自治の窓 今こそ、公共施設等の老朽化に立ち向かうとき 【公共施設マネジメント手法を活用した一考察】 「第2章」

更新日:平成26年4月1日

 第 2 章  府内市町村の普通建設事業費の将来推計

1.普通建設事業費の将来推計
 公共施設等を維持管理・更新していく上で、まず今後どの程度の費用が必要であるのかを把握する必要がある。本章では、1974(昭和49)年から2012(平成24)年の地方財政状況調査(以下「決算統計」という。)の決算額を基に、府内市町村の今後50年間の更新費用を推計した。
(1)推計条件
・決算統計の普通建設事業費の状況21表(補助事業費)、22表(単独事業費)の合計額により推計した。23表(府営事業負担金等)及び用地取得費は含んでいない。
・整備当初と同等の補助制度や特定財源の有無が確約されないことから決算額によるものとし、耐用年数経過後、同一機能で更新するものとして推計した。
・耐用年数は、決算統計を使用することから同一区分で耐用年数が示されている新地方公会計制度の総務省改訂モデルの耐用年数表【表2】を使用した。
・過去に建設した公共施設等を更新する際、再取得額を算出するため、決算額に国土交通省が公表している平成17年度基準の建設工事デフレーター(建設工事(総合))により調整した。よって本章の決算額及び推計はデフレータ後のものであり、実際の決算額とは一致しない。
・2013(平成25)年度以前の普通建設事業費には、すでに耐用年数を迎えた施設の更新費用が含まれていると想像されるため、普通建設事業費から推計した更新費用を差し引いた額を新規整備費用とし、2013(平成25)年度以降の新規整備費用は2008から2012年度の平均値を使用した。

(2)推計結果
 本稿の推計では、決算統計データの初年度である1974(昭和49)年度の「消防費」の「うちその他」が耐用年数10年であることから第1回目の更新が1984(昭和59)年度となる。その後1994(平成6)年度に農林水産業費の農業基盤整備事業の更新が始まるなど耐用年数経過後に更新時期を迎えるものとしている【図11】【図12】。
そして、2012(平成24)年度の普通建設事業費決算額1,841億円には、約42%にあたる773億円が更新費用が含まれているという結果となった。
 また推計費用のピークとなった2042年度では、5,609億円のうち更新費用は約83%の4,650億円を占めることになり、2012(平成24)年度の決算額と比較しても、更新費用のみで約2.6倍になる。現在の決算額の3倍以上の費用が発生するなど現実的ではないのかもしれないが、予期せぬ事態が発生すれば、もはや施設の更新のみで手一杯となり新たな整備をする余裕はない状態になる可能性が見えてくる。

【表2】(新地方公会計制度 総務省改訂モデルにおける耐用年数表)

決算統計上の区分

耐用

年数

決算統計上の区分

耐用

年数

決算統計上の区分

耐用

年数

決算統計上の区分

耐用

年数

総務費

農林水産業費

土木費

土木費

 庁舎等

50

 造林

25

 道路

48

  公園

40

 その他

25

 林道

48

 橋りょう

60

  その他

25

民生費

 治山

30

 河川

49

 住宅

40

 保育所

30

 砂防

50

 砂防

50

 空港

25

 その他

25

 漁港

50

 海岸保全

30

 その他

25

衛生費

25

 農業農村整備

20

 港湾

49

消防費

労働費

25

 海岸保全

30

 都市計画

 

 庁舎

50

 

その他

25

  街路

48

 その他

10

商工費

25

  都市下水路

20

教育費

50

 

  区画整理

40

その他

25

【図11】(決算統計区分による将来推計(更新イメージ))

将来推計更新イメージ

【図12】(府内市町村の普通建設事業費による将来更新推計)

普通建設事業費の将来更新推計

 注)普通建設事業費及び推計は大阪市除く。人口は大阪府全市町村の人口推計。
   数値はいずれもデフレータ後のため、実際の決算額と一致しない。

2.推計結果により見える課題とは
 第1章でも述べたように今後人口減少や少子高齢化により、現在の施設量(数)のままでは確実に人口1人あたりの量は増加する。一方でこれまでの行財政改革によって普通建設事業費など投資的経費は縮小傾向であり、維持管理する職員も減少している。今後も施設を整備した当時と同様の維持管理を行っていけるのかは不透明なので、人口規模に応じた適正規模や適性管理、効率的な維持管理方法を検討し、更新の優先順位もつけていかなければ、施設が老朽化するスピードに対応が追い付かず、公共施設等そのものが使用できなくなってくる。
 なお本推計結果は、府内市町村の決算額を用いたマクロの推計費用である。実際には各団体の現状を把握した上で実態に応じた推計を行うべきである。例えば耐用年数では今回使用した改訂モデルや法定耐用年数といった統一された数値があるものの、物理的な老朽化の状況、維持管理状況や環境などによる影響なども考えられる。
 将来推計は既に多くの団体で実施されている。まず簡易的に現状把握を行うという点では、総務省や財団法人 地域総合整備財団がホームページ上で公開している「更新費用試算ソフト」により簡易な試算を行うこともできるので参照されたい。


第3章はこちらから

このページの作成所属
総務部 市町村課 振興・分権グループ

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