相談室 病気休暇の取得について

更新日:平成25年3月1日

質問

 病気休暇を連続して90日間取得した職員が、職務に復帰した日から10日後に、当初の病気とは明らかに異なる病気により再度60日間の病気休暇を申請した場合、再度病気休暇を承認することができますか。

回答

1.病気休暇の趣旨

 国家公務員の病気休暇は、「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」第18条において、「職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合における休暇とする。」と規定されています。病気休暇制度が設けられた趣旨は、職員が病気になった場合に安んじて療養に専念させ、健康体に回復させることによって、もって公務能率の維持向上に資することにあります。

 病気休暇は、広義において年次休暇以外の休暇として特別休暇の一事由として措置することも可能ですが、「病気」という事由の一般性及び給与上の取扱いが他の休暇とは異なることに着目して、一個の独立した休暇となっています。病気休暇については、公務上及び通勤上の傷病を除き、一定期間経過後には、俸給が半減されることとされており、一部有給制をとっていますが、これらは、年次休暇、特別休暇の制度と大いに異なるところとなっています。

 地方公務員の病気休暇は、地方公務員法第24条第6項の規定により、条例で定めるものとされていますが、その内容は、同条第5項の勤務条件に関する均衡の原則に則り、国家公務員の病気休暇に準じて定めることが必要です。

 

2.病気休暇の要件

 病気休暇は、負傷又は疾病という事実に基づいて承認されるものですが、ここでいう「負傷又は疾病」とは、いわば、身体的に不健康に陥っている状態、心身に故障のある状態をいうものとされ、通常の風邪、腹痛、頭痛等も「負傷又は疾病」に該当します。また、「疾病」には、予防注射などの予防接種による著しい発熱、生理により就業が著しく困難な症状等が含まれています。

 ただし、負傷又は疾病の事実さえあればいかなる程度のものであっても病気休暇が認められるというものではなく、病気休暇制度の趣旨に照らして、勤務することが不可能又は困難な程度の負傷又は疾病であることが必要となります。裁判例においては、負傷又は疾病の性質や健康状態から早期の治療に専念させることが妥当な場合や、就労には差し支えないが正規の時間以外の時間における治療・検査が著しく困難な場合にも病気休暇が承認される余地があるとされています。

 病気休暇の原因となる心身の故障については、それが先天的又は後天的なものによって区別されることはなく、医師の診療行為を伴うような場合であれば、先天性疾患が原因となっている場合にも、病気休暇が与えられる事由に該当すると解されています。例えば、斜視の手術による入院期間等がこれに該当します。また、高度の慢性腎不全のために頻繁に人工透析を行わなければならない場合も、病気休暇が与えられる事由に該当すると解されています。

 健康診断の受診については、心身の故障を訴え、そのために精密検査を受けるような場合であれば病気休暇の事由に該当しますが、特に心身の故障はないが、予防的な意味で、自発的かつ定期的に受けるものである場合には、病気休暇の事由に該当する余地はないといえます。よって、例えば、健康の保持増進のために人間ドックを受けるのであれば、病気休暇として取り扱う余地はありません。なお、国家公務員においては、一定の要件を満たす総合健診(人間ドック)を受ける場合については、人事院規則10ー4第21条の2の規定により勤務しないことを承認(職務専念義務免除)することができるとされています。

 また、検眼については、眼疾のおそれがあってこれを受ける場合は病気休暇を与える事由に該当する余地がありますが、単なる眼鏡等の購入を目的とするような場合には病気休暇を与える事由に該当しないものと解されています。

 

3.病気休暇の期間

 病気休暇が認められる期間については、負傷又は疾病の内容に関係なく、「療養のため勤務しないことがやむを得ないと認められる必要最小限度の期間」を原則としています。国家公務員においては、平成23年1月1日から、除外日(生理日の就業が著しく困難である場合、公務災害、通勤災害の場合又は人事院規則10ー4に基づく勤務の軽減措置を受けた場合における病気休暇を使用した日等)を除き、連続して90日を超えることができないこととされています。

 この改正は、取得日数に上限が設けられていない現行制度を民間企業における状況を踏まえたものとする必要があること、長期にわたり病気休暇を取得する者の割合が上昇傾向にあり、欠員補充が可能となる病気休職との役割分担を明確にすることが求められてきたこと、断続的に病気休暇を取得する職員に対する適切な健康管理及び服務管理を行う必要があることから行われたところです。

 病気休暇の期間計算については、暦日を単位として行うものとし、全日病気休暇を取得した日に限らず、時間及び分単位で病気休暇を取得した日についても、病気休暇を取得しなければならない状況が暦日でみると引き続いていることから、全日病気休暇を取得した日として取り扱うものとされています。また、病気休暇と病気休暇の間にはさまれている週休日、休日、病気休暇以外の休暇等により勤務しない日については、療養する必要がある状態が引き続いていると考えることが適当であることから、病気休暇を取得した日とみなして期間計算を行うものとされています。

 

4.クーリング期間制度

 クーリング期間制度は、病気休暇を断続的に繰り返して取得するという濫用を防止するため、また、約7割の民間企業において類似の制度が導入されていることを踏まえ、国家公務員において平成23年1月1日から導入された制度です。具体的には、連続する8日以上の期間の病気休暇を使用した職員が、その病気休暇の期間の末日の翌日から、実勤務日数が20日に達するまでの間(病休通算判定期間(クーリング期間))に、再び病気休暇を使用したときは、前後の病気休暇の期間は連続しているものとみなすこととされています。

 「連続する8日」については、原則として、病気休暇と病気休暇の間にはさまれている週休日、休日、病気休暇以外の休暇等により勤務しない日(一日の勤務時間の一部について勤務しない日を含む。)も含まれます。

 また、病休通算判定期間は病気からの回復の程度を確認する期間であることが設置趣旨の一つであることを踏まえ、病休通算判定期間における実勤務日の数え方としては、一回の勤務に割り振られた勤務時間のすべてを勤務した日を実勤務日の一日として算入することを原則としています。

 

5.明らかに異なる病気等にかかった場合

 病気休暇の期間は、原則として、病気の種類又は数により設定されておらず、ある始まりの時点からみた一回の病気休暇について設定されています。しかし、当初の病気休暇の原因である心身の故障の内容とはその症状が明らかに異なる病気等にかかった場合、すなわち病因の同一性が明らかに認められない場合には、当該明らかに異なる病気等の療養のために限り、当初の病気休暇の上限期間である90日を超えて病気休暇を承認することができるものとされています。

 この場合、その病気休暇の期間は、明らかに異なる病気等にかかった日から連続して90日を超えることはできないとされています。

 ここでいう「明らかに異なる病気等」は、国家公務員においては、症状が明らかに異なると認められるものであっても、病因が異なると認められないものは含まれません。各省各庁の長は、医師が一般に認められている医学的知見に基づき行う症状や病因等についての診断を踏まえ、明らかに異なる病気等に該当するかどうかを判断するものとされています。また、明らかに異なる病気等にかかった日については、各省各庁の長が、当該診断を踏まえ、判断するものとされています。

 なお、この期間計算に係る例外は、病気休暇制度独自のものであり、俸給の半減制度には設けられていません。このため、明らかに異なる病気等により当初の病気休暇の上限期間である90日を超えて病気休暇を取得している期間については、俸給が半減されることになる点に注意が必要となります。

 

6.本事例の検討

 前述したように、当初の病気休暇の原因である心身の故障の内容と明らかに異なる病気等にかかった場合は、その療養のために限り、当初の上限期間である90日を超えて病気休暇を承認することができますが、本事例については、明らかに異なる病気等にかかった日が90日に達した日後の病休通算判定期間内であることが問題となります。

 原則として、再度の病気休暇が病休通算判定期間内であれば、前後の病気休暇の期間は引き続いているものとして日数が通算されます。しかし、本事例のように、病気休暇の期間が90日に達した日の翌日から、実勤務日数が20日に達する日までの間に、当初の病気とは明らかに異なる病気のため療養する必要があるときは、当該明らかに異なる病気に係る病気休暇を承認することができるとされています。ただし、この場合において、当該再度の病気休暇の期間は、除外日を除いて連続して90日を超えることはできません。

 

7.終わりに

 最近、一部の団体において病気休暇の取得に著しく適正を欠く事例が指摘されています。休暇制度などの勤務条件は、住民の代表である議会の議決する条例で定められるものであり、制度とその運用の両面において、住民の理解と納得が得られる適正なものでなければなりません。各地方公共団体においては、病気休暇は厳格な事実確認に基づいて運用することを第一に、制度趣旨に則った適正な運用を改めて徹底すべきと思われます。


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総務部 市町村課 行政グループ

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