水銀を含む廃棄物に新たな対応が必要です

更新日:2019年3月28日

「水銀使用製品産業廃棄物」と「水銀含有ばいじん等」に、新たな規制が始まりました【平成29年(2017年)10月1日から】

 水銀に関する水俣条約に対応して、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行令などが改正され、水銀を含む廃棄物について新たな基準などが追加されました。

廃金属水銀等

水銀汚染物

水銀使用製品廃棄物

特別管理産業廃棄物

(普通)産業廃棄物

廃水銀等
 
・施行規則で定める施設において生じた廃水銀又は廃水銀化合物
・水銀等が含まれている物又は水銀使用製品廃棄物から回収した廃水銀
 
※ 平成28年(2016年)4月1日から、特別管理産業廃棄物に指定。保管、収集・運搬に関する措置が追加
※ 平成29年(2017年)10月1日から、処分基準が追加。廃水銀等の硫化施設が産業廃棄物処理施設に追加
 

従来からの特別管理産業廃棄物
 

・施行令で定める施設において生じたもので、水銀の溶出量や含有量が判定基準を超過するもの

水銀含有ばいじん等
 

・ばいじん、燃え殻、汚泥、鉱さいのうち、水銀を15mg/kgを超えて含有するもの
・廃酸、廃アルカリのうち、水銀を15mg/Lを超えて含有するもの
 
※ 平成29年(2017年)10月1日から、処理基準などの新たな規制がスタート

水銀使用製品産業廃棄物
 
(1)施行令別表第4に掲げる水銀使用製品
(2)上記(1)を材料又は部品とする製品
(3)水銀又は水銀化合物の使用に関する表示がある製品
  
※ 平成29年(2017年)10月1日から、保管・運搬・処理基準などの新たな規制がスタート
※ これまでの産業廃棄物の種類に変更はありません。
  金属くず、ガラスくずなどのうち水銀使用製品産業廃棄物に該当するものは、「金属くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)」「ガラスくず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)」のように表記しなければなりません。
  ばいじん、燃え殻、汚泥、鉱さいのうち、水銀含有ばいじん等に該当するものは、「ばいじん(水銀含有ばいじん等)」のように表記しなければなりません。

以下のものは、水銀の回収が義務付け(平成29年(2017年)10月1日から)

・燃え殻、鉱さい、ばいじん、汚泥のうち、水銀を1,000mg/kg以上含有するもの
・廃酸、廃アルカリのうち、水銀を1,000mg/L以上含有するもの
施行令別表第5(下記の表に○印のあるものに加え、浮ひょう形密度計・積算時間計・ひずみゲージ式センサ・ジャイロコンパス・電量計)


 詳しい改正内容は、環境省報道発表資料ホームページ(外部サイト)をご覧ください。

新たな規制の概要

  1. 廃棄物の区分について
     「水銀使用製品産業廃棄物」「水銀含有ばいじん等」という区分を設定  
  2. 保管について
     「水銀使用製品産業廃棄物」の保管にあたっては、他のものと混合しないように措置が必要
     廃棄物保管場所の掲示板の産業廃棄物の種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」または「水銀含有ばいじん等」が含まれることを明記
  3. 委託契約について
     委託契約書の廃棄物の種類に「水銀使用製品産業廃棄物」または「水銀含有ばいじん等」が含まれることを明記
     (※ 平成29年(2017年)10月1日以前に契約締結し、契約期間満了前の委託契約書については、新たに契約変更などをする必要はありません。)
     マニフェストの産業廃棄物の種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」または「水銀含有ばいじん等」が含まれること、及び、その数量を明記
  4. 運搬について
     「水銀使用製品産業廃棄物」の運搬にあたっては、破砕しないよう、他のものと混合しないように措置が必要
  5. 処分・再生について 
     処分・再生を行うにあたっては、水銀が大気中に飛散しないように措置が必要
     水銀回収対象のものは、水銀の回収が必要
  6. 埋立について
     
    「水銀使用製品産業廃棄物」は安定型最終処分場への埋立て禁止 
  7. 業の許可証について
     施行日以降交付の許可証に「水銀使用製品産業廃棄物」「水銀含有ばいじん等」を「含む」又は「除く」を記載
      
    規制の詳細は、環境省ホームページ(外部サイト)をご覧ください。

「水銀使用製品産業廃棄物」とは

 次の(1)(2)(3)の製品が産業廃棄物になったものです。
  (1) 水銀使用製品のうち、下表に掲げるもの
  (2) (1)の製品の組込製品(下表に×印のあるものに係るものを除く)
  (3) 水銀又はその化合物の使用に関する表示がされている製品
  これらのうち、下表の「回収」欄に○印があるものが、水銀回収対象です。
 詳しくは、環境省発行パンフレット(外部サイト)をご覧ください。

水銀の使用に関する表示の有無に関わらず水銀使用製品産業廃棄物の対象となるもの
(廃棄物処理法施行令別表第4に、回収対象の○印を追記)

製品名

組込製品

回収対象

製品名

組込製品

回収対象

水銀電池

23

放電管(水銀が目視で確認できるものに限り、放電ランプ
(蛍光ランプ及びHIDランプを含む。)を除く。)

×

空気亜鉛電池

24

水銀抵抗原器

スイッチ及びリレー(水銀が目視で確認できるもの)

×

25

差圧式流量計

蛍光ランプ(冷陰極蛍光ランプ及び外部電極蛍光ランプを含む)

×

26

傾斜計

HIDランプ(高輝度放電ランプ)

×

27

水銀圧入法測定装置

放電ランプ(蛍光ランプ及びHIDランプを除く)

×

28

周波数標準機

×

農薬

29

ガス分析計(水銀を標準物質とするものを除く。)

気圧計

30

容積形力計

湿度計

 31滴下水銀電極

10

液柱形圧力計

32

参照電極
11弾性圧力計(ダイアフラム式のもの)

×

 33水銀ガス発生器(内蔵した水銀等を加熱又は還元して
気化するものに限る。)
12圧力伝送器(ダイアフラム式のもの)

×

34

握力計

13真空計

×

35

医薬品
14ガラス製温度計

36

水銀の製剤
15水銀充満圧力式温度計

×

37

塩化第一水銀の製剤
16水銀体温計

38

塩化第二水銀の製剤
17水銀式血圧計

39

よう化第二水銀の製剤
18温度定点セル

40

硝酸第一水銀の製剤
19顔料

塗布されるものに限り
×

41

硝酸第二水銀の製剤
20ボイラ(二流体サイクルに用いられるもの) 42チオシアン酸第二水銀の製剤
21灯台の回転装置

 43酢酸フェニル水銀の製剤
22水銀トリム・ヒール調整装置

「水銀含有ばいじん等」とは

 水銀またはその化合物に汚染されたものが廃棄物となったもの=「水銀汚染物」のうち、特別管理産業廃棄物に該当しない、以下のもの 

廃棄物の種類

水銀含有ばいじん等の対象

水銀回収義務の対象

燃え殻、鉱さい、ばいじん、汚泥

水銀(注)を15mg/kgを超えて含有するもの

水銀(注)を1,000mg/kg以上含有するもの

廃酸、廃アルカリ

水銀(注)を15mg/Lを超えて含有するもの

水銀(注)を1,000mg/L以上含有するもの

(注)水銀化合物に含まれる水銀を含む

排出事業者がしなければならないこと

  上記、「新たな規制の概要」の2及び3を自ら遵守するとともに、4から6が遵守できる業者を確認して委託しなければなりません。
  許可証に水銀関係取り扱いの可否の記載がない業者でも取り扱うことができる場合があります。
  許可証で確認できない場合は、取り扱えるかどうか、業者に確認してください。

  (参考)建設業者以外の排出事業者向けの解説ページ

産業廃棄物事業場外保管(産業廃棄物保管施設)届出事業者がしなければならないこと

 水銀使用製品産業廃棄物を保管する場合は、他のものと区別しなければならないため、保管の方法の変更と、変更届の提出が必要となります。
 詳しくは、大阪府産業廃棄物指導課排出者指導グループ(06−6210−9570)までご相談ください。
 ⇒ 変更届の様式などは、「建設工事に伴い生ずる産業廃棄物の保管について」ページをご覧ください。

許可業者がしなければならないこと

「従来からの特別管理産業廃棄物」への新たな措置

 水銀汚染物のうち、次の条件に該当するものは、引き続き特別管理産業廃棄物としての処理が必要です。
 平成29年(2017年)10月1日から、水銀を一定以上含む特別管理産業廃棄物に、処分・再生時の水銀回収が義務付けられました。

従来から特別管理産業廃棄物である水銀汚染物

廃棄物の種類

特別管理産業廃棄物の対象

水銀回収義務の対象(新たに義務付け)

鉱さい、ばいじん、汚泥施行令で定める施設(注)から排出されるもので、水銀の溶出量が0.005mg/Lを超えるもの水銀(水銀化合物に含まれる水銀を含む)を1,000mg/kg以上含有するもの
廃酸・廃アルカリ施行令で定める施設(注)から排出されるもので、水銀の含有量が0.05mg/Lを超えるもの水銀(水銀化合物に含まれる水銀を含む)を1,000mg/L以上含有するもの

(注)施行令で定める施設については、「水銀廃棄物ガイドライン(外部サイト)」(表4.1.1 特別管理産業廃棄物の特定施設)をご覧ください。

「廃水銀等(特別管理産業廃棄物)」への新たな措置

 廃水銀等は、すでに平成28年(2016年)4月1日から特別管理産業廃棄物や特別管理一般廃棄物に指定され、保管や収集・運搬にかかる基準が追加されています。
 平成29年(2017年)10月1日から、さらに新たな規制が追加されました。

「廃水銀等」とは

 「廃水銀等」の対象は、以下の(1)(2)(3)です。

 (1) 以下の施設において生じた廃水銀又は廃水銀化合物(水銀使用製品が産業廃棄物となったものに封入された廃水銀等を除く)

水銀若しくはその化合物が含まれている物又は水銀使用製品廃棄物から水銀を回収する施設

水銀使用製品の製造の用に供する施設

灯台の回転装置が備え付けられた施設

水銀を媒体とする測定機器(水銀使用製品(水銀圧入法測定装置を除く。)を除く。)を有する施設

国又は地方公共団体の試験研究機関

大学及びその附属試験研究機関

学術研究又は製品の製造若しくは技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究を行う研究所

農業、水産又は工業に関する学科を含む専門教育を行う高等学校、高等専門学校、専修学校、各種学校、職員訓練施設又は職業訓練施設

保健所

10

検疫所

11

動物検疫所

12

植物防疫所

13

家畜保健衛生所

14

検査業に属する施設

15

商品検査業に属する施設

16

臨床検査業に属する施設

17

犯罪鑑識施設

 ※ 8から17の施設は、平成29年(2017年)10月1日から対象となりました。
 
 (2) 水銀若しくは水銀化合物が含まれている物(一般廃棄物を除く)又は水銀使用製品が産業廃棄物となったものから回収した廃水銀
 
 (3) 上記(1)(2)の廃水銀等を処分するために処理したものであって、水銀の精製設備を用いて行われる精製に伴って生じた残さ以外のもの。

通常の特別管理産業廃棄物の措置に加えて、以下の措置が必要

 特別管理産業廃棄物の一般的な基準に加えて、水銀が常温で液体であり、揮発するという特性に鑑み、以下の基準が設けられています。

  • 収集・運搬について【平成28年(2016年)4月1日施行】
    (ア) 運搬容器に収納して収集し、又は運搬すること
    (イ) 運搬容器は、収納しやすいこと、損傷しにくいこと及び密閉できること
     
  • 保管、積替えについて【平成28年(2016年)4月1日施行】
    (ア) 容器に入れて密封することその他の飛散、流出又は揮発の防止のための措置を講ずること
    (イ) 高温にさらされないために必要な措置を講ずること
    (ウ) 腐食の防止のために必要な措置を講ずること
     
  • 中間処理について【平成29年(2017年)10月1日施行】
     処分又は再生を行う場合、産業廃棄物処理施設の許可を受けた硫化施設において粉末硫黄による硫化及び改質硫黄による固型化を行うこと。
    ※ 廃水銀等の硫化施設が、設置許可の必要な産業廃棄物処理施設に追加されました。
     
  • 最終処分について【平成29年(2017年)10月1日施行】
     固型化したものが、埋立判定基準(溶出試験の結果、水銀0.005mg/L以下)を
      満たさない場合 ⇒ 遮断型最終処分場に処分
      満たす場合    ⇒ 追加的措置をとった管理型最終処分場で処分することが可能

このページの作成所属
環境農林水産部 循環型社会推進室産業廃棄物指導課 排出者指導グループ

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