小売や外食で発生している食品ロスは消費者の購買行動が大きく関わっており、その削減にあたっては、食品関連事業者と消費者がそれぞれの立場を互いに理解し、取組みを進めることが大切であることから、事業者(小売・外食)、消費者、行政が、それぞれの立場で何ができるのかを話し合うシンポジウムを開催しました。
当日の様子を報告します。
〇 主催: 環境省、大阪府、3R活動推進フォーラム
〇 日時: 平成30年2月6日(火曜日)13時00分から16時15分
○ 会場: 梅田スカイビル タワーウエスト36階
○ 参加者数: 116名
食品ロス削減シンポジウム「食の都・大阪でおいしく食べ切ろう」議事録 [Wordファイル/234KB] [PDFファイル/379KB]
基調講演1 「循環型社会に向けた3R施策について」 | |
環境省環境再生・資源循環局総務課 | |
基調講演2 「食品ロスの発生実態と削減のために必要な取組」神戸大学大学院経済研究科 教授 石川 雅紀 氏 | |
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1.斎藤 敬 氏(日本チェーンストア協会関西支部)
・小売が行うまとめ買いセールにより、家庭内で買いすぎて余った食品が食べきれずに廃棄されることがある。また、購入後不適切な保存方法により廃棄されることがある。
・3分の1ルールについて、やみくもにつぶすのではなく、消費者の喫食期間への配慮も必要。行政は食品の期限についての正しい知識や保管方法について周知してほしい。
2.加藤 誠久 氏(一般社団法人 大阪外食産業協会)
・飲食店の食品ロスは1食べ残しロス、2仕込みロス、3保管ロスであり、1と2が9割以上を占める。
・対策として、小盛メニューの充実、食べ放題による野菜の食べ残し削減、業務用生ごみ処理機の設置等に取り組んでいる。
3.樋口 容子 氏(公益社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 西日本支部)
・団体の活動として、食品ロスに関するアンケート、消費者教育のためのテキストの作成、学校・自治体・企業等に向けた講座を実施。
・特に子ども向けの消費者教育では子が親に話すため、影響力が大きい。
4.吉村 光章 氏(豊中市環境部減量計画課)
・学校給食センターでの調理残渣や食べ残しを街路樹等の剪定枝と合わせ、土壌改良材(とよっぴー)として活用。
・エコクッキング講座やリーフレットの作成、フードドライブ活動など、さまざまな普及啓発活動に取組んできた。
石川「イベントごとに販売される行事食(恵方巻やバレンタインなど)についてどう考えるか。」
斎藤「行事食は「ハレの日」の販売。単価も高いため、余って廃棄が出ても利益が確保できる状況。恵方巻きやクリスマスケーキは消費期限のため、次の日に売れない。次の日の販売やパッケージを変えての販売は商品が賞味期限なのか消費期限なのかで大きな違いがある。行事食の場合値下げよりは発注を調整する方がいいのでは。」
樋口「行事ごとに必ず行事食を買うという消費者は減っている印象がある。」
石川「不確実性がロスを生んでいる。誰が何個買うかはわからない。店舗では過剰より不足の方が目立つ。」
加藤「最近行事食は発注による販売が増えている。おせちなどは予約販売なのでロスが少ない。」
樋口「売り切れたら売り切れたで消費者は諦めるべき。山積みを求めすぎない。」
吉村「フードドライブではある程度の期間が残っていないと提供することができない。廃棄にならない仕組みづくりを消費者、事業者と連携していきたい。」
小笠原「食品ロスを最小化しようとすると利益が減る。気象予測など発注の精度を高めることが必要。」
石川「啓発について、単にポスターを貼るだけでなく、どういう仕掛け、仕組みがあれば消費者行動を変えられるか考える必要がある。」
【ディスカッションのまとめ】
・食品ロス削減は一つのセクターだけでは解決しない。事業者、消費者、行政みんなで取り組む必要がある。今後、それぞれのセクターが話し合う場を設け、本音の議論をして、そこで出たアイデアを実践することの繰り返しが、地道ではあるが一番の近道。
このページの作成所属
環境農林水産部 流通対策室ブランド戦略推進課 総務・企画グループ
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