自治の窓 地方公務員のメンタルヘルスと公務能率の維持・確保について 「第1章」

更新日:平成29年3月31日

第1章 メンタルヘルス不調による長期病休者等の状況

 本章では、地方公共団体において、職員のメンタルヘルスの問題が深刻化している状況を、メンタルヘルス不調による長期病休者及び分限処分者の状況から確認する。

第1節 長期病休者の状況

(1) 健康状況等調査
 まず、地方公共団体における長期病休者の状況であるが、これは一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会(以下「安衛協」という。)が実施する調査「地方公務員健康状況等の現況」(以下「健康状況等調査」という。)により確認できる。
 平成28年度実施分(平成27年度の状況)の調査対象団体は、都道府県、政令指定都市、特別区及び一定以上の人口規模を持つ市町村計342団体であり、調査対象職員は、主に首長部局の一般職の職員約77万人である。
 健康状況等調査において、長期病休者とは、公務災害又は通勤災害によるものと認定された者も含め、疾病等により、病気休暇、分限休職処分等休業の種類を問わず、休業30日以上又は1か月以上の療養者としている。なお、長期病休者数は10万人率で表されている。

(2) 精神及び行動の障害による長期病休者数の推移
 メンタルヘルスに関する疾病として、「精神及び行動の障害(国際疾病分類ICD−10[1]第5章F)」がある。これは、脳の機能的な障害や器質的な問題によって生じるもので、代表的なものには、統合失調症、躁うつ病、神経症性障害、精神障害等がある。
 平成27年度中の職員10万人当たりの長期病休者数は、全疾病の総数で、図1のとおり2,406.9人であった。このうち、精神及び行動の障害による長期病休者数は、図2のとおり1,301.3人であり、平成26年度と比較すると61.8人(4.99%)増加し、また、10年前の平成17年度と比較すると約1.6倍となっている。長期病休者の疾病分類別構成比は、図3のとおり精神及び行動の障害の割合が54.1%と最も高く、その割合は年々増加し、平成24年度から連続して50%を超えて推移している。

<図1>長期病休者数の推移
画像です。<図1>長期病休者数の推移
<出典>安衛協平成27年度健康状況等調査結果

<図2>主な疾病分類別の長期病休者の推移
画像です。<図2>主な疾病分類別の長期病休者の推移
<出典>安衛協平成27年度健康状況等調査結果

<図3>長期病休者の疾病分類別構成比の推移
画像です。<図3>長期病休者の疾病分類別構成比の推移
<出典>安衛協平成27年度健康状況等調査結果

(3) メンタルヘルス不調による長期病休者数の推移
 ここで、メンタルヘルス不調と精神及び行動の障害の関係であるが、厚生労働省が定める「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月31日健康保持増進のための指針公示第3号)によれば、メンタルヘルス不調は、「精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むもの」と、広義の精神及び行動の障害として定義されている。
 つまり、メンタルヘルス不調による長期病休者数には、精神及び行動の障害による長期病休者数が含まれ、これも同様に増加しているということである。

第2節 分限処分者の状況


(1) 分限処分

 次に、地方公共団体における分限処分者の状況であるが、そもそも、分限処分とは、公務能率の維持及びその適正な運営を確保する目的で、職員の意に反して行われる不利益処分であり、免職、降任、休職、降給の4種類がある。
 地方公共団体において、各任命権者は、地方公務員法(昭和25年12月13日法律第261号。以下「地公法」という。)第27条第2項により、一定の事由がある場合に限り、分限処分を行うことができ、このうち、免職及び降任は地公法で定める事由がある場合、休職は地公法又は条例で定める事由がある場合とされている。この地公法で定める事由とは、地公法第28条で次のように規定されている。

[1] 免職(降任)
  ・勤務実績が良くない場合(第1項第1号)
  ・心身の故障の場合(第1項第2号)
  ・職に必要な適格性を欠く場合(第1項第3号)
  ・職制等の改廃等により過員等を生じた場合(第1項第4号)
[2] 休職
  ・心身の故障の場合(第2項第1号)
  ・刑事事件に関し起訴された場合(第2項第2号)

(2) 分限処分等状況調査
 地方公共団体における分限処分者の状況については、総務省が実施する調査「地方公務員の分限処分者数、懲戒処分者数及び刑事処分者数等に関する調」(以下「分限処分等状況調査」という。)により確認できる。分限処分等状況調査の対象は、都道府県、政令指定都市、特別区、市町村、一部事務組合及び広域連合に属する一般職の職員となっている。
 分限処分等状況調査では、同一年度中に同一の者が複数回にわたって分限休職処分に付された場合、その者を1人として計上しており、また、2以上の事由により分限処分に付された場合は、主たる事由により計上している。

(3) 分限処分者数の推移
 平成27年度中の分限処分者数は4種類の総数で、表1のとおり24,334人であり、平成26年度と比較すると88人(0.36%)減少した。

 [1] 分限休職処分者数の推移
 
このうち、分限休職処分者数が24,048人と分限処分者数全体の98.8%を占めており、平成26年度と比較すると26人(0.11%)増加している。分限休職処分者のうち、処分の事由別では、心身の故障による分限休職処分者数が、23,854人と分限休職処分者数全体の99.2%を占め、また、図4のとおり平成17年度から平成20年度までは増加傾向にあるものの、それ以降はほぼ同水準で推移している。

<表1>分限処分者数の状況(事由別・種類別)
画像です。<表1>分限処分者数の状況(事由別・種類別)
<出典>総務省平成27年度分限処分等状況調査結果

<図4>分限休職処分者数の事由別推移
画像です。<図4>分限休職処分者数の事由別推移

 [2] 分限免職処分者数の推移
 
一方、分限免職処分者数は、図5のとおり、職制等の改廃等により過員等を生じた場合(いわゆる行政整理によるもので年度により大きく変動)を除き、いずれの事由においても少数かつほぼ同水準で推移している。

<図5>分限免職処分者数の事由別推移
画像です。<図5>分限免職処分者数の事由別推移

(4) メンタルヘルス不調による分限処分者数の推移
 
心身の故障には、精神の故障のみならず身体の故障も含まれることから、分限処分等状況調査からは、定義上、精神の故障であるメンタルヘルス不調による分限処分者数のみを読み取ることができない。
 そこで、メンタルヘルス不調による分限処分者数について、健康状況等調査の長期病休者数及び心身の故障による分限処分者数の推移から考察する。

 [1] メンタルヘルス不調による分限休職処分者数の推移
 
まず、メンタルヘルス不調による分限休職処分者数についてである。図2のとおり、メンタルヘルス不調以外の疾病、つまり、身体の故障による長期病休者数は減少傾向にあるが、メンタルヘルス不調による長期病休者数は増加傾向にある。
 また、心身の故障による分限休職処分者数は、図4のとおり、平成17年度から平成20年度までは増加、それ以降はほぼ同水準で推移し、減少傾向にはない。
 このことから、心身の故障による分限休職処分者数のうち、メンタルヘルス不調によるものは、メンタルヘルス不調による長期病休者数と同様に増加傾向にあるのではないかと考えられる。

 [2] メンタルヘルス不調による分限免職処分者数の推移
 
 ≪全国の数値≫
 次に、メンタルヘルス不調による分限免職処分者数についてである。図5のとおり、心身の故障による分限免職処分者数は、1年度につき20人から30人程度と少数かつほぼ同水準で推移している。
 このうち、メンタルヘルス不調によるもの及びメンタルヘルス不調以外の疾病によるものの推移について、それぞれが増加傾向か減少傾向にあるとしても、総数として少数であることから、その増減の数も微々たるものだろう。
 つまり、メンタルヘルス不調による分限免職処分者数の推移についても、少数かつほぼ同水準で推移しているのではないかと考えられる。

 ≪大阪府内市町村の数値≫
 ここで、大阪府内市町村(政令指定都市を除く。以下同じ。)における心身の故障による分限免職処分者数であるが、これは、平成22年度から平成27年度までの期間において、表2のとおりとなっている(分限処分等状況調査に基づく独自の調査による)。
 対象期間中、大阪府内市町村41団体のうち、メンタルヘルス不調による分限免職処分の実績があるのはわずか4団体で、ほとんどの団体で実績がない。また、実績のある団体においても1年度に2人が最大となっている。
 大阪府内市町村以外の各地方公共団体におけるメンタルヘルス不調による分限免職処分者数についても、全国の数値から見て、大阪府内市町村と同様の状況だろう。

<表2>心身の故障による分限免職処分者数(大阪府内市町村(政令指定都市を除く。))
<表2>心身の故障による分限免職処分者数


 [1]疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems



「第2章 公務能率の維持・確保に向けた対策」はこちら

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総務部 市町村課 行政グループ

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