今月の事例解説(R2.7)

更新日:令和2年8月13日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 労働者から、新型コロナウイルス感染症に関連した労働契約についての相談

新型コロナウイルス感染症の影響で、3月11日に突然3か月の休業と、その間は給与を半額にすると口頭で言われましたが、口頭と文書で断りました。休業と給与の半減について拒否したものの、強制的に実行されたらどうすればいいでしょうか。

  

賃金の減額などの労働条件の不利益変更については使用者が自由にできるものではなく、労働者との合意や一定の手続きが必要となります。

賃金、労働時間等の労働条件は、労働契約、就業規則、労働協約等により定められています。労働契約には契約自由の原則が適用され、労働基準法等の強行法規に反しない限り、労使の合意により労働条件を変更することができます。【労働契約法第8条】。

今回のご相談では、使用者からの伝達に対し、相談者は口頭と文書でしっかりと断っていることから、労使の合意がなされたとは言えず、休業とその間の給与の半減は無効となると考えられます。

しかし、企業の業績不振等の理由から、休業せざるを得ない場合もあります。労働基準法第26条において、使用者の責に帰する事由により労働者を休業させる場合には、当該休業期間中、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければならないと規定されています。ただし、不可抗力による休業の場合は「使用者の責に帰する事由」には該当せず、休業手当の支払義務はありません。ここでいう「不可抗力」とは、その原因が事業の外部より発生した事故であること、および事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2つの要件を満たす必要があると解されており、新型コロナウイルス感染症に関連する休業について、厚生労働省は、例えば自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合においてこれを十分検討するなど、最善の努力を尽くしていないと認められる場合には、「使用者の責に帰すべき事由」に該当し、休業手当を支払うべき場合があるとしています。

 

仮に実際の給与が半減されていた場合については、まず、相談者から使用者へ給与の全額支払いを求める請求を行っていただき、それにもかかわらず、使用者が請求に応じない場合は、事業所を所管する労働基準監督署に申告し、権限に基づく行政指導を依頼するなどの手段が考えられます。【労働基準法第104条】

Q2 労働者から、新型コロナウイルス感染症に関係した安全配慮義務についての相談

 現在、コールセンター業務に従事しているのですが、執務室の労働環境は、密閉、密集しているので、怖いのですがどうすればよいでしょうか。

新型コロナウイルス感染症のみならず、労働者への安全配慮義務については、労働契約法に「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」(労働者の安全への配慮)と規定されております。【労働契約法第5条】

また労働安全衛生法にも「使用者は、健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない」と規定されております。【労働安全衛生法第22条】 

今回のご相談におかれましては、まずは使用者へ上記の法令や厚生労働省などの要請に基づき、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止策である3密対策をとるようご相談されてはいかがでしょうか。
 

Q3 使用者から、新型コロナウイルス感染症に関係した雇止めについての相談

1年間の契約期間で週2日勤務の非常勤職員が、新型コロナウイルス感染症による保育園休園を受けて、在宅育児のため出勤ができない状態になりました。この非常勤職員は雇用して間もないため、年次有給休暇が与えられておらず、欠勤という扱いになっています。

就業規則上は「欠勤が30日に達したら解雇」とあるが、この場合、解雇して法律上問題ないでしょうか。

また、国から労働者への扱いについて通知等ないのでしょうか。 

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となります。【労働契約法第16条】

また、あらかじめ契約の期間が労使で合意されている労働者を期間の途中で解雇するには、期間の定めのない労働者を解雇するよりもさらに合理的な理由を必要とし、使用者はやむを得ない事由がある場合を除き、労働者を解雇することができないこととなっております。【労働契約法第17条第1項】

今回のご相談では、当該職員の出勤できない事情は、新型コロナウイルス感染症による保育園休園を受けて、在宅育児のため出勤ができない状態であり、使用者にやむを得ない事由があるとは言えないため、たとえ就業規則に照らし合わせると解雇ということであっても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効になると考えます。 

なお、国からは、「新型コロナウイルス感染症に係る雇用維持等に対する配慮に関する要請文」が出されており、そこには、「有期契約労働者、パートタイム労働者及び派遣労働者の方々等の雇用の安定等を図るため、解雇、雇止めや安易な労働者派遣契約の解除等はお控えいただくなど特段の配慮をお願いいたします。」と明記されております。  

  
 

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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