奔潮 はやしお  「人口減少社会」の到来に向けて 

更新日:平成24年5月24日

「人口減少社会」の到来に向けて

  1.はじめに  

 大阪は、三大都市圏で最も早く人口減少を迎え、今後30年間で、総人口が約163万人減少する一方、高齢者人口が約40%増えるなど、人口構造が大きく変化することが予測されています。高度成長期の人口増加を背景に経済成長を遂げてきた大阪は、まさに今、日本の大都市がかつて経験したことのない人口減少社会への入り口に差し掛かっています。
 これから迎える人口減少社会は、府民生活、経済、都市等、様々な分野にマイナス・プラスの両面で大きな影響が予測されます。大阪府では、人口減少社会が及ぼす影響をマイナスにとどめることなく、プラスへと転じていくため、今後の人口減少や人口構成の変化が様々な分野に与える影響や課題を分析・整理し、中長期的な観点からの対応の方向を明らかにした「大阪府人口減少社会白書」を策定しました。

  2.大阪における「人口減少」の潮流

 大阪府の人口は2010年10月の国勢調査では887万人と、2005年の同調査から約5万人増加しました。しかし、今後は減少期に突入し、30年後の2040年には724万人となり、30年間で163万人の急激な減少を見込んでいます。

年代別区分別人口

 これは、高度成長期である1968年の722万人に相当する人口であり、1968年から1998年までの30年間で増加した人口159万人が、その後、10年あまり維持され、今後30年間で同程度減少すると予測されています。
 高齢者人口の割合は年々増加し、2040年には、全体の38.4%を占めると見込まれます。一方、生産年齢人口の割合は、減少を続け、2040年には、現在の64.4%から52.4%まで減少し、年少人口の割合は、全体の1割未満の9.3%にまで減少すると予測されます。
 総人口の減少に加え、このような人口構成の変化は、社会保障や経済活動、府民の暮らしなど幅広い分野で影響を及ぼすことが考えられます。
大阪府の人口の約4割が65歳以上に
生産年齢人口は大阪府の人口の約半分に

 大阪府の人口構成の変化を世代ごとにみると、昭和30年代に大阪府に大量に流入してきた「団塊の世代」(2010年現在:71万人)と「団塊ジュニア世代」(2010年現在:約72万人)が人口の多い世代となっています。
 これを10年ごとの推移でみると、二つの世代がまるで“人口の波”のように高齢化していくのが分かります。
今後は、「団塊の世代」の高齢化に伴い、65歳以上の高齢者が更に増加し、その後75歳以上の高齢者のボリュームも大きく変動していくと見込まれています。
 さらに、その先には、団塊ジュニア世代が同じような変化を人口構成に与えていく第二の“人口の波”が訪れると予測されています。
年代別人口

  3.分野別の影響と課題

 人口減少社会においては、高齢化による生活不安の増大、生産年齢人口の減少による経済成長への悪影響、人口減少・世帯数の減少による空き家・空き地の増加など、府民の生活や経済、都市構造などにおいて、様々な影響が予測されます。この白書では、「生活」、「経済」、「都市」の3つの分野について、マイナス・プラスの両面から影響・課題を分析しています。


(1)生活
 高度成長期における人口膨張、右肩上がりの時代から現代に至るまで、生活の豊かさや利便性が向上する一方、長寿命化・核家族化が進むなど、府民の生活も様変わりしました。そして、これから迎える人口減少期は、高齢化・少子化の進行により、現役世代へのしわ寄せや高齢単独世帯の増加など、再び府民の生活に大きな影響を与えることが予想されます。

【生活分野における影響】

 (1)暮らし

 ◆社会参加意欲の高いアクティブシニア(元気高齢者)の増加
 ◆高齢者の生活不安解消の必要性の高まり

 (2)健康・医療

 ◆高齢者の健康意識の高まり
 ◆医療需要の増大
 ◆医療需要の多様化
 ◆救急医療ニーズの多様化

 (3)福祉

 ◆介護需要の増大
 ◆福祉・介護需要の多様化 
 ◆福祉・介護人材の育成・確保の必要性の高まり
 ◆要援護者見守りの必要性の高まり

 (4)結婚・子育て

 ◆未婚者・晩婚者の増加
 ◆子育てへの負担感による出産数の低下
 ◆高齢出産の増加
 ◆子育て世帯の孤立化

 (5)教育

 ◆ライフステージを通じた教育の必要性の高まり
 ◆子どもの減少による教育環境の変化

 (6)コミュニティ

 ◆既存コミュニティの減少と新たなコミュニティの増加

 (7)防犯・防災

 ◆犯罪弱者の増加
 ◆高齢者等による犯罪の増加
 ◆災害弱者の増加
 ◆地域の防犯力・防災力の機能低下の懸念
 ◆交通弱者の増加

(2)経済
 人口減少下においても、将来にわたって府民一人ひとりが豊かに暮らしていくためには、持続的な成長が必要です。とりわけ、大阪等の大都市においては、日本をけん引する成長エンジンとしての役割を果たすことが求められます。

【経済分野における影響】
 (1)雇用
 ◆国内市場の規模の縮小
 ◆国内市場の構造面の変化 
 (2)雇用・人材
 ◆生産年齢人口減少による労働力の減少
 ◆トランポリン型の(再挑戦可能な)セーフティネットの構築の必要性の高まり
 ◆高度専門人材の育成・呼び込み 
 (3)企業
 ◆企業経営における生産性向上の必要性の高まり

(3)都市
 大阪府では、高度成長期に都市インフラが次々と整備されるとともに、工場等制限法(1964から2002年)等により、市街地の拡大、都心部の空洞化が進みました。今後の人口減少を踏まえ、市街地拡大の抑制など、計画的な土地利用の誘導や都市構造の転換が重要です。

【都市分野における影響】
 (1)都市・インフラ
 ◆都市の持続的発展のための計画的誘導の必要性の高まり
 ◆都市インフラの需要の変化
 ◆都市魅力の向上
 (2)住宅・まちづくり
 ◆住宅供給の過剰、需給のミスマッチ
 ◆高齢者に対応した住宅・まちづくりの必要性の高まり
 ◆担い手減少による農地・森林の荒廃
 (3)環境・エネルギー
 ◆エネルギー消費の減少
 ◆汚染物質・温室効果ガス・廃棄物排出量の減少

  4.人口減少社会に向けた対応

 人口減少社会の到来は未曽有の変化をもたらし、今後数十年単位で続くものと思われます。
 しかし、府民一人ひとりが、人口減少期に即したライフスタイルや考え方へと転換し、「変革のチャンス」、「将来への備え」、「持続的発展」の3つの観点からしっかり対策を講じることによって、この変化をマイナスにとどめることなく、プラスにしていくことが重要であると考えています。
白書では、この3つの観点から、人口減少社会に対する取組みの方向性をまとめています。
●「変革のチャンス」
制度疲労を起こしている高度成長期等につくられた制度や仕組み、そして考え方やライフスタイルを改革する。
●「将来への備え」
将来顕在化、あるいは、今後ますます深刻となることが見込まれる課題に対して、しっかりと備える。                                 
●「持続的発展」
プラス面を見出し、新たな価値の創造につなげることにより持続的発展の実現を目指す。

  5.さいごに

 これからの人口減少社会に対応して、大阪は、「府民が安全で安心して暮らせる定住都市」「日本の成長エンジンとして持続的に発展する都市」を目指していくべきと考えています。
 これらの実現に向けては、大阪府はもちろんのこと、国、市町村、経済界、そして、府民一人ひとりが人口減少に伴う課題にしっかりと対応し、様々な制度、地域社会の在り方、生活スタイル等を人口減少社会にふさわしいものに変えていく必要があります。そのためには、今回、白書で示した人口減少社会に対する影響、課題や対応の方向性をオール大阪で共有し、人口減少社会の到来にしっかりと備えるとともに、大阪が抱えてきた課題を変革する大きなチャンスとして捉え、人口減少社会にふさわしい新しい価値観を育む転換期にしていくことが重要です。
 市町村の皆さまにおかれましては、この白書を一人でも多くの住民に知っていただくため、PRにご協力いただきますようお願いいたします。そして、この「大阪府人口減少社会白書」をご活用いただき、それぞれの市町村におかれても人口減少社会への対応をご検討いただければ幸いです。

※「大阪府人口減少社会白書」にかかるホームページ
http://www.pref.osaka.lg.jp/kikaku/jinko_tenken/index.html

(大阪府政策企画部企画室計画グループ)

このページの作成所属
総務部 市町村課 振興・分権グループ

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