相談室 所得税と個人住民税の住宅借入金等特別控除等の適用条件の違いについて

更新日:平成24年9月20日

質問

 毎年の年末調整によって所得税を精算している給与所得者ですが、この度、一度も所得税の住宅借入金等特別控除と個人住民税の住宅借入金等特別税額控除(以下「住宅借入金等特別控除等」という。)の適用を受けていなかった事に気づき、納付済みの所得税と個人住民税の還付を受けるため平成21年から平成23年分の確定申告をすることにしました。

 この場合、所得税と個人住民税の住宅借入金等特別控除等の適用はどうなるのでしょうか。

 なお、居住年月日は平成21年10月1日で、この度の確定申告は、平成24年6月30日に行いました。

 

回答

 所得税の住宅借入金等特別控除は、確定申告が未申告であれば、国税通則法第74条(還付金等の消滅時効)の規定により、還付の請求ができる日から5年以内に確定申告をすることで適用されますが、個人住民税の住宅借入金等特別税額控除については、地方税法附則第5条の4の2の規定により、納税通知書が送達されるまでに、確定申告書が提出されていないため、適用されません。

 

解説

1. 住宅借入金等特別控除等の概要

 所得税における住宅借入金等特別控除は、一定の「新築住宅」若しくは「既存住宅」の取得又は一定の「増改築等」に係る住宅借入金等を有する場合に、住宅借入金等の年末残高の合計額を基に、各年分の所得税から一定額を控除するという制度であり、居住した日によって、控除の期間や各年の控除限度額が異なるものとなっています。

 一方、個人住民税における住宅借入金等特別税額控除については、平成18年度の税制改正で所得税から個人住民税への税源移譲が行われたことで、個々人の所得税額が減少することにより、税源移譲前に比べて控除しきれない住宅借入金等特別控除が生じるという影響がでました。

そこで、これらの納税者について、税源移譲前の控除額と同等の負担軽減を行うことを目的として、所得税において控除しきれなかった額を個人住民税から減額するため、個人住民税の住宅借入金等特別税額控除(以下「税源移譲に伴う住宅借入金等特別税額控除」という。)が創設されました。(地方税法附則第5条の4)

また、平成21年度の税制改正においては、住宅投資の活性化を目的として、中低所得者層の実効的な負担軽減を図る観点から、所得税から控除しきれない額を個人住民税から控除できる新たな住宅借入金等特別税額控除(以下「平成21年度の税制改正による住宅借入金等特別税額控除」という。)が創設されました。(地方税法附則第5条の4の2)

 

2. 住宅借入金等特別控除等の適用について

 ただし、個人住民税に創設された住宅借入金等特別税額控除の制度は、所得税とは適用要件等は異なります。

所得税の住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、確定申告の手続きが必要です。具体的には、「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」等の必要な書類を確定申告書に添付することになります。

次年以降も適用を受ける場合には、毎年、確定申告書に必要な書類を添付し申告する必要がありますが、給与所得者の場合については、年末調整の際に税務署から送られてくる「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」等を勤務先に提出することとなります。

一方、住民税において住宅借入金等特別税額控除の適用を受けるためには、まず、所得税の住宅借入金等特別控除の適用を受けていることが条件となっています。ただし、税源移譲に伴う住宅借入金等特別税額控除の場合と平成21年度の税制改正による住宅借入金等特別税額控除の場合で手続きが異なってきます。

税源移譲に伴う住宅借入金等特別税額控除の場合については、平成11年から平成18年までに入居した者で、控除申告書を毎年3月15日(納税通知書が送達される時までに提出されたものを含む)までに市町村長へ提出した場合に適用されます。例えば、平成21年中の収入に対して課税される平成22年度の住民税の場合は、平成22年3月15日までに控除申告書を提出することになります。なお、所得税において、年末調整による住宅借入金等特別控除の適用を受けている場合であっても、税源移譲に伴う住宅借入金等特別税額控除の適用を受けるためには、各年度において、市町村長へ控除申告書を提出する必要があります。

平成21年度の税制改正による住宅借入金等特別税額控除の場合については、平成11年から平成18年までに入居した者及び平成21年から平成25年までに入居した者で、適用を受けようとする年度分の個人住民税の申告書を毎年3月15日までに提出(納税通知書が送達される時までに提出されたもの及びその時までに提出された前年分の所得税の確定申告書を含む)し、その申告書に、所得税の住宅借入金等特別控除に関する事項の記載がある場合に適用されます。また、所得税において、年末調整による住宅借入金等特別控除の適用を受けている場合にも、住民税における適用を受けることができます。

 

3 申告期限後の申告の取扱いについて

 このように、住宅借入金等特別控除等の適用については、毎年の確定申告等が必要です。では、住宅借入金等特別控除等の申告を申告期限が過ぎてから行い、その適用を受けることはできるのでしょうか。

 まず、所得税と住民税では税額の決定方式が異なっています。所得税は、納付すべき税額を納税者が自ら申告することによって確定することを原則とし、申告がない場合又はその申告が不相当と認められる場合に限って、課税庁の更正又は決定によって税額を確定する申告納税方式を採用しています。一方、個人住民税は、納付すべき税額がもっぱら課税庁の処分によって確定する賦課課税方式を採用しています。

 このため、所得税については、例えば既に提出した確定申告に医療費控除等の適用漏れがあり、納める税金が多過ぎた場合等は、国税通則法第23条の規定により、法定申告期限(所得税については、翌年の3月15日)から5年以内(注)に限り、納税者が自ら税務署長に更正の請求をすることにより還付を受けます。税務署は、この更正の請求により、その内容を調査し、減額更正をして税金を還付することになります。

ただし、給与所得者の場合は、毎年の年末調整によって所得税を精算しているので、本来は確定申告を要しないものですが、年末調整では適用されない医療費控除等の適用を受けるには、確定申告をすることになります(還付申告)。この場合は、国税通則法第74条の規定により、還付の請求ができる日(翌年1月1日)から5年以内に行わなければ時効により消滅するとされています。したがって、確定申告が未申告で還付の請求ができる日から5年以内であれば、確定申告をすることで、還付を受けることができます。

所得税の住宅借入金等特別控除は、いずれの場合にも適用されますので、5年以内に更正の請求(注)又は確定申告をすれば、還付を受けることができます。

 一方、住民税においては、所得税と異なり、申告納税方式ではなく、賦課決定方式により課税を行っているため、税額を減少させる賦課決定については、地方税法第17条の5の規定により、基本的には、法定納期限(例えば、個人住民税(普通徴収)の法定納期限は、その第1期分の納期限である6月末日)の翌日から5年以内とされています。このため、法定納期限の翌日から5年以内(さらに、所得税の減額更正等については、地方税法第17条の6の規定により、5年超の期間制限の特例があります。)であれば、通常、申告や所得税で減額更正が行われれば、住民税も減額の賦課決定により、還付を受けることができます。

ただし、個人住民税の住宅借入金等特別税額控除については、別途地方税法附則第5条の4及び第5条の4の2の規定により、各年度の納税通知書が送達されるまでに、住宅借入金等特別控除に関する事項の記載がある確定申告書等が提出された場合に適用されることとなっているため、すでに納税通知書が送達されている年度分の住民税については、適用を受けることができないということになります。

なお、給与所得者の個人住民税は、毎年6月から翌年5月まで毎月の給料から特別徴収されますが、毎年5月31日までに市町村長から送付される特別徴収税額通知書が納税通知書にあたります。

 

4 事例の検討

 質問者は、毎年の年末調整によって所得税を精算している給与所得者であり、所得税について、一度も住宅借入金等特別控除の適用を受けていないことから、平成21年分から平成23年分の確定申告は未申告と考えられ、住宅借入金等特別控除は、還付の請求ができる日から5年以内の申告となりますので、適用を受けることができます。これに対して、個人住民税については、平成24年6月30日の確定申告書の提出時点では、市町村長から、平成22年度から平成24年度分の個人住民税に係る特別徴収税額通知書が送付されているものと考えられ、既に納税通知書が送達されているということとなり、適用はされません。

 以上のことから、所得税は、未申告であれば消滅時効までの申告かどうか、個人住民税については、税額通知書の送達の有無が適用の基準となります。

 本件は、所得税は消滅時効までの申告であり、住宅借入金等特別控除の適用により還付されますが、個人住民税は税額通知書の送達後となるため、住宅借入金等特別税額控除の適用はなく還付はされません。

 

(注)平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する所得税についての更正の請求は、法定申告期限から1年以内となります。

 

(大阪府総務部市町村課税政グループ)

 

このページの作成所属
総務部 市町村課 税政グループ

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