限移譲を進めますという話があります。
 しかし、他方で、中山間地域等を考えると、府県が補完するという話が出てきます。一方で、「スリム化します、仕事をどんどん下ろします」と。他方で、本来であったら、住民に身近な市町村が担わなきゃいけないことを肩代わりするという状況も出てきていますと。この相反するような要請を組織としてどう受け止めていきますかという問題です。
 さらには、国の出先機関の業務を道州になるのか、府県の広域連合になるのか、ともかく請け負うという状況も出てきている。
 そうすると、中間段階にある政府として、ものすごい相反するような要請というのが来ているんだけれども、それを組織として、どう受け止めますかということです。
 二つ目、最後ですが、組織とかマンパワーの余力を考えると、市町村と比べて、府県というのは、やっぱり余裕があります。そういう意味で、先進的、先端的な政策作りのための役割、そういうものを担う組織というのは府県として、やっぱりきちんと維持しておかないと、存在意義がもう一つなくなるのではないかと思うところです。ちょっと、駆け足に最後はなってしまいましたが、以上です。

○成田 いや、どうもありがとうございました。いろいろな面白い問題。一応、5時をめどに終わりたいと思います。

○山下 すみません。時間をちょっとオーバーしてしまって。

○成田 事務局の方を含めて、ご質問等があればどうぞ。ありますでしょうか。

○山下 私は、大阪府なんかでも気になっているのは、あるいは兵庫県でもそうなんですけれども、一方で、市町村合併が進んで、従来の出先の区画というのが、本来だと5つ、6つの市町村に分かれていたのが、1つか2つの市ぐらいになっちゃって、こんなんで出先はいらないよねという話が出てきている。
 しかし、一方で合併しても、やっぱり町村のほうはしんどい。そうすると、地域コミュニティー等への対応といったところは、むしろ、県が結構、今、京都府もそうだし、兵庫県もそうですけど、市町村の頭ごなしに突っ込んできているところがあって、議論があるところです。
 だから、一方で引く、一方で市町村を越えてみたいな状況があって、出先機関をどうつくったらいいのかというところは、ちょっとジレンマに今なっている。

○手向 結果的に大阪府では、平成の大合併では、堺市が政令市になるときの美原町との合併。その1件しかなかったもので、市町村の形態は何ら変わっていないので、その合併によって出先機関のあり方というのはほとんどないです。

○新川 合併の是非は別にしていただいて、全国的に見ていますと、こういう府県の出先機関のあり方も変化しています。地域の区割りの考え方とか、その数の問題だとかについては、全体的にここ何年か変わってきている。基本的には、やっぱり大くくり化という方向で割と進んでいまして、一つの出先機関が担当する範囲ですとか、それから事務分掌なんかを割と大ぐくりにして、何でもできるというよう方向には向かっているみたいです。

○成田 一番深刻なのは北海道ではないですか。

○新川 支庁問題ですね。

○成田 北海道は市町村の数も非常に多いですしね。支庁の数も多いし、支庁長の権限というのはすごいんです。だから、知事に会うときでも支庁長を通さないとじかに行っても会ってもらえないそうです。という状況の中で、やっぱ市長さんが非常に反発していましたよね。支庁の単位で広域連合をつくって。やめちゃうぞ。それよりも先にやめさせようということで一時、だいぶ、いろいろなことをやっていたようですけど。最近はその運動も、どうもあれ。

○新川 改革の動きは止まってしまいましたね。

○成田 ええ、なくなっちゃったらしいんですよね。

○新川 はい、はい。やっぱり支庁が大事だという議論が外部にあって。

○成田 だから、あそこは極端に言うと、人の数より牛の数の多いようなそういう村なんかもありますしね。

○新川 やっぱり、北海道の場合はだめなので、支庁制度を維持してくれないと、公共土木事業やなんかが、どうしても大都市と一緒では偏ってしまうという、そういう心配をされる。そんな職員がかなり多いみたいです。

○成田 はい、はい。組織ですればいいという話は私は山下さんがおっしゃっていたのとまったく同感なんでね。とにかく日本というのは組織をいじるのが好きなんですよね。組織さえ作っちゃえば、なんか仲良くなります。

○新川 中身ができたような気になる。

○成田 だから、消費者庁ができても消費者問題が改善できるかといえばそうはいかない。やっぱりね。それはやっぱりそれよりも工夫をしていろいろな統一性になるすべを身につけてね。

○山下 もちろん、自治体の場合に少子化何とかという感じで部なりをつくるというのは、逆にそういう形で少子化に絡む施策、事業というのを組織のほうでむしろ束ねてしまうということはあるんだろうと思うんです。だから、そういう意味で総合化ということに寄与するところがないわけでもないのですけれども、そういうことを考えないでこれは目玉なんだからと言って、なんか組織作るというところもないわけではないと思うんです。

○成田 組織を作っておくと予算が付けやすくなるしね。おそらく取りやすくなるんですよ。

○山下 なるほどね。

○成田 それがやっぱり主な動機にね。

○手向 通常は何らかの打ち出しとセットではないと、組織を作る、あるいは名前を変えた意味というのがないですね。そこは。

○成田 だから、今はスクラップアンドビルトというか、何かをつぶさないと新しい組織がつくれないです。

○新川 看板の掛け替えだけという場合にも、きっかけがありますけどね。

○黒川 なかなか、例えば、よく言われるワシントン州のポートランドみたいに、ある目的、公共交通のシステムを上手につくるぞというために、その範囲にあるところだけで組織を作るとか。
 それから、ごみ処理のシステムのために、あそこはそういうメトロというシステムを作ったりします。アメリカだと平気でそういうことができるというか、二重、三重に新しい。その中にメトロという首長さんもまたいたりしてね。
 だから、同じ地域に1人の首長さんというわけではなくて、この問題ではこの首長さん、この問題ではこの首長さんというのが、広域的にできている。それをつくること自体も自由になっていて、だから、ワシントン州型でできるというのはドイツ人型思考だと言われているんですけど。ああいうなんか、都市きっ抗型。
 日本でも今こういうことを議論されてきているのは、グランドビジョンというか。さっき、始まる前のときに、町田市と相模原市。東京都の中に入っている町田市と相模原市は神奈川県側に入っています。今のところ町田市は何も問題ないけど、もし、何て言うか。道州制のようなことが動いていて、23区は都市州だとおおむねの人が思うと、今まではそこで上がったやつを町田市とか八王子市に配分していたんだけど。来ないことが確定するわけです。自立しなきゃいけなくなったとたんに町田市は何も持っていないわけです。ただのベッドタウンということになるから。
 相模原市というのは今度は逆に、反対側で、どちらかというと巨大な製造業をたくさん持っているという、ユニークな生産拠点なんです。だけど、相模原市が合併した新しい4町村というのは、山の中に入っていて、そのエリアだけで人口17万人で人口規模で言うと鎌倉市なんです。湖が5個もあって、渓谷もあって最高でそのままリゾートにしていったら、鎌倉市みたいなことが起こって歴史もある所なんですけど。
 これ、全部一体でできたら、そういう意味でいろんな。そのためにはグランドビジョンをつくろうとすると、鉄道をどう引くかとか、鉄道は相模原市だけ引いたって話にならなくて、ずっと接しているのは20.6キロ。相模原市と町田市は接しているわけです。全然、神奈川県はそれに関して関与しないし、東京都も関与しないから、一緒になることなんてあり得ない。都市連合というのはずっと議論されていたけどだめ。
 これに似たようなとことは柏市も起こっていて、柏市というのは、これはTX(つくばエクスプレス)というのが出来上がって、すごい人の交流が。だいたい、10万人ぐらいしか乗らないだろうと思っていたら、12万人以上も、今乗っている状態になっていて、そこに人が集まっている。なんか、もう少し市町村のレベルでグランドデザインを描くのではなくて、関係している自治体で。それは、県境も関係なくね。埼玉県、千葉県、東京都とかというのが微妙につながっている。
 ほっといても勝手に地域が広がっているというのに三郷市というエリアが東京都にあって。これはほっといたらどこまで行くか分からない状態で、越谷市とか三郷市とか草加市とかという所は一気に一つの所になってしまって。市民は首長なんて全然関係ないわけです。生活圏の中には、全部違う自治体がいっぱい重なっているわけだから。といって県で考えるにしては、県がそこまで考えない。神奈川県も相模原市なんかを考えたりしている暇がないという感じになっているわけだから。すごく微妙な話です。
 さっき言った相模原市の横にある厚木市とか海老名市とか大和市とか座間市とかというのは本当に小さくて、これ1個で市というのは無理があるぐらい面積が狭い。そういうところも合計すると、軽く200万人ぐらいの人口がいるわけだから。なんか人の動きでものを見て、行政区域でものを見るというやり方をすることがすごく無理になっているところがあちこちに起こっているのではないかというのが。

○成田 それは今まで間違った哲学といえるんじゃないかと思うんだけれども。市町村が総合行政を何でもかんでもやるという考え方があるんですよね。

○黒川 逆にね。あるでしょうね。

○成田 今でもそやから総務省がそう考えているしね。調整調査官なんかになりますと、基本的自治体として。

○黒川 そうですね。

○成田 あらゆる住民に身近な問題は全部総合してやりますと。だから、合併だと言ってきていますよね。

○黒川 合併でもないんですよね。

○成田 だから、私は、ある意味黒川さんのおっしゃることに賛成なんで。いわゆる広域連合に訴えるのはそれぞれ問題ごとにつくって、広域連合長みたいなものが複数いたっていいんではないかと思うんだけども。なかなか日本は広域連合をつくっても連合長の政治的な統合力というのは非常に弱くなる気がします。

○黒川 政治的権限がないですからね。そこの中で。

○成田 はいはい。知事は、それは政治的統合力というのが非常に強いんです。市町村に競う自治体というけれどもね。それは知事というのは絶対かなわないです。沖縄県だって知事がうんと言わないとだめなんです。知事が持っている統合力と本当にそれは大きいです。地方政府の大きな成果の一つだと思うけどな。

○山下 府県というのがだから、かたいというか、変えた制度にできないわけですね。

○黒川 そうですね。

○成田 だから、道州制は簡単にできないわけです。

○黒川 沖縄県なんかは、観光でものすごくいきているわけだけど、那覇空港という空港は、全部の出入り口になっている。もう1個北側に小さい空港があれば、沖縄県の北3分の1は未開発ですからね。ほとんど海洋博をやったところまでは、那覇空港に行っていると3泊以上しないかぎりいかれない。
 だから、一方側でしかない。もし北側に小さな空港が一個あって、那覇空港と競争できるようになればいいんだけど。オールイニシアチブは那覇市が握っているという状態だから。すごいへんてこな開発になっていて、魅力的な次のステップに一歩も進まないという感じかな。
 これもグランドデザインの関係で、沖縄県全域を見てていねいに考える人がいなくて、みんな出てくるのが那覇市から出てくる人が全体を見るということになってしまうから、公共交通から道路の整備まで全部那覇市中心なんです。これはなんか、昔東京都がというのと、似てませんか。全然分権ではなくて。
○山下 日本の場合には、私なんかよく思うんですけども、器のほうからものを考える。だから、市町村がとか、あるいは連携するんだったら事務組合とか広域連合がという感じで。でも、黒川先生が今おっしゃっているのは、まさに政策のレベルでまず一体化しよう、あるいは連携しようという話なんですよね。

○黒川 市民はたぶんそこにあると思うんです。たぶん。

○成田 だから、港湾局というのはもともとそういう組織だったんです。ある意味では戻ってきてくれる。ところが港の管理しかやらさないと。

○山下 そういう政策レベルが、共同した計画なのか計画の連携なのか、それはかまわないんだけど、では、それをどういう形で受け止めますかというのはいろんな連携の器の仕組みがあるはずなんだけどというふうにいけばいいんですが、そこへなかなかいかない。

○黒川 今、総務省はかなり意識して中心意思論という議論をしていらして、だから、手を挙げた人が中心になって広がる。でも、これは行政体中心になっているんです。国土交通省がどちらかというと昔から道路沿いとか、河川沿線とか、そういうことで考える傾向にあって、広域というものはそういうものだという議論をしている。本当に全然違うところにニーズが今は生まれてしまっています。

○成田 だから、総合計画とか、都市計画はリンクしていないでしょう。総合計画は昔は経済企画庁だったよね。そういうところがつくったわけです。具体的な計画でも都市計画は特に旧建設省で、農村計画は農林水産省です。

○山下 なかなか、1つの自治体の中で、計画の統合ができていないですから。

○黒川 水とかね、基本的な問題を考えると、河川流域で、広域でということは絶体残るだろうということはみんな分かっていると思うんです。

○成田 八ツ場の水だって、昔から大問題になっています。

○黒川 ああ、そうですね。

○成田 いろんな組織を作ったり、壊されたりするんだけども。なかなかやっておられますよね。

○山下 だから、今、淀川については、何でしたか、確か3府県で流域連携の話が持ち上がっていたと思います。

○手向 ダムですか。

○山下 いや。連携組織を作って、ちょっと忘れてしまいましたが、滋賀県と京都府と大阪府で管理の連携をやろうという提案が出ている。

○成田 あれ、なんか40以上のなんか、流域を中心にしたね。

○山下 はい。

○成田 自治体の連合とかそういうことを・・・。

○山下 広域連合のような。

○成田 はいはいはい。

○山下 自治協議会みたいなものを今、提案が出ていたりもしますから。河川なんかはむしろ府県を越えた、しかし、道州にいきなりいくんではなくてという、その仕事に特化した連携ができそうな気はちょっとしています。

○成田 私はどうもそういかないのが不思議なんですよ。四国の吉野川のように。

○成田 それぞれがばらばらで、水が余っていても隣県には全然やらないわけです。香川県なんて年中水が足りないわけでしょう。一方で水が余っているという。だから、あそこの道州制というのは四国が全部一つになるんではなくて、全部縦割りの道州制なんです。

○黒川 関西圏でもね。首都圏はそうなっていると僕なんか思い込んでいるほうなんですけど。関西圏でも、例えば郊外にどんどん街ができてきて。では、郊外に住んでいる人は、初めから大阪都心に通うことを前提にして交通体系を作っているけど。こっち側にそのまま自立している人が7割以上でしょう、今。通っている人は全体の郊外のうちのたぶん25パーセントぐらいしかないのではないのかな。

○手向 75パーセントというのはどのエリアでということですか。

○黒川 自分のエリアのところで生活している。例えば、子ども達は絶対そうだし、奥さんもそうだし。

○手向 ああ、そうですね。そういう意味ですね。

○黒川 旦那だってというか。会社の。何て言うか。会社に来ている人はそういうふうな通い方をするけど。そうでなかったら、地域で事業をやっている人はいっぱいいるわけでしょう。
 首都圏なんかも全然そうでしょう。3,600万人のうち850万人は23区に住んでいる。でも、山手線の内側は200万人で、都心は80万人しかいない。300万人が外から入ってきている。別の言い方をすると、全部足してもあとの2,400万人は外側にいるんだと。それはたぶん3分の2が外側ということだね。

○成田 それも時期によって住み方が違うんです。みんな時計と逆回りに住んでいるです。東京都より神奈川県に住む。土地が上がると今度は埼玉県に行って住む。埼玉県から今度は千葉県に行くという。

○黒川 時代の中心の人が、もう全部。そうですね。

○成田 上がると、今度は北関東に行っています。

○山下 大阪府だと、大阪駅中心に1時間交通圏ぐらいで見たときに、どれぐらい1時間かけて、大阪府に来ていますか。それとも、もう。

○黒川 着々と減っていると思う。

○山下 それでリタイヤして、地域での生活圏になっていますという辺りはたぶんデータがあるんだろうと思います。

○黒川 国土交通省はリタイア組だと説明をしているんですけど。全然リタイアではないんです。1時間も通うのがもううんざりということになっていて、若い女性なんかも都心まで来ないというのが普通になっているとか。

○手向 あと、都心も安くなってきているんで。

○黒川 取り返している。

○新川 都心もありますね。大阪ですと、淀川沿いに高層マンションが結構うまっています。それも高齢者です。

○黒川 今までなかったのがおかしいですよね。だから。

○山下 高齢者がだいぶ戻っています。やっぱり、一番お金を持っていて。

○黒川 買えるということ。

○山下 それとやっぱり。

○新川 しかも生活上便利です。

○山下 生活だけですからね。

○新川 病院にしてもそのほかの消費施設にしても便利。都市的サービスが使えますので。

○山下 だいぶ戻ってきて。むしろ問題なのは、そうやって戻って来てくれるのはいいのだけれども、では、郊外のオールドニュータウンが結局その分だけ抜けるという問題も出てくる。

○新川 具体的にそういうところで、例えば千里やなんかがそうですけれども、そういうところでは逆に、若者が抜けたあとのまちづくりをどうするかというような動きが民間では始まっていますけども。

○成田 横浜では、港北ニュータウンの開発が遅れたせいか、あそこはすごいんです。

○黒川 そうです。

○成田 はい。

○黒川 一番最後に開発されているんです。一番東京?に近いからです。

○成田 一番初めにはもちろんあそこの千里タウン。2番目は多摩ニュータウン。

○山下 ああ、そうですね。

○成田 そのあとに港北のニュータウンだったわけですけでも、もう多摩ニュータウンのほうが老人の住家になっちゃった。

○新川 空き家も多いですね。

○黒川 もともと多摩ニュータウンをつくったときには、一種住専が80パーセントあったんです。今出来上がりは42パーセントぐらいで、多機能でないと全然成り立たないんです。街なんて。だから、住居だけでつくるという感覚はやっぱり難しいです。
 町田市なんかはものすごくややこしくて、真ん中にある都営住宅とか公団住宅は今深刻な問題で、団地問題が起きているんですけども。だけど、つくし野とか南町だとか多摩川学園とか、超高級住宅地なんです。首都圏の郊外では一番地価が高い所です。億単位の住宅しか中にないような街がいっぱいできているわけ。選挙をやるとどっちの投票が多いかというとお金持ちの人のほうが多くなっているわけです。

○成田 意外なところにできるじゃん。武蔵小杉の駅前とか、それから川崎の駅前とかね。

○黒川 ここもまた慶応大学と重なっているということもあるんですけど。ものすごい勢いで今。武蔵小杉って違う世界ですから。高層住宅は50階建て以上が10本以上あると思うんです。

○成田 JRは駅をつくるんですよね。

○黒川 もう出来てしまいましたね。3月13日から。そこで東京の都心に行くのに2階建て電車でインターネットやりながら平和にグリーン車で通勤するというのが。つくばエクスプレスの一番人気になったのはそれができるということです。小田急線も何て言うんですか。ロマンスカーというのが特に強いし。横須賀線というのはほとんどグリーン車ですよね。だから、昔のまま150円の電車でぎゅうぎゅうで都心に通うというような世界はもうほとんど成り立っていない。
 たぶん、ここでいうと滋賀県が郊外で、だから都心に通っているとみんな思っているけど、たぶん、滋賀県側に行っている人のほうが多いのではないかと思います。有力な職場というのは、ブリヂストンから始まって京セラから松下電器からそういうの全部。あのかいわいにあって、働きに行く側が多くて大学も向こうにできてしまったので、逆に差し引きすると、たぶん滋賀県側が勝っているんではないかという感じがする。
 今、47都道府県の1人当たりの県民所得は最新でいうとなんか茨城県がものすごくいいらしいんですけど。でも、たぶん滋賀県は全国4位ですよね。大阪はとっくに負けています。京都も兵庫も全然負けていますからね。職場とかそういうものも有利にはたらいている。逆に郊外側が強い時代になっているかもしれません。

○成田 本当に面白い話がこれから始まりそうなんですけども。残念ながら、時間が来てしまったので、今日は本当に心が残りますけど、これで終わりたいと思います。
 今日は出席者も少ないし、テーマも少ないもんですから時間が余ってしようがないんではないかというふうに思っていたら、そうではなくて非常に助かりました。本当にありがとうございました。
 では、どうも。これで一応終わりたいと思いますが、最後に課長さんのほうから。

○手向 本日は分権時代における地方自治体に求められる組織、あるいは職員ということで、3名の先生から発表いただきまして、活発な議論、延べ4時間にわたって本当にわれわれも時間的にこれで4時間いけるかというのを最初は思ったところなんですけども。本当にいろいろな意見をいただきまして、まとめるほうもちょっと大変やろうとは思いますけども。しっかり取りまとめさせていただいて。
 年度末も押し迫ったこの時期に、お集まりいただきまして、本当にありがとうございました。

(終了)

 

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総務部 市町村課 行政グループ

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